いつもの保健室。夕方でほとんど生徒が下校している学園内で二人の男女がそこにいた。  
 
「いつもすまない」  
風紀委員のヴィラルはいつも通り傷をこしらえて、目の前にいる保健委員の女の子に手当てをして貰っている。  
身体に負った傷は痛むが、ヴィラルにとって彼女とのこの瞬間は「天国」であり、心が和む感覚がする。  
そしてヴィラルは気づく。今日はこの保健室の主であるリーロン先生がいないことに。  
 
「あ〜…… 今日はリーロン先生はいないのか?」  
 
ヴィラルは傷に絆創膏を張っていた彼女に聞いてみる。  
すると彼女は机にあるプリントをヴィラルに手渡す。  
そこには赤のマジックでこう書かれていた。  
 
『今日はロージェノム校長と仕事関係で出かけてくるわぁん。だ・か・ら、後はお願いね(はぁと)』  
 
(……普通、生徒に任せるか? 全く……)  
ヴィラルは心中でそう呆れながら頭を抱える。  
だが別段困るというわけではなく、むしろ生理的に苦手なリーロンではなく彼女が手当てをしてくることにはありがたいと思っている。  
 
そう思っている内に保健委員の女の子の治療が終わり、彼女は柔らかく微笑む。  
「あ、終わったか。ありがとう」  
適切に治療を施された部分を見てヴィラルは素直に謝辞を述べる。  
 
そのヴィラルの返答に笑顔で返す彼女に、ただヴィラルは癒される。  
 
「……前から聞きたいことがあるんだが、聞いていいか?」  
そんな彼女を見てヴィラルは思ってしまった。  
もっと知りたいと思う自分――目の前の金色の髪をした美少女に対して思う気持ちが溢れようとしてた。  
 
「俺のことを、どう思っている?」  
その質問に彼女はキョトンとした表情をする。  
あまりその真意がわかっていなかったようだったが、彼女はニコリと笑うとヴィラルの手を取ってこう指でなぞる。  
 
『イイヒトデス』  
 
その回答は彼女らしく、ヴィラルにとってもよい反応だと思えただろう。  
だがヴィラルの中で渦巻く黒い欲望はそう思っていなかった。  
男が女を求める時―――いい人で終わることはいいことではいえないのだ。  
そしてその欲望はついに理性を上回った。  
 
「……俺は、いい人で終わりたくない!」  
 
「!」  
ヴィラルは荒々しくそう叫ぶと片手で彼女の両手首を取り、そのまま勢いよくベッドに押し倒す。  
あまりの急展開についていけない彼女。その油断している唇にヴィラルは自分の唇を押し付ける。  
彼女が温かみが感じれて愛しくなったヴィラルは、さらにその勢いで自分の舌を彼女の口内に侵入させる。  
彼女の舌と触れ合い、そしていやらしく絡み合う。  
お互いの唾液を味わうよう舌を動かすヴィラル。クチュクチュとした音が脳に響く。  
 
そして一通り彼女の口内を犯したヴィラルは口を離す。  
眼下の彼女は顔を紅潮させて、目もとろんとしている。次々と襲い掛かる現実に頭が付いていっていないらしい。  
 
「俺はお前のことが好きだ。だから今から、犯す」  
そんな彼女にヴィラルは真剣な表情でそう宣言する。  
 
その言葉にようやく思考がついていったのか、彼女は頭をふるふると横に振って、目には涙を浮かべている。  
 
本来のヴィラルであるならば、そんな彼女を見れば行為を止めているだろう。  
しかし今や完全暴走状態にあるヴィラルにとって、そんな彼女の表情も嗜虐心を煽るスパイスでしかない。  
 
黒い欲望のままにヴィラルは彼女の制服のボタンを荒々しく剥ぎ取る。  
そこから現れた白い肌にヴィラルはごくりと唾を飲む。  
そして片手で彼女の細い手首を押さえつけたまま、彼女のブラをずらし、その胸のすべてを露にする。  
 
彼女は嫌と頭を振っていたが、ヴィラルはそんな彼女の唇を奪い、頭の動きを止める。  
そしてその間に片手は彼女の可愛らしい胸に触れる。  
 
初めて触る女性の胸はあまりに柔らかい感触だった。  
ヴィラルはこんなに温かく柔らかいものに触ったことはなかった。  
一気に欲望は加速し、ヴィラルの口は唇から離れ、彼女の首筋に移っていく。  
 
手は胸を触り、時には揉みほぐし、さらには乳首も触り始める。  
「……ぁ……」  
そうする内に彼女から艶かしい吐息が漏れる。  
見ると身体は汗ばんでおり、白い肌は僅かに赤みを帯びてきている。  
 
「気持ち、いいのか?」  
そのヴィラルの一言に彼女の顔が耳まで紅潮する。  
 
彼女も感じている―――俺を欲している。  
 
その反応に一層の欲望を感じたヴィラルは行為を加速させる。  
首筋を触れていた唇は、次は胸へと標的を変えて、敏感になった乳首を貪る。  
そして胸を蹂躙していた手は、最終目標である秘部へと移行する。  
太ももから徐々にスカートをめくっていき、そして下着へと辿り着く。  
 
彼女の反応は最高潮に達していたが、ヴィラルは止めることなど毛頭も考えない。  
そのまま下着をずらし、秘部を愛撫していく。  
 
するとすでにそこは僅かながら湿っており、そして愛撫によって徐々に滑りを伴って愛液が溢れ出してくる。  
 
静寂に包まれた保健室は、彼女が分泌する愛液とヴィラルの指が奏でだす淫靡な音でいっぱいになっていく。  
クチュという音を聞くたびにヴィラルの欲望はさらに高みへと登っていく。  
「ん…… むぁ…… いやらしいな。こんなにして」  
 
胸を愛撫しながらヴィラルは秘部を触っていた指を彼女に見せる。  
その指は彼女の愛液で濡れており、指と指との間に糸を引いている。  
彼女は涙を流して、愛液まみれのヴィラルの指から目を逸らす。  
 
もう我慢できない―――彼女の身体が興奮してきたのと同じようにヴィラルの下半身も破裂しそうなほどに膨張している。  
 
そしてヴィラルはズボンのチャックを下ろし、自分のドリルをさらけ出す。  
彼女は顔を背けていたのでそれを見ることもできなかったが、彼女への想いが破裂しそうなのを表すかのようにヴィラルのドリルは巨大だった。  
 
「そろそろ行くぞ」  
そういってヴィラルは彼女の秘部にドリルをピッタリ合わせる。  
今まで侵入を許したことのないピッタリと閉じた部分に、ヴィラルは勢いそのままに天元突破する。  
 
「!!!!」  
下腹部を襲う未知の激痛。その痛みに保健委員の彼女は目を開き、口をだらしなく開ける。  
声も出さずに口をパクパクし、僅かながら舌もはみ出している。  
愛液と処女の証である血がまじりあった艶のある赤色の液体が秘部からあふれ出す。  
それを眺めながらヴィラルの黒い欲望は爆発する。  
「痛いか? だがお前が、お前がいけないんだ! 俺は…… 俺は!」  
 
それからは自らの欲望に従うままに荒々しいストロークを開始する。  
彼女は苦痛で涙を浮かべていたが、ヴィラルは動きを緩めるどころか、さらに激しくなる。  
 
「は……、お前の膣内は、気持ちいいぞ。くぅ…… 最高だ!」  
実際に彼女の膣内は締め付けはきつかったが、まるで性格を現すかの如くヴィラルのドリルを包み込む感触すらある。  
柔らかい膣肉は動きをするたびにヴィラルに極上の快楽を与えていく。  
 
「……ぁ………ぅ……………ぁん……」  
彼女は苦痛に歪んでいるものの、徐々にではあるが艶かしい喘ぎ声が聞こえ始めてくる。  
 
保健室はもはやヴィラル達の性行為の音に包まれていた。  
お互いの肌を叩きつけるパンパンという音と、愛液がこすれあうクチュクチュという音の二重奏が二人の脳髄に響き渡る。  
 
そして徐々に快感の壁を突破していき、やがて限界を迎える。  
「くぅ…… もう限界だ。このまま、イくぞ!」  
 
ヴィラルは己の限界を彼女に告げた。そのまま螺旋遺伝子を射出することを意味していた。  
それを知った彼女は苦痛と快楽が混ざり合った表情をしながら、弱々しく頭を横に振る。  
だが火のついたヴィラルを止める術はない。  
 
「ダメだ…… 俺の想いを…… 受け取れ!」  
ヴィラルは最後の壁を突破するために勢いよく彼女の膣内を突き上げる。  
子宮まで届いたその一撃は、彼女とヴィラルに絶頂を迎えさせた。  
 
「くぅぅぅぅ!」  
「………ぁぁ!」  
 
二人は声を絞り出し、盛大にイった。  
彼女は身体を痙攣させ、ヴィラルは白濁した液を彼女の膣内にぶちまける。  
 
 
行為の後、ヴィラルは彼女からドリルを引き抜く。  
白と赤が混ざり合った液体があふれ出す下半身を見ながら、ヴィラルは彼女の表情を見る。  
その表情は涙を流しながらも、快楽を得て悦んでいるようにも見えた。  
 
金の色の髪を乱しながら妖しく喘ぐ彼女――それを愛しく思えていたヴィラルは、黒い欲望に突き動かされるまま微笑んだ。  
 
 
「……ってな具合でHにいたると思うんだ」  
「……兄貴、それさりげなく非道いよ」  
昼休み――屋上で昼食を取ったカミナとシモンはそんな話を展開していた。  
カミナは下品に笑いながら話を繰り広げ、シモンは俯きながらもその話に耳を傾けている。  
 
「何言っているシモン。お前だってニアとHした時、ほとんど勢いだっただろうが」  
「う……」  
図星をつかれたシモンはぐぅの音も上げることができない。  
 
例のストーキング後、カミナは普段の仕返しとばかりヴィラルと保健室にいる保健委員の女の子の妄想を繰り広げては、知り合いにそれを話していた。  
そして今日はシモンがその話を聞かされるハメとなっていたのだ。  
「普段真面目な奴ほど、爆発すると手に負えないんだよ。だからヴィラルの奴もヤる時は狼のように彼女を貪るというわけだ」  
 
「……ほぅ、俺はそんな獣か? 裸猿」  
カミナの話を聞いていたシモンはふいに耳に入った声に青ざめていた。  
目の前のカミナの声以外に聞こえたその声に聞き覚えがあって、シモンは屋上の入り口へと視線を移す。  
「ああ、まさに獣人だなヴィラルは! わっはっはっは………はぁ?」  
大声で笑っていたカミナもようやくその存在に気づく。  
すでに相方のシモンはカチカチと歯を立てて震えている。  
カミナは屋上の入り口を見ると―――そこには静かなる殺気を周囲に展開するヴィラルの姿があった。  
 
「ヴ、ヴィラル? もしかして、聞いてた?」  
「ああ、聞かせてもらった。貴様の卑猥で下劣極まりない妄想は、俺を侮辱しただけでは飽き足らず、あろうことか保健委員の彼女まで貶めていたことも全部な……」  
殺意の波動に目覚めたヴィラルは、目は赤く光り輝き、ただいるだけでカミナ達を圧殺する。  
そのヴィラルを前にカミナは後ずさりながら、声を絞り出す。  
「ま、まぁ落ち着けヴィラル。思春期の男子なら誰でも思い浮かべることだろ?」  
「さて、俺は考えている。風紀委員である俺が陵辱に走るなどという夢想に至る貴様をどうしようか、と。おお、そうだ。そんな考えが二度と浮かばないように頭をカチ割ってやるとしよう」  
もうカミナの言うことなど聞く耳もたないヴィラルはいつもより巨大なナタを取り出す。  
まるで人を一刀両断できるほどのサイズの得物だ。  
 
「ちょ、待てヴィラル!」  
本物の殺意を感じたカミナは慌てて謝罪しようとする。だがヴィラルは一歩一歩カミナに近づく。  
「心配するな、痛みは一瞬だ。だから素直に殺されろ。この……破廉恥猿がぁぁあああ!」  
「に、逃げるぞシモン! 捕まったら間違いなく殺される!」  
「な、なんで俺までええええ!」  
 
その後、必死の形相に逃げる大グレン団の二人と特大サイズのナタを振り回しながら追いかける風紀委員の姿が学園内で多数目撃される。  
そしてその事件でアディーネにこっぴどく絞られて傷をこしらえたヴィラルは保健室に行くことになる。  
無邪気な笑顔を浮かべる保健委員の女の子とは裏腹に、ヴィラルは顔まで真っ赤にして彼女を直視することができなかったという。  
 
完  
 
 

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