『原百翼長、兵への私的制裁・・・まったく、あなたは一体何を考えているのですか!』
善行は原と石津を隊長室に呼び出していた。机にはいじめの現場写真
『・・・』
『私も海軍の人間です。私的制裁が必ずしも悪だ、とは思いませんが、石津さんは衛生官、整備と何の関わりがあるのです・・・理由を聞かせてもらいましょう』
善行は理解していた。素子は嫉妬から石津さんをいじめていた。ただ、本人から言わせるべき、だと考えていた。
彼は、原本人がここで石津に聞かせる形が最も納得できるそう踏んだのだ
『申しw『理由を聞いているのです』』
素子にはつらい時間だと思う。別れたのはこの私のせいだ、それも理解している。だがその憤りを私でなく他人に向けた。それは許されるべきではない
『ごめん・・・なさい』
石津が下を向いた
『石津さんが謝ることではありませんよ、これは私たちの問題です。あなたは何も悪くない』
『違う・・・の・・・私も・・・好き、だから・・・奪われるのは、恐い、もの』
『嘘言わないで!あたしを哀れんで庇うつもり!?そうよ!私がいじめたのは、善行の傍に居た貴女への嫉妬よ!!』
言葉と涙を溢れ出させて出て行こうとする原の腕を石津が掴んだ
『はなして!!』
石津は精一杯の力で原を引き止めつつ言った
『あなた・・・が、私をいじめれば・・・善行さんが、あなたを嫌いになる・・・そう、考えた、の・・・でも、違った。』
あくまで善行は原を見ている。それを今のやり取りで石津は理解したのだ
『あなたは、なにも・・・間違って、ない。ごめん、なさい・・・』
原の出ていこうとする力が抜けた、石津は原に微笑み
『だから・・・優しく・・・してあげて、ね』
善行にそう言って今度は石津が隊長室を出て行こうとした
『ちょっと待って・・・!』
原は叫んだ
『一方的・・・過ぎるじゃないの!好きなんでしょ!?善行が!』
石津の動きが一瞬停まった
『だったら・・・!』
原はそれを見逃さず石津の手を取って引き戻した
『対等で、勝負したらいいじゃない!』
同棲のハンディぐらいは許してあげる、あとは
『善行。あたしを抱いたように、この娘も抱いてあげて。それでイーブンよ』
善行はこの時まで、石津は原の為に演技をしてくれているのだと思っていた。だが、彼を見た石津・・・萌の顔に涙が光るのを見て。己の愚かさと、置かれた状況に混乱した
『据え膳は食べてもらうわよ、善行』
原は服を脱ぎつつそう言った