月明かりが差し込む室内。
向き合った男女が愛しそうにお互いの髪を梳く。
リザは心地よさに喉を鳴らし、猫や犬のようにロイに頬をすりよせる。
二人きりになった時にだけ見せる態度。
「会いたかった。ロイ」
その言葉に、ロイは思わずリザを抱きしめる。
ふっとブロンドの髪がかおる。
この匂い。何故だかほっとする。
「私もだよ。リザ」
どちらからともなく、お互いにキスをする。
少し冷たい唇は柔らかく、ついばむ度に感覚が研ぎ澄まされる。
それは優しく、しかし熱く。
まるで唇から体がとけていってしまうようなキスだった。
ただ唇を合わせているだけなのに。
「ふふふっ」
リザが嬉しそうに笑った。
「キスがこんなに気持ちの良いものだなんて知らなかった」
ロイもリザにつられて微笑む。こんなに嬉しそうにしている姿を久々に見た。
最近、事件やリザの出向で二人には会う時間がほとんどなく、今日はひさびさの
デートだった。
愛しい。
「リザがもっと欲しい」
黒髪から覗く澄んだロイの目に、リザの心はざわめく。
男は女にもう一度口付けると、今度は深く。舌を絡めあった。