エンヴィーの片腕から派生した触手のようなものが、きつく体に巻き付き自由を奪っていく。  
焦りを顔に出さず、腰からそっと銃を抜き出そうとするが、目敏く見付けられ、両手を後ろ手にきつく縛られた。  
「…うぐ…っ!」  
それでもまだ反撃はできるはずだと足で蹴り上げようとすると、口に何かが入り込んだ。  
あまりの苦しさと生臭さに涙ぐむ。  
腕の一部が伸び、口内を好き勝手に暴れ回っているのだと気付くには、いくぶんの時間を要した。  
「う…っ!」  
それは歯列をねっとりとなぞり、容易に舌を絡み取る。  
快感などこれっぽちもない。  
あるのは嫌悪感だけだ。  
得体の知れない侵入者に思い切り歯を立てると、それはますます口内で体積を増した。  
人間の舌ほどだったそれが、まるで男性性器のように膨れ上がったのだ。  
「…へえ、やってくれるね」  
片腕が私の体を蝕んでいく様を遠くから楽しそうに眺めていたエンヴィーが、一歩ずつ近付いて来る。  
「この期に及んで抵抗するとは往生際が悪いなあ。もしかしてお姉さん、気が強くてモテないタイプ?」  
「…んうっ!んーっ!」  
声を出そうにも、口の中を犯されていては叶わない。  
上官の親友を亡き者にし、そしてその大切な上官を復讐心の塊へと変えたエンヴィーを前にして、何も出来ない無力さが悔しくて涙が出そうになった。  
――こんなところで負けるわけにはいかない。  
「諦めるな」と私を強く叱った上官の言葉が胸に蘇る。  
泣いている場合ではないと、卑下た笑みを浮かべて私を見下ろすエンヴィーを睨み付けた。  
 
「…いいね、その目。」  
「…っ!」  
体を仰向けにされ、馬乗りになったエンヴィーに顎を取られる。  
振り払おうとするが、いつの間にかエンヴィーの腕が髪の毛の中まで入り込み、それを許さない。  
そして、その一本の腕から多数に派生したぬめる化け物は、服の中にまで侵入をしてきた。  
人間の指ほどの細さのものが無数に入り込み、我が物顔で暴れ出す。  
それらはまず下着ごと無惨に服を引き裂いた。  
そして、肌を這いつくばるように隙間なく絡みつき、小刻みに動き始めたのだ。  
胸の回りや耳の中を執拗に撫でられ吐き気がする。  
「あーあ、もうこれ、着られないんじゃない?」  
「…は…っ!」  
楽しげに笑いながら、エンヴィーは肩の傷をえぐるように舐めた。  
傷から血を啜り、そして引きちぎられた服の間から覗く肌に向かってぺっと吐き出す。  
血と唾液の混ざり合った生暖かいそれは、胸の頂点に掛かり、そして重力に従ってつーっと落ちていった。  
「白には赤が似合うねえ…」  
エンヴィーの指がまるで絵の具で遊ぶ子供のように、無邪気に血を乳房に塗りたくる。  
時折思い出したかのように胸の頂きを痛いほど摘み上げ、不快感に顔が歪んだ。  
「無能な上司の尻拭いはもちろん部下の仕事だよねえ?ホークアイ中尉」  
「く…っ!」  
エンヴィーの一部が下半身まで侵入を始めた。  
ぬるぬると下着の中に容易に入り込み、濡れてもいない秘部を探るように動き回る。  
無数の化け物が這いつくばす様は、まるで何人もの男に貪られているようで鳥肌が立つ。  
身をよじるが、それは逆に体の締め付けを強くするだけだった。  
「お返しはあんたでしっかりさせてもらうよ」  
 
「んんんんーっ!!!」  
次の瞬間、あまりの痛さに目を見開いた。  
涙が勝手にぼろぼろと零れる。  
ゆるゆると入口を弄っていた化け物のひとつが、急に体積を大きくし、無理矢理体の中へ入り込んできたのだ。  
突然の侵入者に体が悲鳴を上げ、突き刺されたような衝撃が全身に走る。  
「はあっ!うあ…ああっ!」  
お構いなしにエンヴィーの腕の一部は体の奥まで突き進み、そして激しく出し入れを始めた。  
それに合わせてがくがくと足が揺れる。  
体が引き裂かれるような痛みがだんだんと治まり、痛みを痛みだと認識しなくなるのを感じてきた。  
エンヴィーにされるがままの玩具のように、体が従順にエンヴィーの望む反応を返す。  
エンヴィーの舌が乳首を吸い上げ、それに習うように腕の一部が胸の根本を絞りあげたり首筋を執拗になぞる行為に、頬がだんだんと紅潮してきた。  
開きっぱなしの唇からはだらしなく唾液が溢れ、無抵抗と化した舌を化け物に絡めとられる。  
「…んあ…んん…っ!」  
ひそやかに尖り出した小さな芽をエンヴィー自身の指で押し潰された時には軽く意識が飛んだ。  
「そういや、あんたらってこういう関係じゃなかったんだっけ?なら、してあげようか?」  
意味を理解する前に、目の前で小さな光と共に錬成が起こった。  
エンヴィーとその腕から派生した化け物が消えた代わりに、見知った人物が現れた。  
「…たい、さ…」  
「大佐」が私の涙に濡れた両頬を壊れ物でも扱うかのように撫で、優しく見下ろしている。  
やっと自由になった手で咄嗟に銃を掴もうとするが、あと少しのところでその手を軍靴で踏み潰された。  
地下に響き渡る悲鳴を心地よさそうに聞きながら、血が出るまで「大佐」は私の手をぎりぎりと踏み砕く。  
「まったく、何てことをするのかな。楽しみはこれからだろう?リザ」  
 
 
 
終わり  
 
 

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