いつからそんな関係になっていたのか、そんな事は何度も肌を重ねる内に忘れてしまった。
ベッドの中で裸でもつれ合う内に、世の中の全てがどうでもよく思えて来て、ただ目の前にいつも居る彼女と溶け合う事ばかり考えている。
指を絡めては放し、唇を吸い、舌で舐め合い、少しでも触れ合う面積を増やそうと身体をくねらせては、甘い吐息を漏らしている。
私は、石田咲良は、私の上で不敵に微笑みながら、私を虐める事で悦楽を得る少女に夢中だった。
彼女になら何をされてもいい。
彼女の望む事なら全て叶えよう。
おおよそ指揮官らしからぬ考えが、彼女を見ているだけで私を支配する。
それだけ、菅原乃恵留は私を虜にしていたのだ。
「石田・・・いやらしい顔してるわよ」
胸を擦り合わせ、愛しそうに指を絡ませる。
乃恵留は時折乳首を舐め上げたり啄んだりしながら、私の身体に痕を残していく。
それが増える度に、私が彼女の所有物である事を感じさせられ、マゾヒスティックな喜びが私を熱くする。
「いやらしくなんて・・乃恵留が、虐めるから・・・あぁっ!」
私が喜びを含んだ鳴き声をあげると、彼女はにんまりと笑った。
虐められて感じてるなんて、十分いやらしいじゃない、と耳元で囁かれ、私は真っ赤になって顔を逸らした。
「認めなよ」
ぎゅっと私を抱き絞める。
「石田はいやらしい娘なんだってさ」
反論しようとしたが、私の口の中を犯し始めた彼女の舌によってそれは防がれた。
舌と舌がねちっこく絡み合ったかと思えば、頬肉や舌の裏を丁寧に舐め回される。
まるでマーキングでもされるかのようにくまなく犯され、私の口内は彼女の唾液で満たされてゆく。
「ん、ぁ・・・はぁ・・・ぁん、・・・・んん!」
時折漏れる吐息には、完全に欲情したメスの声が混じっていた。
嬲られ、犯され、愛され、存在理由もその価値も全て剥奪され、ただただ彼女のお気に入りの玩具として遊ばれ、壊されていく。
それはどうしようもなく屈辱的で、同時に背徳的な気がした。
本来飼い慣らさねばならない存在に飼われている、これ以上に惨めで官能的な関係を、私は他に知らない。
「咲良・・・」
ふいに、名字ではなく、名前で呼ばれる。
途端に私は身震いを起こした。
あぁ、今日もまた始まるのだ。
酷く乱暴な彼女の愛情表現が。
心で、身体で、立場で、私と彼女とを取り巻く全てを繋げる最高の行為が。
「咲良、私だけの女。私だけの玩具。私だけの…」
まるで陶酔したかのように呟きながら、菅原乃恵留は石田咲良に首輪をかけた。
あぁ、今日もまた、私は彼女の全てに隷属する一匹の雌犬となった。
もう、彼女無しでは生きられない。