「あ・あれ…生きてる?」  
 
聖銃にとり付かれて暴走した狩谷が正気に戻って初めて目にしたのはボロボロに  
なりながらも微笑みかけるクラスメート達だった。  
 
「大丈夫か?狩谷」  
「なっちゃん!ケガ無いか?どっか痛ぁないか?」  
「あ・う・うん大丈夫だ なんともないよ…」  
 
「!!!!!?」  
 
一同息を呑む。  
 
「た……立った………」  
「え?」  
「なっちゃんが…立ちよった!!」  
「え? あ!」  
 
加藤は涙をこぼしながら狩谷にしがみついた。自分が原因で動かなくなった狩谷の足が  
どう言う訳か普通に機能してるのだ。  
 
「ど・どうなってるの?」  
 
速水もめをぱちくりさせ、今までの疲労も忘れて立ちつくす。  
 
「わ・解らないよ 確か僕は幻獣に食われてそれで…だめだ…そこから先がまったく  
 思い出せない…」  
「ええやん…なんでもええやん! なっちゃんの足治ったんや!!」  
「…そうだね きっととり付いてた幻獣ごと悪い患部も消えたんじゃないかな?」  
「非科学的だけど…ロマンチックではあるね 速水 ありがとう」  
 
それからというもの狩谷は日増しに快活に、積極的になっていった。  
歩けるようになってからは随伴歩兵の訓練も受け、ウォードレスも着れるようになり、  
今では来栖・若宮・田代の三強に迫る勢いにまでなった。また士魂号の操縦もあっと  
いう間にマスターし、小隊の戦力として申し分無い力を手にいれた。事故で失った物を  
取り戻すかのように…  
 
「ハイ なっちゃんお疲れ〜」  
 
加藤が訓練を終えた狩谷に缶ジュースを渡す。狩谷はニコリと微笑んでそれを受け取る。  
 
「なぁ祭…ちょっと時間…いいか?」  
「え?どしたのなっちゃん…」  
 
狩谷は夕焼けのプレハブ校舎の屋上に加藤を連れてきた。  
 
「なぁなぁなっちゃんどーしたん?こんなトコ連れてきて」  
 
加藤は内心ウキウキしていた。告白でもされるんじゃないかと…しかしその期待は大きく  
裏切られた。  
 
狩谷は真顔で、でもどこか責めるような目で加藤を見つめる。車椅子の生活の頃の目で…  
加藤は思わず息を飲む。  
 
「最近 幻獣に食われる前の記憶が少しだけ戻ってきたんだ…」  
「ナニか思い出してん?」  
「祭 正直に答えてくれ」  
「え?え?な・なんやのん?」  
 
狩谷の目がキツくなる。こぶしまで握り締めて身震いしている…悲しみ?怒り?加藤には  
想像もつかない。  
 
「ボクの……のために…ぅしてたって…本当なのか…?」  
 
狩谷が苦しんでる?絞り出すような声で聞き取れない。  
 
「え?なに?なんやねん!?ハッキリ言うてや!」  
「ボクの足の治療費のために…援交してたってのは…本当なのか!?」  
「!!」  
 
目の前が真っ暗になる。もちろん加藤はそんなことはしていない。身に覚えが無い。しかも  
最愛の人にそう疑われてるという事実が加藤の気力を一気に奪った。加藤はその場に  
倒れこんでしまった。  
 
次の日から加藤は学校を休むようになった。理由を知らないクラスメートは皆心配そうに  
ウワサする。  
 
「ヨクナイ病気にデモなったデスか?」  
「事故ったんじゃねーの?」  
「まつりちゃんがいないと静かすぎるのよー」  
 
狩谷は放課後の教室で独り頭を抱えていた。その時だ。  
 
「どうしたの?」  
 
自分を救ってくれた英雄が声をかけてきた。狩谷はたまらずコトの成り行きを吐露した。  
 
「…狩谷 キミは彼女のコト知らなさすぎだよ」  
「でも…」  
「ふぅ… いいかい?あの娘はそりゃ金に関してはとてつもなくがめついさ でもその理由  
 はキミの足を治す治療費にするためだったんだ それなのにキミが悲しむようなことする  
 訳無いじゃないか!」  
「え…? ボクの!?」  
「知らなかったのか!?」  
 
教室の空気が止まる。狩谷は初めて自分の質問が加藤を傷つけたかを理解した。  
 
「速水 キミのテレパスで祭がどこにいるか教えてくれ!早く!!」  
「がんばってね きっと待ってるよ」  
 
その頃加藤は町をふらついていた。自分の居場所を見失ったかの様に…  
 
「ウチ…なっちゃんにそんな軽い女だって…見られてたんか…」  
 
うつむきながら当ても無く歩く加藤に不意に声がかかる。  
 
「お そこのオネェチャン何してんのー?ヒマならオレらと遊ぼうぜぇー」  
 
見たところ地元の悪ガキと他の隊の人間のようだ。  
 
「こんなトコいるってことは…探してんだろ?相手」  
「オレらなら充分楽しませてやれるぜー?ハハハハ…」  
「ハゲしいのからソフトなのまでなんでもござれだぜぃ?」  
 
頭の悪いセリフに何も言いたくなかったはずなのに思いもよらぬ言葉が口をついた。  
 
「ホンマに満足させれるんかいな?ウチ祖チンはお断りやでぇ?遊んでくれるんなら  
思いっきしヒィヒィ言わせてーなぁ なんや3人か?ほな1人5発は搾り出してもらうで?」  
 
まるで3流レディースコミックにでも出てきそうな言葉…言ってしまってから加藤は  
我に返る…マズイ。しかしもう後の祭だった。  
 
「へ ヘヘヘ言ってくれんじゃん イイぜー気が狂うくらい楽しませてやんよ」  
「…おい イイのか?アレ5121小隊の制服だろ?」  
「構うこたねぇだろ 行こうぜオネーチャンよぉ!」  
 
男の手が加藤の手首を乱暴につかむ。訓練してるとは言え悲しいかな、男の力には  
かなわない。  
 
「ちょっ…イタイ!離しぃーやぁ!!」  
別の手が乱暴に髪をつかみ顔を上に向かせる。  
 
「搾り取ってくれんダロ?あ?」  
 
初めて見る欲望剥き出しの異性に加藤の全身は凍りつく。全身の毛が逆立つ。急に  
頭の中に絵が浮かぶ。男達になぶられる自分の姿…  
 
「い…いや…」  
「あ?今更何言ってんだ ォイ オレらからかってんのか?」  
「た…たすけ…」  
「オラこっちこいや!…なんだおまえ?」  
 
3人の内1人が誰かに話しかける。  
 
「その娘を離せ その娘はウチの小隊の隊員だ」  
「な…なっちゃ…」  
「うるせぇ!邪魔しよってのか?お?」  
「オネェチャンと遊ぶ前に準備運動だなオイ」  
「オマエら日本語が解らないのか?」  
「んだコルァ! あ…」  
 
狩谷は鈍く光るカトラスを男達に突き付けた。  
 
「もう一度だけ言う その娘を離せ さもなくば今まで倒した幻獣の仲間に入れるぞ…  
今のボクには貴様らが幻獣にしか見えないからな!」  
 
初めて聞く狩谷の怒声、いや今までに聞いたことはあったが今回は「重さ」が違う。  
男たちも気おされて動けない。  
 
「祭 帰るぞ」  
「な なっちゃ…」  
「早く来い!」  
「なっちゃん!待って!なっちゃん!!」  
 
「命拾い…したな」  
「あ・あぁ」  
 
男達はその場にへたり込んだ。  
 
 
無言のまま歩きつづける狩谷の後を加藤は小走りについていく。狩谷は歩調を緩め様とはしない。  
 
(アカン…なっちゃんメッチャ怒ってる…どないしよ…)  
 
狩谷はその足をプレハブ校舎に向けていた。誰もいない詰め所に入っていく。  
 
「腕 大丈夫かい?」  
「うん…あのななっちゃんさっきのは…」  
 
言いかけたところで狩谷の指が加藤の口に止まる。  
 
「何も言うな…解ってるさ 祭がそんなコトする訳無いんだよ」  
「なっちゃん?」  
「僕が悪かったのさ いじけてひねてヘンに先読みして…ゴメン」  
 
狩谷の目から涙が流れる。後悔と自責の涙。加藤はこらえきれず狩谷にしがみつく。  
 
「なっちゃん!ウチな…ウチな…」  
「祭…」  
 
すれ違いつづけた2人が今、ようやく「出会えた」のだ。   
 
「あ…あのな…初めてやねん だからな…」  
「わかってる ボクもだから」  
 
詰め所の布団の中で2人は生まれたままの姿で抱き合っていた。  
ぎこちなく肌に触れる狩谷の指。その指の動きに敏感に反応する加藤。  
雑誌などで手に入れた情報で可能な限り相手に触れようとする。  
 
「祭 結構胸大きいんだ」  
「あん! そないに強く揉んだらアカンて…」  
「ご・ごめん!」  
「もっと優しく…包むように…な?  
「こ…う?」  
「んっ…そ…そや…あっ!!」  
 
「なっちゃんのココ カチンカチンや…」  
「あんまりジロジロみるなよ…ぅわ!?」  
「ココ こーやって握るとええんやろ?」  
「ちょっまてって…うわっ…」  
「なっちゃんも気持ちええやろ?な?  
 
お互い相手の体を確かめるように触り合う。そしていよいよ…  
 
「痛かったら言ってよ?」  
「だ・大丈夫やて ウチ強い女やで!」  
「ヘンな時に強がるなよ」  
「…や・優しく…してぇな?激しく動いたりはカンベンな?」  
「強い女じゃなかったっけ?」  
「いぢわる言わんといてぇな…あ!」  
 
狩谷の分身が加藤の秘部に押し当てられる。  
熱く脈打つソレを受け入れるべく蜜がトロリと溢れる。  
不意に狩谷の体が加藤にのしかかる。  
 
づるっ…ブヅンぷちぷち…  
 
「あああああああぁぁああぁあ!!」  
 
加藤は身を裂かれる痛みに耐え兼ね悲鳴を上げる。思わず腰を引く狩谷。  
しかし加藤の両腕はしっかりと狩谷の肩を抱きしめていた。  
 
「祭!大丈夫か!?一回抜くよ?」  
「ぐ…あ…なっ…なっちゃん…ええねん…このままでい…てぇな…お願い…」  
 
息も絶え絶えに加藤は涙目で微笑む。たまらず狩谷は抱きしめる。  
 
「なっちゃん…ちょっとだけ…動いて…」  
「こう?」  
「あうっ!ア…ん!!」  
「やっぱりやめ…  
「ええねん やめんといて 今 逃したらウチ一生後悔する…」  
 
狩谷は加藤の頭を抱きしめできるだけゆっくり体を動かした。  
 
狩谷が一突きするごとに痛みが走る、が加藤はその痛みが薄らいでいく中で妙な感覚を覚えた。  
痛くは無い。痛くは無いが…むずがゆいようなくすぐったいような…最もソレが「快感」だと気づくには  
回数と慣れが必要なのだが。  
 
「祭 大丈夫か?」  
「う…ん……もう痛くはないねん でもな でも あっ!」  
「!?」  
 
急に加藤に力いっぱいしがみつかれ身動きできない。  
 
「お おい!?」  
「あんな…なっちゃんがな…動くたんびに体がきゅうううってケイレンするねん」  
「え?」  
「何やろ…ウチおかしゅうなったんかな?」  
 
顔を赤らめて疑問をぶつけてくるいとしい女性のしぐさに狩谷は当てられる。  
 
「…いや…いいんじゃ…ないか?」  
「そやろか?」  
「痛くは無いんだろ?」  
「…うん」  
 
…たまらん。もっとも狩谷じゃなくてもそう思うだろう。いつも活発な娘が自分の元で  
しおらしく不安がっているのだ。興奮が狩谷の理性を焼く。  
 
「なっちゃん!?あぅっ!はや…腰早いて…あぁああ!なっちゃ…」  
「…………」  
「なっちゃん!ゆるめて!こしっ…早過ぎ…あぁっあはぁあああ!!!」  
 
びゅるっ…  
 
白いほとばしりが結合部から溢れ出す。我を取り戻し加藤を見つめる狩谷。息も絶え絶えに  
体中がピクンピクンとけいれんしている。  
 
「ま・祭?おい!」  
「はぁーっはぁーっはぁーっ…あ゛はぁっ…はぁーっなっちゃん…」  
「ん?」  
「ウチ…はぁっ…ケフッ…ウチ初めてでイッてしもたみたいや…はぁーっ」  
「い?あ・あぁ・そ・そうか…」  
 
ぜいぜいと肩で息をしている加藤に寄り添って、狩谷は自分の幸せを噛み締めた。  
 
 
1ヶ月後…  
 
 
「祭ぃ…ぜぃぜぃ…まだ…するのか?」  
「なぁに言うてんのー!今日はなっちゃん1回もいかせてくれて無いやん!」  
「でももぅ…5発…」  
「しっかりせーやー!男やろー!!」  
「でもな祭…」  
「ホレ!コレ飲んでがんばってや」  
 
微笑みながら滋養強壮剤を渡される。アレからというもの加藤はすっかりSEXに  
目覚めてしまったようでヒマがあると行為に至っている、が。当の狩谷は体力が  
追いつかない。1回につき3発以上はせがまれる。このままでは戦死の前に複上死  
するだろう。それでも大切な人のため、狩谷は死ぬ気で今日も戦うのだ。  
 
「くっそぉ!これでどぉだぁぁぁ!!」  
「あぁああ!イクぅっ!」  
 
 
==彼氏彼女の情事 了==  
 

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