ここでキスしたのが間違いだったと思う。
「エ、エドまって。まって」
エドの唇はあたしの首すじをゆるやかにおりていき、胸に向かっている。左手は器用に「つなぎ」の服を片手で脱がして、右手は腰をつかみあたしの動きを阻止している。
「エド、ちょっとまって」
「……」
何度めかのあたしの声にエドが顔をあげた。
そして顔を近づけてキス。
あ〜、うれしいけど違うよエド。
「…エド、待ってって」
そっと両手でエドの身体をを押す。
「……やなのか、ウィンリィ?」
うれしいってば、でもねエド。
「エド、ここじゃやだ」
「なんでだ?今日は暖かいし……」
「外はいやなのっ」
そう、今エドと抱き合ってるのは外。草木が生えて今は隠れているけど、道の脇だから、道から少しはずれたらら丸見えの場所。
こんな所、いくら暖かくても景色がよくてもいつ人がくるかと思うとキス以上はぜっーたいできない。
「ここ、道から見えちゃうじゃない!」
エドは身体を起こして道の方を見て眉をよせる。
「そうだな。ここはやばいな。見えちまうか」
そうだよ、エド。家に帰ろうよ。ふかふかのベッドで朝まで一緒に居ようよ。
「エド」
帰ろう、と言おうとした時。
パン
エドの両手の鳴った。そのまま地面に手を付ける。錬金術だ。
その次の瞬間。あたしたちのまわりの草木が勢いよく伸びだした。そしてみるまに森を形成する。
「……」
呆気にとられているあたしに小さくキスをして満面の笑を浮かべてエドが言った。
「これで大丈夫だ。ウィンリィ」
錬金術でできた森のおかげであたしとエドがいる場所は完全に隠れた。けどこれって……
「バカッ豆!」
あたしを抱きしめるエドの頭に躊躇なくポケットのスパナを振り下ろした。
服をなおして、のびてるエドを見る。本当に本当に本当にバカなんだから
史上最年少の天才国家錬金術師……エドワード・エルリック。まさかこんなおばかだとはあたし以外知らない筈、いや知ってほしくない……
(終)