私の名前は三日月夜空。高校二年生だ。
 
私にはトモちゃんと言う、可愛くて成績優秀で運動神経抜群で  
誰からも好かれるパーフェクトな親友がいる。  
トモちゃんさえ居れば、私は他に友人など要らない。  
金髪碧眼の巨乳リア充だの、従順で気の利く執事美少女だの、  
しょっちゅう髪型と髪色を変える色目使いの眼鏡腐女子だの、  
そんなものが居なくても十分楽しいし、十分幸せだ。  
 
ただ強いて言うならば。  
幼いころに離れ離れになった親友、羽瀬川小鷹――  
彼さえ居てくれれば、もっと良かった。  
唯一無二の親友として友情を深め合い、助け合い、  
ひょっとしたら同じ中学に通えて、同じ高校に通えたかもしれない。  
そしていつか小鷹も私に対して、友情を超えた感情を抱いてくれたかもしれない。  
彼が何も言わずに……いや、私がその機会を与えなかっただけか、  
何も言わずに私の前から消えてしまった事が、今でも悔やまれる。  
 
ところが神様は私を見捨ててはいなかった。  
いやむしろ私が神だ。  
神の力が導き出す必然によって、目の前の幸福を引き寄せたのだ。  
 
「転校生の羽瀬川小鷹です」  
 
小鷹が……いや、タカが今一度私の前に姿を現してくれた事は、  
私にとって幸運だの奇跡だの僥倖だのといった言葉では言い表せられない。  
彼はすぐに私に気付いてくれた。  
「ソラ! ソラじゃないか!」  
「久しぶり、タカ」  
「え、え? 女子の制服って……ソラ、女だったのか!?」  
二人だけで盛り上がる私達に、クラスメート達はザワついている。  
成り行きが分からず、虚を突かれているようだった。  
 
それ以来私と、トモちゃんと、タカの三人で、よく遊ぶようになった。  
「それにしても十年前かぁ。よく俺の事が分かったなぁ」  
「そっちこそ。私の事、男だと思っていたんだろう?」  
「そうだな。もしソラが髪を伸ばしてたりしたら、気付かなかったかもしれない」  
あぁ、良かった。  
美容院に行くのを面倒くさがって自分で切ってたりなんかしたら、  
タカは全然気付いてくれなかったかもしれない。  
 
そうして私達二人の、いや三人の仲は、急速に縮まっていった。  
「あ、そこぉ……感じるぅ……」  
さすがトモちゃん。  
初めてなのに、私が乳首が一番感じるという事を早くも掴み取ってくれた。  
「ヤダぁ……そんなトコ舐めたら汚いよぉ」  
タカはちょっとズルい。  
私の恥ずかしいところを、一方的に攻めたててくる。  
快感が少しずつ上り詰めてくるに従い、やがてタカも抑えきれなくなったようだ。  
「ソラ……俺、もう……」  
「うん……来て……タカ……」  
あぁ、私の濡れそぼったヴァギナの中にタカの  
 
・  
・  
・  
・  
・。  
 
そこで夜空は、腕組みして考え込んでしまった。  
「なっ……何と書けば良いんだ……」  
原稿用紙の上を走らせていたボールペンを机の上に放り出し、  
背もたれに体を預けてしばし考え込む。  
男性器の事を何と表記するべきか分からない。  
と言うよりは、男性器を表記する事そのものに抵抗がある。  
「誰に見せるわけでもないのだから、別に何でも良いのだろうが……  
 なぁ、トモちゃんはどう思う?」  
自分の右側、誰もいない空間に向かって問いかける。  
――おちんちんとか、チンポとか?――  
――ヤダ、恥ずかしくて私そんなの書けない///――  
そんな幻聴が夜空の耳に届く。  
「うんうん、そうだろうなぁ。トモちゃんは奥手でウブだからなぁ」  
奥手でウブなのは、私自身じゃないか……。  
心のどこかで、冷静にそう突っ込む自分がいるのも確かだった。  
実際、おちんちんとか、チンポとか、そういった単語を書く事に、  
夜空は並々ならぬ抵抗を感じていた。  
それを架空の親友トモちゃんに代弁させていただけに過ぎない……脳内で。  
 
もしも、全てがうまくいっていたなら。  
そんな妄想の下に書き始めた、自分自身と小鷹とのラブストーリー。  
原稿用紙につらつらと書き進めている内は良かったものの、  
元々彼女には創作のセンスというものは備わっていなかった。  
 
もしも再会した時から自分が髪をショートにしていたら?  
そうであったなら、小鷹は最初から親友ソラの正体に気付いていてくれただろう。  
当然夜空の方としても、彼と会う口実のための隣人部など創設する事は無かった。  
幼馴染として、親友として、ごく当たり前に会い、ごく当たり前に遊んでいた筈だ。  
そしていつかは二人の間に愛情が生まれていたかもしれない。  
そうであったなら、最初から隣人部など創設する必要も無い。  
隣人部は所詮、小鷹と二人きりで会うための口実に過ぎなかったのだから。  
 
もしも隣人部が存在していなかったなら?  
当然、星奈が小鷹と今程深い交友を持つ事も有り得なかっただろう。  
理事長絡みでいずれは再会し旧交を温めていたかもしれないが、  
少なくとも今程多くの時間を共にする事は無かったに違いない。  
 
幸村は隣人部が無くても小鷹には強い興味を抱いていたが、  
部活動が無ければ小鷹とそれ程親しい関係にはならずに済んでいたかもしれない。  
 
理科は昏睡したところを小鷹に助けられたそうだが、隣人部が無ければ  
こうまで下級生の彼女が小鷹と接触する時間を増やせたとも思えない。  
 
マリアの小鷹に対する好意は恋愛感情ではないからどうでも良いとしても、  
どっちみち隣人部が無ければ一生小鷹と会わなかったであろう最たる人物だ。  
 
小鳩は小鷹の実妹だから心底どうでも良い。  
法律上、未来永劫にわたって恋敵にはなり得ない。  
 
遡れば、夜空が最初からショートカットであったなら、  
夜空にとって全てがうまくいっていた筈なのだった。  
「惜しい事をしたなぁ……髪を切ってさえいたら、  
 私が小鷹にとっての『一番』に、簡単になれていたのに」  
全てがうまくいっていたら、という仮定の下に執筆している、  
想い人と自分との残念極まりないラブロマンス妄想小説。  
夜空はその原稿を見下しながら、いつしか手が自然と秘部に伸びている事に気付いた。  
「……ハッ! 私は何をしようとしてたんだ!?」  
寝る前だったので、ノーブラでタンクトップ、下はパンティだけという、  
身軽ながらも無防備で艶めかしい格好をしている。  
「くっ、も、もう……こんな事、やめなきゃいけないのに……」  
いつもいつも、終わる度に、もう二度とすまいと心に誓う。  
仮にも女の子なんだから、こんな事をしていてはいけないのだと決心する。  
だのに、気が付けばまた、自慰を始めようとしている。  
指と股間がウズウズとしてくる。  
「全く、自分を慰めるとは、よく言ったものだな……」  
ひょっとしたら有り得たかもしれない幸福な光景。  
小鷹と並んで歩き、小鷹と繁華街ではしゃぎ、小鷹と夕食を食べ、小鷹と眠る。  
そんな光景を思い描きながら、今夜もとうとう、彼女はオナニーを始めてしまった。  
まだ怖いから、自分の指ですら直接は中々触れない。  
彼女はいつもパンティの上からしか擦らなかった。  
豪快なようでいて臆病な彼女の性格が、こんな所でもよく表れていた。  
「ふっ……ふぅうっ、んんっ!」  
程なくして、彼女はイった。  
 
 
翌朝の彼女は、酷く慌てていた。  
日曜日なのだから登校する必要は全く無いのだが、待ち合わせがあった。  
隣人部の部室に置くための本棚を買い付けに行こうと、  
小鷹と約束していたのだった。  
正確に言うなら、夜空が約束したわけではない。  
部室で本を読むのは彼女や理科にとって日課となっていたが、  
読みかけの本をわざわざ持ち運ぶのは面倒だからと、  
机や棚の上に置きっぱなしにして帰宅する事が多々あった。  
理科はどうだか知らないが、少なくとも夜空は家では自習に割く時間が多かったので、  
あまり自宅で本を読む事が無かったのだった。  
読まないと分かっているハードカバーの本をいちいち持って帰るのは億劫だった。  
だから一時的に置いておく分だけ詰め込めるように、  
小さなカラーボックスを設置してはどうかと、幸村が提案したのだ。  
 
提案したのは幸村だったが、乗り気になったのは何故か星奈だった。  
小鷹とデートに行く大義名分として、簡易本棚の買い付け案を利用したのだ。  
幸村と理科が悔しそうな顔をしていたが、運悪く双方とも用があったため、  
小鷹と星奈のデートに割り込む事が出来なかった。  
そこですかさず夜空が割り込んだのだった。  
「肉は本など読まないのだから、棚の使い勝手等について分かる筈が無いだろう」  
「カラーボックスに使い勝手もクソも無いでしょ。私と小鷹だけで十分選べるわよ」  
「いやそもそも俺一人で大丈……」  
「「却下」」  
そんなやり取りの末、小鷹、夜空、星奈の三人で出かける事となった。  
 
その大事な待ち合わせに、あろう事か夜空は遅刻しそうだった。  
昨夜のオナニーの後、疲れてそのまま机に突っ伏して寝てしまっていた。  
無理な姿勢で寝ていたので腰や背骨が痛い気がするが、  
そんな事を気にしている暇は無い。  
いつもは早めに待ち合わせ場所に行く事を心掛けているのに、  
今日に限って遅刻したのでは話にならない。  
自分が遅刻するという事は、その分だけ小鷹と星奈が二人きりになる時間が増える。  
そんな事は断じて許されなかった。  
 
気合いを入れてメイクの一つでもしたかったところだが、  
元々そういうのには疎い上、今日は時間が無い。  
鏡もほとんど見ずに、慌てて顔を水ですすぐ。  
おめかしもせず、真っ黒のジャージだけを着込んで、彼女は出発した。  
 
バスを降り、駅前まで走る。  
普段なら徒歩で五分の距離だが、集合時間まで二分を切っている。  
彼女は脇目もふらず走り続けた。  
道行く人達が振り返り凝視するが、こんな視線は慣れている、と自分に言い聞かせる。  
「イテッ、んだよ」  
「こんな人ゴミん中で走んなよなぁ」  
「あれ? おい、あの顔……」  
そんな声が聞こえてくるが、全て無視だ。  
 
「はぁ……はぁ……ま、待たせたな……」  
やっとの事で集合場所にたどり着いた時には、もう息が上がっていた。  
「いや、まぁ、時間ぴったりだし。何も気にしてないぞ」  
「アンタまさか走るためにジャージ着て来たんじゃないわよね?」  
「そんっ……なワケ……あるかっ……」  
肩で息をしながら、膝に手をつき、地面を見下して喘鳴する。  
やっと呼吸が収まってきた。  
「ふぅ……済まなかった。では行こうか」  
「あ、ねぇちょっと待って、アンタ」  
「おい夜空、その顔どうした?」  
星奈と小鷹が口々に訝しむ声をかける。  
夜空は何を言われているのかさっぱり分からなかった。  
「私の顔がどうかしたのか?」  
キョトンとする夜空に、星奈が顔を近付ける。  
小鷹は女子に顔を接近させるのは不躾と思ってか、夜空の顔を漫然と眺めているだけだ。  
「うーん? ヤダぁ……そんなトコ舐めたら汚いよぉ」  
夜空は怖気を覚え、華麗なバックステップで星奈から距離を取った。  
「に、肉! 貴様いきなり何をエロゲの台詞を!」  
「違うわよ! アンタの顔にそう書いてあんの!」  
はっ!?  
夜空は思わずそんな頓狂な声を上げてしまった。  
「凄いな星奈。鏡文字になってるのに読めるなんて。  
 しかも字が掠れてるから、俺なんかこの距離からじゃ何書いてるかさっぱりだ」  
「えーと何何……? タカはちょっとズルい。  
 私の恥ずかしいところを、一方的に「うわぁぁぁぁぁヤメロぉぉぉぉぉぉっ!!」  
夜空の絶叫が、星奈の声を掻き消した。  
と同時に、周りの通行人達が一斉に三人の方を振り返った。  
 
女子トイレで綺麗に顔の汚れを洗い落とした後、  
夜空は星奈から質問責めにあった。  
小鷹は気を遣って席を外していたかったのだが、  
夜空が今にも泣きそうな顔をしていたので、敢えて残った。  
今の気弱になっている夜空を、星奈がいじめてしまうのではないかと危惧したのだ。  
実際には夜空は、むしろ小鷹にこそ聞かれたくない話だったのに、  
彼がいつまで経っても姿を消してくれないから、余計に泣きそうになっていた。  
「ふーん、なるほどね。つまり妄想官能小説を書きかけのままで寝て、  
 原稿用紙の字が顔に反転して転写されてしまいました、と……」  
星奈は面白がっているのか、それとも怒っているのか、  
よく分からない無表情で淡々と事実確認をした。  
全てを白状させられた夜空は羞恥に打ち震え、  
誰とも目を合わせられず膝の上に視線を落としている。  
あまりにも声をかけ辛い空気になっているのか、  
カフェだと言うのに、先程からウェイターも注文を聞きに来ない。  
「で? そのタカっての、やっぱり……」  
「……言うな、肉。いや、言わないで下さいお願いします」  
ここまで謙る夜空は珍しいなと、星奈も小鷹も思った。  
特にタカ本人である小鷹の動揺は大きい。  
彼からしてみれば、星奈があまり動揺していないように見える事の方が不思議だ。  
 
羽瀬川小鷹の残念なコミュ力が、こんな場面でも発揮される形となった。  
「お、女の子でも、アレなんだな? その、そういう空想するんだな」  
こんな事を言われて、ハイそうですと頷ける夜空ではない。  
むしろ何で今そんな事をわざわざ確認してくるんだと毒づきたくもなる。  
何も反論出来ない夜空に変わって、星奈が言い返した。  
「女子だってえっちな事くらい考えるわよ。  
 むしろそうでないと不健康じゃないの、精神的に」  
「そ、そういうものなのか……」  
星奈が夜空をフォローするような言葉を吐いている事が、  
小鷹にも夜空にも不思議に思えた。  
気遣いを見せる事で逆に一層夜空を追い詰める算段……というわけではないだろう。  
夜空は兎も角、星奈にそんな心理戦が出来るとは思えない。  
仮にやるとしても、星奈は良くも悪くも嘘をつけない性格なので、  
もっと底意地の悪そうな歪んだ笑顔になってしまう筈だ。  
星奈が無表情のままである事が、彼女が本音で会話している事を表していた。  
「に、肉、貴様何のつもりだ?」  
「何が?」  
「いつもの貴様なら、こういう時はここぞとばかりに嬉しがるだろうが」  
星奈は小さな声で  
「……私ってそういう風に思われてたんだ」と呟いた後、溜息をついた。  
それから真っ直ぐに夜空を見つめて言った。  
「私にだって、下々の者を憐れむ気持ちくらいあるわよ」  
悪ぶってはいたが、少なくとも夜空を憐れんでいるというのは、  
良い意味で本音だったようだ。  
馬鹿にする意味ではなく、見下すわけでもなく、純粋に、  
星奈は夜空に「可哀想に……」と同情していた。  
 
何も注文せずに店を出るのも気が引けたので、  
小鷹が店員を捕まえて、三人とも飲み物だけ頼んだ。  
俺はコーラ、夜空はコーヒー、星奈は紅茶だ。  
終始三人とも無言の、気まずい空気のままさっさとそれらを飲み干し、  
ビビっている店員さんを尻目に手早く会計を済ませる。  
店員がビビっていたのは小鷹の外見が原因でもあったが、  
三人の間に流れる殺伐とした空気が怖かったというのも大きかった。  
「……どこへ行くのだ。カラーボックスを買うのだろう?」  
「そうだぜ星奈。まるっきり逆方向じゃねぇか」  
「良いから黙ってついて来なさいな。人目につく所じゃ話しにくいでしょ」  
つまり、人に聞かれたくない話をしたいのだろう。  
いつもならここで小鷹と夜空が顔を見合わせ首を傾げたりもするかもしれないが、  
今日に限っては二人とも目を合わせられなかった。  
想いのバレた夜空と、変な形で告白? された小鷹の二人が、  
素知らぬ顔をしていつも通りに振る舞える筈が無かったのだ。  
 
ショッピングモールの影、従業員専用出入り口の付近。  
商品の搬入車両や警備員の姿くらいしか見当たらない場所だ。  
車道を隔ててその反対側の歩道は、歩道には違いないが、一通りは皆無だった。  
このショッピングモールが建ったせいで潰れたと思しき商店街が  
シャッターをぴっちりと下ろして立ち並んでいる。  
ここでなら、何を話していても誰にも聞かれずに済む筈だった。  
「それじゃあ聞かせてもらうわよ。ズバリ夜空、あんた小鷹の事好きなの?」  
今更聞くまでも無い事だ。  
小鷹をメインに据えた官能小説を書いていたのだから、好きでないわけがない。  
夜空はつくづく、こういう残念な創作活動をしているから  
友達の一人も出来ないのだと痛感していた。  
「……悪いか」  
「悪いなんて言ってないわよ。人を好きになるのは当たり前の事よ。  
 でもそんなに小鷹が好きなら、服装をもう少しどうにかしたら良いじゃない」  
「なぁ星奈、人のファッションの事に口出す必要は……」  
どこまでも残念な男、小鷹。  
徐々に核心に近付こうとしている星奈と、それを感じ取りつつある夜空の前で、  
一人だけ事態を理解出来ないでいる。  
少なくともこの場で言い放つ言葉としては、  
「人のファッションに口を出すな」はあまりに場違いだった。  
こういうのをKYと呼ぶのだろう。  
「わ、私は……ジャージが、好きなんだ」  
「嘘ね。あんた以前はもっとお洒落な格好してたじゃない」  
「お洒落のつもりでしてたんじゃない! むしろその逆だ!」  
「男っぽい格好だと思ってた、ってんでしょ?  
 何でわざわざ男っぽい格好をしようとしてたのよ」  
追及され、夜空は口ごもった。  
 
たっぷり間を置いてから、夜空はぽつりぽつりと、心情を吐露し始めた。  
「仕方、ないじゃないか……。  
 小鷹は……タカは、私を、ソラを男だと思ってたんだぞ?  
 私が男だったから、私の事を親友だと認めてくれていた。  
 小鷹ともう一度昔の仲に戻るためには、男で居続けるしかないじゃないか……」  
そうだったのか、と小鷹は思った。  
彼にとってはあまりに意外過ぎたその言葉に、思わず  
「そんな事をしなくても……」と言いそうになる。  
が、彼はその言葉を喉の奥に飲み込んだ。  
そんな事をしなくても、何だ? と自問する。  
そんな事をしなくても、俺達は親友じゃないか、とでも言うのだろうか。  
しかし彼は、今の隣人部の関係が崩壊する事を恐れている。  
かつて親友であった夜空とでさえ、親友である事を認める事を恐れている。  
第一夜空は本音では、小鷹と親友に戻りたいとは思っていない。  
本人は強情を張って認めないかもしれないが、夜空は小鷹と、  
親友ではなく恋人になりたいと思っている筈だった。  
それが分かっているからこそ、今の小鷹には  
「そんな事をしなくても俺達は親友だよ」とは言えなかった。  
本来なら篤い友情を確かめ合う筈のその言葉が、  
夜空に対しては残酷な訣別の言葉になってしまう事が分かってしまった。  
 
「そんな事しなくても」  
そう言い出したのは、小鷹ではなく、星奈だった。  
「そんな事しなくても、別に良いじゃない。  
 アンタ、別に小鷹と親友でありたいわけじゃないんでしょ?  
 ちゃんと女として見てもらいたいんでしょ?」  
「……」  
 
普段の夜空ならやはり否定しているのかもしれないが、  
思いのたけが知られてしまった後では何も言い返せない。  
星奈は尚も追及の手を緩めなかった。  
「大体、あんたの言う通り、男だったら親友に戻れるとしてもさ。  
 あんたが男のように振る舞うってのは無理があるわよ」  
「わ、私は女らしさなんか全然無いじゃないか!」  
「あんた、幸村に自分が言った事、もう忘れたの?」  
「何の話だ」  
「真の男は、女の格好してても内面から男らしさが滲み出るんでしょ?  
 それと同じよ。あんたがいくらジャージを着てたって変わらない。  
 あんたの女らしさは、ちゃーんと内面から滲み出てる」  
意表を突かれるような事を言われ、夜空は面食らった。  
小鷹にとっても、まさか星奈が言う台詞だとは思えず、目を丸くしている。  
先程のフォローの件もそうだが、どうにも今日の星奈は、  
何故か夜空に対してあまり敵対的ではないように、彼らには見えた。  
表情はブスッとしているが、かけている言葉は好意的にさえ思える。  
「自分の魅力を武器にする度胸が無いの?  
 女として張り合っても、私や幸村や理科に勝てないと諦めてるの?  
 親友になる以外にベターな選択肢がないと決めつけてるの?」  
「私は……私はっ……」  
「あんたが本気出さないんなら、私が不戦勝させてもらうわよ?  
 こちとら許嫁なんだから、一番アドバンテージがあるわけだしね」  
さり気なく小鷹に対する想いも星奈は口にしたようなものだったが、  
小鷹は得意技「聞こえてないフリ」でやり過ごした。  
「……ヤダ」  
「え? 何? 聞こえないわよ夜空」  
「イヤだよぅ……何でタカは私の物になってくれないの……」  
時折夜空が見せる、駄々をこねる幼児のような掠れた泣き声が、  
小鷹と星奈の耳に根を張って残り続けた。  
 
……三十分後。  
 
カラーボックスを買いに来ただけの筈なのに、何でこんな事になったんだ。  
小鷹はベッドの縁に腰掛けたままで、しきりにそんな事を考えていた。  
落ち着かない視線をグルグルと泳がせ、「カラオケがあるんだなぁ」だの、  
「変な自販機が部屋に備え付けてあるもんなんだな」だの、  
「どうせこういう所はエロいチャンネルしか映らないんだろうな」だの、  
どうでも良い事ばかりを考えて気を紛らわせようと努める。  
バスルームから漏れ聞こえてくるシャワーの音が、彼の思考を掻き乱す。  
「小鳩、ごめんな……兄ちゃん、何故かラブホに連れて来られちゃったよ……」  
 
バスルームでは夜空と星奈が、いつものように罵り合っていた。  
「泡が飛んだわよ、夜空」  
「貴様が邪魔なのだ。何で私がシャワーを浴びているのに横に居るのだ」  
「一人で浴槽に浸かってても退屈なのよ」  
「普通シャワーというのは二人で同時に浴びるものではないだろう」  
「つべこべ言わずにさっさと交代しなさいよ、愚民が」  
 
柏崎星奈の出した結論は、小鷹にとって理解の範疇を超えていた。  
そればかりか、夜空にとっても到底心情を理解出来るものではない。  
星奈は  
「今日一日だけ、夜空の恋を応援するわ」  
と言った。  
明日からはまた隣人部のメンバーとして切磋琢磨するし、  
幸村や理科も含めて互いに牽制しあい、抜け駆けの機会を虎視眈々と狙う。  
最終的には我こそが小鷹の隣にいる女であるという権利を狙うものの、  
それでも一先ず、今日のところだけは、夜空にサービスすると言い出したのだ。  
無論、夜空も小鷹も反論した。  
「きっ、貴様正気か!? 私が有利になるだけじゃないか!」  
「いやいやいや星奈お前ちょっと待てマジ意味分からん!」  
だが星奈は小鷹の言葉を無視して、夜空にだけ答えた。  
「別に有利なんかじゃないわよ。  
 さっきも言った通り、私には許嫁ってアドバンテージがあるし。  
 一番隣人部に貢献してる理科にも、一番小鷹の役に立とうとしてる幸村にも、  
 誰にだって他の部員より突出してる部分があるわ。  
 むしろ幼馴染であるという以外、あんたに何か利点がある?  
 わざわざ女らしさを捨ててる上に、部の活動に特別協力したわけでもない。  
 小鷹のために役立とうとした事さえ、実はあんまり無いんじゃない?」  
小鷹の役に立とうとしたという意味では、夜空どころか星奈にも無いのだが、  
その事は誰がツッコむでもなくスルーされた。  
別荘を借りた事もあるのだから、星奈が何も貢献していないとは言いにくかった。  
別荘そのものは別に星奈の所有物ではないのだが。  
 
結局夜空は「一度だけ小鷹と体の関係を持つ」という事を  
自身のアドバンテージにして良いと、星奈に認められたのだった。  
認められたと言うよりは、星奈がそう押し付けてきたといった方が正しい。  
相変わらず悪態をついてはいるが、彼女なりに夜空を気遣っているのは明白だった。  
「シャワー上がったわよ、小鷹」  
「あ、あぁ……ってお前ら! バスタオル一枚で出てくるんじゃねぇ!」  
「ほっ、他に着るものが無いのだ! 服を着直してもどうせ脱ぐのだし!」  
小鷹にとって……そして星奈にとってもただ一つ予想外だったのは、  
誰あろう夜空が、星奈に助けを求めた事だった。  
普段はあまり露見しないが、基本的に夜空は臆病なところがある。  
友達の多そうな人には声をかけられないという点からも、それが伺える。  
今日の所は身を引いて帰宅しようとしていた星奈を呼び止め、  
一人じゃ怖いからと、無理矢理彼女をホテルまで同行させたのだった。  
「で、出来れば先に肉の方から犯してやって欲しいのだが……」  
「あんた言ってんの!? 私は何もしないわよ!  
 ってか私が今日小鷹とセックスしたら、あんたのアドバンテージ無くなるじゃない!」  
「でも、その……初めては痛いのだろう?  
 先に誰かが済ませた後でないと怖くて踏み込めん。  
 バンジージャンプをする時の心理に似ている」  
ここまで怯える夜空を見るのは初めてかもしれない。  
思えば夜空は、ジェットコースターでも怪談話でも平気そうだったが、  
恋愛話や下ネタの時の拒絶反応は少し強めだったかもしれない。  
「だ、そうだが。どうする、星奈?」  
「しないわよ、馬鹿! 私は今日はただのアシスト。勝負はフェアにしなきゃね」  
敵にアシストしておいてフェアってどういう事だよ、と小鷹は思った。  
 
アシストと言うよりは、星奈の行為はいっそ夜空に対する拷問に近かった。  
彼女は夜空を、背後から羽交い絞めにしたのだった。  
「まっ、待て貴様肉! 逃げられんだろうが!」  
「逃げる必要なんか無いじゃない。小鷹に抱かれたいんでしょ?」  
まだ少女達は二人ともバスタオルを纏っている。  
「ほら小鷹。夜空のバスタオルを剥ぎ取ってやりなさい」  
「いや、こんな無理矢理っぽいのは流石に……」  
「止めろ小鷹ぁぁぁぁぁぁっ!!」  
「だから俺はそんな無理矢理しないってば。聞いてないだろお前」  
「あぅ、ぐぅ……何でこんな目に遭うんだよぉ……」  
冷静に考えれば、恋人にバスタオルを脱がしてもらうくらいなら普通の筈だ。  
羽交い絞めにされているという状況のせいか、  
夜空は必要以上に恥ずかしがっているようだった。  
小鷹の指先がバスタオルの縁を掴み、そっと解いていく。  
高級チョコレートの包装のリボンを解く時のように、  
ゆっくりと丁寧にバスタオルを剥ぐと、白い柔肌が露わになってきた。  
「み、見るなぁ……ッ」  
「うっわ……綺麗だ……」  
全裸になった夜空の体を、小鷹は思わず素で褒めた。  
リップサービスなどではなく、心底から、  
彼女の体をガラス細工のような美しさだと思っていた。  
星奈に比べればボリュームは劣るが、しっかりとしたサイズのある乳房。  
その頂上に位置する小粒な乳首と、それを取り巻く乳輪。  
乳房から下はなだらかなラインが続き、小さな臍の穴が見つかる。  
腰のくびれは立派に「女」で、確かに男の振る舞いをするのは無理がある。  
何より目を引いたのは、黒い控え目な茂みだった。  
「下も黒いんだな……」  
「はっ!? あっ、当たり前だろう!」  
「いや、俺とか小鳩は地毛が金色だから、下の毛も同じ色なんだよ。  
 黒い陰毛って実は初めて見るかも」  
そう言えば以前アクシデントで見た星奈の陰毛も金色だったなと、  
小鷹は妙な事に思い至っていた。  
柏崎天馬と一緒に風呂に入った時も、わざわざ相手の男の陰部など凝視しなかった。  
中学校の修学旅行などでは、皆男子のくせに恥ずかしがってタオルで隠していた。  
マリアはパイパンだったし、小鷹にとっては、黒い陰毛は新鮮だった。  
 
「わ、私だけ損じゃないか! 肉も同じ目に遭え!」  
「同じ目って?」  
「肉も小鷹にバスタオルを剥ぎ取ってもらえ! そうすれば私の気持ちが分かる!」  
「え、あ……いや、それはほら、さすがに、ねぇ?」  
「貴様だけ卑怯だぞ! 口ではフェアにとか言っておきながら、  
 実は私にだけ恥をかかせて有利になろうという魂胆だろう。  
 あぁやましい女だ、柏崎肉。この下品な風船乳めが」  
「だっ! だぁれが風船乳ですってぇぇぇっ!?」  
「ふむ、小鷹に見せられんのも無理は無い。本当はパットで誤魔化しているのだろう?」  
「そんなワケないじゃない! これは自前よ!」  
「そう強がるな。幸い私は大した事無いが、普通女性の胸は左右で大きさが違うだろう。  
 それを誤魔化すために片方だけパットを入れている人もいると聞く。  
 貴様も一見ナイスバデーに見せておいて、実際には左右不揃いな肉の塊なのだろう。  
 いやぁ悪い事を言ってしまった。申し訳ない。  
 まさか神を自称するお肉様の完璧な筈の体が実は脱いだらショボかったなど……」  
 
「上っっっ等じゃないの!!」  
夜空の挑発に乗せられて、星奈は羽交い絞めを解いた。  
二人が言い合っている間、小鷹はと言えば、  
夜空がやっといつもの調子に戻ったとか、  
女性が左右で胸の大きさが違うなんて知らなかったなとか、  
そんなような事ばかりを考えていた。  
と言うよりは、そんな事ばかりを考えて気を紛らわせようとしていた。  
「ほらっ、小鷹! さっさと私を脱がしなさいよ!」  
「あ、え? あぁ……」  
こいつら当初の目的をもう忘れてきてるんじゃないか?  
などと思いつつ、小鷹は星奈のバスタオルに指をかけ、夜空の時と同じように剥いだ。  
 
現れたのは、豊満な乳房。  
完璧を自称するだけあって確かに左右のバランスが良く、  
ノーブラなのに重みに負けて垂れ下がっているようには見えない。  
乳首や、特に乳輪も、その巨乳に引っ張られるように少し大きめだ。  
「む、貴様、豊胸手術でシリコンを入れているだろう」  
「入れてないわよ!」  
「自然な乳房で、このサイズで、形が崩れないわけがあるか!」  
「本当に自前なんだからしょうがないでしょ!」  
「フン。どうせ年を取ってから垂れるに決まってる」  
星奈にフォローされ、アシストまで買って出て貰っていると言うのに、  
その恩をもう忘れているのか、夜空は悪口を言い続けた。  
「良いからさっさとベッドに上がりなさいよ! 馬鹿夜空!」  
「それじゃあ哀れな肉の塊は無視してヤろうか、タカ」  
「お前らってこんな状況でもいつも通りなのな……」  
こっそりと夜空が小鷹の事を「タカ」と呼んだが、誰もその事には触れなかった。  
 
もっとも、夜空が強がっていられたのはここまでで、  
いざベッドに上がった彼女は、まな板の上の鯉だった。  
小鷹が一枚一枚自分の被服を脱ぎ去っていくのを直視出来ず、  
ちらちらと横目で彼の胸板や腹筋を見てはまた眼を逸らす。  
本人は望んでいなかったにしても、小鷹は喧嘩慣れしているので体格が良かった。  
今からこの胸と腕に抱かれるのだと思うと、心臓が落ち着かない。  
とうとうトランクスが取り払われた時には、グロ過ぎて目を瞑ってしまった。  
「ちゃんと見ときなさいよ、夜空。妄想小説のリアリティが上がるわよ?」  
「そういう貴様こそ目を背けているじゃないか」  
「なっ! 何で目を閉じてるのに分かるのよ!」  
「貴様の事ぐらいお見通しだ」  
目を閉じていてもお見通しなのは、それだけ互いを理解し合っているからだ。  
小鷹はそう思ったが、彼女らが素直にそれを認める筈が無い。  
いつもは星奈を無視してトモちゃんに語りかける事もある夜空が、  
今日のところはちゃんと星奈と言葉を交わし、無視さえしていない。  
「お前ら、もう親友で良いじゃん」  
ごく小さな声で彼はそう言ったが、少女達は緊張のあまり聞こえていなかった。  
 
仰向けになって寝そべった夜空の、まずはその掌サイズの乳房に、  
小鷹は自分の掌をゆっくりと近づけた。  
「……」  
小鷹の手が乳首や乳房にやんわりと触れても、夜空は声一つ上げなかった。  
事実は妄想とは異なる。  
快感を得ないどころか、彼女は何一つ特別な感触を覚えなかった。  
あぁ、触られてるな、という程度の認識である。  
「タカ、ビビってる?」  
「わ、悪いかよっ!? 俺だってこんなの初めてなんだぞ!」  
「お前が恐る恐る触ってるのが、手から伝わってくるぞ」  
夜空は言いつつ、微笑とも苦笑ともつかない笑顔を見せた。  
「ったくこれだから小鷹は駄目ねぇ。私が手本を見せてあげるわ」  
「え? 星奈、手本って……」  
呆気に取られる小鷹と夜空を尻目に、星奈はおもむろに手を伸ばした。  
そして小鷹の手を払いのけ、夜空の乳房を揉みしだく。  
「ふわぁっ!? 貴様いきなり何あqwせdrftgyふじこ!!1」  
「よーく見てなさい、小鷹。  
 女の子は丁重に取り扱ってあげるべきだけど、同時に大胆さも必要なのよ。  
 ビクビクしてたんじゃ、それが相手に伝わって、必要以上に不安がらせるわ。  
 乗馬の時と理屈は一緒よ」  
「にっ、肉! 自分も処女のくせに何を偉そうに講釈を垂れてるんだ!」  
「しっ、処女でもアンタより経験あるわよ!」  
「嘘つけどんな経験だ!」  
「男子に足を舐めさせるなんてしょっちゅうだもの!  
 恐々と舐められるのと、嬉々として舐められるのとでは、  
 やっぱりこっち側の感覚も違うものなのよ!」  
「貴様素足の上から舐めさせてるのか!?」  
「違うわよ! 靴の上からでも伝わるものなのよっ!」  
残念極まる会話を繰り広げながら、星奈は尚も夜空の胸を愛撫し続け、  
不思議と夜空もそれを抵抗一つせず受け入れていた。  
 
手本と言うのもあながち的外れではなく、  
実際夜空は小鷹に触れられていた時よりも心地良い感覚に浸っていた。  
勿論好きな男性に触れてもらえる心地良さは内側から滲み出てくるものなので、  
単なる肉体的、外面的な心地良さとは種類が違う。  
だが逆説的には、違う種類の心地良さに限定して言えば  
――つまり肉体的な気持ち良さだけで言えば――  
星奈の愛撫の方が、小鷹の時より気持ち良かった。  
「う……ふぅ……うっ……」  
喘いでいるとは言い難いが、夜空の呼吸が少し強くなってきている。  
「ほら、小鷹。同じようにしてみなさい」  
「同じようにって言われてもなぁ……」  
女が悦ぶ愛撫と言うのは、目で見ていても掴み切れない。  
その意味で星奈の手本は手本になっていなかった。  
「女の子を安心させれば良いのよ。  
 ビビってる男に身を委ねられるわけないんだから」  
「ビ、ビビらなきゃ良いんだな? よし……」  
もうその時点でビビってるじゃないか、と夜空は言いかけた。  
だが少しは覚悟が出来たのか、小鷹の愛撫は先程より少しだけ度胸がついていた。  
触れるだけでなく、もう少し強く掌を押し込んでくるのが分かる。  
先程は腫れ物に触れるような、という言い方がぴったりくる感じだったが、  
今は夜空の乳房の形を掌に記憶しようという意思が感じられる。  
一歩踏み込んできた感がある。  
「こ、これが女の子の乳首か……」  
小鷹は掌の腹に感じるわずかな突起に、細胞が打ち震えるような気がした。  
 
唇を触れさせるという行為には、名状し難い安心感がある。  
視覚も無く握力も無い乳児は、対象を認識するために物を口に入れるものだ。  
日本ではキスは大切な人と交わすものという認識があるし、  
欧米では親密さを体現する挨拶となっているが、どちらの場合にせよ、  
「私はあなたの味方です」と意思表示するためのものには違いない。  
だから夜空は、極めて当たり前のように、それをねだった。  
「タカ……キスして……」  
 
不安を和らげたいという意味もあったろう。  
胸を触られて気分が高まり、相手とより近くなりたいと思ったのも確かだ。  
だがその要求に小鷹が返答するより早く、星奈が遮った。  
「駄目よ。キスだけは最後に勝った人のもの、って決めたじゃない」  
それは先程夜空と星奈の間だけで交わされた取り決めだった。  
幸村も理科も関与していない、勝手な条約だ。  
「くぅっ……あんな約束するんじゃなかった……」  
「小鷹の唇が欲しかったら、小鷹に選ばれる事ね。  
 もっとも、選ばれるのはこの私って決まってるんだけど」  
そう言って星奈は、  
「おい……待てこら肉貴様一体、ちょ、こらっ、やめっ、あぁぁ……っ」  
焦る夜空の唇にゆっくりと近づき、女同士のソフトなキスを交わした。  
小鷹が目を皿のように丸くしている前でそっと唇を離す。  
「な……な、な、に、を……」  
「あんたの願いを半分叶えてあげようってのよ。  
 何ヶ月後か、何年後か分からないけど、いずれ小鷹は私を選ぶわ。  
 その時私が小鷹とキスすれば、あんたと小鷹は間接キスって事になるわ」  
「ハッ、お粗末な屁理屈だな。さすがは脳味噌まで肉で出来ている肉だ。  
 私の唾液はタカに間接で移るかもしれんが、私はタカの唾液を味わえんだろう。  
 それに何ヶ月も経ったのでは、貴様の唇に移った私の唾液自体、  
 乾いて消え失せてしまっているではないか」  
おいおいツッコミ所はそこなのかよ……と小鷹は思った。  
星奈とキスした事自体には何の嫌悪感も見せていない。あの夜空が。  
 
夜空は、日々記していた妄想小説の内容が叶いつつある事が、嬉しかった。  
トモちゃんの役は星奈が務めている。  
感じる部分を親友に愛撫されながら、小鷹と三人で愛し合う妄想。  
……肉が親友だと?  
我ながら馬鹿馬鹿しい錯覚をしたものだ。この特殊な状況に気が触れたか?  
などとかぶりを振るも、気が付けば自ら星奈の手を取っている。  
不安を打ち消すように手と手を取り合い、指を絡める。  
右手を星奈、左手を小鷹と繋ぎ合い、夜空は二人を交互に見比べた。  
 
もう一度、星奈が顔を近づけてくる。  
小鷹は脇から物欲しそうに見下しているだけだ。  
男の心理は夜空には分からなかったが、多分自分もキスしたかったのだろうと思う。  
それが夜空相手にか、星奈相手にか、あるいは貪欲にも両方かは分からないが。  
「んくっ……ちゅぷ……んっ、ん……」  
「はむ……あぅぶ……じゅぷっ……」  
生々しい、遠慮の無い水音が、小鷹の耳にも届いてくる。  
小鷹に見られていると言うのに、夜空も星奈も躊躇いが無い。  
恐らくさっきのがファーストキスなのだろうに、  
もう舌を突き出し、絡め合い、吐息を混じり合わせている。  
手持無沙汰になった小鷹は、唇が奪えないならせめてと、  
夜空の胸元に顔を下ろして乳首にそっと口付けた。  
「んむぁっ!? い、今吸うな!」  
キスを継続したままで、夜空が慌てて言った。  
「だ、駄目だったか?」  
「駄目というワケではないが……  
 その、ドキドキし過ぎて飛んでしまいそうなのだ……」  
こいつこんなに女らしかったか!? と小鷹は言いそうになった。  
流石に失礼なので喉の奥で堪えたが。  
そう言えば夜空は内面から女らしさが滲み出ていると、星奈も言っていた。  
 
しばらくどうしたものかと小鷹が動きを止めていると、  
星奈は「馬鹿ね小鷹。今のはもっとして欲しいっていう意味よ」と指摘した。  
「えぇっ!? そんな馬鹿な……」  
「経験の浅い小鷹にはまだまだ通訳が必要なようね。  
 例えば、お止め下さい星奈様、って男が言えば、  
 それはもっと強く踏んで下さいって意味なのよ」  
「いやお前個人の経験則で言われてもな」  
「いい加減な事を言うな肉! 私は本当に……」  
夜空が言いかけると、星奈は悪戯っぽく笑った。  
「本当に、何? 本当に止めて欲しいの? ん?」  
「そ、それは……」  
「そっかぁ。小鷹残念だったわね。夜空はもう何もして欲しくないんだって」  
いつもの夜空と星奈からすれば、今日は立場が逆転し過ぎている。  
平生目にするサディストの夜空とマゾヒストの星奈は、  
一体どこへ行ってしまったのだろうかと思わされる。  
ところが小鷹は、こんな時でさえ残念な男だった。  
「そうか、夜空はもう無理なのか……仕方ないな……  
 しかしここで潔く身を引かないと強欲なヤンキーそのものだし……」  
ぶつぶつと口にする言葉には、Sっ気による冗談などではなく、  
本気でそう思って言っているらしい匂いが感じ取れた。  
「ちょっと小鷹! あんた本気で残念ね!」  
「このやり取りを見て何で身を引こうとか思えるのだお前は!」  
「え? え? 俺何か間違った?」  
心底状況が理解出来ずにあたふたする小鷹の頭を掴み、  
星奈は彼の首を無理矢理夜空の胸に押し付けた。  
「ぶっ!?」  
「私にアシスト頼んで正解だったわよ、夜空」  
「かもしれん……悔しいし、認めたくもないが」  
ようやっと状況を理解して小鷹が行動を再開するまで、数秒の間があった。  
 
普段は行動力と強情の権化のような夜空も、  
ベッドの上ではいわゆるマグロと化していた。  
初めてなのだし、二対一なのだから仕方ないのだが。  
「あっ……く……」  
左右の乳首を小鷹と星奈に同時に舐められ、吸われ、転がされながら、  
時折喘ぎとも吐息ともつかない声を漏らす。  
手は相変わらず二人に繋がれたままなので、無抵抗もいいところだ。  
「夜空の匂いがする」  
「気持ち……んっ……悪い、事を……言うなっ……」  
星奈が夜空の匂いを刻み付けてリベンジのモチベーションにしている事は、  
今の所では小鷹しか与り知らぬ事だ。  
だから夜空からしてみれば、殆ど愛の言葉を囁かれたようにしか聞こえなかった。  
この残念な星奈の性癖は、本人が打ち明けるまで黙っておこう、と小鷹は思った。  
「ね、夜空……」  
「何だ肉」  
「私のおっぱいも、そのぅ……」  
最初何を言わんとしているのか、小鷹には分からなかった。  
しかし女同士だからか、夜空にはすぐ分かったようだった。  
「何だ、揉んで欲しいのか? 舐めて欲しいのか?  
 凄まじい淫乱ドビッチな肉の塊だな、貴様は。しかも私に頼むとは」  
「本当はあんたなんかに頼みたくないわよ!  
 でも小鷹に頼んだら、あんたに対してフェアじゃなくなるじゃない!」  
部員の中で唯一小鷹と体の関係を持つという事を、  
夜空にとってのアドバンテージにする事で、格差を無くす。  
それが星奈の当初の申し出だったわけだが、律儀にそれを守っているようだ。  
「私がそれを聞き入れる道理が無い。  
 私が攻め側に転じたければ、普通にタカを攻めていれば良いのだからな。  
 もっとも、処女の私が攻め側に回る程度胸がある筈も無いのだが」  
「そ、そんなぁ……お願いよ、夜空ぁ。なんだか切ないのよぉ」  
 
一瞬そうやっていつものように夜空の方がS側に戻ったかと思ったが、  
割と素直に夜空が星奈の胸に手を伸ばしたところを見ると、  
まだまだ彼女は従順なままのようだ。  
重力に引っ張られて垂れ下がる乳房は、しかし張りを保った立派な姿だった。  
星奈はつい今まで、寝そべる夜空にキスするような態勢をしていたから、  
四つん這いに近い格好をしていたのだ。  
両手をシーツの上に突き、左右の二の腕で乳房を挟む形になっている。  
夜空が片方の乳房を揉むと、谷間がズレ、乳房が二の腕からこぼれるようだった。  
それはまさしく「こぼれる」という表現が的確だった。  
「ね、お願い……揉むだけじゃなくて……」  
「分かっている。ここに寝ろ、肉」  
夜空に導かれ、星奈は夜空の居た場所に背を預けて寝そべった。  
肉感のある乳房が少しだけ左右に広がり、谷間がその分なだらかになった。  
「優しくしてよ?」  
「私が今まで貴様に優しくした事があるかよく考えてみろ」  
言い終えるより早く、夜空は星奈の乳房を鷲掴みにした。  
それからいきなりむしゃぶりつき、恥辱を煽るように音を立てて乳首を吸う。  
「あっ、ひゃっ、イキナリ過ぎっ!」  
星奈が身悶える。  
夜空の唇に引っ張られ、星奈の片方の乳房が伸びるようだった。  
夜空はもう片方の乳房にも容赦しない。  
乳首を二本指でクリクリと回したり、その大きめの乳輪を指先でなぞったり、  
爪で弾いたり、引っ掻いたり、肉の海の中に押し潰したり。  
そうか、こういう風にすれば良かったのかと、小鷹には勉強になった。  
 
学習した小鷹は、星奈に変わって四つん這いになっていた夜空に手を伸ばした。  
「んっあっ! タカっ、こら! いきなりそんな激しく弄るな!」  
「え? だってお前が星奈にそうしてるじゃん」  
「私のは肉に意地悪しているだけだ! お前はもっと段階を踏め!」  
しかし小鷹の手はもう止まらない。  
見様見真似で、夜空が星奈にそうしたように、押したり弾いたりして乳首を弄ぶ。  
その度夜空は先程より確実に良い反応を返していた。  
「あはっ、あ、感っ……んんっ」  
星奈に対する乳首責めがおろそかになりそうなくらい、夜空は喘いだ。  
四つん這いになった夜空の後ろから小鷹が両手を伸ばしてきているので、  
一見するとバックで挿入しているようにしか見えない姿勢だ。  
先走り汁を滴らせた肉棒は、ウズウズしながら夜空の尻に密着している。  
だがいくら残念な小鷹と言えど、さすがに処女相手にバックは駄目だと分かっている。  
何とか踏みとどまるだけの理性は残っていた。  
 
だが無防備に尻を突き出されれば、そこを攻め落としたくなるのは男のサガだ。  
「おわぁっ!? タっ、タカ!」  
夜空が突然叫びだしたので何事かと思い、星奈は首を上げて視線を動かした。  
すると、乳首責めを止めた小鷹が、夜空の尻に顔を埋めているのが見えた。  
四つん這いの夜空の股間に、四つん這いになった小鷹が、電車のように連結している。  
「こ、これがオマンコってやつか……! あのリア充御用達の!」  
感激に打ち震えながら、思っていたよりグロいそこに顔を埋め、  
小鷹は舌を伸ばして媚肉を貪った。  
 
小鷹一人であったなら、夜空は濡れていなかったかもしれない。  
処女なのだから最初から濡れろというのが無理な話だ。  
しかし女体を熟知した星奈がアシストしてくれていた事もあって、  
夜空の秘部からは蜜が滴り落ちている。  
小鷹はそのわずかしか漏れ出ない汁を、貴重そうに啜った。  
「やぁあん……無理ぃ、もう無理ぃ……」  
今日聞いた中で一番可愛らしい夜空の声だった。  
 
こいつ、こんな甲高い声出せたんだ……。  
小鷹も星奈も、ほぼ同時にそう思った。  
そしてまた、こうも思う。  
 
(星奈の方は普段から高音だけど、夜空みたいにもっと高い声も出せるのか?)  
 
(私は元から神レベルの美声だけど、私も今より可愛い声出せるのかしら?)  
 
その興味の答えを確かめるためには、誰かが星奈を責める必要がある。  
そしてこの場で言う「誰か」とは夜空しかいなかった。  
無言のままに両者の利害が合致し、小鷹は夜空への責めを一旦止めた。  
「ほら、ソラ。星奈がおざなりにされて寂しがってるぞ」  
「もっと責めてよ夜空! ソワソワして仕方ないじゃない!」  
私だって責めて欲しいのに……と夜空は思ったが、  
それを訴えかける事はやめにした。  
たった今彼女が小鷹から受けていた快感を、星奈にも刻んでやろうと思った。  
「後悔するなよ、肉」  
それだけ言うと夜空は位置取りを変えた。  
いつの間にか足をM字に開いて受け入れ態勢万全になった星奈の股間に狙いを定める。  
 
目の前にいる金髪ロングで碧眼の美少女の顔が、  
長年思い描いてきたトモちゃんの顔と重なる。  
いや、そもそもトモちゃんは最初からこういう顔だったのでは、  
と言う気さえ湧き上がってくる。  
想像上の人物でしかなかったから顔や体型を具体的に目にした事は勿論無く、  
今までずっとぼやけたイメージだけを頼りに、彼女はトモちゃんに語りかけてきた。  
その親友のイメージが、夜空の頭の中で、目の前の星奈の形となって像を結ぶ。  
夜空は――彼女らしからぬ事だが――友愛の心でもって星奈を見つめた。  
そして親友の股間に顔を下ろし……  
「ァアンッ!!」  
思った通り、星奈は男なら聞くだけで勃起出来そうな程可愛らしい声を上げた。  
「凄く綺麗な声で鳴くんだな」  
そう呟いたのは小鷹ではなく夜空だった。  
「らにこれぇ……ひゅごいぃ……」  
ほんのちょっとクンニされただけで、もう星奈は下半身をビクビクと痙攣させていた。  
 
寝そべる星奈に夜空がクンニする姿勢になった事で、  
小鷹はベッドから降りざるを得なかった。  
しかし蚊帳の外に置かれるつもりは彼にも無い。  
ベッドの外に居ても、夜空にクンニするぐらいの事は出来る。  
「んんんっ!? いひっ、いひなりっ! ひゃっ、やめっ! んんっ!!」  
星奈の股間の前で、夜空は再び嬌声を発した。  
小鷹にクンニを再開された事で思わず仰け反りかけていた。  
間近で唇をパクパクされ、荒い吐息を漏らされれば、  
それに晒された星奈のマンコもまた新しい刺激に踊らざるを得ない。  
「ヤァんっ! こ、これっ、焦らされてるみたいぃ……っ!」  
星奈は太腿を使って両側からしっかりと夜空の顔を挟み込んだ。  
両の足首を夜空の肩を跨がせ、背中に置き、自分の姿勢を安定させる。  
それは夜空を逃がさないためでもあった。  
「んふーっ! んんっ! ぶちゅぅぅぅっ! ずずっ、んふぅっ!」  
クンニしつつクンニされ、夜空は星奈の愛液を啜りながら喘いだ。  
やられっ放しで黙っていられる性分でもないので、  
必死で舌を伸ばして、星奈の膣の中に少しでも舌を出し入れする。  
「あぁあっ! それイイっ! イイよぉ夜空ぁんっ!」  
星奈は両手でシーツをしっかりと握りしめながら、首を仰け反らせた。  
夜空に対する小鷹のクンニは、連鎖的に星奈に更なる快楽を与えている。  
星奈は夜空にクンニされつつも、小鷹にもクンニされているような錯覚に陥った。  
「小鷹っ! もっと激しくしてぇっ! すっごくイイのキてるぅっ!」  
小鷹は返事を返さなかった。  
代わりに、言われた通り夜空の下の口を一層遠慮無く貪る事で、了解の返答とした。  
下から上、上から下となぞるように、交互に舌を這わせる。  
かと思えば高速で舌を左右に振り、ビラビラを小刻みに震わせる。  
指でそのビラビラを責め立てる動きも織り交ぜ、  
童貞の脳味噌で思いつく可能な限りの複雑な責めを展開する。  
それが上手いのか下手なのかは彼自身には分からなかったが、  
「ンはーっ!! はァンッ、ンンフッ! んうぅー!」  
星奈の股間に口を押えられた夜空の喘ぎ声が、  
吠え声のように荒くなったのを聞き取って、恐らく成功だろうと見た。  
星奈の方はいよいよ首を左右に振って涙を滲ませ、  
目はキツく閉じているのに全体として見ればトロけているという、  
感極まった表情になっていた。  
 
ここまで来ればもう前戯は不要だろう。  
それは三人がほぼ同時に感じ取った事だった。  
そしてまた、誰一人として互いの意思確認をしなかった。  
その必要が無いと誰もが確信しているくらい、彼ら三人の気持ちは通じあっていた。  
通じ合っている事そのものをも、彼らは確信し合っていた。  
「はぁ……はぁ……しっかりやんなさいよ、小鷹?」  
「あ、あぁ。うまく出来るかな」  
「はっ……あ……きっと、だいじょぶ……はやく、タカぁ……」  
二人に場所を譲ってベッドから立ち上がった星奈と、  
いよいよ本番に入る小鷹、夜空。  
夜空は再び仰向けにベッドに寝そべると、おずおずと足を開いた。  
「あっ、そ、そだ、コンドーム」  
小鷹は今更ゴムの持ち合わせが無い事に気付いた。  
俺は何て残念な男なんだ! こんな時に!  
彼がそう思っていると、星奈がまず助け舟を出した。  
「普通はラブホって、棚の中にゴム用意されてたりするけどね」  
経験豊富なのだな、とは誰も思わなかった。どうせエロゲの知識だろう。  
「ほら、あった!」  
自分がセックスするわけでもないのに、星奈は嬉しそうに包みを持ち上げた。  
次に助け舟を出したのは夜空だった。  
「そんなの、いらない……」  
「えっ!? で、でも」  
「今日は大丈夫だから……早く……」  
それでも万が一という事も有り得る。  
それに、リア充達の会話から漏れ聞くに、彼女に「今日は大丈夫だから」と  
嘘をつかれて子供が出来てしまい、責任を取る羽目になる男もいるらしい。  
一人の男を取り合っている最中である夜空が、嘘をついていないとは言い切れない。  
 
しかし夜空を信じたのは、小鷹ではなく星奈だった。  
「やったじゃん小鷹! ナマって凄く良いらしいわよ?」  
「またエロゲーの受け売りかよ。でも、本当に良いのか?」  
小鷹は夜空にではなく、星奈に問い質した。  
本当にそれで悔しかったり、辛かったりしないのだろうか、と。  
星奈は目をキラキラさせており、むしろ小鷹と夜空の生中出しに、  
期待さえ寄せているようだった。  
 
小鷹と星奈の二人がかりで解していたからか、  
或いは体の相性か、はたまた普段のオナニーによって開発されていたのか。  
夜空の膣は、思っていたよりスムーズに小鷹を受け入れた。  
しかし痛みはあったし、出血もあった。  
シーツの上にこぼれる血の滴に目を留め、小鷹は一瞬臆した。  
「痛くないのか、ソラ」  
「ん、平気。思ってたより大丈夫」  
こんなにエロゲーみたいにうまくいくセックスがあるとは、星奈も予想外だった。  
「頑張れ、夜空っ」  
普段の敵愾心も忘れ、満面の笑顔で宿敵を  
――今や宿敵と書いて「とも」と呼んでも良いだろう――  
心の底から応援する星奈。  
彼女の見守る前で、小鷹はゆっくりと腰を動かし始めた。  
 
星奈にとって予想外だったのは、その音だ。  
パン、パン、パン……と、尻のぶつかる音が新鮮に聞こえる。  
エロゲーでは愛液の音は効果音として存在したが、  
この肉感的な音を再現したエロゲーは、彼女の知る限り無かった。  
普段リア充達の会話に聞き耳を立てていると、  
組み合わせた両手の掌底部分をパンパンと叩き合わせる音が  
女性に対してはセクハラになるらしい、という事だけは分かっていた。  
ただ、その音の正体を、彼女は今まで知らなかったのだ。  
「はァっ、あぁぁぁぁぁ、んっ、ンひぁっ、あ、ふっ」  
現実の喘ぎ声はエロゲー程激しくないのだなと、星奈は学んだ。  
もっと「アァァン! そこしゅごく良いのぉっ! もっと突いてぇっ!」とか  
「私の中におちんぽミルクたっぷり注いでぇっ!」とか、  
そういった声を上げるものだとばかり思い込んでいた。  
「あぁぁっ、タカっ! タカぁんっ!」  
「はっ! はっ! はっ! ソラっ! はっ! ソラっ!」  
お互い、相手の名前を呼ぶのが精一杯のようだった。  
特にメインで動いている小鷹の方は、殆ど「はっ!」しか言っていない。  
お前は和田アキ子か。  
 
小鷹の目から見ても、夜空が欲しているものは明らかだった。  
彼女は、キスを求めている。  
小鷹と唇を触れ合わせる事を望んでいる。  
それは他の部員達に対する勝利の証としてでなく、  
本能に近い部分での欲求だった。  
乳児が対象を深く認識するために用いる殆ど唯一の手段。  
欧米人達が異性に対して友好を表現するための重要なコミュニケーション手段。  
また唇は、直立二足歩行によって性器の露出が抑えられた人類にとっての、  
大切なセックスアピールの武器でもあり、第二の性器とも言える場所だ。  
そこを触れ合わせ、交わらせたいと思うのは、自然の欲求だ。  
夜空はそれを理性で抑えこもうとしていた。  
それが分かっていたからこそ、小鷹も夜空の忍耐を尊重しようとした。  
 
しかし、見かねたのは星奈だった。  
「ねぇ夜空。もう小鷹とキスして良いよ」  
突然耳元に顔を近づけられて囁かれた一言に、夜空は虚ろな反応を示した。  
「はっ、ふえ? んふっ、き、きす?」  
「自分を抑えてちゃ、気持ち良さ半減でしょ」  
今だけ特別サービスだからね、と星奈は付け加えた。  
だがそれでもまだ夜空は自分を律しようとしている。  
いつもなら他人の寝首をかき、出し抜こうとさえする彼女だが、  
この時ばかりは星奈の気持ちをを裏切るような事は出来ないと思っていた。  
星奈はそれを見抜き、苛立ちながら小鷹に命じる。  
「小鷹っ! 男なら無理矢理唇奪ってやんなさい!」  
「お、おうっ」  
小鷹はピストン運動を続けながらも、上半身を倒し、  
目を見開く夜空の唇に強引に自分の唇を重ねた。  
 
舌を絡ませてもいない、普通のキスだ。  
しかし体重がかかり、ディープキスのように深く唇が触れ合う。  
それがあまりに気持ち良すぎたのか、小鷹は陰茎に精液が立ち上るのを感じた。  
単調だった腰の動きが一層激しくなる。  
口づけを許された夜空はしかし、星奈に「ありがとう」が言えなかった。  
言いたくても、唇は小鷹に熱く塞がれていた。  
ファーストキスだったが、夜空の方から唇を開け、舌を出した。  
小鷹は自分がリード出来なかった不甲斐無さを感じつつも、  
同時に嬉しくなって、親友と舌を絡ませ合った。  
星奈とも間接キスをした事になるが、そんな事に意識を振り向けていられなかった。  
「じゅずっ、はふ、むっ、んむはっ、じゅちゅうぅぅぅっ、んふっ」  
荒い息と唾液の水音の混じった、人の口から出るとは思えない声。  
夜空の頬は紅潮し、嬉し涙がほろりと一粒滴り落ちた。  
彼女は自分を抱いている男の首に頑張って両腕を回し、その首を離すまいとした。  
両足も小鷹の太腿に回して、抜けないようにがっちりと抑え込む。  
妄想小説の中で幾度となく思い描いて来た、夢の瞬間だった。  
 
「だ、だいしゅきホールドとは……やるわね、夜空!」  
ゴクリ、と星奈は生唾を飲み込んだ。  
知らずの内に股間に伸びていた自分の右手にハッとする。  
「ヤバ……私、人前でオナニーなんて……」  
けれども小鷹も夜空も、星奈の方には一切意識が向いていない。  
両者とも目を閉じて舌を貪り合い、腰をぶつける事に夢中になっている。  
星奈は絨毯の上にへたりこむと、友人達の唾液の音、荒い息遣いの音、  
愛液が泡立つ音、尻の肉がぶつかる音をオカズにして、自慰を始めた。  
 
もしも小鷹とセックス出来たなら。  
きっとこんな風だろうかと夢想しながら、星奈は自慢の乳房を揉みしだいた。  
荒々しく鷲掴みにしてくれるだろうか、それともソフトタッチに撫でてくれるだろうか。  
思い描くたび、彼女の手は無意識にその空想と同じように動いた。  
星奈は片方の乳房を出来る限り持ち上げ、乳首を天井に向けた。  
彼女程の巨乳ともなれば、それで十分セルフ乳首舐めが出来た。  
「んっ……ふっ……」  
もっとしゃぶりつきたいところだが、自分では舌で舐めるので限界だ。  
ろくろ首にでもなれれば話は別だろうが。  
星奈は満たされない渇きを埋めるために、改めて秘部の方に手を伸ばした。  
そこは今までの人生で覚えにないくらい濡れていた。  
片手で乳房を持ち上げて乳首を舐めつつ、もう片方の手で股間を擦ると、  
思わず後ろに倒れてしまいそうになる程の快感に襲われた。  
床の上に座っているという、ごく楽な姿勢さえ保てなくなりそうだった。  
「欲しぃ……」  
思わず呟いてしまった声が夜空や小鷹に聞こえてないかと思ったが、  
二人はセックスに夢中のようだった。  
(小鷹のが欲しいよぉ……小鷹、私のも舐めてよぉ……私にも入れてよぉ……)  
口にこそ出さないが、頭の中はそれだけで一杯になる。  
オカズにしていた筈の様々な音すら、もう遠くで微かに聞こえるような錯覚に陥った。  
 
「あっく、ヤベっ! ソラあっ!」  
「うん! タカぁっ! イイよ!」  
一際キツく抱きしめ合い、小鷹は夜空の中にありったけの子種を注ぎ込んだ。  
しばし時が止まったように、小鷹は夜空に覆いかぶさったまま動きを止めた。  
その間も夜空の中にはドクン、ドクンと、続けざまに精液が流れ込んでいた。  
 
「はぁーっ……はぁーっ……」  
小鷹は必死で酸素を取り入れた。  
夜空にのしかかっている事も忘れ、か弱い体に体重を預けている。  
それから思い出したように体を起こした。  
「わ、悪いっ! 重かっただろ」  
「いや、平気だ……セーシって熱いんだな。初めて知ったよ」  
まだいくらか疲れを隠しきれない声だったが、  
夜空は意識的に普段通りのトーン、普段通りの口調を取り戻していた。  
彼女が起き上がると、膣から粘性の液体が垂れ落ちてシーツを濡らした。  
それは血液と入り混じって、所々ピンク色をしていた。  
額に滲む汗を拭いながら、夜空は脇を見た。  
「……で、肉。そこで何をしているんだ」  
「ひゃいっ!? わ、これは、その……ヤダ小鷹見ないでぇっ!」  
オナニーに没頭していた星奈は慌てて両手を自分の体から離した。  
「さて、では用事も済んだ事だし、帰るとするか」  
「そんなぁ……ヤダよ夜空ぁ……」  
泣きそうな顔で懇願する星奈に、夜空は冷たく言い放つ。  
「おっと、そうだったな。カラーボックスを買わねば。まだ帰れんな」  
「違っ、そ、そういうんじゃなくって……」  
小鷹は呆れかえりそうになった。いや、実際呆れかえった。  
「夜空、あまり星奈を虐めてやるなよ」  
「何だ? ソラは随分優しんだな。私以外の女にも」  
最後の部分にはトゲがあった。  
だが小鷹としては、この場で何が言える立場でもない。  
まさか「星奈ともセックスしてやるべきだ!」などと言うわけにもいかない。  
そんな事を言えば、ただのヤリチンだ。  
星奈が夜空とのキスを許してくれたのだから、  
せめて夜空の方からも星奈に小鷹とのキスぐらい許してやるのがフェアだとは思う。  
だがそれとても、小鷹が提案して良い言葉ではなかった。  
どれだけ自分に自信があるんだ、と言われかねない。  
 
夜空はベッドを降りると、服も着ぬまま、星奈の手を引いた。  
「立て、肉。タカの代わりに私が相手してやる」  
「夜空が?」  
「それで今回のところは耐えろ」  
星奈としても、マリアと小鳩を除く女子部員四人を対等にするため、  
今回の夜空と小鷹のセックスを承認した立場がある。  
自分からそれを反故にしては、夜空がせっかく得たアドバンテージを  
無効にする事になってしまう。  
「……仕方ないわね。でもいつか、絶対、小鷹は柏崎家に婿入りさせてやるんだから」  
おいおい、お前がうちに嫁ぐんじゃなくて、俺が婿入りするのかよ。  
小鷹はそうツッコミかけたが、柏崎家の家柄を考えれば当然かもしれなかった。  
天馬としても事業の跡取りは必要だろう。  
などと考えていると、彼は夜空に急かされた。  
「早く降りろ、タカ。邪魔だ」  
「邪魔て」  
いつも通りの暴言に不思議と安堵を覚えつつ、小鷹はベッドから降りた。  
 
さて、これからしばらく暇だな……と小鷹は考えていた。  
道具でも使わなければ、女性同士では挿入という行為自体が無い。  
男女の場合は男が射精すればそれで終了だが、  
女同士の場合はいつ、どういう状態をもって終わりと言えるのだろうか。  
二人ともがイった場合だろうか? それはいつになるんだ?  
 
そんな事をばかりを考えていたから、最初は気付かなかった。  
星奈から見えない角度で、夜空が無言で手招きしているのを。  
「夜空?」  
夜空は唇に人差し指をあてて、黙るように小鷹に促した。  
既に星奈はベッドの上に仰臥しており、顔の上に両手で枕を乗せている。  
自分の感じている顔を相手に見られたくないと言う事もあるのだろう。  
それに、何だかんだと文句を言いたそうに見せて、  
夜空に全てを委ねる意思表示のようでもあった。  
小鷹は足音を立てないようにして、そっと夜空の元まで移動した。  
「それではいくぞ、肉。たっぷりねっとり虐めてやるからな、フフフ」  
一瞬星奈の体がピクンと揺れた。  
夜空のかけた言葉に、興奮と一抹の恐怖を覚えているようだった。  
夜空は小鷹とタイミングを合わせてベッドに乗り上げた。  
星奈からしてみれば、少し違和感を覚えたものの、  
夜空一人だけが上がってきたと思いこんだ。  
「足を開け、肉」  
「め、命令しないでよ」  
しかし星奈は素直に足をM字に開いた。  
その両足に夜空の小さな手が添えられる。  
夜空は顎で小鷹に指示を出した。  
 
舐めてやれ。  
 
夜空の目は小鷹にそう言っていた。  
小鷹は夜空を見直した。  
何だかんだと言っても、星奈の願いを叶えてやるつもりなのだ。  
小鷹は自分の体が星奈の体のどこか一部にでも触れてしまわないよう、  
注意を払いながら彼女の股間に顔を近付けた。  
明らかに女よりゴツいであろう方や腕の筋肉が触れれば、  
星奈が気付いてしまう可能性が高かったからだ。  
当然、声も出してはならない。  
鼻息一つでもバレてしまうだろうから、息は殆ど止めている必要がある。  
 
だがそれらの事に耐えてでも、星奈を責めるのは魅力的だった。  
星奈の体そのものも魅力的だが、それだけではない。  
星奈もまた小鷹にとってかけがえのない存在であり、  
そんな彼女を少しでも愛してやる事が出来るのが嬉しかった。  
(いくぞ、星奈)  
声に出さず、小鷹は心の中で語りかけた。  
そしてそっと媚肉に口付ける。  
「ふぁ」  
星奈が微かに声を漏らした。  
それは枕のせいでくぐもっており、その事が余計に扇情的だった。  
「どうだ肉。私の舌遣いは」  
夜空は星奈の両足を抑えながらも、なるべく小鷹の顔に近い位置まで首を下げ、  
あたかも自分がクンニしてやっているかのように装って言った。  
 
が、それは浅はかな行為だった。  
星奈は慌てたように枕を跳ね除け、ガバッと起き上がって股間を見た。  
「こここここここ小鷹ぁっ!?」  
「ばっ、キサ、肉!」  
「んむっ!?」  
ヴァギナにむしゃぶりついたまま上目遣いで星奈を見上げる小鷹。  
固まったように動けなくなる夜空。  
水銀温度計のように顎から額までグングンと真っ赤にしていく星奈。  
数秒の間、部屋の中の空気が止まった。  
「おおおおか、おかしいと思ったのよ!  
 まだクンニは続いているのに夜空の声が普通だったし!  
 普通クンニしながらだったら声とか舐め方とか変化するでしょ!?」  
「しまった!」  
「お前が合図も無しにいきなり喋るからだぞソラ!」  
「うるさい! タカのせいだ! タカのクンニがもっとうまければ、  
 肉は些細な違和感になど気付く余裕も無くアンアン喘いでいられたものを!」  
セックスの最中とは思えない程、三人はやかましく怒鳴り合った。  
 
しかし星奈のぽつりと呟いた一言で、場は静まり返った。  
「わ、私が夜空の舌遣いを区別出来ないワケないじゃない……」  
そう言えばさっき夜空は星奈にクンニしていたばかりじゃないか、  
と小鷹が気付くのに、一瞬程の時間も要しなかった。  
「くっ、肉め……そんな愛の言葉じみた台詞を私に向かって……」  
「何よ悪い?」  
「……悪いとは言ってない」  
どこか夜空は嬉しそうだった。  
照れ隠しに、フン、とそっぽを向く。  
 
そこからは自然のなりゆきで、3Pが始まった。  
もはや三人の間で交わされた協定など関係無い。  
小鷹は夜空に促され、星奈と口づけを交わした。  
夜空の時と同じように、最初はソフトに、それから舌を絡めてディープに。  
これで三人が三人とも、互いにちゃんとしたキスを交わした形になった。  
しかし夜空と比較すれば、星奈にはまだまだやっていない事や、  
やってもらっていない事が多かった。  
 
その差異を埋めるように、三人はごく自然にそれぞれのポジションを取った。  
仰向けに寝そべる星奈に夜空が顔面騎乗位をする。  
星奈は夜空にも小鷹にもクンニをしてもらっていたが、  
星奈の方から夜空にクンニはまだしていなかったからだ。  
「すっごい。夜空の匂いがムンムンする」  
「恥ずかしい台詞を吐くな、肉」  
「ねぇ夜空、お願い……」  
「何だ」  
「今だけ、星奈って呼んで……」  
小鷹がニヤニヤと笑うのがムカついたが、夜空は顔を赤らめて答えた。  
「……星奈」  
原作だったらフォントを数段落としているであろう、掠れそうな小さな声。  
思わず聞き逃してしまうそうな程小さな声だったが、  
小鷹にも星奈にもそれはしっかりと聞こえていた。  
 
夜空がやっていて、星奈がやっていない事。  
それは相手の女性に対するクンニだったが、  
夜空の顔面騎乗位によってそれは今から叶おうとしている。  
それとは別にもう一つ、夜空がやってもらっていて、  
星奈がまだやってもらっていない事が残っていた。  
 
それは、小鷹からの乳首責めだった。  
誰に指摘されるまでもなくそれを一番分かっているのが小鷹だった。  
夜空には申し訳ないが、正直小鷹は、これがしたくてしたくて堪らなかった。  
彼が星奈の胸元の肉の塊にしゃぶりつくと同時に、  
星奈は夜空へのクンニを開始した。  
「んほぉ、んぐっ、じゅぶっ」  
まだ微かに残留している小鷹の精液を啜るように、星奈はソコを貪った。  
夜空の愛液とブレンドされた液体は、星奈の口の中、口の周り、  
頬や鼻先、顎を伝って喉元など、あらゆる部分を汚していった。  
「よほらの味ぃ……おいひぃよぉ……」  
エロゲーから学習した、普通に聞いたらドン引きするような台詞を、  
星奈は臆面も無く口にした。  
「この馬鹿星奈めっ……変っっ……な、事をぉ……言うなぁン……」  
遅れを取らぬようにと、小鷹も丹念に星奈の乳房を責める。  
乳首だけでなく、乳房全体を愛するように、乳房と腹の境目から舐め回す。  
首を動かして、そのまま鎖骨付近まで舌を這わせていく。  
途中、固くしこった乳首が押し倒され、  
小鷹の舌が通過すると同時にバネ仕掛けのように起き上がった。  
彼は首を回すように動かしたり、舌を左右に振ったりして、  
彼女の乳房全体を唾液で覆い尽くした。  
 
片方の乳房は舌で徹底的に汚しつつ、もう片方の乳房への責めも忘れない。  
小鷹は掌と指をフルに駆使して、巨大な肉の塊を弄んだ。  
まるで羽や筆で撫でるかのように、ごく軽い力で、  
爪が触れるか触れないかのギリギリの感触で乳首を擦る。  
これが星奈はかなり気に行ったようで、ゾワゾワと体を震わせて悦んだ。  
小鷹は責めに緩急をつける事にした。  
それまで風に揺らぐ麦畑のようにソワソワと動かしていた指先で、  
突然星奈の乳首を摘み、痛くしない程度に上へ引っ張った。  
「はぅんっ! らめぇんッ!」  
夜空のマン汁ブレンドが立てる水音が、星奈の声に入り混じっていた。  
乳首を引っ張り挙げられ、乳房ごと持ち上がるのが面白く、  
夜空は「良いぞ、もっとやってやれ」とエールを送った。  
 
勢いを得た小鷹は、人差し指の腹で星奈の乳首を擦り続けた。  
その動きをそのままテレビゲームに転用すれば、  
一瞬で春麗の百烈脚が出せそうな程のスピードだった。  
「ふぅぅぅぅんっ! んんふっんむぅぅっ!」  
夜空のマンコの下からくぐもった声を出しつつ、星奈は快感に溺れた。  
それはそのまま、夜空に対する責めにも繋がる。  
蠢く唇と舌が、図らずも彼女へのクンニを激しいものとするのだった。  
「アッあっ、やめっ、星奈ぁ! 加減んっ! ひてよぉっ!」  
そうは言うものの、夜空は自ら腰をもっと深く落とした。  
星奈の顔が潰れてしまうのではないかと思うくらい体重をかける事で、  
突き出された舌がもっと深く内壁の中へ潜ってくる。  
精液ごとマン汁を吸い出そうとする星奈の吸い付きが、より一層激しくなった。  
「んふぅーっ! んっ、んっ、んーっ! あぁイイっ!」  
夜空は上下の唇を必死で閉じて声が漏れるのを防ごうとしたが、  
時折堪えきれず、先程聞かせてくれたような甲高い声を発していた。  
 
そんな二人の様子を交互に窺いつつ、小鷹はある欲求にかられていた。  
巨乳の女を見れば殆どの男が考えてしまうであろう、ある一般的な欲求。  
それは、パイズリだった。  
だが良いのだろうか?  
星奈にパイズリをしてもらえば、当然夜空にも同じ行為をさせなければならない。  
そうでなければ彼女らの対等性が崩れる。  
夜空も決して貧乳ではないが、星奈と同じ事が出来るかどうか……。  
 
すると、彼のそんな逡巡を感じ取ったのか、  
それともタイミング良く偶然同じ事を考えたのか、  
夜空が提案をしてきた。  
「アッ、こだ、んんっ、かっ……」  
「ん? どうした、ソラ」  
「ふぇッ……ら……アハッ!」  
言い切る前に、夜空は星奈の激しいクンニによって一瞬痙攣した。  
言葉は遮られたが、彼女が言いたい事は小鷹にも星奈にも伝わっていた。  
「ひいよ、よほら」  
まだ夜空の股間を押し付けられたままの星奈の言葉は、  
一瞬何と言っているのか誰にも分からなかった。  
だがすぐに「良いよ、夜空」と言っていたのだと気付く。  
その言葉を合図にして、夜空は少し名残惜しそうに腰を浮かせた。  
夜空が離れると、星奈も汁まみれのドロドロした顔を引っ提げて体を起こす。  
 
(まぁフェラだったら二人とも出来るし、対等か……)  
(パイズリしてもらえないのは惜しいけどな)  
小鷹はそう考えていたが、夜空と星奈の考えは違っていた。  
「分かっているな、星奈? フェラをして良いのは私だけだからな?」  
「分かってるわよ、夜空。その代わりパイズリは私に任せてよね」  
「……何だ? 順番にするのか?」  
小鷹がそう問いかけると、二人の美少女はクスクスと……いやニヤニヤと笑った。  
「同時に決まってんじゃん、小鷹」  
「同時に決まってるだろう、タカ」  
その声すら二人同時に発せられていた。  
 
思えば自分が仰向けに寝るのは、今日はこれが初めてだな……。  
小鷹はそんなどうでも良い事を考えながら、ベッドに横たわった。  
彼の足にかぶさるように、星奈がうつ伏せになる。  
そそり立つ男根をその豊満な乳房で挟み込むと、  
肉厚の海の中から亀頭がわずかに顔を覗かせていた。  
星奈は勿論パイズリの経験など無かったが、  
乳房を両手で挟み込むと、懸命に乳房を上下させ始めた。  
膣に挿入するのとはまた違った感覚で、小鷹は有頂天になりかけた。  
 
そこへ横合いから夜空が割って入り、はみ出した亀頭に唇を被せる。  
「うわっ、あったかい……」  
口の中というのはこんなに温かいものだったのかと、小鷹は感激した。  
夜空の舌遣いは拙いものだったが、比較対象の無い小鷹にはそんな事は分からない。  
ただ、先端と竿と、それぞれに全く異なる感触が襲ってくる事だけはよく分かる。  
一度射精しているから耐えられるものの、普通ならこれだけで、  
ものの数秒でイってしまっているかもしれない。  
星奈が乳房をタプンタプンと揺らすのに合わせて、  
夜空が顔を上下に振り、唇をすぼめる。  
頬の内側の肉と、ザラついた舌。  
時折掠る歯の引っ掛かりが痛かったが、これは夜空の口が小さいせいだ。  
彼女の可愛らしい唇は、小鷹のモノを受け入れきれていなかった。  
「よっ夜空……んっ……歯、痛っ……ぬふぅ」  
自分でも信じられない声が出た事に、小鷹は驚いた。  
夜空は頑張って出来るだけ大きく口を開け、歯が当たらないように配慮してくれた。  
 
星奈はパイズリの最中にも唾液をトロリと垂らし、  
小鷹の肉棒と自身の乳房の間に即席のローションを作り上げた。  
泡立つそれは乳房の動きで上下に万遍なく広がると同時に、  
フェラを続ける夜空の口の中にも取り込まれていった。  
口で息の出来ない夜空の荒い鼻息が、殊更に劣情をそそった。  
 
「ほら見ろ。やっぱり私の胸でもこのぐらい出来るではないか」  
星奈に比べればかなりボリュームの劣る胸を張って、夜空が言った。  
星奈のパイズリがひと段落したした時、夜空もパイズリをしてみせると言ったのだ。  
そして確かに、夜空の胸でも小鷹の陰茎を挟み込む事は出来た。  
ただ星奈のように、谷間にすっぽり埋没させる程の事は出来なかった。  
代わりにと言っては何だが、ちょうど良い位置に乳首が当たる。  
「それじゃあ交代ね。今度は私がフェラするわ」  
星奈がそう言って、夜空と星奈は互いにポジションを入れ替えた。  
 
夜空のパイズリは、星奈の肉の海に比べるとやや浅い。  
それだけに、逆に一所懸命さが感じられた。  
二人の少女が同時にフェラとパイズリを行っているため、  
さっきもそうだったが、二人の首の位置がかなり近い。  
夜空はパイズリを続けながらも、星奈の頬にキスを繰り返していた。  
 
同じフェラと言う行為でも、人によって口の中の感触が違うのだと、小鷹は知った。  
当たり前と言えば当たり前なのだが、星奈の唇の形、舌の感触や長さに横幅、  
全てが細かく夜空とは違っていた。  
そして、これもエロゲーで学んだ知識だろうか、  
星奈は尿道を舌の先で責めるといったような事もしてくれる。  
しかしどちらが上だとか、どちらが優れているとは思わない。  
どちらのフェラもパイズリも、それぞれに素晴らしい魅力があると、小鷹は思った。  
 
もうこれ以上フェラとパイズリの同時攻撃を受けていては、  
勿体ない事に二度目の射精を迎えてしまいそうだ。  
そう感じた小鷹は二人に告げて、いよいよ最終段階へ入る事にした。  
即ち、星奈への挿入である。  
 
「コンドーム、どうする?」  
「つけなくて良いわよ。夜空がナマなのに、私がナマじゃないなんて不公平よ」  
「その……大丈夫な日なのか?」  
「うーん。ギリギリだけど、そんなに危険度は高くないと思う」  
それじゃまずいんじゃないのか……と小鷹は臆したが、  
意外にも夜空は星奈を後押ししていた。  
「孕んだら孕んだで仕方ないだろう。柏崎家の金で堕ろせるだろうし」  
「お前最悪だな……」  
「アンタ最悪ね……」  
しかしこれも夜空なりの、素直になれないエールなのだろう。  
これから手持無沙汰で行為が終わるのを見守らねばならないのだから、  
夜空がぶすっとするのも仕方の無い事かもしれなかった。  
「私は先にシャワーでも浴びているとしよう」  
「待ってよ夜空」  
星奈が呼び止めた。  
「……何だ?」  
「逃げないでよ。アンタ気付いてるんでしょ?」  
夜空が冷や汗を垂らす。小鷹には何の事か分からなかった。  
「……何の話だ」  
「フェアじゃないじゃない。私がやって、アンタがまだやってない事。  
 一つだけ残ってるでしょうが」  
夜空は顔を真っ赤にして俯いた。  
 
「つっ、つまりっ……ここで私に、オっ、オナニーをしろと言うのか!」  
「私もさっき、アンタ達がヤってた時にしてたのよ?」  
「それは貴様が勝手にやっていただけだろうが!」  
「でも、フェアじゃないのは事実よね?」  
「ぐっ……」  
どんな理屈だ、と小鷹はツッコみたかったが、黙っておく事にした。  
 
星奈の内側のキツさは、夜空に引けを取らなかった。  
ただ夜空と決定的に異なっていたのは、  
星奈が夜空以上に痛みを感じておらず、出血さえ無かった点だ。  
「いっ……た……いような、痛くないような……」  
「星奈、お前経験あったのか?」  
そりゃそうだよな、あれだけ下僕の男がいるんだから、  
今までに一度や二度くらいは誰かと交わった事があってもおかしくない  
……小鷹はそう思ったが、星奈は強く否定した。  
「アンタ今失礼な事考えたでしょ! 私は正真正銘ヴァージンよ!」  
「でも血も出てないし……」  
「多分、運動をしていたせいだろう」  
夜空が言った。  
特に陸上競技に打ち込む者などは、普段から激しい運動をするために、  
男性経験が無くとも処女膜がいつの間にか破れている事がある。  
星奈はスポーツ万能な上、目立ちたがりだ。  
頼まれてもいないのに運動会や競技大会の練習でハッスルしてきた筈だ。  
その影響らしいという事を、星奈自身、今理解した。  
「そんな事より夜空、何を突っ立ってんのよ」  
「うぐっ……そ、その……どうしてもやらねばならんのか?」  
「当たり前じゃないの」  
星奈に促され、夜空は渋々ベッドサイドテーブルに向かって立った。  
正常位で結合を果たした友人二人を横目に、片足を持ち上げる。  
持ち上げた足をテーブルの上に乗せ、恐る恐る股間をテーブルの角に。  
「いや何も角オナしろとまで言った覚えは無いけど……  
 アンタいつもそんな風にしてんの?」  
「そんなワケがあるか!」  
じゃあ何で今回に限って角オナなんだ、と言われると、夜空も困る。  
気分と勢いだけで行動していたので、自然と体がそういう態勢を取ってしまった。  
 
「それじゃ動くぞ、星奈」  
「ん。優しくしてね?」  
二回目だから小慣れてきたのか、小鷹は相手のペースを考える余裕が出ていた。  
下品に広げられた金髪美女の股間に体重をゆっくりとかけ、  
既に挿入されていたソレを殊更深く刺し込んでいく。  
「んうぅ……なっ、く……」  
星奈が呻くと同時に、亀頭が子宮口まで到達した。  
押し出された愛液がポタポタとシーツの上に沁みを増やす。  
それから小鷹はゆっくりと男根を引き抜き始めた。  
カリ首が膣内を逆走する感覚は、星奈にとって気分の良いものだった。  
ヒダが一つ一つ引っ掻かれているようだった。  
亀頭が抜けるか抜けないかのギリギリまで進むと、  
小鷹は自らの亀頭に元来た道を戻らせた。  
「あぁふっ、ぉあぁ……」  
ゆっくりと突き進む尿道が再び子宮口に戻ってくると同時に、  
星奈はまたしても快い呻き声を上げた。  
 
そんな彼女の様子を見ながら、夜空は控え目に腰を動かした。  
テーブルの角は丸みがあったが、女性器を刺激するには十分な形状だ。  
入り口が擦れ、愛液が分泌され、それが潤滑油になる。  
どんどん滑りが良くなり、夜空の腰の動きはスピードを増した。  
それに呼応するように、小鷹と星奈の腰の動きも早まった。  
 
小鷹に突かれながら、星奈は乳房を淫らに揺らした。  
タプン、タプン、という単純な擬音が一番しっくりくる揺れ方だ。  
ピンと張った乳首が一定のリズムで一定の範囲を往復する。  
その規則正しい動きをわざと乱したくて、小鷹は動きにバリエーションを持たせた。  
「アッ! その角度ぉ! 良イんっ!」  
小鷹が差し込み方を変化させると、星奈は敏感にそれに反応する。  
内壁の側面を抉るようにしたり、愚直に奥に突き立てたり、  
回転運動を加えたりと、実に様々な動きだ。  
これはテクニックと言うより、星奈のいろんな反応を見てみたいが故の、  
小鷹の好奇心と悪戯心からなる動きだった。  
「はあっ! ひっ! はっ、はっ! アうっ! ふぅっん!」  
もうしばらく鳴き声を聞いていたかったが、小鷹は欲求に抗えず、  
夜空にもそうしたように、上半身を倒して星奈の唇を奪った。  
「んんっ! むは、ふっ、んむぅぅうぅっ」  
星奈は喘ぎを無理矢理堰き止められながらも、  
小鷹の首に両腕を回して貪欲にそれを求めた。  
小鷹は彼女に体重と負担をかけないように片腕で自重を支えながら、  
もう片方の手は彼女の豊かな乳房にかぶせた。  
彼を抱き寄せる星奈の腕の力が少しばかり強まる。  
「はぁふっ、ふむっ、んじゅ、ちゅぷっ、んん、ハァん、はっ」  
「ハァ、せな、ハァ、ハフッ、フッ、ふぇなっ」  
無遠慮に舌を絡ませる小鷹の呼びかけも、もはや日本語の体をなしていない。  
やがて愛液の弾ける音は激しさを増し、腰の速さもそれに比例した。  
 
「ふぐっ、くっ、んっ……良い……凄く良いよぉ……」  
夜空もまた、星奈と小鷹のセックスをオカズに、  
テーブル相手に下半身を押し付けながら、自らクリトリスを弄った。  
「せなっ、はぁっ、俺っ、はぁ、ふぅっ、俺、もうっ……」  
「アッ、アンアァァ! ンンーッ! アァァァ! ァァァッ!」  
星奈は感じ過ぎて、小鷹の声も聞こえていないようだ。  
ややもすれば小鷹より先にイってしまいそうでさえあった。  
「はぁ、ふっ、はぁ、はぁ、あっ、はふっ、はぅ、ふうっ」  
夜空もこれがほぼ公開オナニーである事を忘れ、一心不乱になっている。  
「くっう……出すぞ! 星奈ぁっ!」  
「アァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァッ!!!」  
「−−−−−っ!!」  
三人は仲良く同時に果てた。  
 
 
帰りの道すがら、組み立て前のカラーボックスを抱えて歩きながら、  
小鷹は落ち着かない思考を持て余していた。  
とうとう一線を越えてしまった。  
それも、二人同時に。  
「友達ですら無かった筈なんだけどなぁ……」  
これは理科の言っていた、セックスフレンドという関係に相当するのだろうか。  
いや、セフレは慢性的に肉体関係を持つ者同士の間柄を差す言葉だ。  
たった一度の過ちなら、セフレとは呼べないのではないだろうか。  
でも、じゃあ、俺達三人のこの関係を何と呼べば良いんだ?  
小鷹は一人そんな事を悶々と考えながら、妹の待つ自宅へと歩を進めていた。  
明日からあの二人に顔を合わせるのが気まずいな、とも思った。  
「あいつら、終わった後は妙に余所余所しかったもんなぁ」  
 
 
だがそれが杞憂であった事を、小鷹はすぐに思い知った。  
「……今何て言った?」  
夜空は腕組みをしてふんぞり返りながら、  
星奈はソファの上で足を組んで頬杖を突きながら。  
人の話を聞いてなかったのかと言わんばかりに見下す目を小鷹に向ける。  
「つまりね? 今のままだと、夜空のアドバンテージは消滅してるわけよ」  
夜空はただの幼馴染。  
星奈は幼馴染、兼許嫁。  
この不揃いを解消するために、夜空をただの幼馴染でなく、  
一度は体の関係を持った女としてやる事が、元々の提案だった。  
そうする事で小鷹に対する距離感を埋めて、  
夜空と星奈の立場をフェアにしようという話だった。  
 
が、確かに星奈の言う通り、その目論見は自然と瓦解してしまった。  
小鷹が夜空のみならず、星奈にも手を出したからだ。  
それは夜空の同意の上……と言うより夜空がけしかけたせいだったが、  
これでは許嫁という立場がある分、まだ星奈の方が有利な立場のままだ。  
「そこで考えたんだけど、夜空には一つ、  
 私が今後どう足掻いても勝てない要素がある事に気付いたわけよ」  
「それが……俺の筆おろしの相手、っていう要素か?」  
「そうよ。そう考えれば、立場はお互い対等になるわ。  
 私達は二人ともアンタと一回ずつセックスしてるんだから、この部分は同条件。  
 それに加えて、夜空はアンタの脱童貞の相手、そして私は相変わらず許嫁。  
 これで数の上では五分五分でしょ?」  
それを五分五分と言うのか? と小鷹は思ったが、言わない事にした。  
ツッコみ所はそこではなかったからだ。  
「で、それが何で、さっき言った話に繋がるんだ?」  
「鈍いな、小鷹は。現状では私と肉は兎も角、  
 理科と幸村が割を食っている事に気付かんのか」  
「あー……」  
 
小鷹は冷や汗を垂らしながら、部室を見渡した。  
今日はマリアは仕事、小鳩は中学の方の用事で部活を欠席している。  
あの子達に今の話を聞かれずに済んで良かったと思う反面、  
先に夜空達から話を聞かされていた後輩二人の、  
物欲しそうな顔に寒気を覚える。  
 
「ハァハァ……小鷹先輩のぶっといメガビーム砲……ハァハァ……」  
「あにきにれいぷしてもらえるなんて、かんげきです」  
それが、夜空と星奈の導き出した結論だった。  
マリアと小鳩を除く部員四人全員が小鷹とセックスすれば、  
四人ともがフェアな立場で仕切り直せるだろう、というわけだ。  
「うん、話はよく分かった。分かったんだけど」  
「何か文句あんの?」  
「とりあえずこの手錠外してくんないかな」  
小鷹は後ろ手に組まされた手首にかけられた頑丈な手錠を揺らした。  
何で理科がこんなものを持っていたのか分からない。  
「そうですね。このままでは、あにきにれいぷされるのではなく、  
 むしろあにきがれいぷされるようなものです」  
いやいやいや幸村、ツッコみ所はそこじゃなくってな!?  
という小鷹の無言の訴えは、今のところ誰にも通じなかった。  
 
夜空:1、幼馴染 2、セックス経験済み 3、筆おろしの相手  
 
星奈:1、幼馴染 2、セックス経験済み 3、許嫁  
 
理科:1、部活動に献身的 2、セックスはこれから経験  
 
幸村:1、小鷹に従順 2、セックスはこれから経験  
 
「項目の数だけで言えばまだ理科と幸村はまだ不公平なままなんだけど、  
 その辺はどうやって帳尻合わせましょうか?」  
「ふむ、肉にしては良い着眼点だな。  
 そうだな……理科は小鷹の初・逆レイプの相手、  
 幸村は小鷹の初レイプの相手という事でどうだ?」  
「理科はそれで全っ然オッケーです!  
 一度小鷹先輩のアナルを開発したいと思ってたところなんですハァハァ」  
「わたくしもだいじょうぶです、あねご。  
 れいぷに屈しないことで、おとこの心意気をみせてしんぜます」  
「待てお前らコラちょっとマジであのスンマセン止めて下さいお願いしま……  
 いや理科マジ止めろってお前その見た事もない形の道具は何だコラァッ!  
 幸村助けてくれ! 俺の命令が聞けないのか!」  
「よぞらのあねごはいいました。ときにはあるじにさからってこそ、  
 おとこのたましいはみがかれるのだと」ポッ。  
「頬を赤らめながら期待に満ちた顔で言ってんじゃ……  
 あぁぁ待てこら止め、理科ぁっ! その物騒な注射器を仕舞えっ!」  
「観念して理科とエネルギー交換しましょう先輩!」  
 
その日、部活が終わった後でやって来たマリアは、  
いつものように部室を掃除しようとして、  
床に垂れている血痕の意味が分からず、暗い部室の中で悲鳴を上げた。  
 
憔悴しきった表情で帰宅した小鷹は出来合いの料理ばかりをテーブルに並べ、  
事情を理解出来ない小鳩に邪気眼全開台詞を並べたてられて小言を言われた。  
 
 
 
 
続かない  
 

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