此処へ来たのは、彼女のこと支えるためだったのに。  
今、俺は何をしている?  
 
確かに、俺が望んだ通り理花さんが居る。  
ただ違うのは彼女は何も着てなくて、切なそうに眉を顰めて喘いでいる。  
月明かりに浮き上がっている彼女の身体はとても綺麗だった。  
浮き上がる鎖骨、細いにも関わらず女性らしい緩やかな腰のライン。  
その全てが俺を狂わせた。  
 
「すいませ…。」  
「原田君っ。」  
 
胸が痛んだ。  
彼女が薄目で見ているのは、俺じゃない。  
初めから俺なんて居ないみたいな目をして愛しい人の名を呼ぶ。  
 
「理花さん、目を覚まして下さい。」  
「此処に居たのね。ずっと、ずっと探してた。」  
 
そう言って俺の手首に口付ける。  
その艶かしい行為に、俺は頭が真っ白になる。  
 
「原田君…好きよ…。愛してる…。」  
 
もう、どうにでもなれ。  
 
切実にそう思った。  
駄目だ。  
どうせなら、彼女の弱い部分なんて見ない方が良かった。  
見えない方が良かった。  
 
俺は、彼女の両手を掴んで片手で自由を奪う。  
こんな簡単な動作でも、壊れてしまいそうで。  
いっその事、壊れてしまえば良いとも思った。  
そんな、馬鹿げたことを思いながら曝け出された胸に口付ける。  
 
「綺麗だ…。」  
「原田く…ゃ…ん。」  
「…理花さん…好きです…。」  
「私…もよ…原田君。あいし…ひぅっ!」  
 
胸の蕾を口に含みながら、太ももを摩る。  
上のほうから聞こえる消え入りそうな声に頭がガンガンする。  
これが正しいのか、間違っているのかさえ判断できなくなっていた。  
最初から判断できたらこんなことはしていない。  
 
「ん…あぁ…原田君…。」  
「理花さん…理花さんっ!」  
 
拘束していた腕を解き、順々に口付けながら下がっていく。  
割れ目に指を這わせると、十分に濡れているのが解った。  
何度も焦らす様に往復して、彼女を堪能する。  
指先に神経が集中した、ありがちな表現だが本当にそうだと思った。  
 
「あぅ…原田く…やぁ…。」  
 
濡れそぼったソコはくち…と音を立てて、俺の指を飲み込んでいく。  
彼女の中は、暖かかった。  
狭い中に、一本、また一本と指を追加する。  
 
「は…ぁ…抜いてぇ…。やっ…あぁ…。」  
「3本も入ってますよ。」  
「言わ…ないでぇ…。」  
 
そう言って彼女は自分の肩に顔を埋める。  
そんなことをしたって、俺は指を動かすのを止めない。  
早めたり、ゆっくりとしつこく一部を攻めたり。  
これから、彼女がどんなに許しをこいても止まらないだろう。  
彼女の愛液が腕を伝い、シーツに小さな染みが出来る。  
部屋中が甘い匂いで満たされていく。  
 
「はっ…んぁ…あぁ…原田君…も、限か…」  
「良いですよ。イってください。」  
 
俺がそう言うと同時に、小さく叫んで彼女は果てた。  
激しく呼吸をする胸が、上下する。  
酸欠と快楽で頭がぼーっとしているのか、目が虚ろだった。  
俺には、このほうが都合が良い。  
彼への思いを良いことに、彼女を好きなようにできるから。  
つくづく、自分が嫌になる。  
 
「っ…じゃぁ、いきますよ。」  
 
彼女の返事を待たないで自分を沈みこむ。  
 
「あっ…。」  
「ん…理花さんっ!」  
 
まわされた彼女の手が背中に喰い込む。  
痛くて痛くて、涙が出てきた。  
 
「うっ…ぇ…理花さ…。」  
「原田くっ…あっ…んっ。」  
 
厭らしい水音と、二人の息遣いだけが響いていた。  
彼女も俺も限界が近づいている。  
ただ、もう少しだけ、この時間が続けば良いと思った。  
自分で満たされている彼女。  
自分と繋がっている彼女。  
彼女が見ているのは俺じゃなくても、事実は其処にあるから。  
だから、もう少しだけ…。  
 
「理花さんっ…理花さんっ!!」  
「あっ…あっ…原田君っ!原田君!!」  
 
そう言って、情けないながらも叫びながら彼女の中で果てた。  
それでも涙は止まらなかった。  
ぐったりとした彼女の身体に涙が落ちる。  
月明かりで反射してキラキラと輝いていた。  
 
彼女の隣に倒れこんだ。  
窓越しに見た月は眩しくて。  
なんとなく、このまま死んでしまっても良いと思った。  
俺で満たされた彼女と二人で。  
 

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