アンチスパイラルとの戦いが終わって。  
シモンとニアは、ニアの消滅がさけられないものであることを感じていた。  
しかし、シモンはあきらめない。  
どうにかして助ける手段がないかを考える。  
だが、いくら考えてもどうすればいいのか分からない。  
 
「シモン、いいのです。私は十分に幸せです」  
「でもニア! 俺はあきらめたくない!」  
 
リーロンならば何かいい方法を知ってるかもしれない。  
そう思い、藁にもすがる思いで彼に相談するシモン。  
 
「何か手はないのか、ロン?」  
「そうね……あるにはあるわ」  
シモンと、そしてニアの顔が僅かにだが輝いた。  
「簡単なことよ。ニアの身体にあるアンチスパイラル因子を、あなたの螺旋力で書き換えればいいのよ」  
「なるほど! …って、具体的にはどうすればいい?」  
「彼女の身体とあなたの身体。双方を接触させて、直接流し込むのよ」  
 
接触して流し込む。  
シモンの頭に浮かんだのはキスであった。  
「って言うと…その、キスとか? まぁ、それなら……」  
「……そうですね」  
顔を赤くするシモンとニア。  
ところが、リーロンは首を横に振る。  
 
「ダメね。身体の中に、もっと強い螺旋力を直に流し込まないと意味がないわ」  
そう言われても、シモンとニアは何をすればいいのか分からない。  
こういう時のお約束はキスじゃなかったか?  
そう言いたげなシモンにリーロンはウインクして言った。  
「合体に決まってるじゃない」  
「合体!? って、えーとグレンラガンで…なわけないか。どういう意味だ?」  
「バカね、そんなことも分からないの?」  
やれやれと肩をすくめながら、リーロンは呆れたように言葉を続ける。  
「…あなたのコアドリルをニアにスピンオンするのよ」  
 
…  
……  
………  
 
「シモンのコアドリルを、私に?」  
さっぱり分からないといった顔をするニア。  
「? よく意味が……はっ!」  
何かに思い当たったシモン。  
「…………も、もしかして」  
 
「そう、セ・ッ・ク・スよ!」  
 
 
「セックスっていったいなんですか?」  
「ぶはっ!」  
「あ、あなたそんなことも知らないの?」  
 
 
(説明しています)  
 
 
「わかりました。じゃあすぐにセックスしましょう!」  
「ぶっ……ニア、意味わかってる?」  
「わかってないわね」  
 
それはさておき。  
「その、螺旋力を流し込むってのは…やっぱりその……」  
「シモン、そんなの決まってるでしょ。中出しよ」  
「なかだしってなんですか?」  
「ごめんニア、ちょっと黙ってて……」  
する前から既に疲れた顔のシモン。  
 
そこへリーロンが追い討ちをかける。  
「あ、一応言っとくけど、一回や二回出しただけじゃ足りないわよ」  
「え……どのくらいすれば、いいのかな?」  
「もちろん、子宮を満たすまでよ」  
「そ、そりゃいくらなんでも無理…」  
「大丈夫、あなたの螺旋力は無限、つまり絶倫ってことよ」  
 
「絶倫っていったいなんですか?」  
 
「いや、それは置いといて…やるしかないか!」  
自分のためにではなくニアのために。  
そう決意するシモン。  
「さすがシモン、男らしいわよ。私も混ぜて欲しいくらいだわ」  
「いや、だって、男同士は無理だろう…」  
「私を誰だと思ってるの?男でもなければ女でもないのよ」  
「…女でもないならやっぱり無理だろう。っていうか、仮に女でもダメだって」  
「そう、残念だわ…あ、でも最近は男同士でも……」  
「いや、もういいから」  
 
くだらない話を続けるシモンたちを見ていられなくなったのか、ニアがシモンの服を引っ張る。  
「シモン、早くセックスしましょう」  
「……。…あぁ、うん」  
決意したはずなのに、なぜか微妙な表情のシモン。  
彼の気持ちを悟ったのか、リーロンが助け舟を出した。  
「ニア、女から『セックスしましょう』なんて言っちゃダメよ。恥じらいを持たないとね」  
まぁ良くわかってないから無理もないだろうけど、と、リーロンは心の中で付け加える。  
「そうなんですか、シモン?」  
「そうじゃなくて…いや、それもそうなんだけど」  
「なによ、どうしたのシモン?」  
「…」  
黙りこくるシモンを見て、今度こそリーロンはシモンが何を迷っているのか察した。  
「あぁ、初めてなのね?」  
「…はっきり言うな!」  
「私も初めてですけど、それが何か問題あるのですか?」  
「そうだよなぁ、ニアも初めてだよなぁ……初めて同士って大変て言うじゃないか」  
「どこでそんなこと聞いたのよ」  
「ギミーとダリーに聞いた」  
これはさすがのリーロンも予想外だった。  
「……ふ、深くは追求しないでおくわ」  
 
「とにかく、男は度胸よ。カミナだったらためらわなかったでしょうね」  
シモンを勇気付けるにはカミナの名前を出すのが一番だろう。  
そう思ったリーロンだったが、実際それは正解だったようだ。  
「そうか、そうだな。兄貴はあの時こう言ったよ。『お前の信じるお前を信じろ』って……俺、やるよ」  
 
 
========  
 
「ぶぅぅぅぃ!」  
「あらブータ、あなたは締め出されちゃったの?」  
「ぶぅぃ」  
「あら?あなたの尻尾、またちぎれてるわよ?」  
「ぶぅぶぅぶぃぃぃぃ!!」  
「……なに言ってるかは大体想像つくわ」  
…精力増強剤代わりってとこかしらね。  
 
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アンチスパイラルの因子は予想以上に手強く、『書き換え』には48時間を要した。  
全てが終わって、部屋から出てきたシモンは、さすがにゲッソリトやつれていたと言う。  
対照的に、ニアはやたらつやつやしていたそうだ。  
 
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で、シモンの螺旋遺伝子はついでにニアの卵子に天元突破していたらしく。  
十月十日後。  
無事に玉の様な赤ちゃんが生まれたとのことである。  
 
 
終わり  
 

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