タッカーは死に、その娘だったものも死に、スカーは消えた。  
報告書をなんとかまとめたロイは、その間も終始無言だった。  
ここのところ彼は機嫌が悪い。  
けれどリザは、声をかけることもしなかった。  
こういうときのロイは、話しかけられるのを嫌う。  
…けれどせめて、二人きりのときは。  
「大佐」  
ロイは仮眠室へ、リザは報告書を届けに、並んで廊下を歩いているときのことだった。  
深夜の建物の中で、動いているのは彼ら以外に何人いるのだろうか。  
周囲に人影はない。  
「…あまり、考えないほうが…」  
「君に何が分かる!」  
珍しく激昂したロイに、思わずリザは息を飲む。  
「君に何が…私は…私は…っ!」  
わかっていた。  
どれだけ冷徹に上を目指そうとしていても、彼もまた…  
救えない命を救いたいと、そう願う男だった。  
だからこそ自分は、この男についていくと決めたのだ  
 
「大佐、私は…」  
言いかけた、その唇に、ロイが噛み付くように吸い付いた。  
「はむっ…んっ…うぅ…」  
ロイは息苦しそうに息を吐くリザの肩を、壁におしつける。  
普段とはあまりに違うロイに戸惑う彼女にはかまいもせず、  
彼の舌は彼女の歯列をなぞり無理やり奥に侵入し、戸惑う彼女の舌を絡めとる。  
ロイの目の前では、リザが苦しそうに眉根を潜めている。  
目にうっすらと浮かんだ涙はロイの行為のためだけではなかったが、  
彼はそれを目にした瞬間、箍が外れた。  
 
「…ん…はっ…」  
銀の糸をひき離された唇の間に、熱い息がこぼれる。  
「たい…」  
「中尉。」  
怒りがそのまま、違うものに変わった。  
体中に行き渡っていた怒気が、そのままの凶暴さでリザにむけられようとしていた。  
それを抑えて、彼は彼女の耳元で低く囁いた。  
「…ここでしたらどうなると思う?」  
「なっ…大佐!?」  
驚きの声をあげる彼女の耳を舐め上げると、  
その手からは重要な報告書が大げさな音を立てて床に落ちた。  
「っ…!何を…っあ」  
彼の手はすでに、彼女の硬い軍服の中へと忍び込んでいた。  
 
「たい…さ、誰かに見られたら…」  
少し上ずった声が、あまったるく耳にかかる。  
「見せてやればいいんじゃないか?  
 それとも…見られると感じてしまうのかな?君は…」  
下着の上から豊満な胸をもみしだき、耳元では低く、冷たく、彼女を責める。  
彼女の弱いところはすべて知っている。  
「そん、な…っ」  
冷静な彼女しか知らない者がこの様子を見たらどう思うだろう?  
涙目で、上ずった声で、自分にしがみつく、こんなにも弱く甘い彼女を。  
「…私の言うことが間違っているとでも言うのかい?  
 …体は正直だよ?中尉…」  
言って、布地の上から硬くなった突起を強くこすり、つまみ、こねる。  
「や…ぁ…たい、さ…」  
 
リザの手は力なく、それでも必死に彼の胸をつかんでいた。  
すでに膝に力が入らない。  
普段なら有り得ないことだが、  
人に見られるかもしれないという状況が彼女の感覚を鋭くしていたのだった。  
それを煽るような、ロイの言葉。  
「大佐っ…こんなっ…」  
なんとかやめさせようと口にする言葉も、上ずってまともには聞こえない。  
しかしそれでも、彼女はまだ冷静さを保っていた。  
「怒りに身をまかせる、なんてっ…」  
その言葉を聞いた瞬間、再び彼の中の感情に火がついた。  
「黙れ!」  
「黙りませ…っ…!」  
引き下がらないだけの強情さを持って言った一言は、  
途中でさえぎられることになった。  
彼の手が、彼女のズボンの中、下着の中に入り、  
むりやり花弁を押し広げたのだった。  
 
「ひ、やぁッ・・・!」  
思わず上げた声が、廊下に響く。  
「…黙りたまえ。それともそんな厭らしい声を聞いて欲しいのかね?」  
ず、と指が入れられた感覚に、息を飲む。  
声をあげることはできない。  
「こんなところに指をいれられて中をかき回され、  
 快感に狂う自分の声を誰かに聞いて欲しいとでも?」  
十分に濡れてはいないそこで、彼の指は容赦なく動き回る。  
痛みと快感に漏れそうになる声を抑えようと、リザの表情がゆがむ。  
しかしその頬にはうっすらと紅色がかかり、  
目に浮かぶ涙はすでに感情によるものではなかった。  
「…もしそうならそうするがいいさ。  
 私はただこの手を使って、君を壊すだけだ。」  
 
「たいさ…」  
小さく、抑えながら声を絞り出すが、それ以上続けることができない  
―壊す?壊す、とはどういう意味なのか?  
このままここで犯すということそのものなのだろうか?  
それとも他に何か意味があるのだろうか?―  
そういった疑問を抱いても、一瞬のうちに意識は体に戻される。  
彼のもう一本の指が、中に入ろうとしているのだ。  
「っ!たぃ…さ…」  
「どうせなら少しは協力して欲しいものだな…  
 脚を開いてはくれないかね?」  
何かを懇願するような眼でしがみついているこの女を壊す、ということは。  
この女を傷つける、ということだ。  
―それくらいのことはわかっている。しかし。  
ギリ、とかみ締めた歯が鳴った。  
「で・・・きま・・・せ・・・」  
硬く両足を閉じようとしている彼女の耳元に吹きかける言葉は、甘くはない。  
「…しかしもう中は…私の指一本では満足しなさそうだがね」  
ぐちゅぐちゅと、熱く濡れた膣内で指を動かすと、  
柔らかな唇の奥からせつない息が漏れる。  
「あっ…は、ぁ…っ…」  
ロイの服を掴む手が、緩んだ。  
彼はその隙を見逃さなかった。  
すかさず彼女の足の間に自分の膝を入れる。  
とすぐに、二本目の指を勢いよくつきたてた。  
 
「あぁんっ…!」  
きつく結んでいたはずの唇から、高い嬌声が漏れる。  
誰かに聞かれたら、という思いが、瞬間頭をかすめる。  
思わず頭を振り、金の前髪が揺れて彼の頬をかすめた。  
「…見てみたまえ、嬉しそうに私の指をくわえ込んで…」  
いいながら、今度はじらすようにゆっくりと二本の指を動かしてゆく。  
「やめ…ぁ、はっ…」  
声を出すことも、素直に快感に身を任すこともできない。  
かといって、すでに心から「やめて欲しい」といえる状況ではなかった。  
今は触れられてもいない胸の突起が硬くなっているのが自分でも分かるし、  
そうでなくとも彼の指をしめつけている感覚は直接脳に響くように感じられた。  
膝に力を入れることも、彼の胸にすがりつくことも、声を抑えることもままならない。  
視界は涙でぼやけ、呼吸は乱れ、体が火照るように熱い。  
それでも、口をついて出る言葉。  
「ゃめて…くださぃ…たぃさ…っは…ぁ」  
そしてずるり、と。  
彼は指を引き抜いた。  
 
「っ、あ、…え…?」  
呆然とするリザの目の前で、彼は指を舐めて見せた。  
彼女の愛液に汚れた指を。  
「…先ほどから君の言葉を聞いていると…どうも何か、不本意なようだね?  
 言ってみたまえ。君がどうしたいのかを。」  
ロイはリザを壁におしつけていた手を放し膝を抜き、完全に体を離した。  
その瞬間、リザには自分の熱だけが異常に感じられた。  
指の抜かれた後がすでに疼きだして痛いほどだった。  
へたりこみそうになって太ももをあわせた瞬間、自分の愛液を感じた。  
もう、やめることはできなかった。  
壁に寄りかかったまま、口を半分開いたまま、  
未だ息を整えることもできずにいる彼女に、ロイは追い討ちをかける。  
「言ってみたまえ。どうしてほしいのか。」  
「わ…私、は…」  
上気した頬に今すぐにでも触れて、自身で彼女を貫きたいと思いながらも、  
彼はそうしなかった。  
自分の高ぶりを抑えてまで、彼女を壊すことに徹底した。  
「……ほしい…です…」  
 
じくじくと疼く内側を持て余して、それでも彼女には言えない。  
たとえ目を真っ赤にしようとも、『犯して欲しい』などとは。  
彼はそれを知っている。  
「…何が?」  
知っていて、それを言わせようとしている。  
「たいさ、の…」  
舌がうまく回らない。息を整えることもままならず、  
あまったるいしゃべりかたをすることにも何の意識も働かない。  
「…が…」  
「…だから何がほしいのだね中尉?簡潔に願うよ。  
 それともやはり、ギャラリーが必要かね?」  
「ちが…っわたし、はっ…」  
―壊してしまったらどうなるのだろう?  
自分の愛しい人を―  
「たいさの…たいさに、して、ほしぃ…」  
今にも泣き出しそうなリザの様子に、喉元まででかかった言葉を飲み込んで、  
さらに彼は徹底した追い討ちをかけた。  
「何を…?…言えないのなら、そうだな…」  
彼は白い彼女の手をとると、自分の股間に触らせた。  
「た、たぃ…さ…」  
あつく昂ぶったそれの感触に、リザは体中の血が顔に集まってくるようだった。  
けれどたしかに、これなのだ。彼女が、彼女の体が欲しがっているものは。  
 
「…君が欲しがっているのは、コレだろう…?」  
「……っ…」  
声にならない。  
羞恥と興奮とで顔を赤くした彼女に、彼はまた静かにたたみかける。  
「コレが欲しいなら…自分でコレを入れて欲しい所を見せてくれないか?中尉…」  
「ぇ…」  
思わず顔を上げたリザに、ロイはあくまで余裕の笑みを向けた。  
彼の言葉に逆らうことはできない。  
「…は、ぃ…」  
じくじくとうずく内側。  
そこをさらけ出せば、彼のモノがそこに突き立てられる。  
そうすれば彼女は、今度こそ快感に身を任せることができる。  
かすかに頭をかすめるのは、他者の存在。  
しかしそれももう、どうでもよかった。  
今は目の前の、男が欲しかった。  
彼女は止め具の多い軍服をもどかしそうに脱ぐ。  
ズボンはブーツに止められ膝下にわだかまり、おかげで下着は膝の辺りで止まってしまった。  
脚を開くことができない。  
その様子を、ロイはただじっと凝視していた。  
そしてまた、彼女を責めた。  
「…どこに欲しいのか、どんなふうに欲しいのか、自分でやってみせてくれ。」  
 
「そん、な…」  
「できないならそれでいい。私はもともと寝るはずだったのだからね」  
これが軍の施設の廊下、という特殊な環境でなかったら、彼女は大人しく従わなかっただろう。  
おそらく「なら大佐のそれはどうするおつもりですか」と返すぐらいのことはしたはずだ。  
しかし、今は。  
この異常な状況でロイの言葉攻めにあった彼女に、冷静な判断など下せるはずもなかった。  
「…わかりました…」  
今はもう、痛むほどうずく内側に、ペニスでなくてもいい、自分の指であっても、  
とにかくなにかを入れて、かきまわしてしまいたかった。  
「…ん、はぁっ、あ…」  
背を壁に預けて、少し重心を後ろに置きながら、彼女は自分の膣内に二本の指を入れた。  
その瞬間、自分がどれだけ彼の指を締め付けていたのかを知った。  
自分の指ですら、こうも締め付ける肉壁。  
太い彼の指では、どんなにかいやらしく感じられただろう。  
けれど体は正直に、自分のものであっても、それを受け入れた。  
受け入れて、次を促そうとしていた。  
くちゅ、じゅぷ、と水音をたてながら、彼女は自分の中をかき回した。  
「あ、はぁんっ…あ、ぁっ…ん、あっ…!」  
目の前に男がいることも忘れて、行為に没頭しようとしていた。  
自分の感じるところはよくわかっている。  
ぬるりと熱く絡みつく愛液を隔てているのがもどかしく思えるかのように、  
自分の弱いところを強くなぞる。  
「ひ、あぁ…んっ…は、あ…はぁっ…」  
暗い廊下に、卑猥な水音と、高くかすれた切なげな声だけが響く。  
 
「中尉」  
その一言で、手が止まった。  
「…私のコレで、そうしてほしいんだね?」  
言って、ロイは自分のズボンを下ろした。  
熱に潤んだリザの視線が、そこに釘付けになる。  
彼女は自分の指を抜き、彼を待った。  
彼にももう、待てなかった。  
ロイが近づくのを待ちかねたかのように、リザは自分の花弁を押し広げてみせる。  
普段の彼女なら絶対にしないであろう誘いに、彼は乗った。  
昂ぶりの先端をそこにあてがうと、いっきに彼女を貫いた。  
「ひっ、い、ぁあっ…あ…!たいさぁっ…!」  
リザの腕が、ロイの首に回される。  
深く結合した二人は、純粋な男と女になっていた。  
…けれど男の中の熱い感情は、消えてはいなかった。  
怒りを、この女の中にぶちまけるまでは、消えはしない。  
―どうなるだろうか?愛しい人を壊してしまったら…  
「…そんなに声を出して…やっぱり人に見せたいのだね。  
 自分であそこをかきまわしてペニスをねだるようないやらしい自分の姿を…」  
「や・・・やぁ、たい、さっ…そんな…言わないで…っあ」  
言いながら彼は、彼女の腰を掴んで動かし始める。  
「見てほしいんだろう?誰にだい?ハボック少尉か?それとも…」  
「やぁっ…やめ、てぇっ…あ、あんっ…たい、さ…っ!」  
熱い肉壁と愛液に包まれる快感に体中が滾るが、それでも彼女に声をかけることはやめない。  
「先ほどから君は嘘をついてばかりだな…  
 嫌だと言う割にはココもこんなになってるじゃないか。」  
彼女の服をめくりあげ、下着を無理やりずらし、硬い突起を口に含む。  
「や、いやぁっ…大佐っ…!あ、そこ…はっ…」  
先ほどから何度も自分を呼んでくれている女に、自分は何をしているのだろう。  
ふと頭をかすめた考えもふりはらって、彼は軽く歯を立てた。  
 
「いっ…や、たい、さっ…たいさっ…!」  
ふくよかな胸に顔をうずめる幸福にひたりながら、彼は自分の腰を突き動かした。  
彼女の嬌声が止むことはない。  
「あぁ、そういえば…ここを触ってあげていなかったね?」  
いいつつ彼はクリトリスを軽くなでる。  
「ひっ、いっ…だ、めれすそこは、ぁっ…」  
舌が回っていない彼女を見ると、すでに眼の焦点もあやしかった。  
「…そんなにここ、弱かったかね…?  
 まさか私以外の男に調教されたわけでもないだろうに…」  
「そ、んな…ぁるはずが…っあ…!」  
結合部から漏れ出す粘液をそこにすりつけてやると、彼女の体が大きくのけぞる。  
と同時に、結合が浅くなる。  
その次の瞬間には、彼の手が彼女の腰を掴んで再び彼を最奥までつきたてる。  
「ひぁ、あぁんっ!も、だめぇ…っ!たいさぁっ…!」  
「…それも嘘だな。まだまだ私に犯されて醜態をさらしていたいクセに…」  
言うなり彼は、再び激しく腰をうちつける。  
同時に手は彼女の一番弱いところを責め続けている。  
「う、はぁっ…あんっ、嘘じゃ、な…あぁっ!」  
「…私もそろそろだ…」  
「あ、たい、さ、たいさっ…あぁぁぁぁあっ!」  
 
どろりと流れ出た粘液は、リザのズボンの内側にしみを作った。  
「…どう、するんですか、コレ…!」  
まだ息の整わないリザの非難がましい視線に、ロイは一瞬あっけにとられる。  
あれだけのことをしてもまだ、平静に戻れるとは。  
リザの度量の広さというか、寛大さというか。  
最初からそれに頼る気でいた自分が、これで怒りを静められたのももっともだ。  
などとひとり満足げなロイの様子に、リザのこめかみがピクリと動く。  
「…それと報告書。」  
はっ?とロイはそれを目にしたときには、それはもう無残なありさまだった。  
二人に踏みにじらた書類には、さらに粘液も付着して、  
とてもではないが提出できる状態ではなかった。  
ヒクリ、と口をひきつらせたロイの予想通り、リザは冷たく言い放った。  
「書き直してください。」  
「…はい」  
 
 
終  

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