「いっしょに仕事・・・しませんか?」  
そう壬生屋に提案されて、  
意外に思いつつも承諾したのが運の尽きだったのかもしれない。  
少なくともオペレーターの仕事を手伝うと言い出した時に気づくべきだったのだ。  
様子がおかしい。  
いつもの壬生屋ではない---そう思ったときにはとっくに押し倒されていた。  
 
「ずっと・・・好きだったんです」  
そう言って目線を逸らした壬生屋の頬は紅く染まり、  
その紅を映して潤んだ瞳がおずおずと愛しい男の姿を映し出す頃には  
空気がピンクに色づいたかのような---Hな雰囲気完成。  
 
さすがに瀬戸口もここまであからさまな雰囲気に動揺を隠し切れなかった。  
(マジかよ・・・)  
女子校生と軽口を叩き合っているだけで木刀を振り回す女が。  
朱色の袴の純和風(美)少女が。  
戦車を駆って文字通り最前線で刀を振るい血煙の只中に立つ戦士が。  
「お願いです。このまま・・・」  
恥じらいながら壬生屋は一瞬で前をはだけている。  
胴着も袴も結局は一本の腰紐で纏められてるから可能な芸当だ。  
サラシに押さえ込まれた胸元が存外窮屈そうで瀬戸口はごくりとつばを飲み込んだ。  
壬生屋は四つんばいに瀬戸口を押さえているためにちらりとしか見えないが、  
膝までずり落ちた袴と日焼けしていない太もものコントラストもまた格別であった。  
体育の時間に見るブルマーとはまた異なる種類の色気がある。  
クソ狭い司令車の中である。無機的な無線機器の中にあって、  
壬生屋の肉体(とコスチューム)は一層艶かしい香りをはなっていた。  
 
「・・・ん、ふっ・・・んんう」  
落ちてきた唇を受け止めて舌を絡め合う。  
ただしほとんど壬生屋の舌が瀬戸口の口内を蹂躙しているようなものであった。  
唇が触れ合った瞬間に反射的に軽く吸った瀬戸口の動きに合わせて  
壬生屋の舌が侵入していた。  
盛大な音を立てて。  
それは、長い恋情の末に愛しい男に触れた女の熱情のように思えなくもなかったので  
瀬戸口はあえてされるがままにしていた。  
(うーん・・・若いっていいねぇ・・・)  
このような時、司令車は便利だ。  
外からはほとんど見えない。それだけにこの堅い壬生屋も大胆になれるのだろう。  
千年も生きていると多少のことには動じなく  
「なっ・・・あぁ?」  
「あうう・・・っくぅ・・・」  
気づくとジッパーが降ろされていて  
その直上に壬生屋が座り込んでいた。  
長い髪が胸の上で揺れている。  
結い上げた額にはくっきりと苦痛が刻まれていたが、  
それは同時に極上の快感を瀬戸口へ与えていた。  
 
「く・・・きつっ・・・」  
いつの間にかヌレヌレの秘所に収められてその上痛いくらいに締め上げられて。  
瀬戸口の肉体はとてもとても正直に反応していた。  
「ご、ごめんなさい。やっぱり、痛いです・・・ね・・・くぅッ」  
痛みに耐えて涙すら流しながら、それでも壬生屋は苦痛に耐えていた。  
様に見えた。  
無理するな、といたわろうとした時。  
壬生屋の腰が揺らめくように動いた。  
「うわ」  
そのままプロ顔負けのグラインドを開始した。  
ぬちょぬちょと盛大な音と共に抜き差しされる。  
仰向けに寝ている瀬戸口からも結合部が見えそうな勢いだ。  
きゅうきゅうとリズミカルに収縮する膣壁が  
壬生屋の快感を伝えていた。  
先ほどまでの苦痛はどこへやら。  
壬生屋は髪を振り乱し、制服の上から瀬戸口の乳首を指でこすりあげつつ  
自分の好い所へ当るように腰を躍らせていた。  
予想外の感覚に瀬戸口のモノが中で一際大きくなる。  
無意識のうちに下から突き上げていた。  
「ああッ・・・瀬戸口さぁん・・・・・・イイ・・・すごく、いい・・・ですぅ」  
ちろりと舌を覗かせて喘ぐ。  
口角から垂れた唾液がサラシの胸元へ吸い込まれていった。  
 
その壬生屋の姿を見て、瀬戸口の脳裏にある相関図が浮かんだ。  
それは最初に感じた違和感と結びつき――瀬戸口は氷水に放り込まれたほどに一気に冷めた。  
どこかで見た貌だと思ったのだ。  
確か前に一度だけ・・・  
 
<イイ。すごくイイィ!>  
 
「・・・・・・っわぁぁぁぁ!!」  
耐え切れずに瀬戸口は叫んだ。  
「おや?どうしました?」  
壬生屋の姿をしたソレはにやりと笑ってみせた。  
腰を大きく回すようにうねらせ、両手でひらひらとバランスをとる姿がまるで踊っているようだった。  
まんま岩田である。  
当然狙っての行動だが。  
「お前アリアンだろ!どういうつもりだ!」  
「・・・このぐらいで萎えないでくださいよ。愛の狩人が聞いてあきれる」  
瀬戸口は一度アリアンに遭ったことがあった。岩田の体を借りていたが  
岩田とは顔筋の使い方が異なる(というか岩田が常人離れしている)ので随分違った容貌に見えた。  
目の前の壬生屋はその岩田と同じ貌をしていた。  
アリアン=岩田しか知らないためによりにもよって岩田を連想してしまったのだ。  
「一万年生きても絶対無理だ!それよりなんで壬生屋に」  
よっこいしょ、と瀬戸口の上から降りてアリアン=壬生屋が床に座り込んだ。  
悪びれる様子もなく飄々と説明を始める。  
 
「たまにはこういう『介入』もいいかと思いまして。本人の意に添わぬ行動をしたつもりはありませんよ。  
この娘は意地っ張りで頑固で素直じゃない。  
明日生きているかどうかもわからないのに。  
だからたとえ記憶に残らなくても想いを遂げさせてやろうと思ったんです」  
「そのあとどうすんだよ」  
「貴方のことだから冷たくあしらったりはしないでしょう。  
それどころか情がうつって優しくしてくれるかもしれない。彼女の夢です」  
確かに。俺ならやりそうだ。  
壬生屋は一度だけ寂しそうに目を伏せた。  
「・・・・・・まあ、今回の『介入』は失敗したわけですが。  
明日からは少しはこの娘を労わってあげてください。  
・・・それでは」  
「え?おい、ちょっと待っ・・・」  
せめて着衣の乱れを直してから、と引きとめようとして壬生屋の両肩に手をかけたが遅かった。  
一瞬脱力したように瞼が下り。ゆっくりと開いた。  
「あ・・・あれ?・・・え?」  
間違いなく壬生屋の貌で壬生屋が瀬戸口を見ている。  
(殺される。絶対殺される)  
比喩ではなくそう思い、全身総毛立った。  
壬生屋は瀬戸口の顔を認識したのち自分の姿と背戸口の姿(両者下半身丸出し)をしっかり見た。  
 
「き・・・っぃやぁああああああ!」  
絶叫。  
壬生屋の顔は赤を通り越して青ざめていた。  
「こ、こ、こ・・・な・・・」  
ひとしきり叫んだのち混乱と酸素不足で口をぱくぱくさせるが言葉にならない。  
「こないで」か「これはいったい何ですか?」と言おうとしたのだろう。  
しかし双方ふるちんであり、壬生屋の肩に手をかけて今まさに押し倒さんとする瀬戸口に  
上品な言い訳などあるはずもなかった。このまま壬生屋が平常心を取り戻したとき――  
一刀両断である。  
 
「悪かった!!」  
瀬戸口は大げさに両手をついた。もうこうなったら混乱に乗じてうやむやにするしかない。  
「すまん!一緒に仕事してたらムラムラして・・・  
壬生屋があんまり綺麗でかわいい(ここ強調)から我慢できなくなってしまったんだ!」  
ありえねえ。と瀬戸口は心の中で目と同じ幅の涙を流しながら思った。絶対ありえねえ。  
でもまさか「お前のほうから誘ってきたんだ」などと言えるはずもない。  
アリアンのことを話しても話し終える前に殺られるのがオチだ。  
しかしこの程度で丸め込まれる壬生屋ではなかった。混乱していた感情は結局激怒に落ち着いた。  
「あ、あなたはいつもこんなことをしているのですか!不潔です!!  
しかも見た目がよければすぐにこんな、ふ、ふしだらな」  
壬生屋は左手で胴着の前を掻き合わせた。右手の人差し指でまっすぐ瀬戸口を指す。  
混乱から怒りにシフトしつつも「綺麗でかわいい」を否定しないあたりは流石というべきだが、  
怒らせてしまった以上瀬戸口も「ハイ。いつもしてます」などと正直に申告できる場面ではない。  
「違う!!!」  
瀬戸口、もう自棄である。  
「お前が、好きなんだ!」  
 
「・・・はっ?」  
思いもよらない発言に壬生屋は白くなった。  
ここで信じてもらえなければ生命の危機である。  
一瞬の隙を突いて瀬戸口は一気にたたみかけた。  
「本当だ!初めて会ったときから好きだったんだ!!  
愛しているんだ!!」  
背中一面びっしょりと冷や汗でぬらしながら必死で叫んだ。  
ここまで切羽詰っていてもすらすらと台詞が出る自分が少し悲しいと愛の伝道師は思いながら。  
「・・・そうですか・・・」  
魂の叫びのような愛の告白を、壬生屋はぽかんと口をあけたまま最後まで聞いて、  
それだけをつぶやいた。  
あっさり流された格好の瀬戸口は目を血走らせ、口と肩で息をしている。  
額といわず顔といわず、汗まみれで制服を張り付かせてまっすぐに懇願する男を見て、  
壬生屋はなぜだか笑いたくなった。  
目の前の情けない男も、意地っ張りな自分も、とても可笑しいと思ったのだ。  
「お、おい」  
壬生屋は急にクスクスと笑い出した。瀬戸口が不安そうに見上げる。  
「わかりました。許してあげます」  
笑い声にあわせて長い髪が揺れる。その中からすっきりとした笑顔が瀬戸口を見下ろした。  
「私も、貴方が好きです」  
今度は瀬戸口が唖然とする番だった。  
本気でかわいいと、綺麗だと思ってしまったのだ。  
「ふつつかものですがどうぞよろしくお願いします」  
まだ笑ったまま降ろされた頭を引き寄せて、軽く口付ける。意外と抵抗はなかった。  
「こちらこそ」  
どこかでファンファーレが鳴った。  
 
※瀬戸口と壬生屋は恋人同士になりました※  
 
 
――まぁ、いいか。  
結局はアリアンの思う壺かと思ったが、着物をなおしている壬生屋が幸せそうなのを見ると  
腹も立たなかった。  
「なぁ、ところで」  
「・・・続きは終業時間の後です」  
「はいはい」  
「はいは一回。さ、仕事を終わらせてしまいましょう」  
「はーい。と、その前に。お前ちょっとおでこ変だぞ」  
「えっ?」  
と振り返ったおでこに  
ちゅ。  
「これでよし」  
「・・・・・・ズルイ」  
真っ赤になる壬生屋。怒っているのではなく照れている。  
 
・・・やべえ。本気ではまるかも。ま、それも・・・  
 
 
 

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