髪を掴まれて、目が覚めた。拘置所の堅いベッドから
為すすべもなく体を引っ張り出され、背をしたたかに
打ちつける。
「痛っ……な、に……」
寝ぼけた声を奪うように、堅い靴先が顎を打った。勢
い余った歯が、舌先をわずかにえぐって血の味を吐き
出す。
声を詰まらせて丸めた体を、平たい靴底がぐっと押し
た。
「騒ぐんじゃねえよ」
「おとなしくしてりゃ優しくしてやるぜ、マリアちゃ
ん」
男の声と続く下卑た笑い。そしてこれは軍靴だ。そう
思うと途端に冷や汗が吹き出た。
看守――それも複数に、今自分は囲まれているのだ。
男の手がまた髪を掴んだ。背中の方へ容赦なく引っ張
られ、丸めていた体が無理矢理崩される。
のけぞらされた喉へ、節くれだった指が触れた。
「とっとと脱がせろ」
蠅が味見でもするように喉の線をなぞり、男は薄く笑
う。
「やめ……」
声を、煙草くさい汗に湿った手のひらが押さえる。背
後に回った男が腕を捻り上げた。骨が痛みに軋み、嫌
な重圧にたわむ。
麻の、肌触りの悪い布地は、上も下もあっさりと大き
く引き裂かれた。支給の質素な下着を太い指が乱暴に
外し、体から取り去る。
「何だ、結構あるじゃねえか」
太い指が、白い膨らみをぐいっとへこませた。そのま
まその柔らかさに酔うように、指の動きを激しくして
いく。
すぐに沸き上がったのは痛みだった。短い悲鳴を上げ
て身をよじろうとするマリアを、背後の看守が押さえ
込む。
「ホントは嫌がってねえんだろ?すぐこんなにしちま
って」
指先が、硬く膨れた突起を摘んだ。
「痛、‥‥‥‥嫌‥‥っ!」
「まだ意地張んのか?んん?」
次第に哀調を帯びてくる声に不意に前に回っていた男
が手を止め、横合いにひざを突いていた男ににやけた
声で言った。
「痛いってよ」
「へえ」
冷たい指が、さんざんなぶられて赤みを帯びた肌に触
れる。
「可哀想にな。どのへんが痛むんだ?」
言うなり、なま暖かく湿ったものが乳房を這い始めた。
小男のぬめぬめした舌が、指の跡を追いかけてうごめ
く。
気色悪さに息を飲むマリアの乳首を、その分厚い唇が
挟んだ。
「ひっ‥‥嫌、やめ‥‥‥‥」
もう片方の突起を余った手がまさぐりはじめる。
「あ、っぁ‥‥、こ、なこと、を‥‥‥して、っ‥‥
あふっ」
歪んだ痛みが何かに化け始めるのを感じながら、マリ
アは涙の混じった声で吐き捨てた。
「許される、とでも‥‥‥あァッ!‥‥っ‥、恥、を、
知りなさ‥‥‥や、あぁんっ」
小男がちゅうっ、と音を立てて乳首に吸いつきはじめ、
啖呵が途切れる。
髪を掴んだ誰かの手が離れ、思ったより若い声で言っ
た。
「恥知らずはテメエだろ?メス豚」
「あ、はぁっ‥‥‥や、嫌、いやあっ‥‥」
ざらざらした舌にしつこく乳首を転がされ、マリアは
かすれた声を吐き出して必死に顔を横に振った。
狂ってる。そう呟こうとした
舌に、生臭い臓器がズッとあてがわれる。
「?!」
上目に目の前の男を見上げ、
マリアは顔をゆがめた。
「ぅっ、ぐ」
喉の奥まで男の肉棒が差し込まれる。骨ばった手が頭を掴む。
嫌悪に強ばる舌に、粘液に濡れ始めた雁首がぐいぐいと擦りつけられた。
「手ぇ抜くなよ、ちゃんと舐めろ」
「やっ、ん‥‥あぁぁっ!」
横に振りかけた頭が乱暴に揺すられ、乳首を激しく吸い上げられる。びくっとこわばる腿を、背後に回った
男が無理矢理掴んで割り開いた。
「ん、んんっ!」
涙がこぼれる。いくら身じろぎしても、汗ばんだ手は外れそうにない。男の荒い鼻息が敏感な場所に当たり、
マリアは濡れた瞳に懇願を湛えて目の前の男を見上げた。
醜い性欲に目をぎらつかせたまま、男はその目に気づいたらしく肉棒を喉から引き抜いて、かすれた声で囁
く。
「マンコに出されたくなきゃ、上の口で飲めよ」
舌が秘部を這い回り、グチュグチュと襞に吸いついた。舌先が唾液を女芯に塗り付け、そこをもてあそぶ。
「あぁっ‥‥わかっ、何でもっ、するから‥‥‥‥っ!」
言い終わるのを待たずに、濡れたままの剛直が喉の内側へ触れるほどにつっこまれた。息苦しさにむせなが
ら、マリアはなんとかその茎へ舌を這わせ始める。ぬめりが舌にまとわりつくたびに泣きたいほどの屈辱が
わきあがったが、それをしなかったときのことを考えると、やめることはできなかった。
「っ‥‥‥んぅ、んん」
その間にも体に貪りつく舌や指は止まらないまま、でたらめなタイミングで刺激をくわえ続ける。
「んふ、うっ」
太い指がいきなり秘部に押し当てられ、襞をぐにぐにと揉み始めた。為すすべもない刺激に腿がうずき、痺
れるような熱を渦巻かせ始める。
びちょ、と粘った水音が響いた。滴りおちた愛液が床に水たまりをつくる。
「この淫乱、もう感じまくってんじゃねえか」
下卑た笑いにうちのめされて俯くマリアの唇を、肉棒の痙攣が震わせた。
「ん、ふあっ……!」
喉から舌までを生臭い白濁に染められてせき込みながら、目をきつく閉じる。乾いた唾液を絞り出しながら
喉を震わせて、吐き出された大量の物を飲み下していく。
「あふ、ぅ……っぅう、ぐっ!」
萎えたものが抜かれて荒い息をこぼした喉に、また他の男の物が差し込まれた。