◎月 ▲日 曇りのち晴れ  
 
今日、ホークアイ中尉の右腕の手首に縄で縛られたような赤い痕があるのを発見しました。  
よくよく見ると、左手首にも同じ痕があります。  
心配になってどうしたのかと問うと、ホークアイ中尉はブラックハヤテ号の散歩中に縄が手首に絡まってしまったと教えてくれました。  
散歩中にそんな痕がつくだなんて、ブラックハヤテ号のやんちゃさと、ホークアイ中尉の意外な不器用さに驚きました。  
マスタング大佐もホークアイ中尉が心配なのか、しきりに「中尉、怪我は大丈夫か?」と聞いています。  
ホークアイ中尉は心なしか顔を赤くしながら、「平気です」と、やたらボディタッチをしてくる大佐をあしらっています。  
あれ?中尉の首元にも縛られたような赤い痕が……。  
唖然としていると、不敵に笑うマスタング大佐と目が合いました。  
よく分かりませんが、僕は何かとんでもないものを見てしまったようです。  
 
 
あれ?そういえばブラックハヤテ号って首輪はしてるけど  
縄なんて付いてるのみたことないぞ…  
 
 
はっ!まさか中尉は重大な事件に巻きこm  
うわー何をするやめろくぁwsでrftgyふじこlp  
 
 
■月 ●日 大雨  
 
今日は大雨のうえに、マスタング大佐の机の上には山のように書類が積んであります。  
デスクワークが大嫌いで不機嫌なマスタング大佐と、そんな大佐に苛立っているホークアイ中尉の元へ行くのはとても憂鬱です。  
しかし僕はホークアイ中尉に確認してほしい書類があるので、勇気を振り絞り、執務室の扉を開けました。  
すると意外なことに、上機嫌なマスタング大佐が僕を出迎えてくれました。  
机の上の書類は朝よりぐんと減っています。  
何故でしょうか。  
なんとも不思議ですが、ホークアイ中尉にとっても、中尉の怒りのとばちりを受ける僕らにとっても、これは大変嬉しいです。  
あれ、そういえばホークアイ中尉の姿が見当たりません。  
マスタング大佐に場所を問いましたが、大佐は首を傾げて知らないと答えました。  
その時、「ん」という掠れた高い声が聞こえたような気がしました。  
こっそりと耳をすませてみると、上擦った微かな声や吐息が、大佐の座っている机から聞こえてくるのです。  
まるで机の中に誰かいるみたいです。  
ブラックハヤテ号がマスタング大佐にいたずらをしているのかもしれません。  
そういえば、先程からマスタング大佐は僕の位置からではあまり見えませんが、しきりに片足を動かしているようです。  
「私は少し手伝うだけだよ。きちんと自分で動かして、自分だけでイきなさい」  
マスタング大佐がここにいる僕にではなく、別の誰かに話しかけるように呟きました。  
しかし、この部屋には僕とマスタング大佐の二人しかいないはずです。  
「こんな絶景が目の前にあると、仕事も面白いほど進むものだよ」  
マスタング大佐はにっこり笑って、今度はしっかりと僕に話しかけました。  
絶景と言っても、外はマスタング大佐の嫌いな雨です。  
そういえばホークアイ中尉はどこに行ったのでしょう。  
まさか机の下に……。  
また僕は何か大変なことを知ってしまったのでしょうか。  
 
 

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