「・・・・・・・」  
 「・・・・・・・」  
 
さっきから、ずっとこの状態。不自然なまでの沈黙が辺りを包んでいる。  
二人の間にはテーブルがあって。  
その上には、一本の牛乳ビン。  
 
「・・・ねぇ、いい加減あきらめて飲んだら?」  
「ぜってー嫌だ!」  
「〜この意地っ張り!」  
「どっちが」  
 
 エドは牛乳が嫌いだ。  
 本人いわく、「あんな牛から分泌された濁白色の汁なんぞ飲めるか!」ということらしいのだが。  
 しかしそれを、昔からの幼なじみで、面倒見の良いウィンリィが許すハズもなく。  
「飲むまで一歩も動かさないからね!」  
ということになっているのだ。  
 だがさすがにエドもエドで、ビンを睨んだまま、一向に飲もうとしない。  
「・・〜まったく!牛乳飲まないからいつまで経っても豆なのよ!」  
ウィンリィは耐え切れなくなり、エドを思いっきり睨みつけながら言った。  
「うるせぇっ豆ゆーなっ!!」  
エドは反抗しながら、それでもまだビンを睨んだままだ。  
 
 
 ・・・・・・・  
 ついに痺れを切らしたウィンリィは、テーブルの上のビンをすごい勢いでつかむと、  
「〜じゃあっ、コレ飲んだら何でも言うこと聞いてあげるわっ!だからさっさと飲む!!」  
それをぐいっとエドの目の前に突き出した。  
 以外にもエドはその言葉にピクッと反応した。  
 そして、暫く考えてから、  
「ホンっト〜に、ホントに何でも言うこと聞くんだな?」  
「聞くわよ!だからエドも牛乳残さず飲みなさいよ!?」  
エドはそれを聞くと、いきなりビンをつかみ、そのまま中身を一気に喉へ流し込んだ。  
 
 ゴクッ・・ゴクッ・・・・  
 
エドは、ビンの中身を全て喉の奥へ流し込むと、思いきり顔をしかめた。  
「・・ぅぇ〜・・げほっ・・やっぱ牛乳マズいわ・・」  
そう呟き、咳き込んでいる。  
 ウィンリィは、そのあまりの豪快さに目を丸くしていたが、ハッと我に返り、慌てて咳き込んでいるエドへ駆け寄った。  
「エド、だ、大丈夫!?」  
「あぁ・・・なんとか。それより・・ウィンリィ」  
ニヤッと笑って。  
「さっきの約束、守ってもらうからな」  
 
「いいけど・・・何するの?」  
ウィンリィは、エドの怪しげな笑みから遠ざかるようにして、尋ねた。  
エドは、さらに笑みを深くして、言った。  
 
 
  「ヤろーぜ」  
 
 
 ウィンリィはそれを聞くと、慌てて逃げようとした。しかし、エドがしっかり腕をつかんでいるので、逃げるに逃げられない。  
 
「ちょ・・エド・・やめてよ!言うこと聞くって・・それのこと!?」  
「正解☆」  
 
エドは楽しそうに、そして意地悪く笑う。  
そしてウィンリィをひょいっと担ぎ上げると、そのままベッドへ直行した―・・  
 
エドは、抱き抱えていたウィンリィをベッドに降ろした。  
そして、自分もその脇に座る。ウィンリィは自分の脚を抱いて座り直す。  
 
 時刻はPM8:00を廻っていた。  
電気を付けていないので、部屋全体が暗い。  
窓から差し込む柔らかい月光だけが、二人をそっと照らし出していた。  
 
 「ね、ねぇ・・・」  
「ん、何だ?」  
「・・本当にやるの・・・?」  
 
 タイミングが良いというか・・・丁度今アルはオイルの調達に行ってしまっていて、ここにはいない。機械用オイルはこの小さな街には売っていないので、隣町までわざわざ買いに行かなければならないのだ。つい先程出発しただけに、当分時間がかかりそうだった。  
 
 「当たり前だろ?・・等価交換だ」  
忘れたワケじゃねぇよな、そう言うと、エドはニヤリと笑った。  
「〜こんな時まで・・・っ」  
ウィンリィはすっかり焦っていた。  
そんなウィンリィを見て、エドは明らかに楽しんでいる。  
 「いいだろ?っつーか約束だしな」  
ウィンリィは、恥ずかしそうに俯いた。  
「・・どうせ嫌って言ってもやるんでしょっ」  
「お、さすが、話がわかる♪」  
エドは楽しそうに言った。そして今度は、耳元でそっと囁いた。  
「優しくするからさ・・」  
 
 ウィンリィがかすかに頷いたのを見て。エドは、そのままゆっくりと口付けた。  
暗闇の中、二人が重なる。  
キスはだんだん深く、激しくなっていく。  
「・・・ん・・・っ」  
最初は不安で身体を固くしていたウィンリィが、次第にキスに答えるようになっていく。エドは舌を入れ、ゆっくりと中を堪能する。ウィンリィの不安を全て絡め取るように。  
「・・ン・・っ・・・んん・・・」  
やっと唇が離れたかと思うと、今度はウィンリィの肩口に顔を埋めた。そのままうなじに舌を這わせる。  
「ぁ・・・・・」  
そして手は、ウィンリィの衣服の中へ―  
 
気が付いたら、衣服は全て取り去られていた。  
(!?いつの間に・・!?)  
でもそれは、気付かぬ程自然な流れと化していて。  
 
「・・ウィンリィ・・・」  
「・・エド・・・?」  
「お前さー・・・今日いつも以上に可愛くねぇ?」  
「!?」  
真っ赤になるウィンリィ。  
「・・なんかいつもと違うんだけど」  
「こっ、こんなコトしてるからでしょっ!唐突に変なこと言わないでよ!!・・それとも・・平気でこんなこと言えちゃうなんて、エドってもしかして女たらし?」(ニヤ  
「ん〜そうかも。」(平然  
「!?Σ(|||▽||| )カ゛ーン」  
「・・バーカ、嘘だよ」(嘲笑  
完全にからかっている。  
「〜ムカつくっっ」  
 ・・二人で声を出して笑い合った。  
 
 そんなくだらないようで大切な会話を、ついばむようなキスの合間に、二人で交わして。そんな中で、いつもと変わらぬお互いを確かめ合ったりして。  
 
そうしているうち、手は胸の輪郭を辿る。彼女が身じろぐ。エドは構わず指の腹で愛撫する。  
彼はそのまま先端の固くなったそこを熱く舐め上げた。  
「・・・・ぁあ・・・ん・・っ」  
ウィンリィはビクッと震え、時折身体を強張らせる。  
 
・・彼の指先が、下肢に滑り込んだ。窪みに沿って、縦に幾度か動かす。そのまま、中へ。  
「・・ぁ・・・・ァ、ッ・・・・ヤぁッ・・・・・ッ、」  
伺うように中指で中を探られる。…途端に、蜜が溢れ出した。  
「・・すげ・・もうこんななってる・・・」  
「ぃ、言わないでよ・・バカ・・ッ」  
エドは一本ずつ増やして、そして彼女の感じる箇所を確実に攻めていく。  
「ァ・・・・ハァ・・・ッ・・ん・・」  
断続的に声は溢れ、彼女は必死で唇を噛み締めた。彼は、彼女の反応を伺う。  
 
・・・暫くして、そっと繋がった。  
彼女はあまりの痛みから逃れようとした。彼はそれを制する。  
「───…ッ、ァッ、・・・・・・・ア、ハァ・・・ッ、」  
 やがて痛みは、甘美な痺れを連れて来た。  
 
慣れない彼女の内壁は、余りにガチガチだった。  
「―・・・少し力抜け・・」  
彼の声は低く掠れていた。彼もきつかったが、彼女が慣れるまで辛抱強く待つ。  
   
 暫くすると、彼女から彼を求めるようになった。  
彼女の一番感じる箇所を攻める。彼女は、その度に震えた、甘い声を出す。  
「ッハ…、や、やぁ・・・・ッ、・・・ァ、ァ、」  
「・・・・もうそろそろいいか?」  
ウィンリィは頷き、エドは動きを徐々に速めていく。  
・・・―と、一瞬彼女の頭の中に、無数の星が飛んだ。  
彼女は、そのまま気を失った。  
 
エドは、彼女に毛布をかけてやる。  
その顔には、優しい笑みを浮かべていた―。  
 
 
 
翌日。  
「・・・ったぁ〜〜!!」  
目を覚ましたウィンリィは、ベッドから起き上がろうとしたが、腰が痛くて起き上がれない。  
「やっと起きたか」  
声に驚いてドアの方を見ると、エドが立っていた。  
「〜ちょっとエドっ!!腰痛くて起き上がれないじゃない!仕事あるのにどうしてくれんのよっ!?」  
エドは、意地悪く笑ってこう言った。  
「お前が何でも言うこと聞くっつったんだろ」  
「〜そっ、そうだけど・・・!」  
焦るウィンリィ。  
「牛乳飲む度にヤらせてくれんだったら、安いモンだよな〜」  
ニヤつきながら言うエド。ウィンリィはただ焦るばかり。  
「〜信じられないっ!条件無しでもちゃんと飲みなさいよ!!」  
「何のメリットもなしであんなモン飲めるか!!」  
 ・・・・・・・・・・・  
「「・・また振り出し?」」  
二人はお互い顔を見合わせ、同時に吹き出した。  
 
 

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