幸村が女とバレてからの話――――  
 
「というわけで理科先生のメロ甘講座終了いたしました」  
「ご苦労、理科先生・・・」  
20分ほどで理科は幸村を連れて部室に帰ってきた  
「あにき、申し訳ございませぬ」  
「い、いや、謝ることじゃ・・・」  
事は少し前――――  
 
「あにき、ひとつお願いをうけたまわってはもらえませんか」  
幸村のこの一言から始まった  
「おう、何だ?」  
「あにきを今宵のおかずにさせていただいてもよいかと」  
ブゥーーーーーー  
飲んでいたコーヒーを見事に吐いた  
幸い部室にいたのは俺、幸村、理科だけだったが  
「ああ、ついに先輩が幸村さんとの妄想をカタチにフィーバ突入・・・・・・。あぁ、!!」  
幸いでもなかった・・・  
「な、何の冗談だ」  
「じょうだんなどではございませぬ。日ごろからあにきのたくましさを教訓にじぶんをいましめようと」  
「だーーーーー、やめ!それ以上い言うな。理科、とりあえず止めろ!」  
 
ということで、理科に説得(だといい)をさせたというわけだ  
「で、どうだ幸村・・・・・・」  
すると、幸村は恥ずかしげに  
「あにき、この気持ちはとうてい止まるものではないゆえ」  
「なぁっ!?」  
理科がショックを受けていた。どうやら説得をホントにしていたらしい  
「あにきには、申し訳ないとはぞんじていえども・・・御免!」  
幸村が部室を出て行った。全力で  
「幸村!!」  
「あぁ、二人の間についに恋の蕾がはなひら――」  
「お前はだまってろ!」  
妄想に走る理科を殴っておき(今思うとすまん)俺は遠くに消えた幸村を探した  
 
「あにき・・・」  
気がつくと、男子トイレの個室に入り(注・メイド服で)自分の陰部をなぞっていた  
「あにき・・・、あにき・・・・・・・」  
自分が尊敬する「男の中の男」の名を口にする  
理性ではどうにもならない  
とまらない  
とめない  
とまれ  
やだ  
 
放課後のトイレに空しく鮮やかな、淫らな声が響く  
「あにきぃ・・・・・」  
 
 
どれくらいたったのだろう  
校内をくまなく(冷やかな目線を浴びつつ)探したが幸村は見つからない  
どこだ、どこにいったんだ・・・  
もちろん周囲に聞くこともできない(我ながら悲しい)ので日は大いに傾いていた  
 
「ぁにきぃ・・・・・あぁん――ぁぇやぁ」  
声にならない艶やかな声が木霊する  
陰部はすでにいやらしい白乳色であふれかえっている  
パンティの上からでは物足りず、足へとずらし再び指を陰部へ、胸へとはわせる  
「あにきぃぃ、わたくしはぁ――――――いやらしいおなごですぅ・・・」  
指を自分の体内へと突き刺す  
悲鳴を上げるには容易い激痛であった  
「あぁあぁーーーー!!ぁぁあふぅ――――」  
『少女』の慰めは続く・・・  
 
結局、幸村を見つけることはできなかった  
途中で合流した理科が「理科特製『幸村の花園探しマシン』をぜひ!!」  
といってきたが当然却下した。花園ってなんだよ・・・  
目がイっている理科を置いて俺は諦めの思いで一杯の足を引きずって帰路につく  
が―――――  
「あふぅ!!」  
・・・今のは?  
期待と疑問を胸に声の主を探す  
「あぁああっぁ!」  
こ、ここか?  
そこは男子トイレ・・・いや、まさか、なぁ・・・・・・・  
恐る恐る喘ぎ声のする方へ足を進めた  
 
まちがってたらどうしよう・・・  
いや、何を間違うんだよ俺!  
意を決して鍵の掛かっていない(いいのか?)個室のドアに手を――かけた  
 
「あっ!」  
幸村の驚愕が反響する  
そこにいたのは、メイド服を脱ぎ散らかした幸村――  
「あ…ぁぁ――――」  
と、体をくねらせていた幸村の顔が紅潮した  
シャーー  
なまめかし足を伝って、幸村の黄金水が流れる  
な、なんだよこれは・・・・・・  
 
目に涙を浮かべた可憐な『少女』が、そこにはいた――  
 
「あ、あにき・・・」  
えぇっと――――幸村?  
「申し訳ありませんあにき・・・」  
顔を赤らめた幸村がばつの悪そうな声で言い捨てた  
「な、何がだ・・・?」  
「あにきのこころに甘えて、このような行為にはしった上、お見苦しいところをお見せしてしまいました」  
「い、いやそんなこと」  
「いえ、わたくしのみじゅくさがいけないのです。かくなるうえはっ!」  
幸村はメイド服から黒のボールペンを逆手に持ち、自分の腹に突きたてようとした!  
せ、切腹!?まずい!!  
考えた時には体が動いていた――――  
――――――――グサッ、ガタン――擬音が響く・・・  
 
一体どれほどたったのだろう。いや、実際はほんの数秒だったかもしれない  
幸村のボールペンは深々と俺の肩に刺さった  
俺はというと、幸村に飛びつき押し倒すかたちになっていた  
「くっ・・・」  
「あ、あに・・・・・せんぱい!」  
痛ッ!・・・そんなことよりどうして――  
「なんで『せんぱい』なんて・・・いうんだよ・・・」  
幸村は顔を下に向け言い放つ  
「もう、わたくしは舎弟などにはなってはいけませんのです」  
舎弟じゃない――?  
「あに・・せんぱいを傷つけてしまったのですよっ!?」  
傷つけた?それがなんだ?お前は――  
「お前は俺の舎弟だ!!今後一切変わることはねぇんだよ!」  
「――――――!」  
そうだ、お前は俺の――――  
「可愛い後輩じゃねぇか」  
 
我ながらベタなセリフを吐いたと思う  
でも、それでも幸村は――可愛い後輩だ  
「うぅ・・・・・・あにき・・・あにきぃ!」  
幸村は泣き顔で俺を抱きしめた  
やべぇ、か、可愛いっ  
「あにき、お願いがあります」  
「――なんだ?」  
恐る恐る聞いてみる  
「わたくしのばーじんを奪って頂きたいのです」  
「お、お前、何言――――」  
幸村が潤んだ目で俺を見つめる・・・  
「――ああ、うばいとってやる。後悔すんなよ」  
幸村の潤んだ涙が輝かしい微笑みをたたえていた――  
 
指で幸村の陰部をさするとすでにいやらしい愛液であふれていた  
「あふぅ・・・あんぅ」  
星奈のエロゲのセリフより、理科のパソコンのエロボイスより遥かにエロい声だった  
抵抗こそしない幸村の陰部をさする。さする。さする  
わずかしかない膨らみの胸を揉む。揉む。揉む  
硬直した薄紅色の乳首をつまむ。つまむ。つまむ  
手だけでは飽きたらず、俺のモノをズボンから出す  
「−−!」  
幸村は少し驚いたようだったが、  
「いいです」  
と、笑って答えた  
もう止まらねぇぞ――――  
 
ブスっ――鈍い擬音がした  
四つん這いの幸村に俺のモノが吸い込まれていく  
処女膜だろうか。わずかな抵抗を感じる  
少しためらうが、わずかな幸村の微笑みをみて、決心する――  
グチャ――奪った、奪っちまった、彼女の『ハジメテ』を――  
「動くぞ」  
奥まで入れようとすると「あぁんえぇあ」とうめく幸村  
「入れるぞ」と一声かけ、奥まで――――入った  
そして俺は少しずつ腰をゆらす  
いやらしい声に耳を塞ぎ、俺はさっきより激しく動く――  
動く、動く、うごく、ウゴク、UGOKU・・・  
「だ、だめぇでぅ、あにきぃ、もぅ、イきますぅ、イくぅ、イくぅぅぅう!!」  
ヤバい、俺もッ―――  
 
びちゃ、びちゃぁ  
同時にイった俺たちは力無く個室の壁にもたれかかる  
よかった――――幸い、中には出さずに済んだ。ファインプレーだぞ俺・・・  
「あ、にき、・・・」  
どこか気の抜けた声で『彼女』は話しかける  
「わたくしは、いつ、までも・・あにきのしゃていです♪」  
そしてまんべんの笑み  
すっかりハートを鷲掴みされた俺は「ああ、もちろんだ」とこたえ、  
幸村の唇を奪った  
そのキスは――――  
長く熱い、愛のカタチだった  
 
おしまい  
 
 
 
 
   後日談というか余談 
 
翌日、部室に行くと、読書にふける夜空、ギャルゲ片手に星奈、直立不動の幸村の三人がいた  
「よぉ」  
軽く挨拶をして椅子に座る。と――  
なぜか夜空と星奈の目線が突き刺さる。なんだ?一体  
「あにき」  
ふと幸村が声をかけてきた  
「なんだ?」  
なにがあったかでも話してくれるのか?そんな望みはあっさり砕かれた  
「わたくしのハジメテは一生あにきのものです」  
そしてにこやかに微笑んだ  
にこやかに微笑んだのは夜空も星奈もであった  
??  
「小鷹貴様という奴は!!」「最低ねッ!!」  
――もういや・・・  
 
後日知ったことであるが、どうやら俺が『下級生を泣かせた上、校内で追いかけまわした』という噂が立っていたらしい  
なんでだよ・・・・・・  
 
おしまい  
 
 
 
 
   後日談というか余談 
 
「むふふふふふhhhhh」  
暗い「理科」室に怪しい声が響く  
声の主は言わずと知れた変態魔、理科である  
その手には幸村が切腹(?)をしようとしたボールペン・・・  
「まさか、幸村さんに持たせていたペン型録音機がこんなことに役立つだなんて・・・」  
当初は、幸村の私生活を探ろうと持たせていたものだが思わぬ収穫だ  
「ぐへへへっへえっへへへ」  
相変わらずの変態マッドサイエンティストである・・・  
 
ホントにおしまい  
 
 
 
 

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