*  
 
 
 青森は劣勢だった。戦況は確実に悪くなっていた。  
 にもかかわらず、この戦区は不思議なほどに幻獣が出なかった。参謀本部も首をかしげたが、幻獣がここを避ける理由は一切不明だった。  
 ――当たり前だ。  
 まさか、たった一人の学兵の言葉で幻獣どもが様子見を決め込んだなんて、誰が信じるものか。  
 
 
*  
 
 制服のスカートに手を突っ込んで、吉田の細くて白いふとももを撫で回しながら射精する。可愛い尻にきつく爪を立て、痛みに反応して膣が締まるのを愉しんだ。  
「ああぅ……はぁぁああああ……。ま、まだでてるぅ……ドクドクくるぅ……あ、ぁぁあああっ……!!」  
 小柄で未成熟な肉体が、俺の下でもがくようにビクビクと震える。ソファに仰向けに押し付けるようにして手首を押さえながら、なおも犯す。射精が止まらない。入り口の輪の感触を愉しむように出し入れを繰り返す。  
「ひぐぅ……ッ!! あ、あぅ、ま、またイクッ……ふぁ、ふぁあああああっ!! ももかさまぁ、はげしすぎるぅ……」  
「んっ……はぁ……。まだよ、まだ……クッ、また射精る……!」  
 奥へ流し込むように深く挿入する。吉田が足を突っ張らせて、再び絶頂した。膣がキュウキュ締まる。気持ちいい。よすぎる。腰の動きが止まらない。  
 肉と肉を打ち付ける音が薄暗い空き教室に響く。吉田がいやいやと首を振りながら、声にならない呻きを洩らす。  
「…………っ、…………ッッ!!」  
 放課後になると、空き教室でひたすらセックスに耽る――それが近頃の習慣になっていた。誰も何も言わないのをいいことにソファやら毛布やらを持ち込み、今ではすっかりエロ部屋と化した教室で、毎日のように狂った性行為にうつつを抜かしている。  
 毎日のように……何度も、何度も。  
 どれだけヤッても飽き足らなかった。  
 怒りに身を任せるかのように押し倒し、ひん剥いて、弄び、犯す。  
「ひぐ……ぁ…………ぅ……」  
「遙、ほら、綺麗にしなさい」  
 顔の上にまたがってフェラチオを強制する。吉田はぼんやりした顔で、ひくひくと震えながら脱力している。目の焦点が合っていない。  
「…………ぁ……」  
 ――ち、失神したか。  
 そういえば今日は何回犯したっけ……? 思い出せない。とりあえずめちゃくちゃに突きまくった。壊れてもかまわない玩具だと思って、吉田のマンコにぶち込みまくった。――なのに、いきり立った下半身が全然収まらない。  
 性欲で頭がおかしくなりそうだ……いや、もう既におかしくなってるのか。  
 
「ほら……綺麗にするんだよ……。遙? 私の言うことが聞けないの?」  
 意識のない吉田の唇に亀頭をねじこんで、精液を舐めとらせる。やられすぎて反応すらできない相手の口の穴を、それでも構わずに性器のように使って奉仕させる。  
「……もが…………ごぷっ……」  
 顔にまたがって腰を振り、舌の粘膜を愉しんでいると、ごぽり、と吉田の股の間から大量の精子が垂れ落ちた。膣に溜まった白いのが、後から後からドバドバと流れてくる。  
「あらあら……遙ったら、はしたない」  
 ――まるで精液便所だ。  
 吉田の陰部と肛門は、すでに泡立った淫液でドロドロだった。乱れた制服の胸元からは、歯の跡がくっきりついた乳首が覗いている。首には乱暴に締めた指の跡、尻たぶには真っ赤な爪の痕が残っていた。  
 彼女のその悲惨な姿と、それをすべて自分がしたのだ、という征服感に、俺は暴力的な興奮を感じてゾクゾクした。  
「くそ……っ、また硬くなってきやがった……」  
 本当に、どうかしている。  
 全然勃起が収まらない。  
 もっと……。  
 もっと、したい。  
 犯したい。セックスしたい。めちゃくちゃにしたい。  
 俺は意識のない吉田の頭を両手で掴み、激しく腰を使ってイラマチオした。吉田の口の穴をオナホール代わりにしてニチャニチャと擦る。  
「クッ……また、また射精る……!」  
 口の奥に突っ込んだまま射精した。吉田が息苦しそうにもがき、ごぽごぽ喉を鳴らしながら咳き込む。白目を剥きながら口から泡を噴き出す吉田の顔面に、俺はさらに残りの精子をぶっかけた。朦朧とした表情のまま、幼い顔が汚されていく。  
「……ぇぁ……ぐぷ…………。ぅ…………」  
「ハァ……ハァ……。ハァ……」  
 眼鏡についた白濁を指でぬぐう。くたり、と力なく首を垂れる吉田の頬を、くすぐるようにそっと撫でた。  
「――ウフフ。可愛いわよ、遙……」  
 俺は唇をぺろりと舐め、幽鬼じみた仕草ですぅっと立ち上がる。  
 身を起こすと、暗い教室の窓に裸の女の姿が映った。長い金髪を背に垂らした、魅惑的な美貌の少女だ。だが、そのほっそりとした両脚の間には、欲望を漲らせた赤黒いペニスが硬くそそり立っている。  
「ハァ……ハァ……。くそ……収まらねえ……」  
 たおやかな女の手で、もてあまし気味の分身を捧げ持つ。濡れた先っぽからトロリと透明な液が垂れた。  
 いつの間にかすっかり日の落ちた教室を見渡してみる。バイブやらローションやら、エログッズがそこらじゅうにごろごろと散らばっている。丸めたティッシュやら、食い終わったポテトチップスやら、弁当の空箱やらもだ。  
 吉田はその中央に置かれたソファの上で、だらしなく脚を広げてぐったりと横たわっていた。  
 外は雪が降っているのだろうか、室内はしんと静まり返っている。  
 ……いや、粘膜を弄繰り回すねちゃねちゃした音と、鼻にかかった甘い声がもれ聞こえた。  
 
「お姉様……。ああ、可愛い……。お姉様のクリトリス、コリコリしておいひいぃ……」  
 ふと目を移せば、毛布を敷いた床では菅原と村田が裸で絡み合っている。  
 村田は白い軍服に着替えさせられ、その上でズボンをずり下げて、あそこを舐められまくっていた。両手は親指錠で背中側に拘束し、口には猿轡をはめている。仕上げに菅原がブレインハレルヤをたっぷりぶち込んだようだった。  
「じゅうろくさいれ挫折したお姉さまはぁ……、ぐんぽーかいぎでクンニ五時間のちょおばつですう……。んっ、んんっ、ちゅっ、ズブッ、じゅるるるるるる」  
「…………っ、…………んんんんぅぅ〜っ!」」  
 声を出せない村田は、涙だかなんだかよくわからない液で顔をべたべたにしながら呻くだけだ。くの字に横たわって、丸めた爪先が円を描くように毛布を引っかいている。  
「……愉しそうなことしてるわね、乃恵留」  
 俺は勃起したペニスを突きつけるように二人の前に立った。菅原はとびっきり淫靡な微笑を浮かべて俺の性器へ流し目する。そして、村田の割れ目にねじ込むように夢中で舌をぐりぐり突っ込んでいく。  
「んぅぅぅぅ! んっ、ぅぅぅぅぅううっ!!」  
 村田は羞恥に首筋まで真っ赤になりながら毛布に顔をこすり付けている。感じているのだ。クスリと拷問のようなクンニリングスの連続で、否応なく感じさせられて、何度もイカされて、それでも赦されずにまだまだ犯され続ける。  
 心が折れるまで。  
 いいや――折れた後も。ずっと。  
「ウフフ……。村田さんって、おっぱい大きいんですね」  
 俺は細い指をいっぱいに広げて、村田の乳房を掴んだ。軍服の上からたぷたぷと揺らして感触を愉しむ。乳首を探ってつねり上げてやると、海老反りになってヒクヒクとイッた。  
「お姉さま、お姉さま、お姉さま……! あぁ、おまんこのお汁あふれてくるぅ……! 百華様見てぇ、お姉さまのお尻の穴も素敵なのぉ……」  
 菅原が村田のアナルに指二本をズブズブと埋め、ぱっくり開いてみせる。ニコニコしながらケツの穴にまで舌をねじ込む菅原。村田は声にならない悲鳴を上げながら悶え続ける。  
 俺は双頭ディルドを拾って、菅原に渡した。  
「乃恵留……これで『お姉さま』のマンコいっぱい気持ちよくしてあげなさい? 私はアナルのほうを愉しむわ」  
「……はぁ……はぁ……。うん……」  
 菅原は自分から股間にディルドを埋め込んだ。前からぎゅっと抱きしめるように村田の腰に手を回す。  
「お姉さま……ああ、いいにおい……」  
 村田のたっぷりとした巨乳に顔をうずめながら、菅原がくにくにといやらしく腰を使う。村田はもう意識が飛びそうだ。俺は村田のベリーショートの髪を指先でいじりながら、猿轡を解いてやった。  
「ゲボっ……! うぇ……ぁ……」  
 泡だった大量の唾液がどろりと口から流れ出る。  
 
「も、もぅ……やめて……」  
「そうですねぇ……。ちょっと考えさせてください。でも、返答は期待しないでくださいね……」  
 あいまいに答えながら、俺は村田の尻たぶをぐっと押し開いた。痛いほどに張り詰めた亀頭を肉の隙間にめり込ませる。痛みと異物感で悲鳴を上げるのがたまらなく嗜虐感をそそった。  
「ひぎぃやぁぁぁぁっっ!! やめ、やめてぇぇえええええ」  
「お断りします。……ウフフ」  
 おねえさまあ、力抜いてぇ、と甘ったれた声でしなだれる菅原がキスで村田の口をふさぐ。俺は村田の背後から手を回し、胸元をあばいて、乳首をこね回した。  
 そして二人で腰を使って前後ろの穴をじっくり拡げ、開発していく。挟撃されて集中攻撃にあっている村田には、もう逃げ場はなかった。  
「ぅ……ぁぁ……。んっ……! ぁんっ……!」  
 喘ぎ声がとろけて上擦っていく。そうだ。誰だって、この快楽には抗いようがないのだ。肉と粘膜の快楽、堕落の快楽には。  
 ――はぁ…………あぁぁ……きもちいい。  
「おねぇさまぁ……あぁ、はぁん! キスきもちいぃ……はむっ、んんんっ」  
「ふぐぅっ……、…………っ、……んはぁっ!! ひぁ、……ぁぁううううんんああっ」  
 もっと。  
 もっと、欲しい。  
 もっと壊そう。たくさん壊す。みんな巻き込もう。セックスまみれにしてやる。精液と愛液と唾液とクスリとチンポとマンコでズブズブにしてやる。誰もかも、目に付いた奴片っ端から玩具にして、奴隷に堕として、エロ便所にして……。  
「んふぅっ! くっ、あっ、あああああっ」  
 女の声で鳴きながら、俺は射精する。ああ、気持ちいい。何もかもどうでもよくなるぐらい、チンポが気持ちいい……。  
 
 ――その時。俺は自分が既に狂気の淵にいることに気づいていた。  
 だが、それがなんだっていうんだ?  
 どうでもいい。全部ぐちゃぐちゃになればいい。……アハハ。  
 ウフフ、ハハハ…………。  
 
 
 昼休みの教室でのことだ。  
「谷口、カラオケってなんだ?」  
 小隊長の石田咲良が不思議そうに言った。  
「このあいだ市街地で、カラオケ屋が閉まっちゃってつまらないって、そう言ってる人がいた。で、そのカラオケってなんなんだ? カラオケ屋で売ってるものなんだよな? あ、嘘はつくなよ、空の桶が売ってるわけじゃないってことは私だってわかってるんだ!」  
 図体がでかくて動作がきびきびとしている割に、いつも困り顔をしている先任……谷口が、くそまじめな顔でそれに答える。  
「はい、いいえ違います隊長。ええと……その。カラオケはカラオケ屋でやるものですが、別にカラオケという品物が売っているわけではありません」  
「そうなのか?」  
 俺は自分の席で爪を磨きながら、しらけた顔でそのマヌケなやりとりを眺めていた。頭がカラッポの小隊長に、ウドの大木みたいな先任。これでマジに戦争やれってんだから、上の連中もかなり頭がイカレてる。  
「カラオケって言うのはね、隊長。機械の伴奏に合わせて、皆で歌を歌うんだよ」  
 さらさらした髪の少年――小島航が優しい声で話をあわせてやっている。……思うんだが、こいつが甘やかすから石田が付け上がるんじゃないのか?  
「歌? ――音楽の時間みたいに?」  
 と、ボケの石田……もとい、我らが小隊長殿が可愛らしげに小首を傾げてらっしゃる。最新最高の指揮官型新型か何か知らんが、この女は狙ってないだけに余計にイラつかされることが多い。……ああ、くそ。無垢な笑顔しやがって。  
 めちゃくちゃにしてやりたくなるだろうが……。  
「んー……。ちょっと違うかな。こうリモコンで、一人ずつ好きな曲を入れて……」  
 小島弟が説明するのを、石田はふんふんと興味深そうに聞いている。そして、突然憤慨し始めた。  
「そんな楽しそうな店が、どうして閉まっちゃうんだ! まだ私、行ったことないのに!」  
「戦況が悪くなってるからね……」  
 小島弟が辛気臭い顔で肩をすくめる。  
「そうですな。もうちょっと、我々ががんばって、幻獣の勢力を押し返せればまた営業してくれるかもしれませんが……」  
「なんだ、谷口は私が悪いって言うのか? それは上官を批判しているんだな! 可愛くないやつめ、反抗的だぞ!」  
「そ、そんな……」  
 谷口がでかい図体を縮こまらせてたじたじとなる。  
「戦況に関しては、そのう、軍全体の問題であって、この小隊だけの問題というには、大きすぎるというか……ええと……そのう……」  
「春になって援軍が送られてくれば、また変わってくると思うけどね」  
 小島弟が助け舟を出すように言う。  
「むー。航や谷口はカラオケ、行ったことあるのか? ずるいぞ! 私もカラオケしたい! したいったら、したい! 命令だ、谷口、カラオケを調達してこい!」  
「そ、それは……。隊長殿、無茶を言うのはやめてください」  
「私が責任を取る! カラオケの機材を接収してこい!」  
「軍隊がカラオケの機材を接収とか、そんなこと、できるわけないじゃないですか……」  
 …………。  
 風紀を紊乱しまくっている俺が言うのもなんだが、本当にこれが軍隊か? 気が遠くなりそうだ。  
「上官命令だ! つべこべ言わずに言うとおりにしろ!」  
「だから、隊長、あのね。春まで待てば……」  
「――それまで私たちが生きていられる保証はないだろ」  
 ブルーヘクサ特有の青い髪を逆立てて、石田が暗い声でつぶやいた。谷口も小島弟もこれに絶句する。俺は思わずうっすりと微笑んだ。  
 ……案外、この隊長もまるっきりのバカってわけじゃないらしい。  
 と、その時、ふと俺の頭に愉しげな思い付きが湧いてでた。  
「……あの、隊長。王様ゲームならできるんじゃないですか?」  
 三人がはっと俺のほうを振り向く。  
 
 

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