※定時王女体化注意 
※キャラの性格別人化注意 
※カミナ生存のまま9話以降に突入した捏造並行世界注意 
※エロはありますが抜けるかどうかは疑問です注意 
 
以上に地雷臭をお感じの方はくれぐれもお読みにならないことをお奨めします。 
 
 
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〔Aパートよりつづき〕 
 
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シモンとニアを通路へ閉め出し、閉じたドアに内からロックをかけたところで正面を向き直ったカミナは次の瞬間、仰天のあまり手にしていた刀を取り落とした。 
床に激突したそれが、がしゃりと硬く重い音を立てるのを意識の隅で聞きながら、脳の処理能力の方は殆どが視覚で捉えた光景を理解しようと試みることに振り分けられている。 
 
 
何故か、目の前でケダモノ大将が服を脱いでいた。 
 
獣人相手に真っ暗では分が悪いと思って点けたばかりの照明の下、暗赤色が基調の、体の線にぴったりとした形の服の前が喉元から臍の辺りまで開かれて内側の白い肌とくっきりとしたコントラストを作っている。 
ばさりと音を立てて腰から脚を覆っていた前後の布が取り払われ、それを留めていたベルトと共に腰に吊られていた鉈が鞘ごと床に落ちた。そんな構造になっていたのかと変なところに驚きを覚える暇もなく肩と腕が袖から引き抜かれ、遂に体の表面から暗い赤色が一掃される。 
 
「…なっ、何してやがんでぃ、お前────」 
 
開いた口の塞がらない空隙を突き、ひゅっ、と目にも止まらぬ速さで相手が動いた。 
ヤバイ、と思ったときには既に肩口を掴まれ床から引っこ抜かれるよう足の爪先が宙に浮く。 
そのまま振り回される感じで体を投げ出され、背中が叩き付けられた。なんか柔らかい所に。 
 
「──あ?」 
 
一瞬呆然とするも、ケンカに備えていた頭は即座に自分の状況を把握しようと努めた。 
自分の膝から上、ほぼ全身がベッドの上に仰向けで倒れ込んでいる。両肩をデカい手でがっちり押さえられ、両脚の間に膝を割り込ませる形で、どういう訳か下着(たぶん)一丁の獣人女が自分の上にのし掛かっている。 
 
「…私を抱くがいい」 
 
「はぁ!?」 
 
思わず素っ頓狂な声を出すと、上から見下ろしている顔の目元辺りにぐぐっと険が寄った。 
いやいや。 
それどう見ても今から色っぽい事をしようって女の顔じゃないし。 
むしろ「今からお前を取って喰う、頭の天辺からバリバリと」とかそんな感じだ。冗談抜きで人間くらい噛みちぎれそうだしなぁ、あの歯。 
 
「……どういう心境の変化で、とか訊いてもいいか?」 
 
「猿のくせに細かいことを気にするな」 
 
「細かくねえから! 全っ然、細かくねえから!!」 
 
至極当然な抗議の言葉に耳を貸そうという素振りも見せず、鋭い爪を具えた大きな手は体の前を滑り下りて穿物の腰を結わえる帯を解こうとしている。 
とりあえず自由になった肩と腕を突っ張って上体を起こそうとすれば、くわっと見開かれた金色の目と剥き出された牙で思いっきり威嚇された。もはや完膚無きまでに色気とかそういうものが存在しない。というかむしろ余裕がない。 
よく見れば顔色は真っ青を通り越して土気色だし額には脂汗が滲んでいる。腰帯にかかった指は微かに震えていて結び目を解く程度のことにも苦心しているようだった。 
 
「なあ、コレいちおう予定としてはやっぱアレか、仮に俺がほいほい褌まで脱いでお楽しみの真っ最中ってとこで、こう」 
 
「こう」のところで掌を横にして喉元を掻き切って見せたジェスチャーに、あろうことか相手が首を縦に振ったお陰で、うっかり我が身に迫る危険も忘れてカミナは盛大に吹き出した。 
自分だって他人のことはあまり言えた義理じゃないが、なんて腹芸に向いてない奴だ。今から慌てて横に振ったところで何のフォローにもなりはしない。そういえば前に戦ったときなんかも、喋る端から自分とこの内部事情がだだ漏れだったような…… 
 
「……悪ぃこたあ言わねえ、お前、自分に出来ねえ種類の仕事は出来ねえって新しい親分に言っとけよ」 
 
「う、うるさいッ! 誰のせいでこんな事になっていると……!!」 
 
「俺のせいかよ!?」 
 
曲がりなりにも命を張って戦争という名の大喧嘩をしているのだから、殺したの殺されたのはお互い様だ。しかし、もの凄く嫌そうな顔で裸になって上に跨られた状態でお前のせいだと言われてもこれはさっぱり合点が行かない。 
そう口に出すと何故か相手はいきなり涙目になってかたかたと両肩を震わせた。 
 
「お、温泉で私を辱めようとしただろうが! もしやそれも忘れたとでも言うのか!?」 
 
「あァ、アレな! でもソレとコレの間の繋がりがわからねえ!」 
 
「い、いっ、今言われてやっと思い出したな!? 人を縛り上げてあれこれ突っ込んでおいて!!」 
 
「人聞きの悪ィこと言いやがって、指と先っぽしか入れてねーだろが、そもそもその前に丸腰の人間の頭刃物でカチ割ろうとしてたくせにガタガタ言うんじゃねえよ」 
 
「貴…っ、様ぁ……抜け抜けと──────!!」 
 
お互いだいぶ見苦しい応酬の末に、もはや半ベソ状態で掴み掛かってくる女獣人の腕を辛うじて押し止めながらカミナはこの場をどうやって収拾つけるべきなのか考えあぐねていた。 
何だかだんだんケダモノ大将が気の毒になってきたというのもある。 
この基本的には相当お堅くて、プライドなんぞはめっぽう高いはずの極東なんとか部隊長が、上から言われて嫌々にしろ、どう推し量ってもガンメンや刀を振り回す百万分の一ほどにも扱い慣れてないっぽい女の武器とかいうやつで殴り込みを掛けてきたのだ。あまりおざなりにあしらってはケンカ相手としても男としても申し訳が立たない、気がする。 
 
「よし、わかった!」 
 
それまで押し返そうと力を籠めていた腕を逆に引っ張る形で上体を起き上がらせれば、虚を突かれたせいか意外とあっさり相手は平衡を崩した。 
ふらりと泳ぎかけた体を横に引き倒すようにして強引に体勢を入れ替える。僅かの間を置いて、今度は自分がベッドの上に組み敷かれた事を理解した女の金色の目が見開かれ、縦に細長い瞳孔が何れの感情によってか、または目に入る光の強さにか、きゅっと針ほどの細さに収縮した。 
 
「俺と勝負しろ!」 
 
「……なに?!」 
 
「要するにだ、お前はここまで来といて何もしねえではおめおめ帰れねえ。俺も大グレン団のど真ん中まで入り込まれた上にあまつさえ俺の弟分をシメようとした奴をみすみすタダで帰してやる訳にゃ行かねえ。なら、ここはひとつ勝負と行こうじゃねえか。ガンメンでもねえ、刃物でもねえ、裸一貫で白黒付けるってことでな」 
 
馬鹿馬鹿しいほどに単純化した構図を提示され、相手の顔にふと得心したような色が浮かぶ。勝負と言い換えれば気を取り直すあたり、この女も基本的にそっちの方が性に合っているらしい。 
薄い唇の端が裂けるかと思う程に吊り上がり、白い牙と脅しつけるような笑みがそこに覗いた。 
 
「……望むところだ、だが覚悟はしておけ。先に貴様が果てれば獣人に寝首を掻かれた愚か者としてその屍、衆目に晒してやる」 
 
「いいねぇ、そういう危ない橋は大好きだぜ。ところで俺が勝った場合は何をしていいんだ?」 
 
するりと腰帯を解いたカミナが姿勢を低くするにつれ、ベッドのスプリングがぎし、と微かな音を立てる。顔の脇に手をつき圧し掛かってくる相手にヴィラルは一瞬怯んだが、背に回った腕が自分の体を抱き寄せるのには抗わなかった。 
誰に言うともなく「まあ、そん時ゃ後で考えるか」と呟いた唇がそろりと首筋に触れる。 
 
二人分の体重を受け止めたベッドが、咎め立てでもするかのように一際高く音を立てた。 
 
>>> 
 
前回の失態は、全くの不意を突かれたことに原因があるとヴィラルは考えていた。 
まさか下等な裸猿如きが獣人である自分にあのような行いを働こうとするなどとは夢にも思わってはおらず、対応に戸惑った挙げ句に危うくいいように玩ばれかけ、すんでの所は脱したものの敗走の屈辱を喫する羽目になったのだ。 
 
だが今回はそうではない。 
予め作戦を練り、覚悟も気構えも万全のこの状態でならば、たかがついこの間地面の下から這い出してきたばかりの青二才など訓練を積んだ兵士に敵うはずなどあろうものか。そうですよねアディーネ様! 
 
 
…が、しかし、大抵の場合現実とは予想を裏切るものだった。 
ほんの数回ほど女王様に調教された程度で日々あれこれと持て余し気味なハイティーン男子をいなしきれると目論んでいた、見通しの甘いソレなどは特に。 
 
「な……っ、ちょっ、何だ貴様この体勢は!!」 
 
顔と肩と胸を支えに寝台へ突っ伏し、膝をついて腰だけを高々と上げる姿勢にさせられたヴィラルが肩越しに睨み付けながら異議を申し立てるも、その背後に陣取り、相手の臑に軽く膝の重さを掛けて動きを封じ込んでしまいながら無防備に突き出された尻を撫でているカミナはそれを何処吹く風と受け流す。 
 
「だってお前うるせーんだもんよ、顔見るなとか乳ばっか揉むなとか」 
 
「だからと言ってこれは…っ、…ぁ、……ひゃ…っ!?」 
 
さわり、尻から太股へ撫で下ろされた手が奇妙に粘っこい動作で肌の上を戻り、両脚の間にその指先を触れたせいで抗議の言葉が息を呑む音にかき消される。 
淡い色の叢を湿らせ、既に濡れそぼり始めているそこは男の指で軽く触れられてねちりと微かな水音を立てる。閉じ合わさっていた花唇を指先が分ければ、待ちかねていたようにとろりと滲み出した体液がその表面に絡み付いた。 
 
「それに、こういう格好の方がケダモノらしくてしっくり来るんじゃねーか?」 
 
「……なに…ふざけた事、を……っ、ふ……ッ!?」 
 
ぬるぬると粘液を纏わされた指が一本、断りもなく秘裂の中へ沈み込む。さほどの抵抗も受けずに根元まで押し込まれた指は温かくぬめる襞を玩ぶよう、ゆっくりと掻き混ぜ始めた。 
程なくしてもう一本指が入り込めば、シーツに押し付けられた女の口から短く浅い息が吐き出される。二本の指が遠慮会釈なく潤む粘膜を掻き回し、押し拡げて暴き立てる感触に突っ伏した頭が嫌々をするよう振られ、それと同時に全身が落ち着かなく捩られた。 
が、しかし抗ったはずのその動きは逆に、腰をくねらせて自ら強請るよう指を呑み込む動きとなってしまい、結果としてより深くをその指先に擦られた体は思わぬ刺激にがくがくと震え崩れる。 
 
「あ、うぅ…っ、ひぁ……」 
 
「おっと、ンなにがっつくなよ、大将」 
 
揶揄う台詞と共に撫でる程度に軽く尻を叩かれ、ぼやけてしまいそうになった意識へ僅かに焦点が戻った。やけに熱い掌が背から腰、尻から太股にかけてを這い回り、体の中を弄くる指は更にもう一本が追加される。付け根までいっぱいに詰め込まれた指はとろとろと溢れ出す淫液を助けに激しく動かされ、次第と白く濁って泡立つそれと空気の混ぜ合わされる卑猥な音を大きく響かせ始めた。 
 
「すげ…ぐちゃぐちゃのドロドロなのに、指にキュウキュウ絡み付いて離れねー、お前ん中」 
 
「いっ、言うなぁ…っ、あっ、うぁ……ぁく……っ!」 
 
拒む思考も、抗う意思も何もかも置き去りにして肉体が勝手に快楽を貪り始める。 
勝手に腰が揺れて咥え込んだ指に舐り付き、涎を垂らしながらもっと深く、もっと激しくと要求する。それに応えて一層強く粘膜を甚振る指の先が、肉壺の奥でひときわ敏感な一点を掻いた。 
 
「────────ッ、ッ!!」 
 
電流を通されたようにがくがくと背筋を跳ねさせた体が、くたりと脱力してシーツの上に崩れ落ちる。 
大きく息をつくたび揺れる背の上に、のしっと重みが覆い被さった。 
 
「ふふん、裸猿にイかされた感想は?」 
 
背骨の上にキスをした唇がじわりと首筋まで這い上がり、耳元で息を吹き込むよう囁く。 
一旦達したせいでひどく過敏になった身体は、そんな些細な刺激にもぞくりと震えて呼吸を乱れさせた。 
息が上擦って負け惜しみの悪態すらろくに口から押し出せない。 
 
「…抜かせ、い、い……って、など………」 
 
「イッただろ?」 
 
声と共に顔の前に突き出された手がぱ、と開く。 
僅かに酸味を帯びた匂いと、指から掌までにどろりと絡み糸まで引いている半濁の粘液。 
思わず顔を背けようとするのを許さないとでも言うように背後から回った手が顎を掴み、自分の体液塗れの指が口元に触れた。 
 
「や……っ!」 
 
拒絶の言葉をこぼして半開きの唇に、紅を引くようにして男の指がそれを塗り付ける。 
ぬらぬらと濡れた指はそのまま顎までぬめった線を引き、首筋から鎖骨を通って胸へ。緩く乳房を弄った後は鳩尾から下腹までを真っ直ぐに滑って、皮膚も、軽く掻き撫でられる恥毛もべたべたと汚し、体中に発情した牝の匂いをなすり付ける。 
 
「今度は俺の番だがよ……今日は引っかいてくれるなよな?」 
 
背中にのし掛かる男の体が熱い。 
軽口を叩く声はやや掠れて、首筋や髪の生え際に掛かる息も心なしか温度を上げている。 
肌を撫でる手に促されて僅かに腰を持ち上げれば、未だに熱の蟠る窪みに触れて来る硬い感触。その先端は焦らすようにゆっくりと、潤む粘膜のとば口をなぞって動かされていた。 
 
「…行く、ぜ」 
 
囁くような、しかし肺腑の空気を全て吐き出すような声と共に、熱を持った質量が身に押し入ってくる。 
指だけで散々蕩かされた牝肉は従順に牡を迎え入れ、むしろ進んで誘い込むようその強張りに襞を絡み付かせた。ぐちゅりと濡れた音が一際高く響き、凶暴なまでにそそり立ったものを埋め込まれつつある身体は弓を引き絞る如くに背を反らして、それがもたらす感覚に必死で耐えようとする。 
 
「ッあ…! っ、くぅ、あ…アアアぁッ!!」 
 
びくり震えた肌はぐっしょりと汗に濡れ、血色を透かして燃え上がるように色付く。 
抑えきれない声を上げた口元から、涎が零れて顎まで一筋の線を描いた。 
 
「……や…っア、あぁ、熱…っ、い……!」 
 
入り込んできた質量も、硬さも、全てが熱に転化されて神経を灼く。シーツに顔を押し付けるようにして声を殺そうとしても獣じみた啼き声は際限なく洩れる。振り乱される金髪に滑り込んできた指が、優しく梳くようにして頭を撫でた。 
 
「…熱いのはそっちだろ、溶かされちまいそうだぜ」 
 
囁いた息遣いが項をかすめたかと思うと、首の付け根に軽く歯が立てられる。与えられる刺激をいちいち過剰に受け取ってわななく体は、覆い被さる男の体重で押さえ込まれ逃げ出す術もない。 
根元まで完全に入り込んだ牡肉はくるむ粘膜を押し拡げ、肌の上を這い回る掌はこれ以上更に快感を暴き立てようとでも言うのか全身を余さず撫で回す。 
 
「ひぁっ!?」 
 
大きく腰が退かれ、ずるり、体の内側を捲り返されるのではないかと思う程の摩擦に一層大きく悲鳴が上がる。 
次の瞬間、ぎりぎり抜け出しそうな瀬戸際から再び勢いを付けて屹立を押し込まれた。 
腹の奥を突かれる衝撃で目の前が眩む。肌と肌が打ち合わされ、腰から砕けてしまいそうな愉悦が全身を揺さぶった。小刻みに上がる嬌声が自分の口から出ているものとは信じられない。粘液と空気の掻き混ぜられて鳴る音がやけに大きく響いてなけなしの羞恥に火を点ける。 
 
「あぁ…っ、ぁふ、ぅあァ! ひ、ぅっ……ぃ…やぁ………!」 
 
「死にそうな声出すなよ、調子狂うだろ」 
 
背後から混ぜ返す軽口めかした声もその実かなり上擦って余裕を減らしてはいたが、聴いている方にそれを論うだけの余地など欠片もない。 
何の冗談かと思うほどに硬く膨れ上がった質量で体内を抉られ、張り出した雁首で、表面に隆起するねじくれた血管で敏感な粘壁をこそげられる。激しい抽送に掻き回される肉穴は白く泡立つ愛液にぐずぐずとぬかるんで、嬲り立てる凶器を柔らかく包み込んでは舐め上げ、時にきつい締め付けを与える蠕動を持ち主の意思とは無関係に繰り返す。 
押し寄せる、もはや苦痛なのか快楽なのかすらも判らない大波に足元を掬われて、どこまでも流されて行ってしまいそうな覚束なさ。 
 
「……ところでよ、獣人ってなぁ人間との間にガキこさえたりはできねえんだよな?」 
 
掠れた声で囁かれた言葉が意識に届くまで、わずかのタイムラグを要した。 
が、頭がその意味を理解する寸前、口が勝手に、途切れ途切れの答えを返す。 
 
「あ、当たり前だ…人間などの、ように、無計画に殖えは、しな…い……っ」 
 
螺旋王の手足たる存在として創られ、使役される獣人には己の意思で次の世代を生み出す自由も、機能も与えられてはいない。 
縋り付くように力の籠められた、刺青を纏う腕の主がその言葉をどう受け取ったのか。 
背に密着する体温がひどく熱い。僅かの隙間無くその腕の中に絡め取られ、逃れられない体を休み無く突き上げられながら頭はようやく、言葉の意味を理解しようとぼやけた意識のまま試みる。 
 
子供──繁殖──? 
 
「……っァ、まさか……っ!? や…やめ……っ……」 
 
身体の中を行き来し、蹂躙し続けるものが心なしか張り詰めて嵩を増したような感覚。 
それと同時に身の内に何かが満ちて来る。背骨を駆け上り頭の裏側まで甘く昂ぶらせるそのうねりは、僅かに残った正気の欠片も消し飛ばし、全身を激しく揺さぶった。 
 
「う、ぁ、あぁ…っ、あアああああああァああ!!」 
 
喉の奥から咆哮を放って、絶頂に駆け上がった体の中に熱い迸りが注ぎ込まれる。 
その熱さに、胎の奥を叩かれる激しさに、きつく抱き締められた腕の中で何度も何度も体が跳ねた。 
 
>>> 
 
水が引くように次第と興奮は薄れ、全身の痙攣も治まっていく。 
耳の後ろで満足そうに吐き出された息が髪を揺らして肌をくすぐった。続いて微かに上擦り気味の、いくぶん疲労を含んだ声。 
 
「…あー、やべえ、先に昇天するとこだった」 
 
そのとぼけた調子が微妙に気に障る。 
まだ焦点の不明瞭な頭で宥めるように体の表面へ触れてくる手の動きを追う。脚の間を何か生温かい、僅かに粘り気のある感触が流れ落ちていく。未だに体の中へ埋められたままの他人の一部が、狭い洞に満たされたそれを絡めて湿った音を立てた。 
 
「……ん、ぅ…なに…が………っ、ぁ、ふぁっ!?」 
 
背後から抱きついていた体が離れた、と認識する暇も無く足と腰を掴まれ体がぐるりと反転させられる。その回転の軸にされた、まだ咥え込んだままのものが体の中を擦る刺激に気を抜いていた口から情けない悲鳴が上がった。 
 
ふと見上げれば、狼狽えきった表情を覗き込んでいる紅い目。 
その目から逃れるよう、青い髪が汗で貼り付く目元から意外と細面の輪郭へ、蒼い刺青を纏った首筋から肩、腕に続くがっしりしたラインへ、広い胸板から引き締まった腹筋へと視線を下げていく。その終点近く、下腹を彩る蒼い模様。更に下、大きく拡げられた脚の間で突き立てられている肉槍を食んだままの己の牝穴。 
どちらが動いたのか、僅かな身じろぎに掻き出された白濁が粘り気のある厭らしい音を立てて性器の隙間から溢れ、肌を伝ってとろりと垂れ落ちた。 
 
「あ……あぁ……や…ぁっ」 
 
咄嗟に顔を覆おうとした両手の手首が掴まれ、シーツに押し付けられる。 
正面から向き合う形に変わってなお繋げられている身体の中で、再びその熱と存在感を増す硬さがびくりと脈動した。 
 
「まだ……勝負は着いてねえよな、お互い?」 
 
再び肌の上を這い回り出した手指に、ゆるゆると掻き混ぜてくる腰の動きに、鈍磨しきった理性の切れ端が、もう勘弁してくれとでも言うような悲鳴を頭の何処かで上げた。 
だのに、それでも挑み掛かって来る視線と言葉を拒否できない。 
 
含羞の色に染まった目元を伏せ無言で頷いた獣人の女の、のろのろと持ち上がる両手は僅かな逡巡の後、蒼い炎の刻まれた背中に縋り付くよう回された。 
 
 
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〔Bパート02へつづく〕 
 
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