秘伝の解読は今日はここまでにしようと、私は開きっぱなし本や紙の散らばる汚い机の上にペンを置いた。
文字に向かいっぱなしだった疲れた目をつぶり、椅子に座りながらうーんと背伸びをする。
その頃を見計らったかのように、コンコンと控えめに部屋の扉が叩かれた。
「どうぞ」
そう答えると静かに古びた扉が開き、廊下から枕を胸に抱いたリザがひょこりと現れた。
「…あの…」
自分の家だというのに肩身が狭そうにおずおずと私を見上げるリザは、よく見ると、胸に抱いた枕を握る両手の指に力が入っている。
私がリザを拒むわけがないのに、相変わらず謙虚するぎる子だと思う。
「もう今日はこれで終わり。タイミングが良くて驚いたよ」
扉の前に立ち尽くすリザにそう告げながら椅子から立ち上がり、彼女の華奢な背を押してベッドまで案内する。
「…マスタングさん、今日も一緒に寝ていいですか?」
「もちろんだよ。約束したじゃないか」
笑顔で頷いてベッドに入るようリザに促すと、彼女はやっと体から力を抜き、シーツの上に枕をぽんと置いた。
リザが安心したようにほっと息をついた途端、彼女の表情もいくぶん明るくなったように感じた。
パジャマ姿でもぞもぞとブランケットの中へ入り込む姿が可愛らしくて、寝る支度をしながら思わず頬を緩めた。
師匠が亡くなってから、私はリザの背中に刻まれた秘伝を解読をするためにまだこの屋敷に残っていた。
リザは、その間だけ私と一緒に眠っていいかと、スカートを両手で強く握りながらそう尋ねてきた。
幼くして母親を亡くし、そして今、唯一の肉親である父親までも失ったリザは真っ暗な夜を一人で過ごすのはとても心細いのだろう。
大人しく控えめなリザが頼みごとをするのは初めてといっていいほどで、一緒に寝ていいかと聞かれた時、彼女は一生のお願いをするかの如く必死だった。
私はリザの珍しく子供らしいその願いをもちろん快諾し、その日から彼女と一緒に眠っている。
あの時にちゃんと約束したというのに、リザは私のために宛がわれた部屋をひっそりと訪れ、毎晩「今日も一緒に寝ていいですか?」といちいち尋ねるのだ。
寝る支度を終えた私もベッドにもぐり、リザはもう少し我が儘だったり感情的だったりしてもいいのではないかと思いながら、彼女の小さな身体を後ろから抱き締めた。
少し難しいところのあるこの少女の我慢ばかりする心を、私が優しく紐解いてやりたいと強く願う。
しかし、そう心に決めているものの、嫌と言わないリザの性格を利用している汚い自分もいた。
「…あ…」
リザの白いうなじに鼻を寄せ、甘いに酔いしれながらそこに吸い付くと彼女が小さく声をもらした。
私とリザは出会ってから幾度のすれ違いを経てやっと恋人同士になり、彼女に背中の秘伝を明かされた時には一線を越えた。
そして、リザが毎晩私の部屋を訪ねてくる度に、私は彼女を抱いている。
身内がいなくなってしまった心細さからリザは私を求めるのに、それに応じながらも若い精神は肉欲に走ってしまう。
愛おしい少女を前にして、大切に扱いたいのだが愛するが故の欲情は抑えられず、何もせずにはいられなかったのだ。
リザのパジャマや下着を取り去るのと同時に、ひたすら首筋や肩を舌でねっとりと舐める。
リザの固く強張った身体の力が抜け、彼女が快楽を受け入れて甘い吐息をもらすまで、それは執拗に続く。
リザを怖がらせぬよう、なるべく優しく耳やこめかみに音を立てて口付けを落としていく。
「…んっ」
白い胸元をはだけさせ、魅力的な谷間を舌で舐めるとリザがやっとぴくりと身体を揺らして反応した。
ようやく気持ち良くなってきたのだろう。
鳶色の瞳が潤み、とろんと愛らしく下がっている。
胸のしこりに気を付けながら、年に不相応な豊かな乳房を揉み始めると、リザは高く可愛らしい声で鳴き始めた。
「ひゃう…っ、あ…マ、スタングさん…っ」
固く尖った桃色の乳首に舌を絡めて舐め上げ、時折甘く噛む。
リザは口元を小さな手で押さえ、腰をもじもじと動かしながらだんだんと快楽の世界へと溺れていった。
「あっ!ん…やっ、やだぁ…っ!」
まるで赤子のように乳首に強く吸い付き、もう片方の乳房は手で揉みこむと、リザからいっそう大きな喘ぎ声が漏れた。
「や、やだ…!やめてぇ…っ!」
リザが止めてほしいと懇願するが、むしろその涙交じりの声に酔いしれ、構わずにくりくりと指と舌で乳首を刺激することに熱中する。
「…や、あ…っマスタングさん…っ!」
リザの切羽詰まった声が耳に届き、我に返った私は、やりすぎたかと一度愛撫を止めた。
リザは荒い息を繰り返し、普段は雪のように白い頬を真っ赤に染めていた。
「…すまない、リザ。…何か嫌だったかい?痛かった?」
よくよくリザを見ると目尻に涙をたくさん溜めており、いたいけな、そして大事な少女を泣かせてしまった事実に猛烈な後悔が襲う。
それと同時に激しく焦った。
「…嫌、じゃなくて…」
「うん」
ぐすりと鼻を鳴らしながら、リザがゆっくりと言葉を紡ぐ。
なるべく優しく前髪を撫でながら、次の言葉を待った。
「マスタングさんが急に…む、胸を食べるみたいに、するから…」
「…うん」
リザにそんな言葉を言わせてしまうほど私はがっついていたのかと、思わず顔が引き攣った。
「……恥ずかしかったんだもん…」
二つの胸を大きく上下させ、リザは今にも消えてしまいそうな声で呟いた。
顔を真っ赤に染めてそう告げた少女に、こちらが恥ずかしくなってしまった。
リザの中に入る時、私はいつも緊張するが、つい先日男を知ったばかりの彼女は私以上に緊張しているだろう。
リザの膣の最奥に先端が無事に届いた時、私はほっと安堵のため息をもらした。
しかしリザは額にびっしょりと汗を浮かべており、膣内も私を押し戻そうとするようにきつく、まるで侵入者を拒んでいるかのようだ。
「…リザ、大丈夫か?」
「…は、い…っ」
リザはとても大丈夫とは言えない声で返事をし、指が白くなるまでシーツをぎゅっと掴んでいた。
私はリザの指をシーツから離すと自らの首へと導き、彼女の腕を自分へしがみつかせた。
「…大丈夫、怖くないよ」
「…ふぁっ」
耳の中へ舌を這わせながら告げると、苦しげな呼吸を繰り返していたリザが久しぶりに甘い声を上げた。
「…んッ、あ…くすぐったい…っ」
きゅうきゅうと締め付けてくる膣内で早く暴れたい衝動を必死に抑え、リザが私のものに慣れるまで緩やかに首や胸元にキスを落とす。
「やんっ!」
再び乳首を舌で突くと、リザが首に回した腕に力を込めてくれたのが嬉しかった。
汗にまみれた身体をお互いじっと動かさず、ただひたすらに絹のような美しいリザの肌を愛する。
どれくらいそうして愛撫をしていただろうか。
ふと、リザが私の耳元に唇を寄せた。
「…マスタングさん…」
可愛らしくも艶のある吐息に近い声で名前を呼ばれ、その甘さが腰にがつんと響いた。
リザがそれをわざとやっていないところが末恐ろしい。
「…動きたい、ですか?」
「…いいや、大丈夫だよ」
リザの急な質問に私は咄嗟に笑顔を作り嘘をついたが、情けないが彼女には分かってしまっただろう。
「…マスタングさんには辛いかもしれませんが…私、この時間が好きなんです…」
耳元にリザの息がかかり、そして甘くうっとりと囁く彼女の声が堪らない。
「始めは少し辛いんですけど…お腹の中がすごく熱くて、溶けちゃいそうで……気持ちいい…」
そう言ってリザはまた私を強く引き寄せた。
今までセックス中に女性が紡ぐ言葉に一切感じたことはなかったが、この少女の言葉は何故か快感となって背筋を駆け抜ける。
我慢していたはずなのに、思わず腰をかすかに揺らしてしまった。
「…あ…っ」
その刺激にリザが小さく悲鳴を上げる。
それは今までの辛そうな声ではなく、むしろ悩ましげなものだった。
リザの膣内はもうとっくに蜜でとろとろに溶け、それが溢れ出し、動く準備ができていた。
「マスタングさん…もう動いても大丈夫です…」
唾液に濡れた桃色の唇をゆっくりと動かしてそう告げた少女は、つい最近まで処女だったとは思えないほどなまめかしかった。
目をわずかに細めて快楽に耐える姿も見惚れるほど色っぽい。
他でもないこの私が、年端のいかない少女であるリザを女にしたのだ。
この華奢な身体、それに不釣り合いなふくよかな胸、私を必死に受け入れる膣内――リザのすべてを私が変えた。
その現実を再確認すると、言いようのない快感と喜びが胸に押し寄せる。
「…リザっ!」
「…はっ、ああっ、んっ!」
リザに促されるまま、私は腰を前後に動かし始めた。
今日は少しひどくしてしまうかもしれないと、頭の片隅で思いながら。
終わり
リザを私の膝の上に乗せたまま繋がるという体位は、今が初めてだった。
つい最近まで処女だったリザにはひどく苦しい行為だと充分分かってはいるのだが、いろんな体位を試して彼女を愛したいという若い欲望がどうしても止まらない。
「…う、んんー…ッ!」
リザは私の肩に腕を回して必死にしがみつき、身体を熱い塊に貫かれた衝撃に耐えていた。
私の胸板に押し付けられる女性らしい柔らかな乳房が可哀相なほどくにゃりと形を変える。
「…はっ…あう…!」
「リザ、すまない…。へ、平気か…?」
強い刺激と痛さの両方を身に受け浅い呼吸を繰り返すリザを見て、急に焦りが募る。
しかしリザは健気にも、大丈夫ですと、今にも消えてしまいそうな声で答えた。
「…ただ、いま、は…動かないで…っいただけると…」
「…ああ、分かった。辛かったらすぐに言うんだぞ」
リザは汗まみれの頭でこくんと頷き、刺激を生み出さぬようゆっくりと私の胸に身体を預けた。
リザの身体が苦痛だけを感じるのをこのまま見ているのは耐え切れず、先ほど散々戯れた乳首を指で弾くと、膣がきゅっと締まった。
左手でリザの小さな背中を支え、右手で形のよい桃のような可愛らしい胸を愛撫し始める。
「ふ…っ、あ…!ゃ…っ」
リザは腕の中で子犬のように身体をふるふると震わせながら喘いだ。
辛そうだった呼吸が落ち着き、代わりにだんだんと熱を帯びてくる。
右手をそっと金色の繁みの奥に忍ばせ、ひっそりと隠れている敏感な固い芽に触れると、リザは背をのけ反らせた。
「んああッ!マ、スタングさん…っ!?」
「どうした?リザ?」
「そこは…!嫌ぁ…っ!」
「でも濡れてきたよ」
中指を小刻みに動かし、小さな芽が開くようにゆっくりと撫でていくと、リザは私の胸に強く顔を押し付けて盛大に鳴いた。
苦痛に歪んでいた表情が今は刺激に耐えるために眉を寄せており、何とも艶に満ちている。
「リザ」
「…なん、ですか…?」
「見てごらん」
私が下を向くと、息を荒くしたままリザもつられて下を向いた。
「…私とリザが繋がっているのがよく分かる」
「…あ…っ」
小さな耳元で囁くと、リザの膣がまたきゅっとひくついた。
まだ大人ではない少女の華奢な身体が、グロテスクな男性器をしっかりと飲み込んでいる。
「…マスタングさんと…ひとつになってる…」
快感に唇を震わせながらリザが呟いた。
――熱くて、溶けて、このまま本当にひとつになっちゃいそう……
昨晩リザを抱いている時に、彼女がうっとりと放った言葉をふと思い出す。
「…リザ」
今すぐリザをめちゃくちゃに突き上げたい衝動を、彼女の名を呼ぶことでごまかす。
リザを恥ずかしがらせようとしたのだが、逆に私が煽られてしまった。
「…マスタングさん…」
「…ん?」
リザはいつの間にか瞳を潤ませ、身体から力を抜き気持ち良さそうにくたりと私の胸にその身を預けていた。
リザは私の首に腕を回し、挑発するかのように耳たぶをぺろりと舐め、甘く噛む。
「……もう、動いて…」
懇願に近いリザの囁きを合図に、私は望み通りに彼女を快楽の世界へと連れて行った。
終わり