久しぶりにアルたちが来てるっていうんで、あたしはガーフィールさんの店にでかけた。
「こんにちわ! アル…あ…あれ?」
ガーフィールさんに、ウィンリィに、エドに…あれ?
「パニーニャ、会いたかったよ!!」
見たことない男の子が、こっちを向いて嬉しそうに笑って、あたしに抱きついてきた。
「いゃあぁぁぁぁ!!!」
思わず、グーでパンチ。
あたしの拳は、見事に男の子の顎を捉えた。
「パニーニャ! 違うの! その子はアルなのよ!」
床にもんどりうって倒れた彼を抱き起こしながら、ウィンリィがとんでもないことを言い出した。
へっ? アル? これが?
どう見ても、あのいかつい鎧姿だった人には見えない。
鎧になった事情は本人に聞いて知っていたけど…。
なんか、思っていたのと全然違う。
こんな可愛い顔の男の子だなんて思ってもみなかった。
なんていうか、もっとこう、豆兄を巨大したような感じ?
とにかく、おっきな人ってイメージがあったんだけどなぁ。
ちょっと、いい男過ぎない?
「ひどいよ、パニーニャぁ」
あっ、でも、声は同じだ。
ああ、でも…でも…、うん! そうだよね。エドも黙っていればそこそこいい男だし、兄弟なんだからこんなもん?
「あはっ、ごめんごめん。だって、あの鎧姿からじゃ、その顔、想像つかないもん!」
「だからって、殴るなんて酷いよ」
うんうん。確かにアルの声だ。
「なによ、いきなり抱きついてくる方が悪いんでしょ! でも、おめでと。よかったね、元にもどれて」
あたしはアルの頬にキスをした。
「パニーニャ…」
「やだ! 勘違いしないでよ! 今のはおめでとうのキスなんだから!」
「うん。ありがと、パニーニャ」
ちゅっ。
唇にアルの唇が触れて離れた。
「な、なに!?」
「お礼のキス。ふふ、パニーニャの唇、柔らかくて気持ちいい」
「な、なんてこというのよ! 今のファーストキスなんだからね! 返しなさいよ!」
そしたら、もう一度、キスされた。
「これでいい?」
くったくのない瞳で、あたしを見つめてくる。
「いいわけないでしょ! ばか!」
そういって、あたしは逃げるようにガーフィールさんの店を出た。
ばかばか!
どうせキスするなら、二人っきりの時にすればいいのに、どうして!?
なにがこれでいい?よ…。ばか。
でも、アルって、あんなふうに笑う子だったんだ…。
どうしよう、まだドキドキしてる。
もう、あいつの顔、まともに見れそうにないよ。
馬鹿アルフォンス!!