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「大佐、大佐、しっかりしてくださいっ!!」  
頬を軽くはたかれ目を開けると、リザがバスタオル一枚で馬乗りになっている。  
「ちゅ……中尉っ!」  
「よかった」  
リザはほっと胸をなでおろし、濡れたままの両手をぐったりと下ろす。  
浮いてた腰は落ちて、陰部が腹にくすぐったい。  
温泉に入っていた身体は、濡れて温かい。  
「急性アルコール中毒でも起こしたのかと思いました。どなたかお呼びましょうか?」  
「いや、いい」  
じっとその姿を見つめる。慌てて巻いたのか、タオルはゆるく下に外れてしまいそうだ。  
大きな乳房の大部分が見える。太腿の付け根まで見える。  
やがて自らの格好がどんなになっているかをやっと気が付いて、身体中の皮膚を紅くしている。  
「しっ、失礼いたしました」  
慌てて退こうとしているリザの手を、私は握った。  
「もう少し」  
前で握っている手を外し、彼女の身体に巻かれているタオルを開く。  
「ちょっ……大佐!この調子では、だいぶめされましたねっ」  
「そうでもない」  
「大佐、先ほども申しあげました。もう私だって大人の女です」  
リザは泣き出た。  
「いや、悪かった、綺麗だ!じゃなくて、立派に、ええと、その、良く育った!」  
「大佐は時に残酷です……大人の女が、男の人に見られているだけなんて、  
 どういう気持か分りますか?その気がないのならば、初めから優しくしないで下さい。  
 人並みの経験だって、私、本当は、して、みたい……」  
 
所謂、性欲をもてあます?!  
まさかリザが?いや、彼女も今やこんな巨乳に育ったわけで(巨乳云々は関係ないが)、  
背中の刺青の所為で、適齢期を越しても何一つ男女の睦み事が無いというのは、  
それなりに辛いことであるのかもしれない。しかし、  
「中尉、いや、リザ。背中は一部だが焼いたはずだ。もう誰に見られようと大丈夫だ」  
 
リザは涙ながらには、私の浴衣の裾を開き、下着をさげる。  
「大佐……」  
リザは、私の尖った男性器の先端に股をあてがい、ゆっくりと腰を下ろそうとしている。  
「やめたほうがいい」  
「いっ……痛っ」  
そりゃ、無理。無理だっ。処女がいきなり騎乗位で男を襲おうなんて無理に決まってる。  
まあ無理だとわかってたから、余り強くはいわなかったのだが……  
上半身を起こして、細い腰を持ち、リザを私の身体の上から外す。  
彼女はぺたんと、床に座り込んだ。  
 
イシュヴァールに行ったり、私がスカー関連の仕事を押し付けたり、年齢的なことなど、  
諸々のストレスから、酔っぱらって、少しおかしくなっているのかもしれない。  
「中尉、君の方が飲みすぎなのではないかね?」  
「そうかも、しれません……でももういいんです。忘れてください」  
「少し休暇が、必要だな」  
「いえ、結構です」  
結構理性的な返答。そんなに酔ってはいないのか。  
「もし傷を気にしているのならば、好きになってしまえば、男なんて気にしないものだよ。  
 プライベートに一人の男に見せる分には、何の問題も無い」  
立ち上がって回れ右をした彼女の引き締まった臀部と背中の刺青が見える。  
背中にバスタオルを巻いて、服を取ろうとしている。  
タオルだけでは隠しきれない刺青と焼き痕。  
その姿は、哀しげだ。男は餌を目の前に背中のことなど気にしやしないが、  
女であるリザは気にしているに決まってる。  
「……それなら、大佐は気にされませんか?女の私は気にしますけど」  
「ああ」  
「では、抱いてくださいっ」  
その刺青を見ながら私は「はぁ、」とふぬけた答をしてしまった。  
 
 
『たった一人の女の子もすくってやれない、ちっぽけな人間だ』  
と、ガキんチョの鋼のが、先日、そう叫んでいた。  
ニーナとかいう、犬と合成された娘が、国家錬金術師の父親に錬成された後だった。  
その後、彼女――ニーナ――は、父親とともに、スカーに殺された。  
しかし、リザは、大人に育っているし、これからも生きていく。  
いや、私が死なせなどしない。  
 
結局、これは、私が責任を取れということか?  
生きている以上、食欲や睡眠欲と同じように、性欲も湧くだろう。  
 
「本当にしたいのか?」  
「いけませんか?淫乱な女だと思ってますか?ほっておいて!  
 せめて想像くらい好きにさせてくださいっ!」  
恥ずかしさに顔を赤らめ、リザは言う。  
 
「いや、なんだ……少し驚いたが、そういうつもりなら、私に任せたまえ!中尉。  
 私にこのような相談をしたのは、幸福だぞ。人並みの体験か……  
 私となら、人並み以上の経験ができるに違いない。人生薔薇色だぞ!  
 宴会中というのは少しまずいが、まあなんとかなるだろう。  
 なんとかならなくても、美人副官と噂というのも悪くは無い」  
努めて明るく振舞おうと、くるくると回りながら、服を着ようとしていた彼女を  
バスタオルのまま抱き上げた。リザは腕の中で驚愕としている。  
嫌といえば、冗談で済まそう。  
 
しかし、どう考えても、納得がいかないことがある。  
遺言で頼まれた件だが、師匠はどのようなお心づもりだったのだろう。  
多少段取りは違うが、今現在そうなりつつあるように、いずれは、弟子の者に娘を……  
とお考えになっていたのだろうか。もしお互いのどちらかが、気に入らない相手だったら、  
どうするおつもりだったのだろう。  
大体、師匠がもっと生きていたとしても、何十年も認められる弟子が出てこなかったら。  
それとも、もっと単純に、子供は成長しないとでも思っていたのか。  
もしくは、錬金術の伝承において、娘の成長は、どうでもよいことだったのだろうか。  
または、他の秘伝のメモのように、彼女が辛い思いをするくらいなら、灰も残さず  
焼ききってしまえとでも……まさか、娘だぞ。  
 
「中尉、どうする?」  
「……大佐。よろしく、お、お願いします」  
震えながらリザは言った。  
 
 
リザを布団に下ろし、何度もキスをする。  
その唇を上気した首筋に落とし、乳首を吸い上げる。  
「どうだ」  
「んっ……きもち、いい……っ」  
 
「しかし、中尉も初めてでいきなり入れようとするなんて」  
「だって、良く知らないっ、ぁん……」  
「では、まずは、相手をゆっくりと味わう過程が大事だ」  
「ふひゃぁんっ、だめっ……そこ……んっ」  
「初めてなら、尚更、時間をかけて」  
「……っん、やだっ」  
「心も肉体も柔らかくしなければ、どちらも痛む」  
「きゃぁっ……」  
クリトリスと肉襞を弄んでいた指を、穴に入れる。  
徐々に奥へ入れ、余り乱暴にならないように狭い入り口をかき回す。  
温泉に浸かっていた身体は温かく、皮膚は柔らかい。  
 
彼女が私としたいと言った以上、私としては、徹底的に、初めての体験を彼女に  
堪能させてあげたい。  
救えるなどというおこがましい気持などは、持ってはいない。  
私にはそれが出来るというだけだ。  
「ふひゃっ、ああん」  
それに触ってみて分ったが、彼女は感じやすいのだ。  
これでは、確かに、持て余し気味だろう。  
 
「ひぃっ、来る、きちゃうっ!」  
「しっ――!!」  
穴とクリトリスを責められて喘ぐリザの口を、もう片方の手で押さえた。  
廊下から本当に誰か来る。  
叩扉された。じっと息を殺す。  
しかし彼女の中に差し入れた手の動きは止めない。ここで止めてはせっかく  
女が感じているのが醒めてしまう。  
「んぐっ……っ……っ」  
 
「いっらっしゃるのでしょう?」  
扉の向こうのその声は、アームストロング少尉の姉であるオリヴィエ少将だった。  
何の用だろう。あとで、探っておこう。  
どうせこんな状態じゃ、居留守を使うしかない。  
「っ……ぁっ……」  
 
息を凝らしている間にも、入れていた指の数を2本に増やす。  
声が出せないのは辛いだろうが、ゆっくりとその場所を拡張していく。  
じゅるじゅると粘液があふれ出て、手で口を押さえられている顔は赤面している。  
良い按配だ。  
 
「居留守とは、なかなか良い心がけだな」  
扉の向こうから女の高笑いが聞こえて、ようやく、少将の気配が無くなった。  
リザがおどおどと潤んだ瞳を向けている。  
「大佐……」  
「気にするな。私がどうとでもする。私の野望も知っているだろうに。  
 何も気にしないで、気持ちに正直に私に任せてくれればいい」  
「はい」  
「リザが入れるのはまだ無理だが、舐めてみるか?」  
彼女の前に優しく怒張した私自身を差し出す。  
 
身体の一部分怒張しているが、実際私は、怒っている。  
リザと私と師匠の三人にだ。  
まず、どうするつもりだったのかは知らないが、娘の将来を勝手に決めて死んでいった師匠。  
なぜこんな刺青を彫ったのか、そして、せめて生きていて下さったら。  
次にリザ。私は彼女の自由の為に背中を焼いたはずだ。私しか頼る者が居なかったから、  
もしくは、父親の秘技の錬成陣の背中を見せた唯一の者が私だからという理由で、  
抱いてくれなどと言うのは、それは間違っている。  
錬金術に対して頼れるというのと、幸福になれる男というのは、全く異なることだ。  
好きな男と寝たほうが、幸せになれるに決まってる。  
最後に私。私は、ヒューズのように、女に幸福を与えられるタイプじゃない。  
錬金術師で、やはり、どこか、我侭なところがある。彼女に生きていて欲しいと  
思っているのも、実は、罪を認めなくない、自らの我侭からなのかもしれない。  
そんな男が、酔ってリザとやろうとしてるなんて、どうしようもない。  
じゃあ、他にどうすればいいかと尋ねらても、答えようも無く……  
 
リザは好奇の目で、指でさわり、おずおずと怒張した部分を舐め始めた。  
「苦い」  
そう、命は生まれる前から苦いとは、皮肉なものだ。  
 
何度も、リザにキスをして、伸びた髪を触る。  
年齢不相応のあまりにもあどけない笑顔のリザは、私の身体を見て困惑している。  
灯りは消せばよかったか。  
いやこのままにしておこう、彼女の肌が良く見える。  
 
「中尉、本当に構わないのか?」  
向き合った女体を押し倒し、白い脚を持ち上げる。  
「んっ、恥ずかしい」  
「痛いとは思うが、背中を焼いたときよりも、マシだろうと思う。  
 それにかなり良いようにしたはずだ」  
「んっ……大佐、」  
「後悔しないか?秘密は守れるか?」  
リザは手を伸ばし、こっくりと頷いた。  
 
何度か擦りつけ、そして、彼女の胎内に、陽根を入れた。  
濡れて広がっているが、途中までしか楽には入らない。  
「行くぞっ。戦場じゃないんだから、痛かったら痛いって言ってくれても構わない」  
「はぃっ、いっ」  
彼女の背中を抱きしめながら、ゆっくりと奥まで突き入れていく。  
「いっ!!……はぁんっ」  
「大丈夫か……」  
「んっ、だって、やっ、大佐が……奥まで……」  
「痛くないか?」  
「……ん、痛い、でも、なんだか、良く分らない」  
涙を流しながら、リザは、ぎゅっと私の肩を抱いている。  
 
「でも、中尉、これで終わりじゃない」  
「えっ……? っ、、な、に?っ、」  
腰を使って、何度も突き上げる。  
痛がるリザの白い胸と尻の肉が揺れる。  
「いっ、ひぃっ、」  
 
いっそ、どうせ彼女を摘むのなら、もっと若いときに摘んでおけばよかった。  
大きな胸、しっかりとした腰から太腿のライン、細いウエスト。  
こんなに肉体は熟した女であることを主張しているのに、  
成熟した心も、もっと強い刺激を欲してるとおもわれるのに、  
咽び泣くリザの行動はまるっきり処女であり、ひどくアンバランスだ。  
欲求と行動が乖離している女というのは、扇情的というよりは、悲哀が漂う。  
 
「はあっ、ぁあっ、あっ……ったっ…大佐ァっ」  
女の吐息が肩にかかる。  
まるで自分より強い何かと戦っているときのように、心の焔が燃え上がる。  
そう考えると、女は強いモノなのかも知れない。  
 
もし、リザがこれで孕んで、ヒューズのように私にも娘が生まれたら……  
そうなるのも悪くは無い。  
少なくとも、彼女の身柄は軍人であるよりも安全だ。  
それに、そしたら、私は決して、娘に刺青など彫ろうものかっ!  
 
「!、大佐っ、わたし……っ」  
「そのまま流されて、大丈夫だっ」  
「っ」  
長いキスの後、身体を引き抜いた。  
一瞬夢は見たが、私自身は流されずに理性が勝った。  
精液はリザの腹と胸に吹き飛ぶ。  
 
引き抜いた箇所からは破瓜の血が流れている。  
リザの出血を見るのは、背中の焼きただれた肌に続いて2回目だ。  
しかし今回は、出血部位を見なくてすむ。  
 
「んっ……」  
「初めて体験してのご感想は?中尉」  
リザが余りにも初めての行為に恍惚としていたので、少し心配になっていた。  
「……はぃ、上手く表現、できませんが、思いもよらない、色々と、その、」  
荒れた吐息を整えながら、リザは呟く。  
「では私はこれでよかったんだな」  
「いまさら、そんな、こと……」  
リザが微笑む。  
今までの性格の硬さが取れた感じがする。多分、未体験への張り詰めてた理想が、  
崩れ去ったのだろう。それだけでもよかったのかもしれない。  
身体についた白濁液を、不思議そうに見つめている。  
「汚れてしまったな、まあいい、もう一度温泉に入ろう。今度は二人で」  
「えっ、大佐、あの、っ!」  
身体中を紅くする全裸のリザをもう一度抱き上げ、露天風呂に直行する。  
「こういったものはね、最中よりも、前後の余韻を楽しむものだよ。中尉」  
「は、はあ……」  
 
こういう難しい気分の時は、温泉だ。温泉で暖まろう。  
宴会の方はどうしよう。きっともう終わっている。  
まあ、その噂の言い訳は、全部セントラルのヒューズに任せるか。  
 

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