「…し、しても…いいですか?」  
頬を赤く染めて、処女と疑ってしまうほど純粋な目でリザは私を見つめた。  
恥ずかしさを拳を握ることで我慢し、私の答えを緊張しながら待っているリザの様子は、今から始めようとしている行為にはふさわしくない。  
断る理由はもちろんなく、私は軽い気持ちで承諾した。  
しかし宣言されてそれに応じるというのは少々恥ずかしいものがある。  
セックスを覚えたてのガキじゃないんだからと、私は心の中で呟いた。  
そういうわけで、私は今、ベッドに座っている。  
そして、広げた足の間には、床に膝をつき私のものを必死に舐めるリザがいる。  
彼女はなぜ自らこの行為を申し出たのだろう。  
リザはベッドの上だと、今まで抱いた女性の中で一番だと言い切ってよいほど、異様なまでに恥ずかしがり何に対しても照れるのだ。  
行為中にリザの手を取り、熱くなった私のものを握らせるだけで彼女は慌てて顔を伏せる。  
そんなリザに今の行われている行為を強要するわけにもいかない。  
恥ずかしながら、月のものがきた彼女に、どうしようもなく切羽詰まった時は無理に頼んでしまうこともあるが。  
今回のリザが珍しく積極的なのは、いつも私にいいようにされてばかりだから仕返し…というところだろうか?  
「…ん…んっ…う…」  
先端をすぼめた舌先で遠慮がちに舐められ、だんだんとそれが小さな口の中におさまっていく。  
ひいき目に見ても、リザはこの行為があまり上手くはない。  
昔、若気の至りで私が何も知らないリザに無理やり教え込んだことをきっちりと守りながら触れてくるのだが、恥ずかしさが優先するのか、大胆さが足りない。  
しかし、私にとっては充分な仕返しになっている。  
「…ひゃ…」  
私のものが急にビクリと動き、驚いたリザが小さく声を上げた。  
頼むから、そんな初々しい反応はやめてくれ。  
上手だとか下手だとかそういう問題を吹き飛ばして、リザ・ホークアイに愛されているというだけで、こちらはかなり参っているのだ。  
「んう…っ」  
もう口には含みきれない大きさになっているというのに、リザは無理やり噛り付くように、頑張ってくわえこみ始めた。  
歯が当たって少々痛んだが我慢しよう。  
口から漏れそうな苦しげな吐息を、深呼吸をすることでごまかした。  
私のものを一生懸命に舐めるリザを見下ろす。  
短い金髪に指を絡め、顔を隠してしまう前髪を持ち上げて表情を伺う。  
顔を晒すことになったリザが恥ずかしそうに目を伏せる姿に微笑みながら、美しい髪の柔らかさを味わった。  
彼女は俯きながら、根本を控え目に扱いてきた。  
顔と行動にギャップがありすぎる――私はまた声を押し殺した。  
リザはまだ幼いといってよい顔立ちをしている。  
恥ずかしがっている時や照れている時は、表情から力が抜けて特に幼さが増す。  
文句のつけようのない身体は別だが、彼女の顔だけを見れば、まだ子供だと思う人もいるだろうし、軍で少尉という階級を持っていることに驚く人もいるはずだ。  
あどけなさを残す輪郭や、ふっくらとした柔らかな頬、汚れを知らないような美しい瞳。  
子供と大人の境目にいるリザの形の良い唇に、私の太く赤黒いものが出たり入ったりしている。  
まるで、子供時代のリザに無理やりこの行為を強要しているみたいだ。  
――やばい。  
幼女のリザを犯すという危ない幻想が見えた途端、悲しいことにぐっと射精感が高まった。  
同時にリザが根本を扱く動きを控え目なものから、大胆なものへと変える。  
私は変態かと落ち込む暇もなく、ぺろりと脈まで舐められてしまった。  
前髪を掴む指に力が入ってしまう。  
「…んんー…っ」  
ちらりと、リザが潤んだ瞳で私を見上げた。  
蒸気した頬と、汗で顔に張り付いた髪の毛が最高に色っぽい。  
大きな瞳で私を捕らえたまま、リザの唇が強く先端を吸った。  
「――リ、ザっ!」  
しまった、と思った時にはもう遅かった。  
「…や、あっ!」  
口の中でどくん脈打つように激しく動いた私のものに驚いたのか、リザは唇からそれを離してしまった。  
口の中に出さないことには成功した。  
しかし――  
「…ちゅう、さ…」  
リザの美しい顔面に汚らわしい白濁とした液が見事に掛かっている。  
それは頬や鼻をねっとりと伝い、顎に掛かったものは胸元へとぽたりと落ちていった。  
リザは熱い液体を掛けられたことに未だ驚いたまま、ぼんやりと私を見上げている。  
本当に少女を犯してしまったような気分だ。  
危ない未知の世界への扉が開かれようとした時、まだ敏感な私のものにリザがそっと手を添えた。  
 
「…んんっ」  
リザは戸惑うことなく先端を口にくわえ、まだ中に残る欲望の塊を出そうと、ちゅっと吸い上げてくる。  
達してすぐあとの愛撫は、どんなに優しいものでも刺激が強すぎる。  
みっともなく太腿がぶるりと震え、ほう、とため息をついた。  
「…リザ、もう、いいから」  
リザの肩を掴んで優しく押し返し、やんわりと行為を止めさせる。  
卑猥な音を立てて、彼女の唇から私のものが抜き出た。  
「中佐?」  
リザは行為を止めるよう促した私を不思議そうに見上げている。  
それもそのはずだ。  
達したあともまだ奉仕せねばならないと教え込んだのは、この私だからだ。  
素直なリザに余計なことを吹き込むんじゃなかったと、今さら後悔が胸を襲う。  
うっすらと開いた唇からは、リザが健気に吸い取った精液が覗いていた。  
彼女の赤い舌の上に、ねっとりとした白い液体が居座っている。  
赤と白のコントラストは、こんなにも欲を煽るものだっただろうか。  
リザは躊躇うことなく口を閉じ、時間を掛けてそれをごくんと飲み込んだ。  
「…ん…苦い…」  
眉を寄せ、苦しげな表情を浮かべたリザがぽつりと呟く。  
一連の艶のある行動に思わず見惚れていたが、私ははっと我に返った。  
「す、すまない!」  
まずリザしてやるべきことは、顔に放ってしまった精液を拭いてやることではないか。  
リザにしてやられてばかりで、私にしては珍しく、頭の中が真っ白で上手く物事を進められない。  
何か拭くもの、拭くもの…と辺りをぐるりと見渡して、とっさにシーツを引っつかむ。  
「リザ、顔を上げて」  
リザが顔を上げる前に顎を掴んで上を向かせ、ごしごしと少々乱暴に顔から精液を拭いとる。  
「…中佐、あの」  
「なんだ」  
口の端についたものも、胸の谷間へと零れたものも見落とさず丹念に拭いていく。  
一人のいたいけな少女を汚してしまったような罪悪感が激しく、それを消し去るようにリザを綺麗にしていく。  
――いや、実際に何も知らない無垢だったリザを汚しているのは、この私じゃないか。  
 
「…気持ち良くなかったですか?」  
シーツを掴む私の手にリザの手が添えられ、彼女が不安げに問う。  
「いいや、良かったよ」  
たいした技術もないくせに、百戦練磨の私が口だけでイかされ、困るほど気持ち良かった。  
「でも…中佐、なんか変です」  
「そんなことないさ」  
天国のホークアイ師匠、そして初めて出会った時の小さなリザが頭を過ぎり、いたたまれないだけだ。  
「私はいつも中佐に…その、してもらっているので…。お、お返しにと思ったんですけど…」  
私の手を掴むリザのそれは熱っぽく、だんだんと力が込められていく。  
「…そうか。リザ、別に無理しなくていいんだよ」  
「無理なんてしてません。…やっぱり、下手でしたか?」  
「いや、本当に良かったよ。…ただ、少々罪悪感がだな…」  
腑に落ちない表情で私を見つめるリザを膝の上に抱き上げて、こつんと額と額を合わせた。  
落ち込んでいる様子のリザの背中をぽんぽんと軽く叩く。  
「人のことは言えないが、君も童顔だな。早く大人になってくれ」  
そうじゃないと犯罪者の気分だ。  
頑張ってくれた唇を労うように親指で触れると、その口からリザは突拍子もないことを言い出した。  
「…今度は、胸…でしましょうか?」  
「…うん?」  
リザの頬を撫でていた手が止まる。  
「ですから…む、胸で…。その、挟んで…」  
「誰から聞いた」  
「……友人に」  
リザは目を逸らしながら、取り繕ったのが完全にばれている嘘をはいた。  
「ハボックか」  
ビンゴだったらしい。  
リザは私の胸に真っ赤になった顔を埋めて黙ってしまった。  
リザとハボックは二人で一体どんな話をしているというのだ。  
これからリザを攻めて追い詰めていくうちに無理やりにでも答えさせよう。  
それから明日、ハボックの前髪を黒焦げにしてやる。  
「…まったく君は。変なことを覚えなくていい。君が気を遣ってくれたのは嬉しいが、私は君を抱くだけで満足しているから」  
私に縋り付くように抱き着いて、はい、とリザが小さく答えた。  
その声には恥ずかしさと嬉しさが滲んでいる気がした。  
リザが身じろぎしたために、真っ白な胸が私の固い胸板に押し付けられる。  
柔らかななそれは柔軟にぐにゃりと形を変えて、しかし小さくしこった蕾があることも素肌で直に感じた。  
――これに、挟まれるというのか。  
可愛いリザには綺麗なままでいてほしいと思いつつ、欲望に忠実な自身は熱を持ち始めたことに、苦笑するしかなかった。  
 
 
 
終わり  
 
 

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