俺はヤオ族の皇子、あいつはチャン族の皇女。どちらも皇帝の座を狙う者で敵同士…まぁ世間から見ればそうなるんだな……
今日も俺はいつものようにフーや他の護衛達に城をこっそりと抜け出してある場所へ向かっていった。
「もう!また来たんですか!?護衛の人達に見つかったらどうするんですか!」
ある場所、それはこいつが住むチャン族の城。俺がくるといつもと同じこの台詞から始まる。
「大丈夫だよ、見つからないように来たんだ。お前って本当に心配症だな。」
「……!いいです!もう心配なんかしてあげません!!」
あ、怒った怒った。
ほっぺが飴玉含んでるみたいに膨らんでる。
「怒るなって。ますます幼く見えるぞ?」
「…どうせ私はあなたの護衛の女の子みたいに大人っぽくありませんよ。」
…護衛の女の子?あぁ、ランファンのことか。そういえばランファンとの写真を内緒でこいつに見せたことあったな…。
……ん?待てよ。これってもしかして……
「メイ、お前…」
「……何ですか…?」
「妬いてるのか?」「なっ…!!?」
やっぱり図星か。顔に出やすいタイプだからすぐにわかる。
「べべべ別にあなたのことなんか…!」
「はいはい照れない照れない〜。」
本当に子供だなこいつは……こいつはこいつでそのことを気にしてるみたいだけど。
でもなメイ、俺は…
「そーゆー子供らしい初々しさに惚れたのかもな。」
「…ぇ?何か言いましたか?」
「ううん、何でも。」
俺に足りないものを持ってるんだなこいつは。
(終)