(…大体、真央は鈍感すぎるんだ。)
俺は保健室のベッドで眠ている真央を見て溜息をついた。
布団からはみ出しているほっそりした手や、スカートから覗く太もも。少し開いた唇から
洩れる吐息全てが、俺の欲望を刺激する。安心しきったその姿に、俺は愛しさとまた
同じ位の切なさを感じて、寝転んだ真央の前に跪いた。
「…もう、いい加減俺を子供扱いするのは止めろよな…」
…囁いた声は、愛しい人に届くはずも無く、静けさに溶けて消えていった。
…俺は、ずっと前から真央を見ていた。
はにかみやで、気が弱くて、でも肝心な所で芯の強い所があって…そして優しい真央。
(真央を本当の意味で一番幸せにしてやれるのは、俺だ…!)
「…ふっ…」
真央の身体がピクンと震え、吐息がの俺の頬にかかった。
「起こしたか?」と、一瞬強張ったが起きた様子のない真央にほっと緊張を緩める。
…こんな事したら、もう今まで通りに振る舞う事は出来ないだろうな。
もう、二度と真央は俺に笑いかけてくれなくなるかも知れない。
頭ではわかっているつもりなのに、身体が真央を求めて行為を続けてしまう。
制止する声はやがて、どこかへ消えていった。
薄く開かれた唇にそっと口づけて、舌で真央の口腔を探った。
甘く痺れるような感覚に俺は我を忘れて、激しく真央を貪る。
「んっ……やっ…」
苦しそうに頭を振る真央にはっとするが、俺には止めることができなかった。
閉じられていた瞳が細く開かれたかと思うと、背中に腕をまわされた。
ぼんやりした顔の真央が俺の顔を覗き込む。
「……くん…もっと…」
甘かな真央の声が響いた。
俺の中で何かが弾けた。 俺は、まず真央の制服の上着に手をかけ、
次に、シャツのボタンをゆっくり外し、胸部を晒し…柔らかなふくらみを揉みしだく。
先端の蕾を指で転がし、指で押しつぶしながら、片方の手は太ももを弄った。
「あぁっ…!」
背中にまわされた手に指に力が入る。喘ぎ、腰を揺らす真央。
あまりにも淫蕩で、艶やかな姿に尽の下半身に熱が篭った。
唇で胸の蕾を舐め、転がす。俺はスカートを捲り上げて、叢に隠された秘裂を探った。
襞を焦らすようになぞると、ビクンと真央の背中がしなり、腰が誘うように揺らめいた。
「はっ…あぁぁっ…」
強い快感に刺激され、真央がゆっくりと現実を認識し始めた。
朦朧とした顔から夢見るような表情が消え、驚愕に目が見開かれる様子を
俺はやるせない思いで見つめるしか無かった。
「や…!尚くん…!!な、何…何してるの!!」
覆い被さる男があの『今まで弟扱いしてきた男』である事に心底驚いています──って顔だ。
俺は苦々しく笑いながら、からかうように真央に言い放ってやった。
「真央…お前が、誘うから。据え膳食わぬは武士のなんとかっていうだろ?」…と。
真央は俺の軽率な行動に、顔を真っ赤にして怒っている。 …当然と言えば当然か。
「そんなわけないでしょ!! ほら、…どきなさい!」
逃れようとする真央を俺はベッドに押し付けた。
あんな真央を見てしまったら、このまま終わらせる事なんて出来る訳が無いだろ。
「…なんか、いつもの尚くんじゃない…!」
俺は真央が抵抗しようと振り上げた手を掴んで押さえつけながら、俺は絞りだすように囁いた。
「俺だって、もういつまでも子供じゃないんだ…、だから…。」
俺は、真央に深く深く口づける。 口づけながら、乳房を激しく揉み上げた。
俺を止められないと悟った真央は、恐怖で震える瞳で俺を見つめつづけた。
真央の、その視線に耐えられない。
俺は唇を離し、乳房の蕾を舐めねぶりながら秘裂を執拗に責め続けた。
「やぁ…!嫌っ!!やめて、尚くん!!」
真央は自由になった唇で制止しようとあらん限りの言葉をいろいろと言ってくるが、
何を言っても無駄なんだよ。…俺には、もうこうするしか無いんだよ!
真央の喘ぎ泣く声と、熱の篭もった俺の吐息が部屋の中に静かに響き渡る。
「止まらないよ…真央だって、こんなに濡らして感じてるじゃないか…。」
熱い囁きと秘所を弄られる指の動きに、真央は思わず嬌声をあげた。
「やぁぁ!…あああぁっ!!」
濡れた真央の声音に、俺も昂ぶりが脈打ち頭をもたげた。
俺の下で喉を震わせて、真っ直ぐに見つめ続ける真央。
「ね…尚…くん。もう、やめて…」
お人よしだが芯の強い真央の瞳が涙で濡れていく。掠れた声の呟きに俺は心が揺らいだ。
泣きたくなるくらい、真央の事を愛している。
些細な事で泣く真央を、今まで散々慰めて来たのに、今度は俺が泣かせてしまうのか…。
泣かせたくないと思う気持ちと、泣いても真央を手に入れたい気持ち。
相反する想いが混じり合い、俺は完全におかしくなりそうだった。
「…尚…くん?」
ぽたぽたと真央の頬に雫が落ちる。
「…好きだ。好きなんだ。…好きだ…」 俺の口からはこれ以外の言葉は出てこなかった。
「尚くん…」 真央が驚いたように俺を見つめて、濡れる頬に手を添えた。
「…ばかね。私だって尚くんの事、大好きだよ。」
俺の目から流れる涙を拭いながら、真央は宥めるように背中をぽんぽんと叩く。
こんな状況でも、俺に優しく接してくれる真央が愛しくてたまらない。
「…尚くん。だから、ね?落ち着いて…。」
その”好き”が自分の”好き”とはかけ離れたものであったとしても、俺を思ってくれる
真央の気持ちがこんなにも嬉しいと思った事はなかった。
ごめんな、真央…。