「花本君・・・・・」  
 
冷たい指先が俺の髪の毛をかき混ぜる。  
華奢な肩、細い首筋にあばらの浮き出そうな痩せた身体  
胸のささやかな膨らみが、まるでいたいけな少女を相手にしているようで  
いたたまれない気持ちにさせられる。  
 
「・・・・リカ」  
 
目を離した隙に消えてしまいそうな彼女の存在  
零れる吐息やその中の熱を確かめずにはいられない  
彼女がちゃんと生きてるってことを。  
そんな不毛な理由で彼女を奪わずにはいられない愚かな自分  
そして拒否することの出来ない子供のような彼女  
壊れてしまえば良い。そんな凶暴な気持ちで彼女を貫く  
 
「・・・・泣いてるの?」  
 
彼女の声に自分の頬が涙で濡れていることに気付く  
硝子玉のような瞳を見つめながら  
「もう一緒にはいられない」とはじめてそう思った。  
 
 
 
おわり  
 

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