「兄さんを探すの手伝ってくれたら……あなたのお嫁さんになってあげる!」
「なっ」
少女の発言に、ヴァンは驚いてすっころんでしまった。
急に一体何を言い出すのか、この子供は。
大切なたった一人の家族を助けたいという気持ちは分かる。
そのためになら何でもしようという子供なりの決意も分かる。
だからといって、言っていいことと悪いこと、できることとできないことがあるだろう。
お嫁さんになるなど、簡単に言うものではない。
「おまえなあ、馬鹿なこと言うなよ。
第一、お嫁さんになるってどういうことか分かってんのか?」
地面にすっころんだまま少女を見上げれば、
少女は顔を真っ赤にしてヴァンを見つめ返してきた。
「よくわかんないけど……それはあなたが教えて」
「んなっ」
再びヴァンは言葉を失った。
子供とはいえ、彼女は一応は女である。
ヴァンがその手の趣味の者だったら、彼女はたちまち餌食になっていただろう。
それともまさかとは思うが、『その手の趣味の者』と思われたのだろうか。
「……おい、嬢ちゃん、あのな」
とりあえずこの子供に説教をかまそうとして、ヴァンは言葉を途切れさせた。
地面に座り込んだままのヴァンの足をまたぐように、
ウェンディと名乗ったその子供が座り込んできたからだ。
「おいっ」
「よくわかんないけど……こうすればいいんでしょう?」
たどたどしい手つきでウェンディはヴァンのズボンに手を伸ばす。
こんな子供が一体どこでそんな知識を手に入れたのか。
ファスナーを下ろし、中からヴァンの肉棒を取り出すと、
身をかがめてぱくりとその小さな口にくわえた。
「!!!」
性技なんて何もない、本当にくわえるだけのその幼い行為に、
それでもヴァンは体が硬直して動けなかった。
肉棒の先端をくわえてはみたものの、
その先どうすればいいのか分からないのだろう。
くわえたまま、ウェンディは困ったようにヴァンを見上げてきた。
そんな、迷子の子猫のような目で見つめられてもヴァンだって困る。
むしろヴァンのほうが困っている。
自慢することでもないが、彼は童貞なのだ。
口淫をされた経験などもちろんない。
馬鹿なことはやめろとウェンディをとめればいいだけなのだろうが、
初めての刺激に体が凍りついたように動かなかった。
いや、体の一部なら動いた。
ヴァンの意思に反して、くわえられた肉棒がびくりと震え、その質量を増したのだ。
「きゃっ」
口の中のものが急に動いたことに驚いて、ウェンディが肉棒から口を離す。
支えを失ったというのに、それでも肉棒は下へ垂れることなく上を向いていた。
「……」
ヴァンの足の上に座り込んだままの少女は、
その変化に驚いたように、けれど興味深げにそれを見つめている。
たとえば何かの弾みに父親や兄などの性器を見るようなことがあったとしても、
こんなふうに勃起した状態を見たことはないのだろう。
少女にしげしげと勃起したものを見つめられて、ヴァンは非常に居心地の悪い思いだ。
花嫁になるはずだった恋人にだって見せたことがなかったというのに、
何が哀しくてこんなところでこんな子供にこんなものを見せなければいけないのだろう。
だが、体だけは正直なもので、この状況に反応して、
触れられてもいないのにまた肉棒は震えて、一回り大きくなった。
「……あの、これって」
おずおずと、ウェンディがヴァンの肉棒に手を伸ばす。
「っ、触るな!」
とっさにヴァンは静止しようとしたが、間に合わず、
少女の小さな手は上を向いた肉棒に触れていた。
「──っ……」
その刺激に、ヴァンは息を詰める。
ヴァンだってさすがに自慰の経験はある。
だが、それと、自分以外の手で触れられるのとはまったく違った。
その快感を伝えるように、肉棒の先端からはだらだらと汁があふれてくる。
「これって、気持ちいいってことなのよね?」
まるで無邪気に、少女は首をかしげながらヴァンに問いかけてきた。