グイと引き寄せられたかと思うと、次の瞬間には森田さんの腕の中だった。  
 
「な・・・・ちょっと!」  
 
「はぁっ・・・・恋の香り」  
 
「もうっ!ちょっと!!気持ち悪い!」  
 
「お前柔らかいんだな・・・・超合金で出来てるっていう話は・・・」  
 
「どーいう意味よっ!」  
 
なんて意外と広い森田さんの腕に閉じ込められたままそんなやりとりを続けているうちに  
なんとなく腕の中の温かさだとか、ちょっと早い心臓の音だとか、  
耳元で聞こえる心地のいい低音だとか・・・・気が付くとそのまま身体を預けてしまっていた。  
森田さんに男を感じるなんてそれこそナンセンスだ、と自分に言い聞かせながら・・・  
「チガウ男に慰めてもらうのって、案外いいかもね」と見上げると  
そうだろう?とニヤリと笑って見せた森田さん  
次の瞬間重なる唇  
 
「ん・・・・んっ!」  
 
たっぷりと時間をかけ奪ったあとも森田さんは相変わらず不敵な表情で、我が物顔で私の顎に手を添え上を向かせる  
右手で腰を引き寄せられると、さらに密着度が増した。  
 
「な・・・・・ななっ・・・・!!!!」  
 
あまりの驚きに酸欠の金魚のように口をパクパクさせる私を余所に  
両手でがっちりと私を捕らえたまま「おもしろい顔だな〜」と笑う  
再び彼の前髪が額に触れたかと思うと唇に感じる冷たい感触・・・。  
最初は軽く触れるように、次に角度を変えて包み込むように  
下唇に軽く歯を立てられた感触に驚いて思わず口を開きかけると  
すかさず差し込まれた舌の感触。  
 
「・・・・・はっ・・・・・んんっ」  
 
差し込まれた舌が私の口の中、我が物顔で動き回る。  
歯列をなぞり、上顎を撫で逃げ場を失った私の舌は絡めとられる。  
ピチャピチャと私の中から聞こえてくる音に耳を塞ぎたくなったけど  
がっちりと抑え込めれぴったりと密着しているためにそれも叶わない。  
 
「あ・・・・や・・・・やめっ」  
 
息継ぎの合間に抗議の声を上げようとしても、焦ったように絶え間なく与えられる口付けに  
うめくような声しか上げられないでいる。  
 
「手はこう」  
 
突っぱねるように二人の胸の間にあった私の腕を易々と取ると  
彼の首に廻すよう促される。  
抵抗すべきなのは分かっているはずなのに、なんだか頭が回らなくて  
小さい子供のようにそれに従ってしまった。  
 
私は大人しく口付けを受け、送り込まれてくる唾液を受け止める  
今まで知り得なかった刺激に背中が震えてくる。  
一層激しく深い場所で蠢く舌の感触に腰から頭のてっぺんまで一気に電流が走った。  
ビクリと震えた私の耳元で森田さんが囁く  
 
「山田・・・・感じてるんだな」  
 
「・・・・・・っ!違うっ!」  
 
私の抗議をフフッっと含んだ笑顔でかわすと、  
今度は背中に回されていた腕がわき腹のあたりを撫でた。  
 
「・・・・・んっ」  
 
「・・・・・わき腹は弱い?」  
 
馬鹿みたいにコクコクを頷く私を余所に、そのままカットソーの下から手を差し込まれた手が  
そのまま素肌の背中に回される。・・・・途端感じる開放感・・・・。  
 
「・・・・・・・!!!森田さん!!!」  
 
「ははは」  
 
締め付けから開放された私の胸を森田さんの掌が覆った。  
初めは大きさを確かめるように。次に私の反応を引き出そうかとするように  
持ち上げるように動いたかと思うと、ざらついた親指の先でその先端を撫でる  
すると面白いように私の腰は跳ねた。  
 
ほら、山田」と促されるままに万歳をさせられると頭からカットソーを脱がされる  
肩に引っ掛かったままのブラを奪われると私の上半身を隠すものはなにもなくなっていた。  
けれど、ジーンズは履いたまま。  
 
「なんだかロマンチックじゃない」  
 
「じゃあ全部脱いでしまうか?」  
 
「森田さんも脱いでくれる?」  
 
汗ばむ身体に張り付いたジーンズはなかなか脱げ難くってもどかしい  
苦戦している姿を笑いながら私も森田さんのシャツのボタンを外していく。  
下着一枚になった私を森田さんが後ろから覆い被さるように抱きしめてくれる  
意外に広い森田さんの腕の中。私は肌を隠すように身を縮めるとその裸の胸に背中を預けた。  
 
「山田髪伸びたな」  
 
「うん」  
 
私の髪を掬い上げ口付けてるのが気配でわかる。  
おかしいよね。髪の毛なのに感じてしまうなんて  
露になった首筋に押し付けられる熱い感触。チュッと小さい音をたてながら  
首筋に耳の後ろにいっぱいキスをくれる。  
私は恥ずかしくて、でもうれしくてクスクスと笑ってしまう。  
背中越しに森田さんも笑ってるのが伝わってくる。  
 
「・・・・・・んっ」  
 
耳たぶをチロリと舐められた私はそれを押し留めようと胸元を隠していた腕を解いてしまった  
その隙を逃さぬよう後ろから森田さんの掌が私の胸を覆った  
 
「やっ・・・・」  
 
全体をやわやわと揉みしだいたかと思えば、その中心に指先でもって刺激を与えられる  
どんどんとその存在を主張しはじめたソレはきっと森田さんからも見えてるはず。  
 
「はぁっ・・・・ん」  
 
先端をキュっと指で挟まれると全身に電流が流れるみたいだった  
森田さんの吐く息が首筋にあたっていてとても熱い  
そして私の中からも熱い塊が生まれてきそうで  
思わず閉じていた膝をすり合わせていた。  
 
「も・・・・森田さん・・・・・」  
 
なんだか物足りないような、もどかしいような不思議な感覚  
自分が何を求めているかは解からないまま、私は身体を傾け口付けをねだる。  
そんな私に森田さんはやさしく笑いながら口付けをくれた。  
 
「ん・・・っん・・・・」  
 
自分から舌を絡め送られてくる唾液を飲み干す  
森田さんの掌は相変わらず私の胸を刺激しながら、もう一方の掌は  
太もものあたりを彷徨っている。  
 
「ま・・・・待って!!」  
 
背後から回された腕は閉じようとする私の両膝を強引に押し開き  
無骨な掌は次第に中心へと近づいていた。  
太ももから下着のラインへと這い回る骨ばった森田さんの無骨な手と  
私の肌の色とのコントラストに余計にヘンな気持ちになってくる。  
指先がすーっと腿の付け根のラインをなぞったかと思うとイチバン触れて欲しい場所に  
そっとあてがわれた。  
 
「ひゃっ」と悲鳴を上げた私の耳元で「待ってあげない」と森田さんが囁いた  
恥ずかしくて振り向くことは出来ないけれど、きっとものすごくイジワルな顔をしてるんだろう。  
たった一枚の布を隔てて、私の中心の溝にそって何度も何度も森田さんの指が行き来する。  
胸の鼓動がソコにまで伝染したかのように、与えられる刺激に時々お腹の奥のほうがキュっとする。  
 
「ん・・・・濡れてきたかな?」  
 
相変わらずのんびりとした口調。  
一方の私は未知の間隔に青くなったり赤くなったり忙しい顔をしているに違いない。  
布越しの間隔でも私のソコが潤って森田さんの指の動きを助けているのがわかった。  
 
「すっごい濡れてるね」  
 
下着の隙間から差し入れられた指が直に私の中心を撫でた。  
今度は布越しではなく直に溝にそって弄ぶように触れられて、  
身体のずっと奥のほう。痺れるような感覚につま先まで力が入る。  
 
「気持ち良いか?」  
 
「・・・・・ん・・・わ・・・わかんないっ・・・・」  
 
ゆるゆると試すように嬲られて私はもう訳が解からなくなっていた。  
思考を停止した私の耳に聞こえるのはピチャピチャと仔猫がミルクを舐めるような音ばかり  
それは森田さんの手でもってもたらされている私自身の音に違いないのだけれど・・・。  
既に下着は取り払われていて、隠すものがなくなった私の中心を森田さんの指が我が物顔で動き回る。  
足元に転がる捩れたソレをどこか目の届かない場所にやってしまいたい、とも思ったけれど  
森田さんの指はそれを許してはくれない。  
 
「ひゃっ・・・・!!」  
 
わざと水音を立てるように動いていたイジワルな指が一番敏感なトコロを捉えた。  
ざらついた指先が隠れた蕾を揺り起こそうと刺激を与えてくる。  
薄い皮膜の上から小刻みに振動を与えられると全身に震えが走った  
 
「ああっ・・・・・・・・・ああ・・・・やだ・・・もうっ」  
 
「こっちの方動いてるぞ」  
 
入り口の部分をクルリと一撫でされると、下腹部に思わず力が入る。  
親指で蕾を捕らえたまま、中指と薬指がトロトロになったそこをかき混ぜるように動き始める  
 
「・・・・っ・・・・はぁ・・・・はあっ・・ん!」  
 
「・・・・すごいな・・・こんなにグショグショだ」  
 
「も・・・無理・・・・ねっ・・?も、やめて・・?」  
 
「いやだ」  
 
痛みよりなにより真っ先に感じたのは驚きだけだった。  
もっとも予想していたような痛みは全くなく、ただ言葉にできないような切ない疼きに  
思わず腰が揺れてしまう。  
 
「痛くないか?」  
 
「・・・・・痛くはないけど・・・・ふっ・・・」  
 
充分に与えられた潤いのお陰でなんの抵抗もなく指先は私の中を犯し続け  
更に潤いを増してくるソコはもう一本指を受け入れてしまっていた。  
 
「はっ・・・・んっ・・・・」  
 
2本の指が私をあざ笑うかのように動き回り、時折内壁を押すようにクイッと曲げられる  
その度に私の肩は震え、腰は跳ね上がり、森田さんは首すじや耳の後ろに口付けをくれた。  
 
「も・・・・・もうっ・・・・」  
 
「何?・・・・・もう限界?」  
 
もう言葉にすることもできなくて、私はただコクコクと頭を縦に振るばかり  
「じゃあ」と森田さんが私の一番奥に指を差し入れながら一番敏感なトコロを親指で弾いた  
 
「イっちゃった?」  
 
そして受け止めてくれたのはやっぱり森田さんで。  
 
「・・・・・・そんなのわかんない」  
 
だって今までこんな経験ないんだから。と膨れてみせると  
森田さんはおかしくてたまらないってカンジで肩を震わせながら  
後ろからギュッと抱きしめてくれた。  
 
 
 
後日談〜  
 
 
あの出来事から森田さんと私の関係が変ってしまったか?というと全然そんなコトはない。  
相変わらず彼はマイペースで周囲を何かしら騒動に巻き込んで大騒ぎしている。  
実はあの翌朝、アパートの入り口で仕事帰りの真山に会った  
「森田さんの部屋でお酒を飲んでたら寝ちゃった」なんて咄嗟に吐いてしまった嘘に  
「まさか何もおかしなコトはされなかっただろうな!」と凄まれてしまったけれど・・・。  
不思議と真山の顔を見ても胸が痛まなかったんだ。  
 
「初めて真山に嘘を吐いちゃったよ」と言う私に  
「いい女には、隠し事の一つや二つ付きものさ」と森田さんが言うものだから  
なんだか嬉しくなって、気付けば一緒に笑っていた。  
 
 

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