「あんたには立派な足が付いているじゃないか。自分の道は自分で切り開け。」
ああ、この人だ。
彼がくる前まではケビンを失ってしまった悲しさのあまり、私もケビンの後を追っていこうかと思っていた。
しかしそんな時私を導いて下さったのはコーネロ様だ。
コーネロ様はそんな私を見てどういうわけかいろいろと良くして下さり、しまいにはコーネロ様の神
のお力によってケインを蘇らして下さるとおっしゃった。
その言葉を聞いた瞬間、いくらコーネロ様でも死人を蘇らせる事など不可能なのではないか?
当然その考えが頭をよぎった。しかし日頃お見せになるあの力。あれを神の力と言わずになんと言う。
コーネロ様に不可能な事など無いのだ。そしてなによりケインが蘇る。
その事実だけで私は十分だったのかもしれない。仮に、悪魔の化身が私の下に舞い降り、この街の住
人全てと引き換えにケインを生き返らせてくれるというなら私は迷うことなくYES、というだろう。
嬉しかった。本当に。私は・・・確かに嬉しかった。
でも今思えば私は本当にどうかしていた。その事を彼に学んだ。人が生き返る。そんな事が起こる筈
か無いのに。
一身にコーネロ様を信用していたというのに、私は裏切られた。コーネロ様はただ私を利用している
だけだったのだ。
許せない。私の気持ちを踏みにじって・・・・。
そんな負の感情がふつふつと煮えたぎっていく。嫌だ。自分が嫌だ。少し前までは、神のように称え
ていたというのに、今ではこの有様。でも、こんな事を思えるのも彼のおかげ。彼が私の事を助けてく
れたから、私は自分を嫌う事ができるのだ。
あんな事が起きたばかりでこんな事を思うのは不謹慎かもしれません。
あれほどケビンの事を思っていたのに、いきなり心を変えてしまうなんて、尻軽とも思われるかもし
れません。
自分でも今までのケインに対する思いはなんだったのかと考えてしまう。なにより、ケインに申し訳ない。
でもどうしようもないの。彼を思うと私は・・・。
断言します。私、ロゼ・フランクはエドワード・エリックを愛しています。
ここから始まる。ロゼとエドの物語が。