窓の外は雨。せっかくの非番だったのに朝からこの調子だ。  
腕立てやらの日課を終えてホークアイはシャワーを浴びていた。  
柔らかな曲線をつたう温かな水の音が彼女の耳を心地よく刺激した。  
 
ドンドン…  
 
来客?こんな時間に…?というより…この格好では…。  
彼女がシャワーのコックをゆっくり閉めていると、がちゃ…と音を  
立てて扉が開いたようだった。  
 
「え?」  
開いた…ということは昨日の夜帰宅してからずっと開いていた?  
 
「?」  
いや、そんな筈は…閉め忘れる訳が…。  
 
「いないのか?」  
聞き慣れた声である。だからといってバスルームから出る訳にも…  
「…あなたは…またうちの鍵、勝手に錬成して」  
…立派な犯罪だと思う。しかも、このタイミング…。  
「取り込み中ですので上がられるなら、ブラハを起こさないように  
奥に上がっておいてください。」  
バスルームから響く少し苛立った声を受けてマスタングは  
「風邪ひきそうだ。タオルを貸してくれないか。」  
と、少し弱々しく答えた。  
……。ホークアイはそっとバスルームのドアから薄暗い玄関の様子を  
伺った。  
彼は全身びっしょり濡れて、不規則的にその体を震わせていた。  
「大佐…傘は?」  
「昨夜から泊まり込みでな。ははは」  
「その様にびしょ濡れにならないための錬成は  
どうして思い付かれないのでしょうか?」  
……。ホークアイの眉間には皺が深く刻まれていた。  
無能…という単語が以心伝心のようにマスタングに届く。  
そして笑顔で答えるしかないマスタング。  
「…中尉、早く…タオル」  
「目、つぶっててください」  
軽く自分の水気を拭いて暗くて分かりにくいが彼が目を閉じているのを  
確認するとタオル一枚で前を隠しながらひたひたと近寄っていった。  
 
「これで軽く拭いて、いいと言うまで目を開けないで下さい。」  
タオルを差し出す素っ裸のホークアイに目を閉じたままマスタングは返した。  
「どうせ着たところで君は後で脱ぐんだから…」「撃ちますよ」  
かちり、とこめかみに銃がつきつけられる。  
「…(持ってたんだ)」  
彼が黙るのを確認すると、その震える唇に自分の唇を近付けた。  
彼の鼻先に、ふわりと石鹸の匂いがかかる。ぎりぎりの今にも触れそうな距離で。  
「目…開けても?」「撃ちますよ」  
生殺しだ…。堪らない…。それにしても…。  
「風邪を、ひきそうなんだがね」  
「自己責任です。」  
 
「…幸せな筋肉痛を味わいたくはないのか?中尉。」「……。」  
そういえば…今日は明らかに運動不足だとホークアイは思った。  
「…大佐。」  
「ん?」  
「女には、準備が必要なんです。それなりの。」  
静かに目をふせて彼女は続けた。  
「急に訪ねてられては…困ります。これからは気を付けて下さい」  
「そうだな。」  
マスタングがそっと目を開けるとリザの唇がすぐそばにあった。  
あたたかな吐息を僅かに感じ、たまらず口付ける。  
「ん…」  
つめたい…。こんなに冷えきって…。  
彼女は、唇から下がりきった彼の体温を感じる。  
彼は、ややほてった彼女の体温をむさぼるように舌を絡める。  
小ぶりの拳銃が音をたてて足元に落ちた。  
その音を皮切りに二人の息づかいはそれらしく、いやらしい音に変化していった。  
 
「このまま…上がらせるわけには…いきません…」  
マスタングに首筋を舐めあげられながらリザは呟いた。  
「脱げばいいのだろう?」  
そう言うと一旦は上着に手をかけたものの、  
その冷たい手は彼女のあたたかく揺れる乳房にそっと伸びた。  
「あっ…」  
びく…と小さく震え、その冷たい刺激に体は鳥肌を立てて反応する。  
「脱がせてくれないか?」  
そう言いながら、まるで暖をとるように両手で彼女の体温を奪っていく。  
「は…大佐…」  
「脱がせて…くれないのか?」  
白く大きな乳房を弄びながら彼は意地悪そうに笑った。  
リザは彼の衣服に手を伸ばし震える手でボタンを外していく。  
その間も彼の意地悪は続いた。  
 
「わざと…?わざと、濡れていらしたんでしょう?」  
外の雨は止んだようだった。  
下着一枚にされたロイの手が彼女を奥の部屋に引きずりこむ。  
「そうだよ。」  
優しくリザの額に口付けるとそのままベッドの上に倒れ込んだ。  
 
「ん…あっ」  
指先でいやらしく立っている乳首を責めながら、  
赤くなった彼女の耳に熱い息を吹きかける。  
その度に彼女の体は小さく跳ね上がり、少しずつだが確実に  
彼女のそこを濡らしていく。  
「どうしてほしい?」耳元で囁かれ――  
「どうしてほしいか…言ってごらん」  
細い首筋に伝わるいやらしい吐息に混じった聞き慣れた愛しいその声…  
リザは彼に耳打ちし何かを懇願した。  
彼はそのしなやかな大腿に手を伸ばしそのまま膝窩に滑り込ませて、  
思いっ切りリザの脚を開かせた。  
「あっ…やっ…」  
恥ずかしい…  
脚を広げさせ彼女の局部をロイはじっと凝視している。  
脚を閉じようと力を込めるが膝に置かれた彼の手に制止された。  
諦めて力を抜いた瞬間、とろりと蜜が奥から溢れる感覚をおぼえ、  
彼女は弱々しく震えるしかなかった。  
彼に粘膜の部分を触れられて思わずのけぞる。  
彼がどんな顔をしているのかリザには見えなかったが  
彼は愛液の溢れ出る腺を舌でなぞり、その味を存分に楽しんでいるようだった。  
 
「あ…ああぁっ!」  
突然、つぷ…と鈍い音がリザの膣内に響く。  
ロイの指が彼女の中を責め立てて…ゆっくりと優しく彼女の中を掻き回していく。  
「おかしく…なりそうです…」  
せつなそうにリザは声を洩らした。  
…挿れてほしい…  
その事で頭がいっぱいになり言葉に出さないように、のみ込む。  
そんな彼女の残された理性を壊すかのように指の動きが突然激しさを増した。  
 
「あっ!?…いやっ…ああぁぁ…はぁ」  
イッてしまう…どうか、その前に…  
 
「いっ…挿れてぇ…」  
 
「挿れてくださ…ぁあっ!!」  
 
愛液を絡ませていたその指を抜くと、彼女の要求に応えるために、  
ロイはこれ以上膨らみようのない程、大きく硬くなった男根を取り出し  
彼女の中にゆっくりと押し当てた。  
 
ぬぷぷ…  
 
「ふ…はぁぁっ…」  
 
ぐちゅ…  
 
「もっと…奥…奥に……」  
 
リザは挿入が浅いのを感じ、無意識に自身の腰を揺らしていた。  
 
「奥に…ぁ…挿れてくださいっ…」  
理性がふっ飛び、おかしくなってしまったことに彼女自身が気付く余地も無い。  
それほど、マスタングが与えてくる快楽に彼女は支配されてしまっていた。  
マスタングは体を少し起こしながら両手で彼女の脚を垂直に上げ、  
じらすように奥に肉棒を入れていく。  
彼女の尻が完全に浮いたのを確認すると  
深く、奥の方までゆっくりと腰を動かした。  
「あ…ん」  
奥に届く度、たまらず高い声で彼女は鳴いた。  
彼が激しく加速をつけて突き上げていくと、自然とその鳴き声の間隔も狭まり…  
 
やがて二人は絶頂を迎えた。  
 
 
 
 
「風邪スか?お二人揃ってェ」  
翌朝。東方司令部…。  
ハボックの言う通り二人揃って鼻風邪をひいてしまったようだ。  
加え、リザの大腿の内側は筋肉痛で少しこわばっている。  
 
「これは、もしや…お約束……というやつか?」  
「ですね。」  
鼻声の二人が小さく会話を交した。今日はいい天気になりそうだ。  
 
糸冬  
 

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