『たまには、あたしが』
いつもあんたがどんなキモチでしてくれてるのか知りたいし、
あたしだってたまにはアンタを鳴かせてみたい。
そう言われて始まった今日の情事。
月明かりの差し込むベッドの上に、
ちょうど『T』を逆さまに見たような影が浮かぶ。
「んっ…あ、はぁ…っ」
「…っ…んだよ、もうギブかぁ?」
そう言って彼女の腰を掴みユラユラと揺らしてやると、
その整った眉が切なげに歪められ、甘い吐息が唇から零れた。
その後も先を催促するように小刻みに突き上げてやると、
どうやら彼女のほうが先に限界を迎えたらしい。
喘ぎ、背をしならせ、内壁をきゅうきゅうと締め付けてきた。
「…っは、今日はおまえが良くしてくれるんじゃなかったっけ…」
「だ…からぁ、いまっ、やってるん、でしょっ、ぁ、ぁ、ぁん、ぁん、」
だから手を出さないでよ、と言わんばかりに腰を振り、
必死に自分を喜ばせようとしている愛しい女。
恋人のそんな姿を見て、理性を保っていられる男は
世の中に果たしてどれくらいいるのだろうか。
気付けば自身の突き上げは最高潮に達していて、耐えられなくなったのだろう、
遂に彼女は子犬のような鳴き声を上げ、きゅぅぅっと内部を締め付けながら
びくびくと痙攣して達してしまった。
「っく…ぅ…」
少し遅れて、男の熱い欲液が彼女の内部にどくどくと注がれる。
「…んぅ…あ…はぁん…」
「は…っ、どうだった…?オレの気分は…っ」
(オレのことは鳴かせられなかったけど)
まだ絶頂の余韻が抜け切らないまま彼女にそう問い掛けると、
少し悔しそうに自分の肩口に顔を埋めてきた。
「これじゃ…いつもとかわんないよ…」
「そうか…?オレは結構良かったけどな」
おまえ、必死でかわいかったし。
そう言って頭を撫でてやると、顔を赤らめてちらりとこちらを見た。
「だってエド、結局自分でも動いてたじゃない」
−アンタは良くてもあたしは良くないのよ。
そう呟いてまた肩に顔を埋めてしまう。
そして。
「………リベンジよ」
「へっ?」
「だーかーら、リベンジよ!あたし、今度こそちゃんと最後までやるから!
絶対エドのこと鳴かせるんだから!」
「……」
先程まで悔しさと恥ずかしさで頬を染めていたとは思えない、
いかにもウィンリィらしい強気な言葉が飛び出して、
呆気に取られると共になんだか可笑しさが込み上げてくる。
「くくっ」
「あ!なに笑ってるのよ!どーせあたしには無理だー、
なーんて思ってるんでしょー!」
「ああ?んなことね「いいわよ。なら、あたしがちゃんと上手くできるまで
今夜は寝かせないんだからね!覚悟しなさいよ!」
「…くっ」
「あ、また!何がそんなに可笑しいのよ!!もうっ」
恋人たちの夜が更けていく。
翌朝、全身に所有印を付けられてふて寝するエドワードと
その隣で満足気に眠るウィンリィの姿があったとか。
…なかったとか。
終