ののみは今幸せだった。怖い幻獣も忙しい仕事もなく、新しいお気に入りの場所
でノンビリできるからだ。そのお気に入りの場所とは…
若宮の肩車だった。
幻獣が活動を潜めてしばらくの間、5121小隊はいつもの緊迫した雰囲気から
開放され一時の安息を手に入れていた。そんな中意外なカップルが生まれていた
としても不思議な事ではなかった。
小隊一のデカブツとチビスケのカップルははたから見ると熊と子猫の様に見えた
「ねーねー」
ののみが巨大な背中に飛びつくとその背中はモソリと動き出し振り向きながら
彼女を抱き上げる。
「ん?肩車か?」
問いに対して熊が動く。その小さな体をひょいと抱えていつもの場所に行く。
体育館の日陰がいつもの場所だった。なぜか若宮は幻獣がでなくなってからと
いうもの、ここでうたたねをする事が多くなっていた。ののみを肩車したまま
カベに背をつけドッシリとすわる。その緩慢なうごきはまさに熊そのもの。と
ても戦場を駆け回っているスカウトの姿とは似ても似付かない。そのうちに彼
のうたた寝が始まる…
ののみが本当に好きなのはここからだった。
[…ッ…っはぁ」
「あんっ…はぁぁ…」
彼がうたた寝で首をカクンカクンと動かし始めると同じにその声は出始めた。
短く刈った彼の頭髪がののみのあらわになっている内腿をこすり始めたのだ。
ジョリ…ズリ……ジョり…
「っあ…っあ…っあ…っあ…」
もうののみの目は焦点さえ合わず、その口からはいつもの愛らしい声の変わりに
幼いながらも娼婦の様な嬌声があがっていた。
いつもならただただ気持ち良くなり頭の中が真っ白になるまで繰り返し…ただ
今日は少し違う。今日は思い切って若宮の後頭部を股間に押し当てたのだ。彼
のハリのある硬い毛は布地を突き通し最も敏感な部分を直撃した。
「〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜ッ!!」
激痛とも快感とも取れぬ衝撃が声にならない声をあげさせた…
何度果てただろうか?もちろん彼女にはそんな自覚は無い。ただこんなに不思議
で気持ちイイ(?)ことをやめる気にはならなかった。
「んぁ…寝過ぎたか?」
若宮が目を覚ますと、くてっとののみが頭に覆い被さる様にねむっている。若宮
は根ながら考えていた。生体兵器としての自分がこの娘を幸せに出来るのか、そ
して自分の寿命がどのくらいなのか…
考えてても答えがわからんとかれは自分に言い聞かせ、頭の上で眠っているお姫
さまを抱きかかえ帰路についた。いつ破られるとも知れぬこの平穏をかみしめな
がら…
FIN