「ねえ、夜空……あたしね、小鷹と寝たの」
……この金髪女は何を言っているんだ?
ああ、確かに俺は昨晩星奈と一夜を共にしたさ。
俺だって健全な男だ。あんな態度で誘惑されたのならば、
ついつい欲望に屈してしまうのも仕方ないことなのである。
恐る恐る夜空を見ると……案の定青ざめた顔で言葉も無く立ち尽くしている。
「本当なのか……小鷹?」
罪悪感から目を逸らす俺を見て、夜空も星奈の言うことが真実であると気付いたようだ。
どうしたものかと俺がうろたえていると、突然バチン!という乾いた音が響き渡った。
「肉の泥棒猫!」
一瞬、何が起きたのか分からなかった。
夜空は普段の様子からは考えられないような大声を上げて、険しい顔で星奈を睨みつけている。
星奈が痛そうに頬を押さえていることを見て――夜空がビンタをしたのだと気付かされる。
突然の反撃に星奈も呆然としていたが、気を取り直したかと思うと夜空に向き直り、
右手を振り上げ夜空の左頬に強烈なビンタを浴びせ返した。
「泥棒猫って何よ!小鷹はあたしを選んでくれたんだから!」
夜空も黙ってはいない。星奈に負けじと再びビンタを食らわせる。
「私が小鷹と親友だったを知ってたくせに!」
「ふられたからってやつあたりしないでよ!」
「小鷹を返せ!」
目の前で繰り広げられる女同士のビンタの応酬を前にして、
俺は恐れをなしてただ見ていることしか出来なかった。
しばらくするとお互い疲れたのか、息を切らせて座り込んでいたものの、
頬を真っ赤に腫らしながら相変わらず互いを睨みあっていた。
「夜空、いい加減に負けを認めたら?小鷹はエッチさせてくれない夜空に愛想尽かしたんだから」
「そんなことない!」
そう言うと……突然夜空が服を脱ぎ始め、
「私が小鷹の親友なんだから……小鷹に抱いてもらうんだ……」
そう言って、俺にしなだれかかってきたのである。