結構な怖さであった夜空の怪談の後、結局肝試しはお流れとなり皆それぞれの部屋に戻っていった。  
「……ダメだ、眠れん」  
そんな中、俺は闇子さんの話の衝撃が強かったのか眠れずにいた。  
「何とかして記憶の隅に追いやるか」  
アレはインパクトありすぎだろ、と独りごちながら恐怖体験を覆うように合宿であったことを思い返していく。  
「夜空の奴がいきなりマリアを置き去りにしようとしてたな」  
そのうちマリアの教育方針についてシスターに質問してみた方がいいのかもしれない。  
その後は幸村、小鳩、マリアとババ抜きを楽しみ、理科とは謎の会話をしつつここにやってきた、と。  
リュックはかなりの重量だったが皆のカレーに対する反応を見れたらまぁいいかという気持ちになれた。  
荷物をおいた後は……そうだ、「海だー」と言う羞恥プレイをやったんだったな。ちなみにコレ以外の羞恥プレイの記憶はない。  
そして小鳩やマリアに日焼け止めを塗って、理科がいつものように壊れて、夜空が星奈を踏みつけて――――  
あの時は誤魔化したものの(成功したと言うことにして欲しい)正直目に焼き付いている。  
と言うよりアレは駄目だろう、アレは。小鳩が関東平野なら星奈は富士山、いやチョモランマと言っても過言ではない。  
こっちだって一応健全な男の子ですから興味がないわけじゃないわけで、どっちかと言うと興味しんs  
とかバカなこと(男の子にとっては結構重要なんだが分かってもらえるだろうか)を考えてると突如ドアが嫌な音を立てながらゆっくりと開き、一つの人影が部屋の中に入ってきた。  
寸前までバカなこと(繰り返すが男の子にとってはry)を考えていて忘れかけていたのだが闇子さんを思い出してしまう。  
俺はギュッと目を瞑りやり過ごそうとしたのだが足音が少しずつこちらに近づいてくる。  
だが――……ゆさゆさと、何者かが布団を揺すってきた。  
 
 
結論から言えば闇子さんは存在しなかった。というか何者かは星奈だった。  
怪談の影響なんだろう、要約すれば一人で行くのが怖くなったからトイレについてきて欲しい、との事だった。  
闇子さんじゃなかった事で安堵した俺は直前まで何を考えていたかを思い出し多少恥ずかしかったが、流石に一人で行けとは言えず星奈についていった。  
ついていく最中、星奈は恐怖と我慢からなのか微妙にプルプルと震えておりその姿が俺の中にまたモヤモヤとした気持ちを沸き起こしていく。  
星奈がトイレに入り、俺はその前の廊下に立っている。  
「ちゃんといるわよね小鷹」  
なにやら物音と一緒に、トイレの中から星奈の声。  
「あ、ああ、いるぞ」  
気恥ずかしさを覚えつつ返事をする。  
そうか、今この扉の向こうでは星奈が、その、お、おしっこをしているのか……  
用を足すんだから当然パンツを下ろすよな。となると以前星奈の家で見たあの部分が丸出しなわけで……  
って俺は一体何を考えてるんだ!落ち着け、俺の頭!そして俺の息子!  
このままではいけないと思った俺は扉から少し距離をとり両手で耳を塞ぐ。  
……ふぅ  
これなら変なことを想像せずに済む、名案だなと思い星奈が出てくるのを待つ。  
どれくらい経ったのか分からないが(せいぜい数分だろう)怖ず怖ずといった感じで少しずつトイレの扉が開いていくのが見えた。  
用がすんだんだなと思った俺はサッとドアを開き星奈に  
「もう終わったのか」  
と声をかけた……のだが  
「きゃああああああああああ」  
返ってきたのは耳をつんざくような星奈の悲鳴だった。  
いきなり大きな声を出され軽くパニックに陥った俺がまずとった行動は口をふさぐ事だった。  
「お、おい、こんな夜中にそんな大きな声を出すなよ。誰かに聞こえたらどうするんだ」  
向こうもテンパっているのか目を瞑り少し暴れながら口をふさがれた星奈からはん゙ーだとかむ゙ーだとかくぐもった声が漏れている。  
「落ち着けって、俺だ、小鷹だよ」  
星奈の目を見据えながらゆっくりと諭すように一文字一文字言葉を紡いでいく。  
俺の姿をようやく認識したのか星奈の身体から強ばりが消え落ち着きを取り戻していった。  
「あ、あんたねぇ、なんで、私が呼びかけてるのに無視するのよ。へ、返事がないから、わ、私てっきり……」  
その理由は単純明快で耳を塞いでいたからなのだが何故塞いでいたのかを問われると困るので黙っていると  
「あ、やだ、安心したら、私、もう」  
自分の妄想をどうやって誤魔化して説明しようかと考えていたがどうも星奈の様子がおかしい。  
ギュッと目を瞑りプルプルと震えている。  
 
「おい、大丈夫なのか」  
両肩に手をかけ軽くゆすり、そう問いかけた瞬間だった。  
「あっ、バカ小鷹、今そんなことされたら、イヤァーーー」  
そう叫んだかと思うとプシャアアアアと音を立てながら生暖かい液体が床に水溜りを作っていく。  
途中で腰を抜かしたのか、ペタンと床にへたり込むもその勢いは弱まらずパジャマにも染みを広げていく。  
俺はただ、その姿を呆然と見ているだけだった。  
すると徐々に勢いが弱まっていき、チョロチョロという音を最後に星奈のソレは止まった。  
「う、うう、うううー」  
星奈の泣き声に我に帰った俺だったかがどう対処したらいいのか分からず手を上げたり下げたりとあたふたするだけ。  
「バカ、アホ、エッチ、バカ」  
「いや、そのだな、別にどうこうする気はなくてだな、えーっと」  
「うぅっ、もうヤダぁ、なんでこんな……」  
「えーっと、そうだ!俺は全然気にしないから星奈もそんなに気にするな!」  
冷静になって考えてみると相当どうかしてる発言だがその時の俺にとってこれがベストだったんだ、察してくれ。  
「あんたが気にしなくても私が気にするの!」  
「俺は小鳩ので見慣れてるし、な、だからその」  
「そういう事じゃないの!そりゃ、お、お漏らししちゃった事を気にしないかと言われればそういう訳じゃないけど……」  
「うぇ?スマン、ちょっと最後のほうが聞き取りにくかったんだが……」  
「だからしちゃった事よりも好きな人の前でしちゃった事がショックだったの!」  
「…………」  
「………………」  
「……………………」  
「…………………………」  
「………………………………え?」  
「あわ、あわわわわ」  
それってやっぱりそういう事なのか。いやマテ、もしかしたら俺には見えない誰かが見えてるのかもしれない。  
落ち着け、落ち着くんだ俺。今までにも早とちって色々と傷ついてきただろう?  
仄かにアンモニア臭が香る中、益体のないことをあれこれ考えていると星奈が喋りかけてきた。  
「ううん、今のは聞かなかったことにして。小鷹だってこんな年にもなって漏らしちゃう子なんて嫌でしょ。  
 だからいいの。変なこと言っちゃってゴメンね」  
そう言われた瞬間俺は頭をガツンと殴られたかのような衝撃に襲われた。  
「私は掃除して部屋に戻るから。先に戻っていいよ。本当にゴメンね」  
そう言って星奈はトイレに入っていった。  
怒涛の展開に俺の頭はパンク寸前、いやパンクしていたかもしれない。  
ただ、悲しそうに目を伏せトイレに入っていった星奈を放っておくことは出来なかった。  
恋だとか愛だとかは正直に言えばまだ良く分からない。でも、星奈の事を好ましく思っていて大切だというのは偽りの無い真実だった。  
その事をうまく伝えられるか分からない。だが、それでも、精一杯の言葉で伝えなければいけない。  
そう思い俺はトイレのドアを開けた。  
 
そこには、パジャマを脱いで、下半身丸出しの、星奈が、いた。  
 
手には巻き取ったトイレットペーパーがある所を見ると拭くところだったのだろう。  
なるほど、確かに濡れたままじゃ気持ち悪いもんな、と納得する。  
そして、こちらを見る目は驚きのあまり見開かれていた。しかし綺麗な色だよな。小鳩の姉に間違えられても不思議じゃない。  
「な、な、何してるのよ」  
口をパクパクとさせ、何とかといった感じで声を漏らす。  
その声で少し冷静さを取り戻した俺は伝えようとした思いを言葉にする。  
「その、さっきの返事なんだが……」  
「だからアレは」  
「いいから聞いてくれ」  
星奈が何かを言いかけたのを制し一気にまくし立てる。  
「あまりうまく言えないかもしれないから端的に言うぞ、俺も星奈のことが好きだ」  
「……ふぇ?」  
「ただ、恋とか愛とか言われても今はまだ良く分からない」  
「そ、そうよね。ははは……」  
「だけど、俺はお前にそんな顔をして欲しくない。お前のことが大切だってのは嘘偽りのない俺の気持ちだ」  
「……何よソレ」  
「えーっとだな、だから、えーっと」  
「要は『お友達でいましょう』ってことなの?わざわざ追い打ちでも掛けに来たの?」  
「ちょっと待て!違う、そうじゃないんだ。ただどう伝えればいいのか俺にもよく分かってなくて」  
「いいのよ、もう。そもそも、その、お、お漏らしとかしちゃった時点でわかりきってたもの」  
「だからそんなこと俺にとっちゃどうでもいいんだよ!」  
「口ではなんとでも言えるわよね。そこまで言うんだったら態度で示してよ」  
自棄になったような、それでいて挑発するような口調にカチンと来た俺はそれならば、と言うことで星奈の方に近寄っていく。  
「あ、ご、ゴメン。別に怒らせるとかそういうんじゃなくて」  
ヤンキーだとか言われるだけあって不機嫌さをそのまま顔に出したら例え近しい人でも怯えてしまうらしい。  
多少なりともショックを受けたがここで引くわけには行かない。  
星奈の前にたった俺は彼女の手からトイレットペーパーを奪い去るとその場にしゃがみこむ。  
「え、ちょ、ちょっと小鷹?え、ええ?」  
そしてそのまま星奈の脚や太股を拭いてゆく。  
「な、ななな何してんのよ。ちょっとやめてよ。やめてったら!」  
「言っただろ。俺は気にしないって。だから態度で示してるんだ」  
「だからってそんな、ば、バカじゃないの!?」  
「バカだっていい。でも大切な人に思いを伝えないまま別れるのはもう嫌なんだよ」  
奪い取ったトイレットペーパーが水分を吸って使い物にならなくなると俺はそれをトイレに捨てそのまま行為を続けようとする。  
ふと、そこで前を見ると星奈の綺麗な脚が目に入った。  
俺は新たに巻き取ったトイレットペーパーを捨てるとそのまま顔を近づけていく。  
 
「え、あ、や、ねぇ小鷹、ちょっと、ひゃぁ!」  
星奈の太股を僅かに伝っている小水を舌で舐め取る。まるで甘露のようだ。  
「ば、ばかァ!あんた何してるのよ、そんなの汚いじゃな、ふわぁあ!」  
「汚いもんか」  
俺は短く言い捨てるとそのまま続けていく。右の太股、左の太股と舐めて行き徐々に両の付け根へと進んで行く。  
「もう、これ以上はダメだから、お願い……」  
「ダメだ、ちゃんとここもしないとな」  
そう言うと俺は髪の毛と同じ色の淡く生え揃った恥毛に守られた秘所に口づける。  
「んんっ、あっ、小鷹のバカ、エッチ、変態んんんっ!」  
左手で腰を抱え込み、右手で秘裂を割り開きながら顔を押し付けるように丹念に舐めとっていく。  
星奈のくぐもった声とピチャピチャと舐め取る音がトイレの中に響く。  
なんだか頭がボーッとしてきた。今までじゃ有り得ないような行為に没頭してるからなのか。  
「あっ、小鷹っ、もう本当にダメ!」  
ちょっとキツイ口調だったが無視して続行する。  
すると尿道口からさっきのような勢いはないものの小水が零れてくる。  
「汚れちゃうから、お願い、離れてよぉ」  
弱りきった声で星奈が訴えてくる。だが俺はこう宣言した。  
「汚くなんて無いって事を証明するから、気にするな」  
そのまま尿道口を舌先で突っつくように刺激を加えていく。  
もう星奈の口からは溜息にも似たような声しか聞こえてこない。  
腰に回していた手を少し下げ、尻をやわやわと揉みしだき別の刺激も加える。  
「んあぁっんんんん」  
それが決め手となったのかプシっと少しだけ漏れでた後は堰を切ったように流れでてきた。  
俺はそれを零さないように口を開け星奈の秘所に吸い付くようにし飲み干して行く。  
さっきので殆ど出ていたのだろう。ほんの数秒ほどでそれは収まった。  
俺は頭を離し、星奈の顔を見上げると熱に浮かされたような、呆けたような――しかしそれでいて艶のある表情をしていた。  
その時、トクン、と胸が鳴った気がした。  
「星奈、その、俺……」  
恥ずかしながら俺の股間は行為に没頭していた時からこれ以上ないくらい盛り上がっていた。  
その事に星奈の方も気づいたのだろう。顔を更に真っ赤にし、はにかみながら答えてくれた。  
「えと、私なら、イイよ?」  
俺は立ち上がり星奈をギュッと抱きしめる。そうすると柔らかな双丘が俺の身体に押し付けられ形を変える。  
その事で俺は更に高まっていく。手を背に回し撫でさする。  
「……星奈」  
そう呟いて星奈の身体を弄ろうとした  
 
 
その時  
 
「あんちゃぁん……」  
「お兄ちゃーん」  
小鳩とマリアの声が聞こえてきた。しかも徐々に近づいてきている。  
顔だけ外に出してみると二人が体を寄せながらこちらに歩いてくるのが見える。  
どうやらトイレに用があるらしいと判断した俺はその事を星奈に告げる。  
星奈は少しだけ不機嫌そうな、怒りの色を浮かべたかと思うとすぐに消えて穏やかな笑みをこぼした。  
その笑みに心を奪われかけたが片付けの途中だと言うことを思い出し二人で慌てて床を綺麗にした。  
片付けが終わった後合流し顛末を聞くと、二人はトイレに行こうと思ったが怖かったらしく俺を呼びに来たが俺がいないことに気づき怯えながらもここまで来た、ということらしい。  
俺と星奈は顔を見合わして少しだけ笑うと二人の頭を撫で、頑張ったな、と褒めてやった。  
 
 
 
ちなみに床のモノを拭き取ったトイレットペーパーの匂いを嗅ごうとしたらゲンコツを落とされた。  
直の時は何も言わなかったのに何が違うんだろう……?  
女心ってのはまだまだよく分からない。  
が、星奈の為にも分かっていきたい、そう思う。  
 
了  
 
 

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