目が覚めるとそこは知らない場所だった。
冷たい石の床。
そこに転がっているウィンリィ。
(ここ、どこだろ…)
起き上がってみようとして気が付いた。
(何これ…?)
口には猿轡。
背中に回された両手と、両足に木の板に穴を二つあけたような形の枷がはめられている。
そして動くたびに鎖の音。
足を伸ばそうとしてみても途中で腕が引っ張られる。
手の枷と足の枷が鎖で繋がれて―――拘束されている?
そう思った時、近付いて来る足音に気が付いた。
コツ、コツ、コツ、コツ。
ゆっくり近付いて、止まった。
「起きたのね。」
そこに現われたのは妖艶な美女。
つややかな、癖のある黒い髪と、胸の開いた黒いドレス。
黒一色の中に、胸元には赤い、刺青がある。
「ウィンリィちゃん、だったかしら?
かわいいわねぇ。 」
こちらに近付いて来る。
どうして自分の名前を知っているのか、近付いて来るラストから少しでも離れようともがくウィンリィ。
「怖がらなくていいのよぉ。どうして名前を知っているか、私が何者なのか…知りたい?」
ウィンリィの怯えさえ楽しむような声音。
恐ろしい、でも目が離せない。
ウィンリィはコクコクと首を縦に振る。
「私の名前はラスト。私、あなたの事、気に入っちゃったのよね」
そういうとラストはしゃがみこみ、ウィンリィの腕を指先でツッと撫でた。
ウィンリィの体がビクッと震える。
「まだ若くって肌がプルプルしてる。いいわねぇ」
ウィンリィの反応を楽しみながら耳元で囁く。
「もう鋼の坊やとはシたの? 」
一気に顔に血が上るウィンリィ。
一生懸命に首を横に振っている。
「あら、かわいい。
真っ赤になっちゃって。
照れ屋さんなのね。 」
立ち上がりながらけらけらと笑うラスト。
「いい子にしてたらおねーさんが気持ちイイ事教えてア・ゲ・ル。
…教え甲斐がありそうだわ。 」
立ちあがってラストが向かった先には黒い布。
「ふふふ。
こっちの子はどうかしら? 」
黒い布が外されると目に飛び込んできたのは肌色。
(リザ、さん…?)
黒い布を取り払った先には白いシーツの広いベッドの上に、
リザ・ホークアイ中尉が転がされていた。
ウィンリィと同じように手足につけられた木枠の枷とそれを繋ぐ鎖が見える。
ただ手枷と足枷を繋ぐ鎖は短く、前に回っている事。
それと、服を、着ていない。
それだけがウィンリィとは違った。
いつもきちんと整えられていた金髪は乱れ、白い肌に張り付いている。
「残念だけど、その手枷は取れないわよ」
ラストがリザに話し掛けているがウィンリィには聞こえていなかった。
目の前の光景を理解しようと必死だった。
いつもしっかりとした感じの、綺麗な人だと思っていた。
今、目の前には拘束された成熟した女の体。
ウィンリィとは違う。
食い入る様にリザをみつめるウィンリィをみて声を掛ける。
「軍人さんはね、体のどこに武器を隠してるかわからないでしょう?
全部剥かせてもらったの」
少し笑うとラストはリザの腕を取る。
「こんなに暴れて。
血が出てるじゃないの。
綺麗な肌なのに勿体無い」
言って、傷口を舐める。
と、リザが近付いたラストの顔を打った。
鎖で動かせる範囲が少ない為、ダメージは与えられなかったが、
相手を怒らせるのには十分だった。
「…少しお仕置きが必要なようね? 」
リザがラストを睨みつける。
「そんなに睨んじゃって、怖いわぁ。
ゾクゾクしちゃう」
ちっとも怖がった様子は無い。
明らかに楽しんでいるラスト。
罠にかかった獲物をどうやって料理しようか、焦らすような瞳。
リザの体を起し、ウィンリィの方を向かせる。
ちょうどベッドの上で三角座りのような姿勢で座らされるリザ。
ウィンリィからは丁度リザの脚の付け根がよく見えた。
「リザちゃんは自分で自分を気持ちよくするところを
ウィンリィちゃんに見せてあげて頂戴?」
そしてリザにしか聞こえない様に声を落として一言。
「…鋼の坊やの可愛い人をあなたと同じ目にあわせたい?」
ふふっと楽しそうに笑うラスト。
「上手に出来たらご褒美をあげるわ」
ウィンリィを人質に取られては従わないわけにはいかない。
リザは僅かに脚を開くと不自由な手で自らに刺激を与え始めた。
そっとウィンリイの後ろに立ち、肩に手をかけるラスト。
「よく見るといいわ」
普段乱れを知らない女の乱れる様を。