作業室のドアが開く音がして、目を上げる。
誰か来たのかと思ったら、30センチほど開いたドアの隙間には人影も、何も見えない。
どうしたんだろう、と思った瞬間に、ドアの隙間からひょっこり黄色い花が顔を出した。
「だーれだ?」
甘えるように名前を呼んだ声で、それが誰だかわかる。姿を見せないで、一体どういうつもりなんだろう。
少しだけ笑って、名前を呼んだ。
「はぐちゃん、入ってきなよ」
ふふ、と笑った声と共にドアの向こうから「は〜い」と長く延ばした返事が返ってきた。
「どうしたの、これ」
「風邪引いてるって修ちゃんに聞いたから、おみまい」
「花本先生が?おおげさだなあ、ちょっと咳が出てただけなのに」
はい、どうぞ。と言って差し出されたのは、さっきドアの隙間から顔を出していた黄色いひまわりの花。
見舞いだと言うから、笑顔で受け取ろうとしたらすぐにそれは引っ込められた。
「あ、やっぱりダメ」
「どうして?」
「これ、さっきそこの畑で取ってきたやつだから、虫とかついてる。絶対」
まるで虫がついているのが悪いことのように言うけど、
悪いのはそのへんの畑から黙って花を取ってきたはぐちゃんだと思う。
無茶苦茶な言い分に苦笑したのを見て、はぐちゃんは少しだけ不思議そうにこちらを見た。
ああ、自分は何も悪い事なんかしてないって顔だ。だから、笑うのを止めた。
使ってないコップを指して「ここに入れておいて」と言うと、はぐちゃんはにこりとしてひまわりをそこにさしてくれる。
「えへへ、元気そうでよかった」
そう言って、俺の隣の椅子に座りながら満足そうに微笑んだ。
「あの花、折角だから見てもらいたかったの」
ちらりとひまわりを横目で見ながら言う。
ありがとう、と言うとはぐちゃんは照れたように笑って、顔をうつむかせた。
「竹本くん」
「なに?どうかした?」
顔をかしげて様子を伺うと、はぐちゃんが急に顔をあげた。
「そっちに座ってもいい?」
椅子から立ち上がって、はぐちゃんは向かい合う格好で俺の膝に乗っかった。
子供をあやすように俺の頭を撫でてくれる。
「昨日、竹本くんの夢をみたよ」
「俺はどんなことしてた?」
「起きたら忘れたの。でも竹本くんがでていた事は覚えてた」
「そっか」
楽しそうに話すはぐちゃんを見ていると自然に口元が緩んでしまうう
首元に手を伸ばして髪の毛をゆっくりと梳く。ふわりとした感触が気持ち良い。
顔を少し傾けてはぐちゃんの顔に近づける。
くすぐったさにため息を吐く仕草があんまり可愛いんで、俺はその唇にキスをした。
「竹本くんのくち、甘い味がする」
「昼に山田さんに貰ったロールケーキ食べたからかな」
お互いの鼻の先が触れそうになるくらいの距離での会話は、生暖かい息が顔にかかる。
どきどきして、俺の下半身が反応しているのがばれた。
照れくさいようにはは、と笑うとはぐちゃんは黙って目を伏せる。
俺ははぐちゃんのくちにもう一回キスをして、その体を抱きしめた。
唇を押しつけて、そっと合図を送れば、はぐちゃんも口を開いて俺の舌を受け入れる。
俺もはぐちゃんもキスに慣れていなくて、初めは歯が当たったり上手くいかなかった。
息の仕方もよく分からなくて、二人で戸惑ったりもしたなあ…。
キスが終わると、俺ははぐちゃんを膝に乗せたまま、ワンピースのボタンを外す。
「手、上げて?」
そう言うとはぐちゃんはバンザイするみたいに両手を上げるので服を脱がしてあげる。
それが妙に子供っぽくておかしい。これからする行為が悪いことのような気分になる。
キャミソールの中に来ている下着をめくって、胸に触った。
「胸がなくてごめんね」
毎回はぐちゃんはそんなような事を言って、ちょっと困ったような顔をして見せる。
俺が横に首を振ると頬を赤くして笑う。
たったそれだけなのに、下半身はいよいよ我慢ができなくなって俺はそこを硬くするんだ。
そんなものを押しつけられたはぐちゃんはどんな顔をするんだろう。
恥ずかしくて確認なんて出来ないから、誤魔化ようにはぐちゃんの胸を強めに揉む。