路地に入った途端にぬるり、と背をなにかが撫でた。なにかだなんて確認するまでも無い。
“これ”は初めての感覚ではないから。
それに、『影から見ている』と、あの化け物は言っていた。
そしてそれを承知で私はあの人に伝えた。
ただ黙って立ち尽くしていると背中から、足元から、徐々に這い上がってくる。
『マスタングに言ってはならないと…忠告した筈ですよ、ホークアイ中尉』
耳元で、奴の声が重く響いた。 「あら、あれはそういう意味だったの?」
わざと余裕たっぷりに返事をすると背中を撫でていたモノが腹部に回りするするとその上へと登っていった。
『…それとも、こうなることを期待していたのですか?』
言い終わると同時に胸元から何かの裂ける音が聞こえた。
「ひ……ッ!!」
音が聞こえた途端に奴の腕(?)が胸に集まり周りや突起を激しく責め立てられた。舌と手で愛撫をされるような感覚に抑えきれなかった声だけが夜の路地に短く響いた。
奴はアンダーシャツとその下の下着だけを破ったのだろう。
薄暗い街灯の下、生地の厚い軍服の上から見てもわかるくらい自分の胸の形が変わっている。腕が強弱をつけて動く度に背中に走る耐え難い感覚から逃れようと何度も身をよじるも何の効果も無く腕の動きと拘束は強まるばかりだった。
「ん…やめっ……離しなさいっ…!!」
これ以上好き放題されてはならないと軍服の上からその腕を押さえつけるも何の意味も無く敏感になった突起に自分で触れ悦びの声をあげただけになってしまった。
『イヤらしい人ですね…もう物足りないのですか?』
「ち…がぁっ!!」
ぶんぶんと首を振って否定するも奴はたいして興味が無かったようで返事は返ってこなかった。
『ほら、好きにして構いませんよ』
突起の周りにあった腕がなくなり奴の腕はその周りの肉の形を変えさせるだけになっていた。突然触れられなくなった突起は触れて貰おうとその存在をぴんと立ち上げていた。