それはとある男女の物語  
 
“それじゃあ留守は頼むわね”  
キヨウとダヤッカが出かけ、オレとキヤルが留守番。  
昼飯もすでに食べたし、新聞でも読むか。  
「シーモーンー」  
いかにもダルそうな声で俺を呼ぶ彼女。  
「どうした?」  
目の前で床に寝そべっている彼女に向かって尋ねた。  
「……ヒマなんだよー、なんかしようぜ」  
「なんかって何を?」  
彼女はうつぶせのまま、んー、と少し考えた後、  
「シモンに任せるよ」  
そう言った。  
「じゃあ、えろいことでもする?」  
なんと無しに冗談で言ってみた。もちろん、本気じゃない。  
口調も、時間帯も、場の雰囲気も、俺の表情も、そんな感じじゃなかった。  
なのに。  
「あは♪」  
彼女はカワイク、八重歯をだして笑い、言った。  
「それだ♪」  
バッ ガシッ ドサッ  
「っ!?え、ええ!?」  
彼女はいきなり、俊敏な猫のように飛び掛って来た。  
俺はあっさりとフローリングの床に押し倒され、動きを封じられた。  
「ち、ょ、キヤル!」  
俺は止めろと言うつもりで口を開いた。  
その口に彼女の口が重ねられ、驚いている隙に舌が口内に入ってきた。  
 
ピチュ ペチュ チュッチュ クチャ  
 
口の中で彼女の舌が動くと俺の頭がカッと熱くなってきた。  
事実上、ディープキスは初めてな俺。(唇同士ならニアとしたけど)  
今まで人の前で表に出すことのなかった性的な欲望が溢れそうになった。  
 
もう耐えられないと思った俺は今度こそ、っと思いながらキヤルの顔を引き離した。  
「ん、シモンの唾液、おいしいや」  
頬を赤らめて、舌で自分の唇を舐めるキヤル。その光景に俺のドリル(魂じゃないほう)が少し反応した。  
「やめ、て、くれ、キヤル」  
こんなこと、出来ない。  
ニアのことを引きずってるのかって?  
違うよ。俺が考えてるのは……。  
「にいちゃんはさ」  
「!?」  
にいちゃん、俺のアニキはカミナだ。そしてキヤルのにいちゃんは。  
「シモンのせいで死んだわけじゃない、ただ、オレたちの未来を作りたかったんだ」  
「ああ、その通りだ」  
キタン、俺が遺志を継いだ過去の人。カミナのにいちゃんといつも競い合っていた。  
「で、その未来をシモンが作ってくれた」  
「……そうだけど」  
恥ずかしいが、“遺志を受け取った”ことも“新しい道を掘る”と断言したことも事実だ。  
「だから、こうしたくなってさ」  
「だけど、こんなやり方でなくても、他に恩の返し方くらいあるだろ!?」  
間髪いれずに反論、そして。  
「えいっ!」  
バキッ  
「ぐふう!」  
腹に一撃入れられた。すごく痛い。  
「バッカ!オレがお礼でこんなことするか!」  
「あ、え?」  
少し、混乱してきた俺に彼女は言った。  
「シモンに頼りっぱなしってのも悪いからな、オレが自分で自分の未来を創る!それだけだっての!」  
「それって」  
「前からチャンスを狙ってたんだぞ」  
女心には鈍い俺だけど、でも、ここまで言われたらわかった。  
つまりキヤルは。  
「シモン、オレ、お前のことが好きだ」  
「うう。」  
ここまで言わせておいて逃げるなんて出来なかった。いまさらながら、わかった。  
ここ数年、旅から戻ってきてキタンの墓の前で再会するたびにキヤルに少しずつ惹かれていたのだと。  
思い出せば、アレとか、アレとかは、キヤルのアピールだったんだろうということもわかった。  
俺は、長い沈黙の末。キヤルに返事を返そうとした瞬間。  
 
 
「それに、シモンもヤル気満々じゃん♪」  
……あれ?今までのシリアスはどこへ!?  
笑顔でキヤルは俺の股間のドリルをいじくり始めた。  
 
 
んぐっ…んぅ…んっくちゅ、くちゅ、くちゅ…んっ…  
キヤルは俺のソレを加えて、口の中で舌を使い、上手く刺激してくる。  
「キ、キヤルゥ、ぐっ」  
その刺激に耐えるためにキヤルの頭に覆いかぶさるように上半身を曲げる。  
「ぷはぁ、シモン、我慢すんなよ、ん」  
キヤルは一度口を離して、そう言ってからまた、口に含み再開する。  
くちゅ、くちゅ、くちゅ…  
「頼む、キヤル、もう少し、手加減」  
「んー、しかたないな」  
本当に名残惜しそうに口からソレを出した。  
俺のソレとキヤルの舌に架かった唾液の橋がとてもいやらしい。  
俺はそんなことに気をとられ、油断した。  
「なんてね、するわけねーだろ、手加減なんてさ!」  
キヤルは両手で俺のソレを固定し、そのカワイイ八重歯で甘噛みする。  
「ったああああ」  
「っ!?うお!」  
俺は少し痛みに近い刺激に我慢が出来ず、精液を放出してしまう。  
「あふ…ぅく…ぅ…すご…いっぱい、でてんなぁ…」  
キヤルは自分の顔と床に撒き散らされた俺の精液をみて少し熱っぽい顔で呟く。  
その顔に、興奮する。  
「あ、ここんとこ処理してなくて」  
どうにか、高ぶりを押さえて会話に挑む。  
「ふーん、そっか、じゃあ、まだ、だせるよな?」  
キヤルがニヤッと不敵な微笑みで俺の顔を見る。  
「ああ、できる、よ」  
「さっすが、シモン!」  
「はは、は」  
キヤルを見ていると、興奮もするし、元気(健全な意味で)も出てくる。  
本当にいつのまにか、好きになってたんだな。  
「じゃあ、シモン、そろそろ……こっちな」  
そういうとキヤルは四つんばいになってお尻をこっちに向けてきた。  
 
「ああ、腰が抜けるまで、させてもらうよ。キヤル」  
挑発に乗ってやるさ。  
「えへへ、スッゲー、楽しみだな♪」  
そういってキヤルはまた笑顔になった。  
 
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「ひあ ああああっ・・・!!ぅうう! ひぁ! あふ! し、しもんっ! シモン!」  
オレは快感に身をゆだねていた。  
くそう、シモンは経験が少ない(っていうか、ゼロだよな?)からリードされるとは思わなかった。  
出し入れが始まると共に、変なスイッチを入れられたかのように嬌声を漏らして反応してまうとは。  
「しんじ らんね・・・っ こんなに、ひゃん、ふっわあ」  
シモンのアレを包んでいる肉壁は隙間なく包みこんでおり、抜こうとした時の抵抗力に自分で驚くほど。  
 くちゅ くぷっ くちゅ くぷっ ぐちゅ・・・ちゅぷん  
意地を張って耐えるのが馬鹿馬鹿しい気分だ。  
でも、それも正直悪くない。  
だってさ、シモンのアレが中で動いてるのが実感できるんだ。  
中でアレが動くたび、膣から快感がくるたび、シモンがここに居るんだって実感できる。  
「シモン、いいよ、もっと、もっとぉ」  
「わ、わかった!」  
じゅっく じゅっぷ じゅっく じゅぷっ!!  
「うっん、あうわ、う、あん、あん」  
シモンに要求すれば、ちゃんと応えてくれる。ここにシモンが居る証だ。  
体も、頭も、心も、シモンでいっぱいにして欲しいんだ、できるだろ?シモン!  
 きゅうっ きゅうっ   
「うあ・・・!?」  
 無意識に シモンに対する締め付けを強くしちゃたみたいでシモンが気持ちよさそうな声を出す。  
きっとあいつもオレと同じで、頭が茹で上がるように熱いんだろう。  
天元突破ならぬ沸点突破、なんちゃ、うっひゃああ。  
ぐちゅっ、じゅぷっ、ずちゅっ ぐちゅっ、じゅぷっ、ずちゅっ  
「シ、シモ、ン、抱きしめて!」  
「キヤ、ルッ!」  
身体が浮かんでいくような快楽で、悦びに打ち震える。  
シモンはまた応えてくれた。後ろから腕を腹にまわして、軽く抱きついてくる。  
「うっ、ああっ あっ あっ あっ────!!」  
オレ、今、スッゴイ幸せだな。  
オレは幸せだよ。にいちゃんの遺志を継いだシモンがいるから。  
とっても幸せ。  
「ぐぅっ、ああっ!!……熱いよぉ! や、ああ、も、もうだめだぁああああ!」  
オレはもう限界っぽい、シモンは……。  
「お、俺も!もう」  
ははっ、シモンもそろそろみたいだ。  
「あ、あの……オレ、オレの、なか、なかに、んっ! だし、て、いいからな」  
流石のシモンも、驚いたみたいだな。でもオレはな……シモンが欲しいんだよ。  
「わかった、行くぞ、キヤル!」  
「なか、に、だ、だし……いっ!」  
……心地良い。オレ、シモンを受け止めてるんだ。その想いが熱く、心地良い。  
オレの身体は、ビクビクと痙攣し、シモンのアレから噴き出すモノは止まらない。  
にいちゃんの顔も少しだけ頭をかすめたが、それ以上に、この瞬間が大切だと、素直にそう感じた。  
 

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