「………………起きないな」  
 
自分よりも頭一つ以上大きいだろうという女がマッケンの横で静かに吐息をたてている  
最初は顔を熱くし戸惑っていたマッケンだが  
少女のような寝顔をみているとそんな気も失せた  
レイテに想いを寄せる男が多いのも知っている  
だからというワケでもなくただただ放っておけないからこうやっているのだ…  
自分もこの女に好意をもっているのも知っているが…今はこの女の目が覚めるまでは何もできない…  
 
静かに冷たい風が吹く…  
レイテの髪が揺れる  
 
マッケンは無意識にレイテの髪を撫でようと左手を上げたが自分の汗とオイルなどで汚れた手を見てゆっくりと下ろした  
 
さっきの風でレイテが目を覚そうとしている  
「…んっ……」  
女の声に一瞬ビクっとした  
なんて色っぽいのだろう  
つくづく隣りにいたのが自分でよかったとマッケンは思った…  
 
先程の風がもう一度吹いた  
同じようにレイテの髪が揺れる  
するとレイテが目を覚した  
「眼鏡ならここだ……」  
「ん?…ありがと………!マッケン!?」  
寝ぼけたような驚いたような声が整備室に響く  
みるみるうちに二人の顔が赤くなる  
あれ程まで近い距離にいたのだから仕方ないだろう  
二人とも違う方向を見ることでなんとか誤魔化す  
「…ずっといたのかい?」  
「ああ…」  
「お前は…もう寝ろ…」  
「何言ってんだいまだまだ仕事は」  
「心配…してるんだ……いつか倒れるぞ…無理するな」  
マッケンの顔が先程よりも赤い  
「マッケン……」  
レイテがマッケンの方へ向き直る  
「迷惑じゃなかったら……もう少しこうしててもいいかな?」  
レイテはさっき寝ていたようにマッケンの頭に頬をつける  
「…構わない」  
冷たい風が熱い顔には心地よかった  
 
 

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