「錬丹術の陣ですネ」  
いつしか彼についてくるようになった、見慣れない身なりの小娘が右腕を見ていった。  
娘は、白黒の小さな猫を連れていた。  
自分が手配中の連続殺人犯であることは、娘には意味をなさぬのだろう。  
ヨキなどが好んで話題にする娘の境遇が、自分にとって与太話同然であるの  
と同様――ただ一点を除き。  
「お兄様が彫ったんですカ?」  
在りし日の兄者は、次第に異国の邪まな錬金術に傾倒して行き、傷の男は  
苦い顔をしていたのであるが、小娘はその術の使い手だという。  
「そうではない」  
純真無垢かと思えば、恐ろしいほどに勘が鋭かったりする。おのが一族の  
運命を一身に背負っているともいい、また化け物を前にしては肝の座った娘だ。  
体術の心得もあるらしい。  
「…………くだらん」  
 
娘とは、少しずつ口をきく回数が増えた。  
「龍脈の流れを読むんですヨ」  
「……何だ。藪から棒に」  
「お兄様の研究していた術の話でス」娘は答えた。「お兄様は、すぐれた術者  
だったようですネ」  
「……ふん」  
「怪我を治す以外の術を、試してみますカ?」  
「結構だ」  
あまりの即答に、メイの黒い瞳がやや翳った。「マルコーさんは、腰の調子が  
よくなったって言ってましタ」  
「何の話だ」  
「陰陽の術ですヨ」  
 兄者の研究仲間が口にしていた語の中に、そのような言葉があったようにも  
思われるが判然としない。  
「房中術を用いた交わりでス」  
傷の男の驚きは、言葉にならずに空へ消えた。  
「どうかしましタ?」  
師父の門を叩いて以来、彼はあらゆる欲を断っている。  
生存に最低限必要な欲を除き、怒りと、すべての国家錬金術師を滅ぼしたいと  
いう欲望が、彼を動かしているに過ぎない。  
「――それも、営みのあるべき姿をねじ曲げる術なのだろう」ようやく彼はそう  
口にした。  
「気の流れを整えるんですヨ。きっと、傷の男さんも元気になりまス」あどけない  
笑顔で娘は答えた。  
傷の男は答えずに背を向けたが、おそらくは好奇心であったのだろう。この  
子供のような娘が、寝床ではいかなる振舞いをなすのかと。  
 
言葉にはしなかったが、男は娘のきめ細かい肌に驚嘆した。  
無骨な手を伸べ、あるかなきかのふくらみを撫でさする。  
 
娘はいつもの髪型でなく、長く豊かな黒髪をすべて解き放っていた。  
小ぶりな尻がすっかり隠れてしまうほどの長さである。  
不死はともかく、年齢を悟らせぬ秘密とやらを既に手にした女では  
あるまいか。傷の男の頭の中を、そんな疑問がふとよぎった。  
胸は薄くとも、見た目よりもかなり成熟しているらしい。腰は細く締まって  
おり、胸の小さな突起を指の腹で弄ると、抑えた喘ぎ声があがった。  
男の身体が、娘をすっぽり包み込んだ。  
まだ毛も生え揃わぬような秘所からは、温度をもった愛液が滲み出ている。  
娘は小さな掌で、紋様のような錬成陣の刻まれた彼の腕を撫で、厚い胸板に  
頭をすり寄せて、男の慈しみの手を待った。  
 
彼は娘の脚を抱えると、広げさせた。  
太い筋を浮かび上がらせた、猛々しい男根を露わにする。  
 
それは、小柄で華奢なメイにはいかにも大きすぎた。  
軽々と彼の小脇に抱えられてしまうような小娘であった。この右手に少し  
力を込めるだけで、娘の命を奪ってもしまえるのである。  
娘は微笑み、逞しい男に手を添えて口をつけた。  
その行為自体にはこれといった術は感じられない。しかし、長く女を  
遠ざけてきた所為か、あるいは体格も年齢もおそらくは半分ほどの小娘と  
交わる背徳感のゆえか、小さい舌の上で転がされる彼自身はいっそう  
大きくなり、熱く昂ぶった。  
 
深呼吸をする娘。その上に圧し掛かり、少しずつ進める。  
娘は、片手で小さく陣を描きながら一心に何かを唱え始めた。  
「本当に構わんのか、娘」傷の男は眉根を寄せた。「止めてもいいのだぞ」  
「傷の男……さん、私が……嫌い……ですカ?」  
問い返すと同時に娘は短い叫び声をあげた。男を根元まで咥え込んだの  
である。  
「やっぱり、おっぱいの大きい人がいいんですカ?」  
「愚かなことを言うな」  
「私はチャン家のメイ。……メイ…って……呼んで……下さイ」  
傷の男を身のうちに全て収め、またそれが出し入れを繰り返す光景は一見の  
価値があった。薄紅色の小さな花弁が、尋常でない男の太さを受け容れている。  
房中術なのか錬丹術であるのか、もはや傷の男には定かではなく、また  
知る気もない。  
ややもすると自分より錬成陣の方に気を取られがちなメイのありさまが悔しく、  
男は顎をつかんでおのが方へ向けさせた。  
「傷の男さん、動いテ……」  
ならぬと言うのか、動けと言うのか。娘の中は男に絡みついて、容易に離さない。  
陽の気と陰の気が交わるような話をメイは事前にして聞かせたが、房中術  
とやらは一体何なのか――。  
そうこうするうちに傷の男は達し、メイの小さな膣は痙攣して、精を溢れさせた。  
 
 
「おまえは……」僅かに傷の男は口ごもった。「この術を極めて不老不死の  
秘密に達する方が早いのではないか」  
「バッテンさん」  
 戯れにつけた名を、メイは好んで呼んだ。  
「それは、良かったということですよネ」  
 

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