「お疲れ様。残りは私がやっておくわ」  
記入済みの書類をまとめ、壁掛けの時計に目をやる。  
時は午後11時少し回った。  
 
「え、でもまだ10枚位残ってるっスよ?」  
「大丈夫よ、たまには定時で帰ってゆっくりしなさい」  
それに「大佐が出張でいないから、今日は仕事がスムーズだったわ。」  
とリザが言うと、  
思わずハボックも吹き出してしまう。  
ふと見せるリザの小さな笑みに、ハボックはドキリとした。  
(やっぱりすっげー綺麗だな…中尉って…)  
長い睫に縁取られて、澄んだ焦茶色の瞳。  
高い鼻筋。小さな唇はほのかにベージュのリップで彩られていた。  
しばし見惚れていると、リザが不思議な顔をしてハボックを凝視してくる。  
…よっほどハボックはマヌケな顔をしていたのだろうか、不審がっている目つきだった。  
 
「は、はい じゃ自分は帰ります」  
わざとらしく敬礼すると、軽くお辞儀をしてから歩く。  
(なんか、二人っきりだから…緊張して足と手が一緒に出そーなんスけど…)  
と、ハボックは思った。  
本当は中尉一人で職場においておくのも心無いが…本人がああ言っているので  
ともかく帰る方がいいかもしれない…。  
それに長時間のデスクワークは、キツイのも本音。  
 
ドアを閉めるとやはり廊下は真っ暗だった。  
非常灯のみが燈る、薄暗い廊下を歩くとブーツの音がやけに響く。  
(帰ったら何すっかな…。メシ作って…フロかな。)  
と彼女がいない為 一人身の寂しさ…。  
はぁぁ、とため息をつきつつ、ロッカー室に足を入れる。  
 
ハボックは一昔前の歌謡曲の鼻歌を歌いつつ、ロッカーから私物を取り出す。  
ロッカーの内部は、男の根城と言う名にふさわしく物が乱雑に押し込んであり、  
中尉が見たら間違いなく眉を顰めるだろう。  
特に持って帰らなければ、と思いおきっぱなしになっている衣類はもはやカビくさそうだ。  
「…あ、ヤベ…」  
ふと気づくと、手帳がない。  
軍服のポケットに入れておいたはずだが…。  
服のあちこちをパンパン叩いたが感触はなく。  
…つまり自分の机に置き忘れしてしまったのだろう。  
予定や電話番号が書いてあるものを軍事室に置きっぱなしはヤバイだろうか…?  
いや、別に見られて困るわけではないといえばそうだが…。  
他の奴等に見られてあれこれ詮索されなくもない…。  
ハボックの脳内では、大佐やブレタ少尉が手帳にある女の名前について、  
いろいろと尋問してくる様子が浮かんだ…。そんな状況を予想するとサーーーっと血の気が引く。  
あまりにリアリティ過ぎて、想像が容易であった。  
「や、やっぱり戻ろう。うん」独り言を言いつつ、今、歩いて来た廊下に身を翻した。  
 
 
暫らく小走りすると見えてくる、一つ明かりが洩れている部屋。それが俺達の職場。  
マスタング大佐をはじめ、俺の他に数人が共有しているこの部屋。  
狭くもなく広くもなく。通信機器と書類がいつも山積みにされていて、埃っぽい。  
しかし、中尉がいろいろと気を使ってくれているのか、  
毎朝、窓際にある花瓶の花が違っていて、あぁ…やっぱりいいなぁ。とか思ったり。  
彼女がいなければ、もっとむさ苦しいというか…ある意味殺伐としていたかもしれない。  
 
言葉は少なくてクールだけれど本当は優しい所もある、ホークアイ中尉。  
惚れた弱みだろうか…。どんどん彼女に引かれていく自分もいた。  
しかしーーーー。  
彼女の隣は、すでに取られていた。  
ロイ・マスタング大佐に。  
 
階級や能力だけではない…。  
どこか誰も信じていないな目をして、誰にも心を許してはいないんじゃないか…と。  
俺にはない 愁いとか。そんなのを持ってる。  
と思う。  
勿論 上司として尊敬はしている。ふざけているときもあるが、いざとなれば凄く頼りになるのもある。  
 
この人しか、中尉の隣にいられないのだろう。  
中尉もこの人の隣にしかいられないのだろう。  
コレを運命とか言うなら、破り捨てたいという気持ちだってある。  
 
考え事をしながら歩くと、なんとも不思議な気持ちになる。  
アレコレ考えるのは本来は嫌いなのだが…。  
ぼんやりした思考を振り切りつつ歩み進めると、司令部のドアが近づいてくる。  
ハボックはドアが目前になったところで、足をいったん止めた。  
(あ…どうせならなんか飲み物持ってきたほうがよかったかな…)  
と思いつつも、ドアノブに手を掛けようと握りかけた。  
 
「ん…っ…」  
 
ゾワッ  
と背筋に何かが走った。  
 
(中尉…?!)  
もしや、一人でいるところ誰かに狙撃されたり、襲われたりしたのでは…?  
考えたくもないが、ここは軍部。しかも人気のない夜だ、ありえなくもない。  
少しづつ高鳴る動悸を無視して、足音を極限まで落とした。  
ハボックは腰の銃に手を握りこむ。そっと角度を変え、音を立てずに、  
ドアノブに手を掛けた。そして、静かに…息を潜めて部屋の中を覗く。  
ボソボソとしか聞こえなかった声が明確になってきた。  
 
 
 
ありえない状況に頭がガツンと来た。  
とにかく、そこにいるのは中尉だけなのは間違いがなかったが…。  
「ホッとした。」とか言える状況ではなかった。  
 
中尉は、床に座り込み大佐のデスクに寄りかかっていた。  
いつもの凛々しい表情ではなく、真っ赤な顔をして蕩けそうな表情をしている。  
上半身は着たままでいつもと変わりなく、ただ  
 
ズボンが膝まで下げられていた。  
クリーム色に、レースだかなんだかが付いている、女らしいショーツが姿を見せている。  
その下着の中に、中尉自身の指が突っ込まれていた。  
開いている片手で、必死に声を抑えようとしているのに、声を殺しきれていない。  
 
 
(ていうか…。どうしちゃったんスか、中尉。)  
 
別にそれを見たからといって、軽蔑とかいう感情は産まれてこなかった。  
けれども、驚いたというのは紛れもなく事実で。  
 
誰が考える?  
あの、ホークアイ中尉が職場で自慰してたなんて言っても、誰も信じなさそうだ。  
 
俺はどうしたらいいかわからない、でも目が離せなかった。  
 
「きゃ…う…んん…っ…ぅ」  
子犬みたいな、ちょっと高めな声が頻繁に出始める。  
あの人からそんな 声が出るなんて、禁欲的な彼女からは想像できなかった…。  
「あ…ぁ…いや…ぁ…こんなこと…したくないのに…っ…ふぁ…」  
泣きそうな表情をしながら、膣に指を差し入れしている。  
そうしているうちに、くちゅくちゅと卑猥な粘着音が廊下にまで聞こえてくる。  
「あぁ…っ…ん…っ…ふぁ…た…いさ…っ…私…っ…わたし…も…あ…ぁっ…」  
 
大佐。  
途切れ途切れに、マスタング大佐の職位が何度も呼ばれる。  
やっぱり彼女の中は、マスタング大佐で一杯なのだろう。  
自分が入り込める領域は空いてなかった。いまさらに現実を見せ付けられて、  
頭が何かで殴られたかのようにグラグラした。足元がフラ付きそうで、思考が巧く働いてくれない。  
 
「や…やぁ…っ…も…だめ…だめぇ…っ…イッちゃ…ぅ…っ!!」  
中尉は身体を大きく震わせて、絶頂を迎えてしまった…。  
そして、俺は見てしまった。彼女が自分自身を慰め、自分の手で達してしまったことを…。  
「はぁ…は…あ…ぅ」  
体力を使い果たしたかのように、ぐったりと机に凭れ掛かる  
涙が頬を伝い、透明な線を描いていた。高潮した肌が仄かに汗ばんでいる。  
酸素を求めて、喘ぐ彼女は…ものすごく厭らしく見える。  
 
俺は、今の  
中尉が欲しくなった。  
たとえ どんな結果が待っていようとも…。  
 
「中尉」  
ギッと音を立てて、木造のドアが開く。  
リザは、ハッとした表情でコチラに視線を向ける。  
「しょ…うい…」まだ動悸が治まらず、吐息を吐きながら。  
こちらを見た。  
「…中尉、あの」  
みるみるうちにリザはもっと、泣き出しそうな顔になる。  
恐らく…見られていたことに気づいたのだろうか。  
「み…見ないで…だめ…私…私、こんなつもりじゃ…違うの…」  
リザは肩を震わせると、瞳からはぽろぽろと涙が溢れ出してくる。  
初めて見る中尉の泣き姿に少し、驚いた。  
プライドの高い彼女だ、酷く傷つけてしまっただろう。  
いっそ、見て見ぬ振りすればよかっただろうか。  
いや、そんなのムリだ。俺も退くつもりはない。  
「なんでっスか…?こんなの誰でもしてること、ですよ。」  
フッと小さく笑うと、優しい表情でリザを見つめ直す。  
(まあ、正直、場所は考え直したほうがいいっスよ…。)と付け足したかったが、それは言わなかった。  
ハボックはリザの目の前にしゃがむと、じっと顔を見つめた。  
リザは、完全に怯え切った表情でハボックを恐る恐る見た。  
 
 
数秒の沈黙の後、リザの口からやっと言葉が発せられた。  
「し…−−−少尉。このことは…」  
「言いませんよ。誰にも」  
言いながら、中尉の頭に触れる。  
さらりとした毛髪が軽く絡みついて、するすると指から落ちていく。  
「ほ…んとうに…?_」  
安心させようと近くまで来たが、中尉の身体の震えは中々止まってくれなかった。  
「あたりまえじゃないッスか…。約束しますよ」  
言いつつ、安心させるためにリザの肩にポンと触れる。  
すると大袈裟なくらい、ビクンと身体が揺れた。  
 
(…まだ、イッたばかりだから敏感なんだ…)  
 
思ってはいけないことが俺の頭に入ってきた。  
 
 
ガタンッ!!  
 
「ん…!っ…ぁ…ふぅ…」  
 
不意打ちを狙って…。  
ハボックは机の背面にリザを押し付けていた。  
「や…ぁぅ…んぅ…っ」  
唇にキスをする。  
何度も角度をずらして、呼吸すら奪う。  
「や…んぅ…んんっ…ぁ…」  
舌先で下唇をなぞりながら、口内を甞めとる。  
リザは、タバコの独特の香りと息継ぎのできない苦しさに頭が朦朧としている。  
そして…味わったことのない種類の唾液の苦さ。  
「い…ゃ…ふぁ…ん…ん…」  
息苦しさから、少尉の軍服の腹部にしがみ付く。  
指先から身体の震えが止まらず、なのに激しいキスの嵐に身体にまったく力が出ない。  
 
抵抗なんてできない。  
 
「…ぁ…っん…ゃあ…っ」  
キスを止めないまま、服の上から身体に触れる。  
ハボックは軍服独特の布地の硬さに小さく舌打ちすると、やや乱暴にボタンを取り外す。  
すると、黒いタートルネックに覆われた豊満なバストが姿を現した。  
次に、黒の肌着を捲ると、彼女に似合うシックで飾りの少ないシンプルな下着が  
目に飛び込む。色はオペラと漆黒の中間色のような濃厚な暗色。  
ランジェリーはまだ外さず、そのまま人差し指で突付く様に触れると、跳ね返ってくるような柔軟さだった。  
 
「…中尉…すげー…胸、大きいっスね…」  
 
「軍服の上からじゃ、ちょっとわからなかった。」  
と直接、聴覚部に語りかげると、耳たぶを甘噛みした。  
「…い…言わないで…ぁあ…っ…」  
右手でタートルネックの上着が覆っている首部分を捲る。  
すると白い肌が目に映る。  
指で触れるとほのかに汗ばんでいるが艶やかで、男のざらざらした肌とはまったく違っていた。  
そして、首筋にも何度も唇を落とす。舌で撫ぜるように甞めて、力を入れずに噛む。  
浮び上るのは、ほのかに赤桜色の痕。  
ハボックはソレをいくつも残していった。  
「…あ…ぁ…はぁ…っ…」  
開いている手で、胸元をなぞりブラジャーの布地に突出してきたふくらみをきゅうっと押し込む。  
「っ…いた…ぃ…っふ…」リザは必死に唇を片手で塞いで、声を押えつける。  
しかし、それをハボックに気づかれた。  
「中尉…口、抑えないでくださいよ…」リザの唇はキスの連続で赤くなっていた。  
塗られていたルージュなど、とっくに剥げている。  
そこを遠慮なく舌でべろりと嘗めると、身体がぴくりと跳ね上がった。  
「ん…やぁ…だって…こえ…声、出ちゃう…から…」  
熱さからか、火照った目蓋からは涙が伝う。  
「聞かせてくださいよ…中尉のエッチな声…もっと聞きたいっスよ…」  
性感帯と呼ばれやすい感覚器官をあちこち触れられて、リザは喘ぐしかできなかった。  
必死にハボックの服を掴んで、快感を受け流そうとしている。  
「あっ…あ…いや…や…ぁ…」  
指先や、耳たぶ。  
それから内太腿のラインなど唇で弄る。  
 
「や…っ…やめてぇ…っ…そこ…やぁ…っ」  
 
「手、弱いんスか?ちょっと変わってますね…」  
指の股、骨が浮き出る付け根。他、手のひらを優しく触れてあげると、  
リザはその刺激に堪らず少尉の服を噛んだ。  
「ダメっすよ…服なんか噛んだら…」  
焦らす様に長い前戯。  
「少尉…っ…そんな…指ばっかり…んんぅ…っ…」  
リザは、自分でも秘裂が濡れていくのがわかる。  
もしかして、膝まで蜜が垂れているかもしれない。  
むず痒い様な熱に犯されて、温い痺れの連続に息苦しさを覚える。  
こんなはしたない姿を見られるのは恥ずかしい…しかし。もう、声が我慢ができない。  
「指、触られるだけじゃ…足りないっスか?こことかも…いじってほしい?」  
ココ と言いながらその熟れた秘所を指で触ると、ハボック自身も驚くほど潤っていた。  
いきなり過敏な場所に触れられて、リザは悲鳴に近い呻きを上げた。  
「ひ…っあ!そ…そんな…グリグリって…触らないで…あぁぁ…っ!!」  
「…うわ…すっごい濡れてる…床汚さないようにしないと…」  
湿り具合を確かめるように、陰部への触診を繰り返す。  
入り口付近で愛液を絡め取って、擦りつける様にして薬などを塗る要領で解して行く。  
内壁へは浅く入り、奥はまだ弄らないでおく。手のひらへ零れて来る粘膜液を受けると、  
それをたっぷり馴染ませた人差し指と中指をリザに差し出す。  
「中尉。嘗めて綺麗にして下さい」  
ビクンと震え、目を見開くリザの反応をじっくりと見つめながら  
その指を唇にピトリと付けてみる。  
「…や…ぁ…んむ…ぅ…」半ば強引に唇を割り入ってきた指を、恐る恐る舌先で包む。  
味とかはよく分からない…。ほんのり生っぽい気はしたけれど。  
そんなことより、この行為自体に興奮を覚えてしまう。  
男の指はやはり、太いしゴツゴツしている。  
特に軍人などとなれば切り傷・擦り傷で表面が平らではなく、皮膚がガサガサして硬いのだ。  
 
指を嘗めるだけでも、セックスの最中となればひとつひとつだけでもとても  
卑猥な感じがして、心臓が信じられないくらい高鳴って頭が熱で浮かされて…意識が遠のいていく。  
なのに、刺激に連れ戻される。  
それの繰り返しだ。  
 
ハボックの指を咥えながら、こんなに太い指が私の中に入るのだろうか…。  
とそんなことを考える。  
脳内で想像するだけでも、じわりと秘所がまた蜜を精製しているのが実感できた。  
 
「中尉、もういいですよ。」  
口内から手指が引き抜かれる。  
指に絡みつく唾液が、線を描いて唇から離れていった。  
 
口液の暖かさと湿っぽさに、指の第一間接皮膚はふやけていた。  
 
ハボックは再び リザの口を唇で以って塞ぐ。  
隙間なく重ねると、今度は指の変わりに舌を侵入させる。  
舌先が繋がる度に、ざらりとした感覚が迫って来る。  
思わず腰を捩るリザを腕の中に収めて、より深いキスをする為に後頭部に片手を添えた。  
暫くすると唾液が混ざり合う水音と、呼吸が交互に部屋の内部に共鳴していった。  
リザの口内には下しきれない唾液が溜まって行き、口端から溢れた分だけ顎を伝う。  
 
やっと唇を離すと、何故か仄かに涙ぐんでいるリザの瞳にもキスをする。  
あまりに優しすぎる抱き方に、リザは余計悲しくなって、  
胸の中が痺れるような熱に、息が詰まる。  
 
ハボックがもっと、手酷く乱暴にしてくれれば  
何も考えなくてすむかもしれないのに…。  
 
先ほどから数えて何度目になるのか、ロイの。  
あの自信に満ち溢れた顔がリザの脳裏を横切っていった。  
彼と過ごした記憶にあるのは、いつも自分勝手に抱いて、嘘みたいに「愛している」と、囁く彼の熱っぽい声。  
自分以外の誰に言っているのか、それさえも分からないその安っぽい台詞。  
それでも、抱かれているときは安心できたのに…。  
 
 
たった数日、離れているだけで こんなに『不安』とか、そんな気持ちになるなんて…。  
弱い自分が大嫌いだったのに…。  
 
 
 
「…あ…ぁん…っ…んや…っ…あ…!」  
折角 中尉が嘗め取った指をまた、膣内へ挿入させる。  
意識が再びハボックの方へと戻る。  
こうやってこんなに丁寧に抱いてくれている彼に対して、他の人間の事を思い出す自分が余計虚しく感じた。  
 
 
緩やかな二本の指の動きがじれったくて、  
無意識に腰が快楽を追って少しづつ動き始める。  
腕の中で、必死に喘ぐ彼女を軽く抱き締め直すとハボックは指を引き抜く。  
抜くのは容易だったが、膣肉が少し絡みついてきたのにはゾクリする…。  
…粘液をたっぷりと零れさせた花弁を、目の前にしてじっと見つめた。  
 
 
「…っ…あまり、…見ないで…」  
とリザは顔を横に向けてしまう。  
「中尉…そろそろ…俺も良くなりたいんですけど…いいスか…?」  
おでこに優しくキスすると、頬と首筋にも続けてした。  
「…っ…」  
小さくコクリと頷く。  
彼女らしい反応に、思わず小さな笑みさえ出てしまう。  
 
真っ赤な顔をしたリザは、ハボックのモノを受け入れる覚悟をした。  
当然 処女なわけではないが、ロイ以外の性器を挿入されるのは初めてだ…。  
うっすらとまたロイの顔を頭を過ぎったが、身体は止まってはくれない。  
 
なのに、心のどこかで逃げ出したい自分がいた…。  
 
それからハボックは、リザの身体を抱き、ひょいと持ち上げると歩き始めた。  
戸惑い気味のリザをよそに、てくてくと足を進めていく。  
机の周りを半回転分歩いたところで足が止まる。  
ものの5秒ほどだったが、なぜかリザは長く感じた。  
 
すとん。  
お姫様抱っこが解除されると座らされた場所は…。  
 
大佐のデスクの上だった。  
大佐専用とあるため、スギ樹木で丈夫に作られており、  
ニスが少し剥げてきているがどっしりと構えたような大き目の机。  
2段ある小さな引き出しには木彫りの装飾などが施されていた。  
まぁ、今はそんなのどうでもいいことだが。  
 
「し…少尉…?」息も絶え絶えになりつつ、名を呼ぶ。  
「ちょっと待ってて下さいね」積みあがったままの書類、筆記具など机に上がっているものをずらす。  
 
「だ…だめ…少尉…そんな…大佐の机でなんて…」  
「もう…俺も限界なんで…ここで…−−我慢してください」  
 
嘘だ。  
限界なんて、まだ来ちゃいない。でも、俺のことを思い出すでしょう。イヤでも。  
もし、この後に大佐とセックスしたって…考えたくなくても思い出すはずだ。  
俺とここでセックスしたって事実が。紛れもない、実際にあった出来事だと。  
 
『頼むんで、今だけでいいから俺のこと…考えてくださいよ。』  
そう言えたら、どんなに良いか。どんなに楽になれるか。  
優しい、苦笑いをするハボックの瞳にはうっすらと涙が滲んだ。  
全部気づいていて、言わない俺は卑怯でしょうか?  
大佐が、他の女性と付き合っているとかいうのは、唯の噂だとか。  
大佐が、中尉しか好きじゃないって、喫煙室で真剣な表情で話してくれた事とか。  
大佐が…。  
 
いや、もういい、どうでも。  
だって、『惨め』じゃないスか 俺が。   
そう、言ったら。  
 
もう一度、リザのアンダーシャツを鎖骨の上まで完全に引っ張る。  
下着もホックを外すと、上までずらす。  
すると勢いよく 生の乳房が姿をあらわした。  
ぷるりとしたその物体の白さに思わず息を呑む。  
アンダーシャツやブラジャーの上から扱くより、  
はるかに柔らかいソレを揉み解すようにタッチしていった。  
すでに中心部は固く尖っており、指が近くを這うだけでも大げさな程に全身を震わせた。  
 
「…胸も弱いんスか?」  
「ち…ちが…き…きゃあう…っ…」  
あまりの感度のよさに、全身が性感帯なのでは…と疑いたくもなるが…。  
しかし…−。あの「オカタイ中尉」がここまで淫れてくれたのには、  
正直、ハボックもビックリしていた。かといって、ハボックこそ威張れるほど経験が豊富ではないが、  
リザは自慰ですっかり過敏になったせいもあり、只々 恥ずかしい声を出すしかなかった。  
 
いや。そうするしか、その場をやり過ごせなかった…。  
きっと 終わった後、死にそうな程の罪悪感に潰されるのに。  
「ゃ…少尉…ふぁ…んっ…」  
ハボックは、胸の谷間にゆっくりと舌を這わせた。  
 
それからピンク色の突起をわざと避けて、周辺にしゃぶり付くように口でもって愛撫する。  
「しょ…少尉…っはぁ…ふ…んん…あ…」  
ハボックは自分の股間の異様なまでの熱さに気付く。  
ズボンのごわごわした布地とチャック部分に押さえつけられて痛いぐらいだ。  
リザの引き締まったウエストラインを舌でなぞりつつ、そっと自分のモノに手を当ててみた。  
バクバクと血潮が勢い増すのが分かる。ハボックにもいよいよ限界が見えてきた。  
 
「そろそろ、いいっスか…?」  
リザは、黙ったままコクンと控えめに俯く。  
「可愛い」と小さく耳打ちするとリザの秘所を指で広げる。  
溜まった蜜が多量に流れて、卓上を濡らしていった。  
「ん…っ…やぁ…っ…広げないで」  
ハボックは、チャックを片手で下げて、自らのモノを取り出す。  
自分では気づかないうちに先走り液が排出され、服にうっすら染みをつくっていた。  
サイフからコンドームをそっと取り出すと、袋をやぶろうと間誤付く。  
その間に、そっとハボックの性器にチラリと目を当てるリザ。  
きちんと勃起していてズボンの間から生えているようだった。  
ロイと大体同じくらいか、そりより少し大きいくらいのペニスとじっと目線を合わす。  
 
「あの…中尉…?」  
避妊ゴムを装着しようとしたハボックは、ふと自分の股間に熱い視線が送られていることに気づく。  
 
「…ごめんなさ…い…じっと…見たりして」  
「いや、別にいいスけど。あ…の。ゴムつけるからちょっと待ってて下さいね」  
「少尉…わ…私…」  
小さくなる声に耳を澄ます。  
「…?」  
「そのままでいいから…入れて…」  
へ  
と一瞬あっけに取られるが、  
「いや、生じゃヤバイでしょ…。デキちゃうっスよ」  
「大丈夫だから…お願い…」  
よく見ると、リザの身体は小刻みに揺れていた。  
「我慢、できないの…来て…」  
座ったまま、ハボックに抱きつく。  
リザからは、うっすらパフォームの匂いがして。  
その香りにハボックの意識が揺らめく。  
「…はい」  
リザを机に押し倒し寝かせると、すっかり熟れきった秘劣に、脈打つソレを宛がう  
(違う。こんなのいけない。逃げたい。でも…。)  
 
これ以上、私だけ傷つくのは 怖い。  
私だけ待っているのは、嫌。  
 
瞳を閉じて、これから来るであろう痛みに耐える。ロイの顔がもう一度だけ浮かんだ気がした。  
意識を保てたの最後の一瞬までだった。  
 
リザの腰を少し引き寄せて、膣に自らの性器を押し込んでいく。  
 
ズプッ!  
効果音をつけるなら こんな感じだろうか。  
 
女の秘壷がだんだんと広がって行った。  
ハボックは親指と中指で花弁を開き、左右のヒダを避けつつ身体を密着させていく。  
粘膜が摩れ合うだけで、ゼリーに指を突っ込んだみたいな音がした。  
 
「あっ…あ!!や…あ…はぁッ…はぁあ…っ…!」  
体内に入ってくるものすごい圧迫感と、肉塊の熱さに冷や汗すら出てきそうだ。  
気を抜けば意識を持っていかれそうな強い痺れを必死で受け流そうと、残った力を酷使して机に爪を立てる。  
木の目に爪の鋭利部分が食い込む。  
だが、樹年数十年の木素材の机の前では、たんぱく質の脆さは歯も立たず、  
リザの爪の先端に亀裂が走る。しかし、そんなことにすら気づけないほどこの行為に熱中していた。  
「あぁ…っ…嫌…あっ…痛…ぁっ!」  
膣内の空いている面積はもはや無いに等しいほど、リザの子宮内にペニスが捻り込まれていく。  
沢山行った前戯のおかげで、かなり膣肉が柔らかくなって、ハボックの大きいソレをゆっくりとだが確実に飲み込んでいく。  
 
「ぁ…っ…あんっ!!す…すご…いぃ…っ…大きいのがナカに…きちゃ…ぁあ…っ!!」  
必要以上に濡れたリザの秘所は無意識に収縮を繰り返し、男にしか分からないような快感を齎していた。  
「く…っ…あ…ヤベ…中尉のナカ…気持ちよすぎて…」  
自分の身体もうまく支えられなくなったリザは、机から落ちないように無我夢中ににハボックに抱きつく。  
ハボックは過呼吸の合間に、リザの耳元に話しかけた。  
どうやら男根が付け根まで収まったようだった。  
 
「…っ…中尉…なんとか入りましたけど…動くと裂けそ…う…」  
子宮の奥にまでのめり込んで来る生殖器。  
入ったはいいが、入るのがギリギリで、動くと入口がさらに広がって薄い皮膚が裂けてしまいそうだ。  
「い…いや…熱い…あ…ぁっ」  
腰は動かないようにしているのに、まるでそこだけ意識があるかのように先端が腟内を掻き回す。  
「く…っあ…ヤベェ…マジ裂けそうッスよ…中尉…ッ…一回抜きますから力抜いて…」  
リザは息が完全に上がって、苦しそうに喘いでいる。痛みもさながら呼吸すら困難になっていた。  
 
なのに。  
「い…ぃから…」  
震える指先がハボックの肩を掴んだ。  
「いいの…裂けても…痛くてもいいから…ッ…動いて少尉…ッ」 焼き付く位熱い内部。  
リザの腰が微動するごとに、締め付け方が変化して堪らない摩擦を促していく。  
ゾクツとした電流が脊髄を走った。  
「っ…じゃあ、動きますよ…?」  
ハボック自身も痛みを感じないわけではなく、亀頭がこれ以上ないほど固くなり腟肉をかき回す。  
繋がった箇所からは白っぽくなった腟分泌液と少しの血が混ざり、デスクに垂れていく。  
「や…少尉っ…痛いけど、気持ちい…ぃ…ふぁ…あぁぁっ!」  
ハボックの動きに、リザも自らの秘部を押しつけようとしてくる。  
ほとんど無意識にしているだろうが、自分から腰を使う様な淫猥な姿。  
振動するたびに、胸元の柔塊が激しく揺れて形を変えていった。  
 
聴覚をブチ壊したくなるぐらいの恥ずかしい粘着音。  
連続して吐かれる、止まない吐息。  
机の四肢がキシキシと軋む音。  
天井の明かりが照らす部屋に、そればかりがBGMとなっていた。  
 
リザの様子をじっくり見つめる余裕がいよいよ無くなってきたハボックは、これ以上入らない最奥まで突き上げると一端外気に出る。  
身体が仰け反ると、小さく悲鳴じみた声が上がる。  
 
「ふぁ…や…抜いちゃ…やぁっ…」  
舌足らずな甘える様な猫撫で声を発する。しかし、再び奥まで挿入されて嬌声に取り替わる。  
ゆっくりだが、確実にスピードを上げて出し入れを繰り返して行く。  
リザの呼吸が更に荒くなった。  
「ん…っぅ…ん…いや…ぁ…あぁぁ…っ!」  
最初は苦痛を伴う嬌声がだんだんと甘ったるいものへと変化していく。  
その音声は普段は冷静な彼女から出ているのか、怪しいほどの艶かしい 女の声だった。  
 
痛みが快楽へと変わるのに時間はそうかからなかった。  
人間というものは、強烈過ぎる痛みを与えられるとそれから逃れようと痛みの感覚を快感へと変える。  
脳内モルヒネの原理だ。痛さと快感は紙一重。それを今まさに 彼女は痛感していてた。  
「はぁ…あ…っ…も…もう…!」  
首を嫌嫌と横に振って、強すぎる刺激から身を捩って逃げようとする。  
「中尉…っ…中尉…」  
ハボックも、もう何も考えられなくなっている。  
思考などとうにフリーズして、本能的に腰を突き動かして。  
自分のイイと感じるところにをリザの内部に擦り付けて行くことで精一杯になってきていた。  
 
「あぁ…っ…いや…っ…も…やぁ…い…イっちゃ…ふぁあ…っ」  
「中尉ッ…俺も…中に出しますよっ…」  
眉間に皺を寄せて、乱れる息を整えようとするハボック。  
こみ上げてくる射精感に身震いが出る。先走ったヌメリが、内壁の滑りをアップさせて行く。  
「だ…出して…ナカに…少尉の…いっぱい出して…っ!!!」  
最早、ホークアイ中尉などとこにも存在していなかった。  
只々、与えられる快感に律儀に反応して良がる『女』でしかなかった。  
 
追い込みを掻けるかのように、ハボックは奥までもう一回貫き上げる。  
その瞬間、何かが弾けたように先端から精液が噴射する。  
 
「っー…中尉っ…!」  
「ふぁ…あぁ…熱いっ…ぃ…っ!」  
征服の証…。  
ハボックは彼女を自分のものにしたという独占感にほんの少し喜びを感じながら、  
しばらく続く発液の凄まじい快感に目を閉じてぼんやりしていた…。  
 
呼吸の収まらないリザは、もう身体のどの部位にも力が入らず 大人しく天井の蛍光灯を薄目で見つめた。  
 
濁流が納まっても 暫らくはそのまま結合していた。  
 
あと少しで終わってしまう、この行為の余韻を味わっていたかったのか…。  
ハボックは、彼女のか細い肢体を優しく抱き締めていた。  
 

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