作戦前、コードネームを決めた頃に遊ぶ大佐×中尉  
 
 
 
何も明かされぬまま上官、そして恋人であるロイの言い付け通りに行動し、終えたものの疑問はさっぱり拭えない。  
「入っていいかな?」  
「はい」  
寝室の扉の向こうから入室してよいかと声を掛けてきたロイに返事をする。  
寝室に入って来たロイは私の姿を見て、ほう、と感心したようため息をついた。  
「やはり私の目に狂いはないな。とても似合っているよ、中尉」  
「…ありがとうございます…」  
褒められて素直に礼を言ったが、私の頭の中は未だ疑問でいっぱいだった。  
何故?と眉を寄せてしまう。  
混乱している私のことが手に取るように分かるであろうロイが、怪訝そうな視線を寄せる私をみてくすりと楽しそうに笑う。  
先ほど、ロイに自宅に来るように呼び出され、部屋にある服に着替えて欲しいと強引に背を押されて寝室に一人取り残された。  
洗ったばかりで洗剤の柔らかな良い匂いを放つ真っ白なシーツの上に広がっていたのは、対照的な黒いドレスだった。  
これを着ればロイは満足するのかと不思議に思いながらそのドレスを手に取り、ぎょっとした。  
ドレスについていたタグが、巷の若い女性が皆憧れる高級ブランド店のものだったからだ。  
あの店に並ぶ品は私などではとても手が届かないものばかりだ。  
このブランドの服を着たいと特に思ったことはないが、洗練されたデザインや気品ある色使いは素敵だと思う。  
――しかし、いま私が身に纏うドレスは、少し上品さにかけている気がする。  
言われた通りにドレスを着て鏡の前に立つと、谷間がはっきりと覗く胸元と、大きく開いた背中が目に入り絶句した。  
そして腰の辺りから深くスリットが入っている。  
確かに有名ブランドに相応しく生地は上等なものだが、露出の多いデザインはまるで男性を誘っているかのようで恥ずかしい。  
どうしたものかとため息をついた時、扉の外からロイの声が掛かったのだ。  
「…あの…大佐、これは…」  
「ああ、私から君へのプレゼントだよ」  
つま先から頭のてっぺんまで遠慮なく穴が開きそうなほど私に視線を浴びせ、ロイは嬉しそうに頬を緩める。  
「さすが中尉だ。娼婦が身につけるような服を典雅なドレスに変えてしまう」  
高貴で素晴らしい、清楚すら感じる、などと呟きながらロイは一人でご満悦だ。  
「そんなことより、このような高価なものを頂くわけには…」  
「プレゼントと言っても、君が喜ぶというより私が楽しむために買ったものだから気にすることはないよ」  
「は…?」  
「このドレスは、君に演じてもらうエリザベス役のイメージなんだ」  
ドレスの生地が申し訳程度に覆う剥き出しに近い肩の丸みを、ロイの大きな手の平で包まれる。  
ロイの体温が素肌の肩にじわりと染み込み、どきりとしてしまう。  
「心身共にしっかり『エリザベス』を君に焼き付けたくてね」  
私を見つめるロイの目が色っぽく細められ、背筋がぞくりと粟立った。  
「…本当に似合っているよ、エリザベス」  
「…た、大佐…」  
コードネームを口にして勝手に話を進めてしまうロイに私は取り残されたままで、ますます戸惑う。  
しかしロイは見惚れてしまうような優雅な動きで、私の唇に一差し指をそっと押し当てた。  
「『ロイさん』、だろう?エリザベス」  
すっかりエリザベスの客を演じているロイは、「大佐」とは違う男性の色気や余裕が漂い、魅了されるものがある。  
「…ロイ、さん…」  
じっと見つめていると吸い込まれそうな綺麗な黒い瞳をぼんやりと眺めながら、「エリザベス」が呼ぶロイの名を呟いた。  
よく出来ましたというように、ロイの親指が唇の形をなぞり、くすぐったさに身をよじる。  
「エリザベス、君を呼んだのは慰めてほしいからなんだ」  
「私じゃなくても相手はたくさんいるでしょう…?」  
ロイの指が頬から首にかけての線を手の甲で何度も優しくなぞる。  
たったそれだけの行為で身体の中に小さな焔が灯っていく。  
「君じゃないと駄目なんだよ、エリザベス」  
下ろしている髪を丁寧に掻き分け、ロイはうなじにそっと唇を落とした。  
 
丁寧な触れ方とは反対に、ロイの腕はぐいっと強引に私の腰を引き寄せる。  
ロイにされるがままに胸に抱かれ身を寄せると、私ではなく彼の身体も熱を持っていることを知る。  
「恋人がいつも私に冷たくてね。君に慰めてほしいんだよ」  
「…他の女の代わりだなんてごめんだわ」  
「頼むよ、エリザベス」  
「私、そんなに安い女に見えるかしら」  
ちゃんとエリザベスを演じ、話せているかが不安だった。  
ロイがうなじを舌でねっとりと舐め、大きく開いた背中を手の平で撫でられるだけで、呼吸が震える。  
「そういうわけじゃないさ」  
「なら、他のひとを当たってちょうだい」  
「嫌だ」  
俯いていた私の顔を、ロイが顎を掴み上向かせる。  
「君がいいんだ。エリザベス」  
「…手が早いという噂は本当ね」  
顎を掴んでいるロイを睨みつけながら、手をぴしゃりと叩いて顔から離させる。  
「いきなり呼び付けて慰めてほしいだなんて、紳士のすることかしら?」  
「エリザベスの前だと紳士を演じるのが難しいよ。君があまりにも美しいから、己の欲が抑えきれない」  
「…呆れたわ。どうせ誰にでも言うのでしょう?」  
「……なあ、エリザベス」  
またロイの手に顔を捕らえる。  
頬に片手を添えられ、唇と唇が触れそうな距離でロイが口を開いた。  
吐息が触れ合うあまりの近さに頬が熱くなり始める。  
「……君も私を求めているように見える」  
「言い掛かりは…っ!」  
ロイは最後まで言わせてくれなかった。  
開いた唇の中にいきなり舌をねじこませ、ロイはねっとりと執拗に歯列をなぞる。  
「…はぁ…っ」  
舌の形を確かめるかのようになぞられたかと思えば今度は甘く噛まれ、背筋を駆け抜ける痺れに声がもれた。  
その声を聞いて気をよくしたのか、ロイは乱暴と表現できる動きでますます私の唇の中を荒らした。  
唇が離されると、銀の糸が橋のように私達を繋ぎ、やがてぽたりと落ちた。  
下唇に滴る唾液をロイが見せ付けるように舐め取る。  
「…は…っ」  
口付けだけをしたというのに、私の身体からはすっかりと力が抜けていた。  
ロイが腰を支えていなければ、立っていられず情けなく床にへたり込んでいたかもしれない。  
「ロイ・マスタング大佐」と「リザ・ホークアイ中尉」という身分を捨て、店の娘と客というまったく違う間柄になり、別の人間を演じることに、私は興奮しているようだった。  
「…エリザベス…」  
コードネームを熱っぽく呟きながら、ロイは私を静かにベッドの端に座らせた。  
額に音を立てて口付けを落とし、ロイはひざまずくかのように床に片膝をついた。  
そのロイの動きを、呼吸を整えながら惹かれるようにじっと見つめていた。  
「君は本当に美しい…」  
まるで王にかしずく下官のように、ロイは低い位置から私を見上げ、主従関係が逆になったような錯覚に混乱する。  
はあ、と、また息が上がった。  
「とても美しいよ、エリザベス」  
私が抵抗しないのをいいことにロイはドレスの上から器用にブラジャーのホックを外した。  
そしてブラジャーを少々乱暴にたくし上げ、ドレスの肩を覆う布を片方だけずり下げる。  
ドレスの布からブラジャーの締め付けから解放された乳房が零れ落ちた。  
床に膝をつき王から命令を待つ騎士のよう私を見上げているロイは、その姿とは反対に迷うことなく晒された胸にしゃぶりついた。  
「…あっ、大佐…!」  
「『ロイさん』だろう?」  
「ぁんッ!」  
間違いを犯したお仕置きだと言うように、ロイが徐々に尖ってきた乳首に歯を立てた。  
「…ロイさん…乱暴にしちゃ嫌…」  
「ん」  
歯を立てた部分を傷を舐めるかのように優しく舌で撫でられ、身体の中心がじんわりと熱くなる。  
「とても気持ちいいようだね、エリザベス」  
胸から口を離し、ロイが悪戯っぽく私を見上げて笑う。  
ドレスに隠れたままの片方の乳房の先端が健気に布を押し上げている様子を見て言ったのだろう。  
「…ロイさん、そういうことは口にするものではないわ」  
「…っ…」  
「女性を辱めるなんて最低よ」  
 
私も悪戯っぽい笑みを口に浮かべながら、ズボンを押し上げているロイのものを裸足のつま先でそっとなぞった。  
突然の刺激にロイの呼吸が一瞬だけ乱れる。  
私はそのままつま先をゆっくりと上下に動かし、ロイの猛りを愛撫し始めた。  
「…君は本当にやってくれるね、エリザベス」  
ロイはもう片方の肩からもドレスを脱がせて、下へ引っ張った。  
私が上半身に纏うのは取れかけのブラジャーだけだ。  
いつもなら恥ずかしくて目を伏せてしまうような恰好だが、『エリザベス』はそれを気にするどころか積極的にロイを足で攻める。  
「…ん…」  
ロイは私が不器用につま先を動かすのを珍しそうに眺めながら、胸に指を食い込ませ緩やかに揉み始めた。  
「…あっ…や、だ…」  
乳首を指の間に挟め、たぷたぷと乳房を揺らすように大袈裟に揉み始めた時は思わず弱々しい声がもれた。  
捏るように胸全体を余すことなく刺激され、喉がのけ反る。  
「…くぅ…やっ…!」  
「…綺麗な顔をしてる」  
ロイは吐息交じりに囁くと、スリットの中に熱い手を忍ばせ、汗ばんでいる太ももを撫で出した。  
「…ん、あ…」  
太ももを這う指がくすぐったくてむず痒い。  
太ももの柔らかさを味わうかのようにゆっくりと撫でている手がだんだんと内股に近付き、ロイのものを足の裏でなぞり上げる動きが時々止まってしまう。  
「…んん…っ、…は…!」  
ロイはついにショーツまで指を這わせ、濡れ具合を確かめるかのように布越しに指で秘所を撫でた。  
くちゅりという水音が聞こえた気がして、羞恥に頬が赤く染まる。  
ロイはショーツの横から手を差し入れ、すでにぬかるんでいるを入口で遊ぶかのように指先で突いた。  
しかし膣の入口の周りを突くだけで、中に指を入れようとはしない。  
「…んぅッ…んん!」  
焦れる気持ちをしまい込むかのように目をぎゅっとつぶり、手の甲を唇に押し当てて声を押さえた。  
その様子を見たロイが、不満なのか中指で敏感な突起を強く弾いた。  
「…んぅう…ッ!」  
「可愛い声を聞かせてはくれないのかな」  
「…嫌、よ…」  
「強情だな。まるで私の副官のようだよ」  
「やあぁッ!」  
指先が遠慮なくすっかり固くなった肉芽を押し潰し、声を抑える暇もなく喘いでしまう。  
しかし負けじと、私は摩る度に熱を増すロイのものの一点を、親指で円を描くように力強く撫でた。  
「…こんな時に…っ、他の女の名前を出すなんて、マナー違反もいいところだわ…っ」  
「…手厳しいな」  
ロイも感じているはずなのに彼には憎たらしいまでに余裕があり、ふっと不適に笑ったかと思えば、お返しとばかりに濡れた芽の上で容赦なくぐりぐりと親指で円を描かれた。  
「ふあぁッ!うあ…っ、は…っ!」  
私がロイの熱い塊を愛撫することができたのは、あれが最後だった。  
ロイの乱暴な触れ方に、脚からだらりと力が抜けてしまったのだ。  
「あんっ…やあっ、…ロイさん…っ!」  
くちゅくちゅと淫らな音を立てながら集中的に繁みにひそむ尖りを弄られて後ろに倒れ込みそうになるが、腰を支えるロイの腕がそれを許さない。  
「…ロイさ…っ、あぅ…っ!」  
「綺麗だよ、エリザベス…」  
「…あっ…」  
思わずロイの黒髪を掻き乱し次々と与えられる快感に耐えていると、彼がうっとりと私を見上げていることに気が付いた。  
愛おしそうに私を攻めるロイの顔を見て、ますます身体の中心がとろけていく。  
「…はあっ、ん…っ!やあぁッ!」  
きゅっと突起全体を引っ張りながら掴まれ、私はついに達してしまった。  
ロイの手が私から溢れたものでまたどろりと濡れる。  
どさりとうしろに倒れ込み、冷たいシーツの上で何とか呼吸を整えながら、ひくひくと身体を震わせる。  
「…は…っ」  
ロイは肩で息をする私を目を細めて私を眺めながら、ようやくシャツやズボンを脱ぎ始めた。  
ロイが服を脱ぎ捨て逞しい裸体を晒していく姿を、ベッドに倒れこんだままぼんやりと眺めていた。  
 
「エリザベス」  
私の隣に腰掛けたロイが耳元で名を囁きながら、どろどろに濡れた私のショーツをゆっくりと脱がせた。  
「…ん…っ」  
ショーツが素肌を擦るだけで、敏感に反応してしまいもじもじと脚と脚をすり合わせる。  
ロイは背に腕を回して優しく私の身体を抱き起こし、膝の上に座るよう招いた。  
新たな刺激を心のどこかで期待しながら、操り人形のように私はロイに促されるまま肩を両手で掴み、彼の身体を脚で挟むように跨がる。  
「平気か?」  
「…ええ」  
ロイがドレスをゆっくりとたくし上げ、その刺激に私がわずかに腰を揺らすと、膣の入口にゴム越しの熱い先端がぶつかった。  
「…やぁ…っ」  
「…慰めてくれるかい?エリザベス」  
「…今回、だけよ」  
ロイの手によって達し身体中が敏感になり、目も潤んでいるというのに勝ち気な態度を取る私を見て、彼がくすりと笑った。  
そんなロイを黙らせるように、天を向いてそそり立つものをゆっくりと身体の中へ埋めていく。  
「…あぁっ、んう…っ!はぅ…!」  
ロイのものを自ら飲み込んでいく感触を身体全体で感じ、それだけでまた膣が潤む。  
「…あぁー…ッ」  
ロイのすべてを受け入れ、圧迫される刺激に涙を零す私を、彼が落ち着かせるように背中を撫でてくれる。  
ロイが私に触れる度に過剰に身体が反応し、びくびくと感じてしまう。  
呼吸が落ち着いてきた頃、ロイの猛りで膣の壁を擦るように腰をぐるりと回し始めた。  
びりびりと電流のような痺れが身体中を駆け抜ける。  
「…はあっ、んんぅ…ッ」  
苦しいほど膣内をロイに征服されていることが気持ち良い。  
甘ったるい声が勝手に唇からもれてしまう。  
「…エリザベス」  
ロイの肩に手を置き、腰をぐるりと回すように緩やかに動かしている私の顔を、彼が両手で包み込む。  
「…ロイ…さん?」  
ロイは顔にかかる乱れた私の髪を梳きながら直し、長い前髪までも一緒に耳の裏に掛けてしまった。  
額に浮かぶ汗をロイが親指でそっと拭う。  
顔を隠すものがなくなった私の顔を見つめながら両頬を何度も撫でて、ロイはこつんと額を合わせてきた。  
「君は本当に美しい…」  
唇に掛かるロイの吐息がくすぐったい。  
ロイは頬に手を添えたまま、壊れ物でも扱うかのように優しく私の顔の所々に唇を落とし始めた。  
こめかみ、鼻先、目尻、頬、顎などに軽いキスをされ、丁寧な愛され方にきゅうっと膣が締まってしまう。  
「…本当に綺麗だ、エリザベス。愛おしくてたまらないよ」  
偽りのない熱のこもった告白をされ、身体の中心がじくじくと締め付けられるように感じ、また内股がとろりと濡れる。  
「……ロイさんも…」  
「ん?」  
「…ロイさんも、すごく素敵よ…」  
普段の私だったならば恥ずかしくて言えないであろう言葉が唇から自然とこぼれる。  
普段否定の言葉ばかり紡ぐ私を思い出しているのか目を丸くして驚いているロイの首筋を、そっと手の平で撫でた。  
ロイが「エリザベス」という仮の私の身体ですらあんなに優しく愛してくれたように、私も彼のすべてを包み込みたい。  
「…顔も、身体も、生き方も…ロイさんのすべてが素敵…」  
熱にうかされたように囁きながら、大きな背に両腕を回し、指で丁寧に背中を構成する骨をひとつひとつなぞった。  
ロイの身体がぴくんと小さく震え、私の中に入り込んでいる熱い塊も同時に跳ねた。  
「…エリザベス…」  
私がゆるゆると前後左右に腰を動かすだけではロイは物足りないのだろう。  
ロイは私の腰をやんわりと掴みながら、名を呼ぶことで激しく突き上げたいと訴える。  
「…まだ駄目よ、ロイさん」  
しかし、私はそれを耳たぶを甘噛みしながら断り、次に厚い胸板に頬を擦り寄せた。  
背中を撫でていた指は今は胸元をくすぐっており、汗ばんだそこを舌でも触れてみる。  
舌で胸をちろちろと舐めてみると、ロイが抑え切れないのか荒い息をはいた。  
胸への愛撫を続けながら、私が触れていない場所がないように、手の平でひたすらロイの上半身を撫で続ける。  
上も下も、前も後ろも、鍛えられた頼もしい身体を指で愛していく。  
 
再び耳にかぷりと噛み付き形を舌でなぞりながら、首筋に掛かるロイの吐息を楽しむ。  
「…エリ、ザベス…」  
胸元に下手くそなキスマークをひとつ残し、満足した私はようやく顔を上げた。  
「本当に素敵よ、ロイさん…」  
そう告げて太い首に腕を回し、ロイに自由に動いて良いという合図を出す。  
「…君の前で紳士を演じるのは難しいとつくづく思うよ、エリザベス」  
「…ひゃ…!」  
ロイは私を膝の上に乗せたまま器用にベッドの真ん中へ移動する。  
動くことでロイのものが予告なしに私の中を擦り上げ鳥肌が立った。  
ロイは荒々しく私をシーツの上へ押し倒す。  
上から高圧的に私を見下ろすロイの欲に満ちた瞳に目を奪われる。  
「…あ…!」  
少々乱暴な動きでスリットから覗く片脚がロイの肩に担ぎ上げられた。  
見慣れた自分の脚だというのに、黒いドレスからはみ出た白い脚が逞しい肩に乗せられている光景がとても卑猥に思えた。  
そんなことを考えているうちにロイの熱い猛りを身体に遠慮なく打ち込まれる。  
「いあぁっ!ひゃあっ…んぁ!」  
「エリザベス…!」  
先ほど緩やかに腰を動かしていただけでも十分に快楽を得られたというのに、激しく律動されると意識がどこかへ吹き飛んでしまいそうだ。  
「やぁ…っ!あっ、あっ、ロイさ…っ!」  
担ぎ上げられた脚がみっともなくがくがくと震えている。  
盛大な水音を立てて抜き差しを繰り返すロイの表情から余裕が消えていた。  
眉を険しく寄せ、その下には細められた目があり、ロイは快楽に顔を歪めていた。  
額にはじっとり汗が浮かび、ロイが私を揺さ振る度にぽたぽたと落ちる。  
気持ち良さそうにしている私の顔を見るとこちらまで気持ち良くなるとロイはよく言うが、私だって彼が私の身体で感じている表情は何よりの媚薬になる。  
堪らなくなってロイの汗ばんだ頭を両手で抱え抱き寄せた。  
「はぁ…っ!あぅっ、もう駄目…!だ、め…!」  
限界がすぐそこに見える。  
膣は淫らに激しくロイに絡み付き、そして彼もまた切羽詰まったように私を突き上げてくる。  
「ロイさ…っ!」  
「…リ、ザ…!」  
「あっ、いあっ…、ふぁああッ!」  
最奥まで熱い塊が私の中を突き上げ、弾けるようにどくどくとゴムの中で精液を放った。  
その熱さや凶暴さに耐えられず、背を弓のように反らして私は絶頂を迎えた。  
身体から一気に力が抜け、ロイの肩に乗せていた脚がどさりとシーツの上に落ちる。  
ロイは私の上に崩れ落ち、珍しく体重を掛けて覆いかぶさってきた。  
私の胸を押し潰すようにロイの胸板が密着し、彼のドクドクと音をたてる鼓動が伝わり、それが心地良かった。  
耳元をロイの荒い息が何度もくすぐり、また身体が疼いてしまう。  
「…あ…すまない…」  
「…平気よ」  
体重を掛けていたことに気付きすぐに詫びたロイが、私の身体から離れていくのを寂しく感じた。  
「ね、ロイさん…」  
「何だ?」  
「最後に『リザ』って…」  
「…言ってたか?」  
「言ってたわ」  
ロイの頬を指で軽く摘み、彼の失敗を冗談で責める。  
「…つい、ね…」  
「つい?…やあっ!」  
達したばかりで敏感な中を、繋がったままのロイが軽く突き上げる。  
「…はぁっ、…な、に…!?」  
突然の強い刺激に、目尻から涙が零れ落ちた。  
その涙を舌で舐め取りながら、ロイがまた額と額擦り合わせた。  
「本物を抱きたくなったんだ」  
「…本物…?」  
「いいかな、リザ…?」  
また緩やかにロイが私の中で動く。  
「…あっ…、どうせ…嫌だと言ってもするんでしょう…っ?」  
「はは、そうだな」  
ロイが楽しむために買ったという黒いドレスを彼は邪魔だとばかりに剥ぎ取り床へ放る。  
そのドレスの存在をすっかり忘れて私達はお互いの隔てるもののない直に感じる熱に溺れた。  
 

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