†おフロでGO!†  
 
宿泊所の部屋に完備されているお風呂の中・・  
「君の〜手で〜・・切〜り裂〜い〜て〜・・・・♪  
遠い〜日〜の〜・・・・記憶〜を〜・・・・・・・♪ アハハン」  
エドワードが湯舟に浸かりながら、鼻歌を歌っていた。  
・・何故最後が「アハハン」なのだろうか・・  
最初は、二人で一緒に入るはずだったのだが・・・・  
 
(数分前)  
『一緒に・・・おフロでも入ろっか?』  
『へ?』  
『背中ぐらい・・・流してあげ・・・・・・・  
・・・・・・・・・・・・!』  
『ウィンリィ? どうしたんだよ!?』  
『・・・・・・・・・・・・・・・・・  
おトイレ・・・・・・・・・・・・・・・』  
『はい???』  
『ごっ、ごめんね!! お湯は沸いてると思うから先入ってて!!』  
『ポカーン・・・・・・・』  
 
・・・てな具合になったのである。  
 
「ったく。腹こわしたんなら無理にやるなっつーの」  
半分は君のせいだぞ。エドよ・・・・  
浴槽のはしっこには、派手な絵の書いてある入浴剤が破かれて落ちている。  
それには、こう書いてあった。  
『機械鎧(オートメイル)の人でも安心!  
ツ○ラ 温泉のもと 登別カルルス』  
この登別・・・なんとかがどこなのかよくは知らないが、ウィンリィが前もって入れてくれたのである。  
洗面所には、幾つかの入浴剤があると言うのに、わざわざ買って来たのだろう。  
そんな彼女の優しさに、思わず笑みがこぼれる。  
「・・・ありがとよ」  
そして、その彼女が作ってくれたこの右腕を、そっと撫でる。  
この時エドは、ある男の言った言葉を脳裏に思い浮かべていた・・・  
 
 『確かにその左脚は 君の罪の証かもしれない』  
 
 『だがその右腕は違う』  
 
 『その右腕は 君と 君の弟と その右腕と左脚を作ってくれた人との魂の絆の証だ 』  
 
「絆・・・・・かぁ・・・・」  
エドは、湯舟に顔の半分までぶくぶくと入った。  
 
 
一方、ウィンリィはと言うと。  
「あー・・・すっきりしたー・・・・」  
バスローブ姿でスッキリツヤツヤとした顔でトイレから出て来た。  
「さーてと・・・・エドの背中流してあげる前に・・・・  
パジャマの用意でもしてあげよっと」  
そう言って、エドワードのトランクをマイナスドライバー一本であっさり開けてしまう。  
「えっと・・・・・パジャマはどこかな・・・・・と」  
幾度か荒らしてるうちに、エドの替えの下着と寝巻きが見つかった。  
「・・・ププ。 熊さん柄・・・・・・ ・・あら?」  
トランクの真下に、手帳がある事に気付いた。  
「ボロボロの手帳・・・・なんだろう」  
そこに書いてある事は、ウィンリィにはぜんぜんちんぷんかんぷんだったが、最後のほうに、4、5枚の 
写真が挟んであった。  
一枚目は、小さい頃のウィンリィとエドワード、アルフォンスと写ってる写真。  
「(エド・・・・まだこんなの持ってたんだ)」  
二枚目は、エドとアルと、やたらでかい男と長髪をドレッド状にした女性が写っている。  
「(師匠さんね・・・・エドやアルがあんなにビビるなんてどんな修行だったんだろう)」  
三枚目は・・・・・・彼の母親の写真。  
「(・・・・・・・エド・・・・・)」  
そして、四枚目は・・・・・・・・  
「(あ、あれ? この人誰なんだろう・・・・)」  
それには、ウィンリィが今までに見た事のない青年が写っていた。  
「(誰なんだろう・・・・この人。)」  
黒髪を無造作に分けた、ワイルドな風貌。  
肌の色は、自分たちよりも少し浅黒い。  
だがしかし、そのキリリとした眉と鋭い瞳が、知性と意思の高さを思い知らされる。  
そしてその眼は、どことなくエドに似ていた。  
「(もしかして、エドのお父さん? ・・・・そんな訳ないか。髪の色が違い過ぎるもん。  
同じ黒髪でも大佐さんとも違う・・・・異国の人だよね・・・・この肌の色は)」  
裏を見ると、かすれてよくは見えないが、名前のようなものが書いてある。  
「・・・えっと。『T・Hong・・・・ Ka・・・n・・・der』?  
読めないな・・・・・・」  
ウィンリィは、ハッと気付いた。  
「いけない! こんな事してる場合じゃなかった!!」  
慌てて荒らしてしまったエドの荷物を寝巻きと下着だけを除いて戻した。  
そして手帳も元の場所にしまっておく。  
「エドー、入っていい?」  
 
五枚目の写真を確認する事なく。  
 
 
「エドー、入っていい?」  
「だっ! ちょ、ちょっと待て! まだ・・・」  
ウィンリィが呼び掛けると素っ頓狂な返事が返って来た。  
「・・・ムフー。さてはアヒルちゃ〜んとでも戯れてるわね〜」  
「・・んなんじゃねーって! とにかく、まだちょっと・・・」  
妙に焦るエドワードをよそに、ウィンリィはさっさとバスローブを脱いでバスタオルを身体に巻いた。  
「もう遅いわよ! 入りまーすv」  
ガラ。  
その瞬間、ウィンリィの眼に飛び込んだエドの姿は・・・・・・  
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」  
顔中を、泡のようなクリームで覆っているエドの顔だった・・・  
「・・・・・・アンタ誰?」  
「オレだっつーの・・・・・」  
 
見ると、手にはヒゲ剃り。  
「ひょっとしてエド・・・・・おヒゲ剃ってたの? っつーか生えてたワケ?」  
「あー・・・・ぜってー言われると思った。  
だからお前が入る前に剃りたかったんだよー・・・・」  
そう言う彼は二次成長期。ヒゲが生えないほうがおかしい。  
ふてくされながらシャワーのお湯を使って顔のシェービングクリームを落とすエド。  
一応ちょうど剃り終わったときだったらしい。  
「っつーかウィンリィ! お前こそ何だそのカッコは!!」  
「・・・はい?」  
「風呂とは男女差別のない昔からの社交の場!  
そんな重装備のバスタオル巻いてくるなんざ言語道断だっつーの!!」  
・・確かに正論である。  
「わかったわよ。バスタオル取ってくるから後ろ向いて入っててちょーだい」  
「お、おう」  
エドの妙な迫力に押されたウィンリィは、言われた通りバスタオルを取って扉から洗面所に投げた。  
そして、お湯を二度、三度身体にかけた後、背中を向いているエドの隣の空いているスペースに入る。  
その艶かしい音に、エドの心臓はバクバクと音を立てていた。  
「・・・こーやって入るの・・・・五歳ぐらいのとき以来だね・・・」  
「・・あ、ああ・・・あんときはアルも一緒だったけどな・・・」  
互いにさっきまで肌を重ねていたのに、妙にドギマギしてしまう。  
 
ウィンリィが、エドワードの方をチラリと見る。  
「(エドの背中って・・・こんなにおっきかったんだ)」  
確かにエドの身体はまだ成長中とはいえ、体つきは武道を習っているだけあって既に並の青年以上。  
そして、普段は三つ編みになっている髪はほどかれている。それだけでも普段の印象とは全く異なる。  
「エドの身体って、こうしてみると傷だらけだね・・・・」  
「ま、まぁな・・。お前の知らない所で修羅場くぐり抜けて来たからなぁ」  
そう言いながら、エドもウィンリィをチラリと見る。  
「(ううー・・・やっぱり色っぺー・・・ガキの頃とはダンチだよ全く)」  
しっとりと濡れたうなじ。ほんのりと桜色に染まっている肌。そしてお湯に浮かぶ彼女の奇麗な髪。  
 
そして、5分ぐらい経つと・・・・・。  
「うにゃー・・・・今度みんなで温泉行きたいねー・・・・」  
「あー。俺やアルが入れるよーなとこがあったらなー・・・・」  
「そーねー」  
二人とも自然とリラーックスしていた。  
その手は、お湯の中でもしっかりと握りあっている。  
 
「なぁウィンリィ」  
「・・・なぁに?」  
「もしもさあ・・・・・・自分の意志と関係なく・・・永久に歳をとらなくなっちゃったらどうする?」  
「・・・え?」  
突然のエドワードの質問に、ウィンリィは少し戸惑った。  
「それって・・・不老不死ってこと?」  
「・・ああ。なんとなく・・・・で、どうなの?」  
「ん・・・えーと・・・・・・そうね」  
少しだけ考えた後、ウィンリィは答えた。  
「・・・・・そうね・・・あたしはイヤかな。  
だってあたしは普通にエドやアルと年を取りたいもん。  
あたしだけ若いまんまでエド達がおじいちゃんになるなんて考えたくもないわ。  
・・・まぁ、よぼよぼにはなりたくないけど・・・ね」  
「・・・そっか」  
エドはその顔をお湯でジャバジャバと洗う。  
「っきゃ?」  
そして、ウィンリィの頭を自分の頭の横に引き寄せる。  
「ウィンリィ」  
「な、なに・・?」  
「お前を好きになって良かった」  
ウィンリィの顔が真っ赤になる。  
見えないが、自分を抱き寄せる彼の顔もきっと自分と同じ色だろう。  
「・・・・・・・・・な、なんで今更言うのよ・・バカ」  
周りに立つ湯気も、もうお湯なのか自分から出たものなのかわからない。  
 
彼は知っている。  
望んでもいないのに永遠の命を得てしまった人間を。  
一人は彼の弟。  
そして、もう一人・・・  
 
「あ、あの〜エド?」  
「なんだ?」  
「し、下に・・・・・なんか固いものが・・・・」  
見ると、固くなったエドの肉棒がウィンリィのおへそのところにぴったりと貼り付いている。  
「あ〜ごめん。 ・・・・感じたか?」  
「もう・・・・バカ!」  
ウィンリィが、エドの顔を水に浸ける。しかも・・・思いっきり。  
「ガボゴボ・・・・・ぷぁ!  
こ、殺す気かこの凶悪オンナ!! ゲホゴホ・・・」  
「調子に乗ったバチよ!  
ホラ上がって! 言った通り背中流してあげるから」  
「・・・あ、ああ・・・・・」  
ウィンリィに言われた通り、エドは風呂釜から出る。  
「(・・・・・・うわー・・・・)」  
すると当然、ウィンリィの眼前に彼の勃起したものが見える訳で。  
 
「・・はーいお客さーん。お背中お流ししまぁーす」  
「はーい・・・って、そんなセリフどこで覚えたんだよ??」  
 
妙なトコロでツッコミながらも、ウィンリィの前でちょこんと座るエドワード。  
「(・・うー。妙に緊張するぜ・・・・・)」  
後ろからは、わしゃわしゃと泡立てる音が聞こえる。  
「じゃあやるよ。痛かったら言ってね〜」  
「はいはい。オテヤワラカニ・・・」  
次第に背中に、スポンジと泡の心地よい感触が伝わる。  
彼女の力加減は、痛くもなく痒くもなく、ちょうどいい感じだった。  
「どお? 痛くない?」  
「あ、あー・・・・・なんとも言えません」  
後ろから見えるエドの顔が、次第にポワーンとした締まりのない顔になる。  
「エドったら、オヤジー」  
「うるせー。彼女に背中流してもらうなんて男冥利に尽きるっつーの」  
「(・・・・キュピーン)」  
そんなエドに対し、ウィンリィにちょっとしたイタズラ心が芽生えた。  
 
ムニュ・・・  
「・・いっ!?」  
突然、背中の感触が変わった。  
「ほらエド、じっとしてて」  
「お、おまえ・・・・・なんつー事をっ」  
「さっきのお返しよ。ホラ動かないで」  
ウィンリィはスポンジの代わりに自分の胸を使ってエドの背中を・・  
「あたしの胸、あんまりおっきくないから気持ちよくないと思うけど・・」  
「い、いや、そんな事は・・・・・・っっ!」  
 
背中越しでも、そのいやらしい感触は十分に伝わってくる。  
「お客さーん。いかがなものですかー?」  
「だ、だーかーらどこでそんな言葉覚えたんだよ!」  
・・ツッコミどころが違う。  
それはさておき、むにゅむにゅとしたウィンリィの胸の感触は、次第にエドを興奮させる。  
「(こ、こいつっ調子に乗りやがって・・・・おしおきしちゃる!  
でも・・・どうやって? ・・あっ。気持ちイイ・・・)」  
そのスポンジとは格段の差の柔らかい感触。ツンと張った乳首・・  
「(・・・・ん? 乳首? ひょっとしてウィンリィも感じてんのか・・・  
そーいやコイツ、乳首性感帯だったっけ)」  
エドはウィンリィとは逆の方向に背中を動かした。  
「ちょ・・ちょっ! じっとしててって言ったはずよ?」  
「う、うるせー。お前にばかり攻められてたまるかっ・・・」  
二人はもう意地になってそれぞれ逆方向に身体を揺らす。  
「こ、これじゃ洗えない・・・・あっ、や、やめ・・・ひゃんっ!」  
たまらず嬌声を上げるウィンリィ。  
声と同時に彼女の動きがストップした。  
「・・・まだまだ!」  
「ちょ、あたし動き止めたのに・・・・あん! だめぇ!」  
そんなのをお構いなしにエドは動きを止めようとしない。  
「ほれほれ。ギブアップって言うか?」  
「ふあ、あっ! ぎ、ぎぶあぁ〜っぷ・・・あん!!」  
勝負あり。 エドワード・エルリックのKO勝ちである。  
 
「さーてー。洗ってもらってばっかりじゃ申し訳ねーからオレがやってあげる番ですねぇ」  
そんなエドワードの眼は、まるで料理の鉄人。  
「・・・・うー・・・爪立てないでよ」  
さしずめウィンリィは、これより鉄人に料理されるまな板の上のコイと言った所か。  
「アイアイサー」  
妙に嬉しそうである。  
 
「・・ん、そこ、脇の下も・・・・」  
ウィンリィの心配をよそに、エドワードの洗い方は丁寧だった。  
「・・・! あふ。あっ・・・・ なんか、やらしい・・・・」  
「お前が感じやすいんだよ」  
ただひとつ、性感帯をいやらしく重点的にいじると言うのを除けばだが。  
「・・おいウィンリィ」  
「・・・な、なに・・・・」  
「足広げろよ。一番大事なとこ洗えねぇじゃん」  
「や、やだ・・・・そんなとこ、自分でするよぉ・・・」  
「いいから広げろ」  
ウィンリィは真っ赤になって、エドワードの言う通りにその長い足を広げた。  
「もう濡れちゃってるのかよ。やらしいな」  
そう言って、熱く濡れる彼女の秘唇に舌を入れるエド。  
「!! エ、ド・・・汚、いよぉ・・・・あっ!」  
「なんか、オレのが少し混じってるから変な味するな。  
っていうか・・・・オマエ力入れ過ぎだよ。オレの舌千切れちまうぞ」  
「そ、そんなの・・・・わかんないよぉ・・・・んっ!」  
「・・・でもさぁ。こんなちっちぇー穴にオレのアレが出たり入ったりするんだろ?  
それに赤ん坊だって・・・さぁ。やっぱ、人間て凄ぇよな・・・・女の子って・・・すげぇ」  
 
そんな事を言いながら、エドワードのクンニは激しさを増す。  
「お客さぁん。なんか舐めても舐めても溢れてきますよぉ?」  
薄い金髪の陰毛をかき分けて、ワレメとクリトリスを丹念に舐め回す。  
「な,なんでエドまでそんな言葉に・・・あ! ンン! そこぉ、もっとぉ!」  
その激しいクンニに、ウィンリィの気持ちもどんどん高ぶっていく。  
だがそれは攻め続けてるエドワードも一緒だった。  
「ウィ、ウィンリィ! な、なんかオレもうたまんねぇ!  い、いいだろ?」  
エドワードのペニスは勃起しきって、はち切れそうになっている。  
「い、いいよ、あたしも、来てっ! 来てェエドぉ!」  
ウィンリィの言葉の後、エドワードは半分のぼせてしまいそうな気分になりながら勃起しきったペニス 
を彼女の秘所に当てがい、  
「くううっ!」  
「んぁっ、ああ!!」  
一気に捻り挿れた。  
「アッ,エド,ぃい、気持ちいいよぉ! もっと、ああん!」  
「くっ! やっぱりすげぇっ・・! はぁっ、はっ・・!」  
エドワードはウィンリィを抱き寄せ、そのまま腰を激しく打ち付ける。  
その度にウィンリィの秘所は彼をやすやすと受け入れつつもギチギチと締め付けていく。  
 
「ウィンリィっ! オレ、も、もう限界っ・・!」  
「ふあ、あん! あ、あたしも、もうだめぇ!」  
興奮しきった二人は、いつもよりも早い絶頂を迎える。  
「ウィンリィっ・・・・ウィンリィ!! うあっ、くっ!」  
エドワードは最後の力とばかりに激しく腰を突き立て。  
「ああ! エドぉ、いっちゃううう! ダメぇ! エド、エドぉーーーー!!」  
ウィンリィもそんな彼をきつく抱き締める事で受け入れた。  
 
ドクン、ビュク! ビュクン!ビュク、ビュクッッ・・・!!  
 
「あ、あ、あぁ・・・・エドのが・・エドのがいっぱいっ・・・」  
同時に絶頂を迎えた二人は、無言で抱き締めあい、激しいキスをしあう。  
唇が離れると同時に、エドワードがくてっと、ウィンリィに覆いかぶさった。  
「やだ・・・重いよエド・・・」  
そう言いながらも、愛しい彼をぎゅっと抱き締めるウィンリィ。  
その時、彼の異常に気付いた。  
「(・・・・熱い?)え,エド?」  
顔を見ると、エドワードは目を回していた。  
「エド??? どうしちゃったのよ?」  
入浴剤の裏面には、大きくこう書いてあった。  
 
『使用上の注意  
1.当社の製品は機械鎧の方でも安心して入浴できますが、機械鎧の構成物質によって熱伝導を起こす場 
合がありますので念の為一時間以上の入浴は控えて下さい。  
2.入浴した際は蒸発した成分でお風呂場が軽いサウナ状態になりますのでご注意下さい。  
3.乳幼児の手の届かない所に保管して下さい。』  
 
「ど、どうしよう・・・・」  
 
 
『・・・なぁ・・・エドワード君。アルフォンス君。  
君達には・・・・好きな女の子とかはいるか?』  
『・・・・ぶっ!! な、なにいきなり言うんだよホンゴウさん!』  
『そうですよいきなり・・・・』  
『・・どうなんだ』  
『いると言えば・・・いるけど・・・・』  
『・・オレも・・・・それより、ホンゴウさんはどうなんだよ!』  
『いた・・・・。だが、俺にはもう・・・そんな資格はない・・・』  
『それじゃあ・・オレ達だって・・・・』  
『そうですよ・・・・・禁忌の身体という点じゃあボク達は同じじゃないですか』  
『・・・・・いや。君達は違う。  
君達には、俺になくて君達にあるものがあるさ』  
『えっ・・・・・』  
『その魂の奥に輝いている、可能性だ』  
『ホンゴウさん・・・・・・』  
『俺はもう、この呪われた身体から逃れる事はできない・・・・  
だがまだ君達には可能性がある。元の身体を取り戻す事も、人を愛する事もできる』  
『だったら何故・・・・貴方は戦うんですか?』  
『「錬金術よ 大衆の為にあれ」 ・・・それと同じ事さ・・・』  
『ホンゴウさん・・・』  
『大切にしろよ。自分が愛している人を。自分を愛してくれる人を・・・』  
 
 
「う、うーん・・・アレ。ここはベッドじゃねぇか」  
エドワードの目が覚めたときには、既に朝になっていた。  
「オレ、どうやってここに来たんだっけ・・・・・  
まぁいいや。もう少し寝よう・・・・・・・・・・・  
・・・・・・・・・・・・・げっ!!」  
同じベッドで、ウィンリィは寝息を立てていた。  
そして、よく見ると自分は下着だけの姿。  
「・・・ウィンリィが運んでくれたのか・・・・」  
彼女を起こさないようにそっとベッドから降りると、自分のトランクをなるべく音が立たないように開 
けた。  
「(・・あいつ、オレのトランクこっそり開けたな・・・・・まぁいいや)」  
そして一番奥に閉まっておいた古ぼけた手帳を取り出すと、その中から一枚の写真を取り出した。  
「・・・・こんなの、恥ずかしくて見せられねぇや・・・」  
その写真には、ウィンリィの満面の笑みが写っていた。  
 
そしてその裏には、エドワードの筆跡でこう描かれていた。  
 
『The Gooddess of mine (オレの女神様)』  
 
 
 
「兄さん、おはよー」  
突然、アルフォンスが入ってきた。  
その手には、お菓子の缶がある。  
「・・・・・ギクッ!! の、ノックぐらいしろよアル!!」  
突然の来客にビビり、慌てて写真と手帳をしまうエド。  
「ノックは5回もしたんだけど・・・・・」  
「え。そうなの?」  
そんなやり取りの中、ウィンリィが目を覚ました。  
「・・・・うーん。あ、アルおはよー・・」  
「あ。お早うウィンリィ」  
「いい匂い。何持ってるの?」  
ウィンリィの視線は、早速アルの手に持っているお菓子の缶に注がれた。  
「ああこれ。朝御飯の前に食べさせてあげようと思って・・・・」  
「・・何だよ。さっさと見せてくれよ」  
その甘〜い匂いに、エドワードも興味津々である。  
「下のお土産屋で買ってきた・・・・」  
アルは、その缶のふたを開けた。  
「クッキーだよv」  
そのクッキーには、白濁色の汁が・・・  
「「はぁぁぁぁぁ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜??????」」  
二人同時に、意味不明の声を上げた。  
「こ、これ牛乳がかかってねぇか?」  
「違うよ・・・・これ、シュガーシロップのやつとチーズだよ・・」  
「お、おんなじだ! 変えてもらってこいアル!!」  
「おいしいのに・・・・って言うか、なんでウィンリィまで嫌がってるの?」  
「いやー! もうしばらくは牛乳はこりごりよー!!」  
「ふたりとも、ワガママだなぁ・・・」  
 
アルは、何も知らない・・・  
 
 
†おしまい†  

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