アルコールが入るといつもリザは私にうるさく説教を始めるのだが、今日はいつもと違い、酒が回ると彼女は反対に大人しくなってしまった。  
リザはいつもと真逆で、鋭い「鷹の目」をぼんやりとさせながら終始聞き役に徹し、ワインの入ったグラスを片手に力なくうんうんと頷くだけだった。  
リザが私の話を聞かずに適当に相槌を打ち始める頃、彼女は眠くなったのか、猫が気まぐれに甘えてくるかのように私の肩に寄り掛かってきた。  
肩に綺麗な金髪が乗り掛かり、柔らかな毛が首をくすぐる。  
「もう寝ようか?」  
「…んー…」  
リザの手からグラスを抜き取りテーブルへ置く。  
リザは私の問いに答えることなく、ますます体重を私の肩に掛け、眠たそうに小さく欠伸をした。  
無防備に開かれた口の中から赤い舌が覗き、それが幼くも色っぽい。  
酔うといつも怒鳴り散らすリザなのだが、いつもと違う可愛らしい様子に思わず頬がだらしなく緩んでしまう。  
このまましおらしいリザの姿をワインと共に楽しんでいたいが、もう彼女を寝かせてやった方がいいだろう。  
とうとう私の膝の上で心地良さそうに丸くなってしまったリザを抱き上げて、寝室へと運ぶ。  
「リザ、水ほしいか?」  
リザをそっとベッドへ寝かせながら聞く。  
「リザ?」  
眠くて聞こえていないのかとリザへ顔を近付けると、返ってきた答えはなんと強引な口付けだった。  
「…あ、ん…っ」  
先ほどまで酔っ払って眠そうにしていたのが嘘のように、リザの動きは大胆で明確だった。  
リザは私の胸倉を強く掴み、自分の顔へと思いきり引き寄せた。  
アルコールの味のする小さなリザの舌が歯列をなぞり、私の口の中をじわじわと支配していく。  
「…は…っ」  
「…リザ…?」  
リザにしては濃厚な口付けを終え、やっと唇を離したかと思えば、休む間もなく息を乱したまま彼女が私に抱き着いてきた。  
リザに体重を掛けぬように気を付けつつ白い身体に覆いかぶさりながら、いつもと違う彼女の様子を眉を寄せながらそっと伺う。  
「…たい、さ…」  
鳶色の瞳を潤ませたリザが、舌足らずに私の名を呼ぶ。  
それだけなのにずいぶんと官能的で、身体の中がずくりと疼く。  
「…身体が…すごく熱いんです…」  
「…服、脱ごうか?」  
「…あついの…」  
そう言うとリザは私の片手を熱い指でたとたどしく掴み、なんとブラウスの中へと導いた。  
私の手を握るリザの指がブラジャー越しに彼女の胸を触ることを強制させる。  
柔らかな胸を「どう?」と堪能させるかのように、私の手の平越しにリザは自ら乳房を軽く押し潰す。  
「…ね?」  
「…ああ、熱いな」  
確かにリザの身体はアルコールでほてり、軽く汗ばんで熱を持っていた。  
今触れている胸元も熱いし、どうやらリザの頭もアルコールの熱で理性がとろけておかしくなってしまったらしい。  
「…大佐は…熱くないんですか…?」  
リザの胸に私の手を添えさせたまま、彼女がゆっくりとブラウスのボタンを外し始める。  
酔っ払いの覚束ない指先はボタンを外すのが遅く、まるで焦らされているようだった。  
リザがじっくりと時間を掛けてブラウスのボタンを外している間、隠れていた白い素肌がどんどんと見えてくる様子に喉をごくりと鳴らした。  
「…私は、すごく熱い…」  
ブラウスを引き締まった肩から外し、下着だけを纏う素肌を晒しながらリザが熱っぽく囁く。  
これは間違いなくリザに誘われている。  
原因は酒か?  
少々値の張るワインを飲ませたから、リザは性的なことに積極的になってしまったのだろうか?  
リザのお誘いならば是非受けたいが、しかし酔った女性、しかも大切な存在である彼女を抱くというのは罪悪感がある。  
「…ねえ」  
悩んでいる私の気を引くためか、リザは一層甘ったるい声で私を呼んだ。  
気付けばリザはブラジャーのホックに手を掛けていた。  
リザはホックを外すと、見せ付けるかのようにゆっくりとブラジャーを脱ぎ去り、締め付けから解放された二つの乳房を焦らすように晒した。  
ブラジャーを取り去り、リザは横になっても形の崩れない胸をぷるりと揺らした。  
白い桃のような丸いそれの上に、触ってほしそうにツンと尖る赤い実が乗っている。  
 
「…大佐は…熱くないんですか…?」  
リザはスカートまで自分で脱ぎ、ばさりと豪快に床へ投げ捨てた。  
あらわになった肉付きの良い太ももで、リザはぎゅうっと私の腰を挟んで誘ってくる。  
雪原のように真っ白な太ももに黒いショーツは大いに映え、腰にねっとりと絡み付いてくる長い脚の動きが堪らない。  
「…ああ、私も熱いよ」  
罪悪感や理性が吹っ飛ぶのにそう時間は掛からなかった。  
以前、酔っ払って怒り狂うリザを黙らせるために少々無理やり抱いたことがあるし、彼女の性格が変わるくらいたいしたことではない。  
私は女性の色気を惜しみなく晒すリザを前にして、開き直ることに決めた。  
今はリザから誘っているのだ。  
それに、積極的なリザを拝める機会はもうないかもしれないと焦るほど、今の彼女の存在は貴重だ。  
シャツを脱ぎ始めた私を見て、妖艶に身体をよじり、口元にそっと笑みを作るリザを目に焼き付けるかのようにじっと見つめる。  
「…ふぅっ、や…ッ」  
リザが自ら脱いでくれた胸の所々に甘く歯を立てると、彼女はアルコールのせいなのかいつもよりわずかに大きな声で喘いだ。  
「…気持ちいい?」  
「…んっ、気持ちいい…です…っ」  
固くなった乳首を甘噛みしながら問うと、リザは私の髪を掻き乱しながらうっとりと答えた。  
「…ね、ここも、熱いの…」  
乳房の下の丸みを撫でて遊んでいると、腰をもじもじとさせていたリザが再び私の手を取り、ショーツへと導いた。  
「…ね…?」  
「…熱いな…」  
布越しにでも固くなった敏感すぎる粒と、それからとろとろに濡れた秘所が確認できた。  
「…あぁっ…やっ、ん!」  
リザの要望通りに、ショーツの上から熱い秘所を指でなぞると彼女は嬉しそうに鳴いた。  
物足りないというように指に秘所をぐいぐいと押し付けてくるリザを見て、いつもの逃げ腰になっている彼女の姿を思い出し、少し戸惑ってしまう。  
しかし滅多に見ることのできない乱れたリザの姿を楽しみながら、一気にショーツを脱がせ、ぬかるむそこに愛撫を施した。  
「…あぁっ!んっ…、そこ…!」  
リザは自ら大きく太ももを広げ、私が熱い泉に顔を埋めることを許した。  
普段のリザならば秘所を舐めようとすると泣きそうな顔で逃げ回るというのに、今夜の彼女は本当に大胆だ。  
「ああっ、大佐ぁ…っ!イ、イっちゃ…!ふあぁッ!」  
敏感な芽をすぼめた舌で数回なじっただけで、リザは背をきりきりと反らせて達してしまった。  
ぼすんとシーツの波に沈み込んだ汗ばんだ白い身体が、ぴくぴくと小刻みに震えている。  
頬を赤く染め、恍惚とした表情でリザは絶頂の余韻に浸っていた。  
「…あぁ…っ」  
そんな悩ましげなリザの姿に我慢できず、再び固く尖った乳首へと触れると、甘ったるい吐息がもれた。  
「…気持ちいい?」  
「…ん…」  
「どうされると気持ちいい?」  
可愛らしい赤い先端の周りを指先でくるくると弄りながら尋ねる。  
「…ぎゅって、されると…」  
「こう?」  
「…はぅっ、ん…!そう、です…っ」  
指先で乳首を摘むと、リザは気持ち良いと高い声で喘いだ。  
いつものリザにこうすると「嫌」や「やめて」など否定の言葉しか紡がないのに、実はこれが大好きらしい。  
「これは?」  
「…あ、大佐ぁ…っ!いい…っ!」  
舌先で乳首全体を舐め上げ唾液まみれにし、さらに強く吸い上げる。  
リザはこれにも喉を反らして大いに喜んだ。  
「…大佐のここも…熱くなってる…」  
リザの胸を愛撫し、いつもと違う反応を楽しんでいると、不意に彼女の白い腕が私の下半身へと伸ばされた。  
ズボンを押し上げているものを、リザがそっと熱い手の平で撫でる。  
「…本当に今日は積極的だね、リザ」  
「…そう…ですか?」  
リザは不器用に、しかし躊躇いなくベルトを外し、ズボンのファスナーを下ろした。  
そして下着からずるりと目的のものを取り出し、リザはすでに熱を持っているそれをゆっくりと扱き始めた。  
はあ、とリザから興奮を抑え切れないような吐息がもれる。  
「…大佐も、すごく熱い…」  
リザが根元を上下に擦り上げながら、ふふっと嬉しそうに笑う。  
その姿があまりになまめかしすぎて、一瞬愛撫も忘れて見惚れてしまう。  
 
「…あっ、んん…ッ!」  
しかしすぐにリザに負けじと、金の繁みまで淫らにぐちゃぐちゃに濡らし、ひくつく膣の中へと指を差し入れた。  
焦らすように指を抜き差しをすると、リザは無意識なのか物足りなさそうに腰をふるりと揺らした。  
「…あっ、大佐の指が…入ってる…っ」  
奥まで指を差し込むと、熱い肉の壁が指を食べるかのようにきちきちと締め付ける。  
指を前後に動かす度にリザの秘所は水音を増し、ますます息を荒らげる彼女はその音に興奮しているようだった。  
「…大佐…気持ちいいですか…っ?」  
私がリザを攻め始めてから、私自身を愛撫する彼女の手は時折集中できないのか止まることもあったが、しかし彼女は一生懸命だった。  
「ああ、いいよ…」  
リザの指は自身に浮き出る血管を悪戯になぞったかと思えば、根元から音がしそうなほど激しく扱く。  
余裕ぶるのが大変になってくるほどリザの手の平の中は気持ちが良かった。  
「…っ…」  
「…あ、ごめんなさい…っ」  
指を増やしてリザの膣の壁をなぞっていると、敏感な場所に当たり驚いたのか、彼女が私自身を掴む手が強まり、思わず息が止まってしまう。  
「…いいや、平気だよ。しかし、もう少し大事にしてもらえると嬉しいな」  
「…は、はい…。…あん…っ!」  
冗談っぽく言い放ち、またリザのいやらしい身体を愛し始めた。  
くちゅくちゅと淫らな音をさせながら、お互いの性器を愛撫し合うことなど初めてであった。  
私のものに指を絡めながら、緩やかな刺激に気持ちよさ気に目を細めるという貴重なリザの姿を見ていると理性がぐらつく。  
「…リザ、もういいかな」  
「…ん…」  
リザの中から指を抜き、彼女の蜜でぐっしょりと濡れた手で自身にコンドームを被せ、先端を秘所に宛がう。  
指についた私の先走りを可愛らしい小さな舌でぺろぺろと舐めていたリザが、こくんと恥ずかしそうに頷いた。  
「…たいさ…」  
私の首に腕をぎゅっと回し、耳元で名前を呼ぶことで私のものをねだる。  
あからさまな言葉で要求されたわけではないのに自身がまた熱を持ち、たまらずリザの中へと押し込んだ。  
「…あぁっ、くぅ…っ!」  
いつも私を拒むかのようにぎゅうっと締め付けてくるリザの膣内が、今日は心なしか歓迎するようにすんなりと迎え入れてくれたような気がする。  
しかしきつい締め付けは相変わらずで、すべてを納め終えると、ほうと安堵のため息をつく。  
「…あっ、すごく熱い…っ!」  
私の肩にしがみつき、リザは熱い猛りが入ってきた衝撃に眉を寄せて耐えていた。  
しかし辛そうではなく、快感に細められた瞳はもっと強い刺激を求めているように見えた。  
「…もう動いて平気かな?」  
「…んっ、大丈夫…です…ッ」  
リザの了解を得てから、ゆっくりと律動を始めると、また彼女は可愛らしい声で喘ぎ始めた。  
「…ふあっ、は…っ!や…熱い…ッ!」  
緩やかに腰を動かす私に合わせて、リザも腰を揺らめかせてきた。  
それどころか、無意識なのか離すまいと長い脚を私の下半身に絡めてくる。  
「…やぁ…っ!そこ、いい…っ!」  
今夜のリザは本当に大胆で、私をこれ以上ないほど魅了してくれる。  
あのリザが、自ら腰を動かすどころか、気持ち良い場所をもっと突くように私にねだってくるのだ。  
リザにもっと求めてほしく、私はわざと腰の動きを緩やかなものにした。  
急に単調に動き出した私を見て、リザが途端に物足りなさそうに顔をくしゃりと歪める。  
「や…っ、たい…さぁ…!」  
「ん?」  
泣きそうな顔で切なく眉を寄せるリザの顔を見ただけで、達してしまいそうだった。  
「…も、もっとしてくださ…」  
「もっと?」  
「…もっと、強くして…!」  
我慢できないのかリザは自ら不器用に腰を動かし、私の身体にしっとりとした脚をぎゅうっと絡めた。  
「たいさ…もっとぉ…!」  
黒髪にリザの指が入り込むほど強く胸に掻き抱かれ、堪らなくなる。  
リザの長い脚を予告なしに肩に担ぎ上げ、ドンと激しく突き上げた。  
「…こうか…リザ…っ?」  
「やあぁっ!うあっ、あっ、すごい…ッ!」  
肩の上でリザの汗まみれの脚が嬉しそうに跳ねる。  
「いい?」  
「…すごくいい…ッ!」  
必死にリザがこくこくと頷く。  
 
リザの目尻には快感から涙がじわりと浮かんでいた。  
「…あっ、そこ、やだ…ッ!気持ちいい…!」  
リザの口から大胆な言葉が出るだけで勝手に律動が早くなる。  
止められない。  
太ももを大きく開いて私を受け入れるリザに、思いきり熱く尖った肉を打ち付ける。  
「…はぅっ!あっ、イっちゃっ…!んんっ!」  
「…リ、ザ…ッ」  
「たいさ…っ!も…っ、イっちゃいます…っ!」  
私の頭を強く引き寄せて、耳元でリザが艶のある吐息交じりに叫ぶ。  
膣の壁がリザが限界だと知らせるように激しく波打つように動き、くっと歯を食いしばる。  
私もそろそろ終わりが近かった。  
私の背に腕を回すリザに私も身体を密着させ、体液まみれの身体を擦り合うようにして一層激しくリザを突く。  
「はぁ…っ!やっ、きちゃう…!あぁッ!」  
処女のようにきつく私に絡み付く熱く潤んだ肉がたまらない。  
繋がった部分はひどく熱く、そして厚い胸板と柔らかな胸を擦り合わせて揺れる私達は本当にひとつになってしまうようだった。  
「んああぁッ!!」  
「リザ…!」  
リザに私のすべてをぶつけるように猛りを強く差し込み、狭い膣内をえぐって最奥までたどり着くと、リザが全身をのけ反らせて達した。  
それに少し遅れて、私も熱い欲望を遠慮なくゴムの中へ放つ。  
「…あっ、うぁあ…っ」  
リザはゴム越しに射精に受け止め、その度にびくびくと震える細い身体を壊れそうなほど強く抱き締めた。  
熱気のこもったベッドの上に、お互いの乱れた呼吸だけがこだまする。  
どちらもすぐに言葉を発せないほどの激しい交わりで、肩で息をしながら甘い余韻に浸っていた。  
体液でべとべとになったリザの身体に強く腕を回し、胸に顔を埋めて疲れた身体を休めるのがひどく心地良い。  
まだ熱っぽくも穏やかなその沈黙を破ったのはリザだった。  
「…す…ごい…」  
まだろくに身体を動かすことのできないリザが、掠れた声で呟いた。  
「…ああ」  
リザがそう口にするほど、本当に激しく濃いセックスだった。  
少し身体を浮かし、リザの顔にかかる乱れた金髪をよけて、優しく梳く。  
「…辛かったか?」  
今さらになって恐る恐る聞くと、リザは静かに首を振った。  
「…気持ち良かったです…」  
はにかみながら恥ずかしそうにそう告げると、リザは達したばかりで敏感な自身をきゅうっと締め付けた。  
思わず息が乱れ、背中を針で刺されたような刺激が顔に出てしまう。  
「…大佐が、すごく気持ち良さそうな顔をしてて…。背中が…ぞくぞくしました」  
「…それは私の台詞だよ」  
何となく恥ずかしくなりまたリザの胸に顔を伏せようとすると、彼女の両手が私の頬を優しく挟んだ。  
「…大佐…」  
「ん?」  
「…ね、もう一回…」  
今度はわざと緩やかに私を締め付けながら、リザが腰を揺らめかせて私を誘う。  
いつもの処女のように恥ずかしがってばかりいる初々しいリザも大変可愛いが、大胆な彼女もとびきり妖艶で素晴らしい。  
「もちろん」  
すっかり快楽の虜になってしまった気品ある高級娼婦のようなリザを前にして、今度は手加減が出来なさそうだと頭の片隅で思いながら、彼女に口付けた。  
その晩、アルコールと快楽に溺れたリザと熱いシーツの上で私は存分に戯れた。  
 
 
 
終わり  
 

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