存在するだけである種の毒を撒き散らす女。ラスト。名は、色欲。
見るともなしに見ていると、ラストの方から話しかけてきた。
「あら、ラース……『色欲』に興味があるの?」
『色欲』そこだけを妙に強調して話すラスト。今にも舌なめずりが聞こえそうだ。
「そ、そういう訳では」
少し、頬が赤くなるのを感じながら否定する。しかし語尾は弱かったかもしれない。
何と言っても既に反応が始まっているのだ。
「いいのよ、自然なことですものね。――人間なら」
そこで一旦区切る。
「あなたはホムンクルス、その自覚をお持ちなさい」
ぴしゃりと言い放つ。
そう、私は、ホムンクルス。その矜持を、持たねばならない。
人間らしい欲などには……
「でも。気が向いたから相手をしてあげる。いらっしゃい、ラース」
そういって、嫣然と微笑むラスト。
「…それとも。キング・ブラッドレイ大総統とお呼びした方がよろしいかしら、閣下?」