ひょんなことから。
エドに好きな人がいるのを聞いた。
男とか女とか、そういうのを意識した付き合いじゃなかったからちょっとビックリした。
エドも男の子なんだなぁ。
「ねぇ?
好きな人って誰なの」
ベッドにうつ伏せて眠そうにしているエドに聞く。
「言うかよ。」
「どんな人?」
「…いい奴だよ。」
「その人はエドの事知ってんの?」
「ん〜よく知ってるかな?」
「ねね、もう好きだって言った?」
「…ウィンリィ、お前うるさいぞ。」
「いいじゃん、教えてよ〜」
「まだ…言ってねぇ(ボソ)」
そうか、エドも案外奥手さんだなぁ。
「ん〜じゃぁ、好きな人の事教えて?」
仕方なさそうに起きあがるエド。
「…これで終わりだぞ?
そうだな、取りたてて美人て訳でもないけど愛着のわく顔してるな。
それに表情がくるくる変わってかわいい。
性格はさばさばしてる様で情にアツイ。
そんで………」
途中から話なんて聞いてなかった。
あ、エド、いい表情してるなぁ。
かっこいい。
男の、表情をしてる。
なんだーエドって(ちっちゃくて豆だけど)男だったんだなーって思って。
話してるエドが自分の知らない男に見えてきて。
嫌だ…と思ったときには涙が出てきた。
「エドなんかその女の所に行っちゃえばいいんだー!ばかっ!」
といって枕を投げる。
「ちょっと待て!
俺の話聞いてたのか?!」
心なしか頬が赤い。そんなに好きなんだその人の事。
「きいてたわよ。
『取りたてて美人て訳でもないけど愛着のわく顔してるな。
それに表情がくるくる変わってかわいい。
性格はさばさばしてる様で情にアツイ。』でしょ?」
なんだか機嫌悪そうにエドが促す。
なんだっていうのよ、もう。
「続きは?」
カタイ声で聞かれる。
「続きは…聞いてない。」
エドが何か言ってたのは知ってるけどエドの事でいっぱいでそれどころじゃなかった。
「エドなんかそうやって骨抜きにされちゃえばいいんだ」
なんか良くわからないけど胸の内側がもやもやして痛かった。
そんな私になんだか言い難そうにそっぽを向いて言うエド。
「俺、お前に骨抜きにされてるんだけど。」
は い ?
「『取りたてて美人て訳でもないけど愛着のわく顔してるな。
それに表情がくるくる変わってかわいい。
性格はさばさばしてる様で情にアツイ。』
そんでいつも近くにいてくれてちょっとした気配りも嬉しいし。
何よりよく知ってる奴だからな。
つまりそれはお前って訳だ。
と最後まで聞けばこの様にわかりやすいものを…」
え?え?
エドの好きなのは私で、だからさっきの説明も私の説明で…?
エドに、男の表情をさせているのも、私…?
うっ、うそっ!!か〜と頬に血が上がってくるのを感じる。
「俺はお前にいかれてる。
メロメロなんです。
え〜と、いい台詞出てこないけど。
これでも大佐に頭を下げて教えを請うかと真剣に考えたんだぜ?」
「教えを受けたの?」
「いや、やっぱ男は自分の胸の中から出る言葉を正直に話すべきだと思ってやめた。
…俺の気持ちは届きましたか?」
まっすぐに見つめてくる瞳をなんだかカッコイイと思ってしまった。
「え…あ。うん。届いたよ。ありがとう。」
「で、だな。えーと。そのなんだ。
世間一般で言う所の「恋人同士」になりたいんだけど?」
「…私の知ってるエドならいいよ。」
「なんだそれ?」
「うふふ、秘密〜♪」
この日を境に私達の関係は幼馴染から恋人同士に変化したのでした。