学兵というのは変な職業だ。そもそも職業と言っていいのかどうか。学生でも兵士でもあり、そのどっちでもないような、中途半端で奇妙な存在。まあ、男でも女でもない人間みたいなものか。ハハ。
それにしても。
今日明日死ぬかも知れないシリアスな戦争に参加しながら、のんきに机並べて世界史の授業を受けていたりする、このマヌケさときたら。
前線では昨日も百人単位の損害を受けたという話なのに、教室の俺たちは雁首そろえて五百年前のヨーロッパの政治について学んでいたりする。
……まあ、それが全部無意味だとは言わないが。今さら慌てて九十七式突撃銃の分解整備を練習したって何になるわけじゃなし。
俺は退屈のため息をついて、曇った空を眺めた。
昼でもなお薄暗い、北国の陰気な冬空。幻獣でも湧いて出そうな不景気な天気だった。
「……だから、幻獣は策源地である北海道への連絡を絶つため、この青森へ大群を差し向け、補給線を断つという作戦に出たわけだ。これで割を食ったのが、つまるところ我々というわけで……」
いつのまにか小島空先生の話が脱線し、戦争についての内容になっていた。
――戦争、か。
あーあ。なんでこんなことになったのやら。
俺は元々、どうせ戦闘なんかないだろうと思って青森の警備師団に潜り込んだのだが、当てが外れた。この頃では後方のミソっかす部隊である俺たちにさえ、小規模な戦闘任務が回ってくる。
俺はノートをとる手を止め、クラスメイトたちの欠食児童じみた顔を見回した。どいつもこいつも、満足にメシを食っていないようなツラだった。実際、食料価格の高騰で腹いっぱい食うということは難しくなっていた。体調不良や日銭稼ぎのバイトで欠席している生徒もいる。
戦況が、日ごとに悪くなっているのだ。
駅前の商店街は閉店したり疎開したりで、既にガラガラだった。学校の売店ももうすぐ閉まるという噂だ。学兵の脱走と処刑が相次ぎ、治安も悪化している。ここまでくれば素人にだってわかる話だった。この戦いは早晩、負けるだろう。
「……それゆえにお前たち第六世代には未来への希望、期待がかけられているわけだ。わかるか。えー、じゃあ吉田。この部隊に配備されているウォードレスの種類について答えられるか?」
空先生が板書しながら言った。
「……おーい、吉田? どうした」
答えがないのをいぶかしんで振り返る。吉田は席を立って、きゅっと口を結んだまま、困ったように先生を見つめ返していた。
「わからないのか? ウォードレス」
ふるふる、と首を振る吉田。後ろの席の菅原乃恵留が、コソコソと答えを囁いたりしている。……だが、吉田が喋れないのはそういう問題ではないのだ。
「ハルちゃん? どうしたの、どこか具合が悪いんですか?」
山口葉月が吉田の顔を覗き込む。吉田はその視線を避けるように、さっとうつむいた。
「ハルぅ? どーしたの、反抗期?」
菅原が頬杖をついたまま、無駄に元気な声で言った。こら、授業中に私語をするな、と空先生から注意が飛ぶ。
「どうしたのかしら、顔も少し赤いみたいだし……。熱でもあるのかしら?」
葉月が心配そうに呟く。俺は思わず噴き出しそうになった。吉田が恨めしげな目で俺を睨んでくる。……ああ、可愛いなぁ。そんな顔されると虐めたくなるじゃないか。
――ククッ。よし、悪戯してやろう。
俺は何食わぬ顔で、左手の多目的水晶を操作する。
「っ……!」
吉田がビクンッ、と尻を大きく震わせた。
「? ハルちゃん、どうしたんですか?」
何も知らぬ葉月がたずねる。吉田は帽子のつばを両手でひっぱって顔を隠そうとするが、紅潮した耳までは隠しようもない。
「ねー、ハルぅ。ひょっとして寝ぼけてて授業聞いてなかったんじゃないの? 簡単じゃない、いつも使ってるウォードレスの種類くらい」
ふるふる、ふるふる、と吉田は首を振るだけだ。必死に何かを我慢している。もじもじと膝をすり合わせる様子が、実に可愛らしかった。
――と、ついに耐えられなくなったのか、吉田がぽろっと涙をこぼした。真っ赤になった頬に、透明な雫が伝う。
「っ!」
「……ハルちゃん?」
葉月が驚いた声を上げるが早いか、吉田はまっすぐ教室の外へ駆け出していった。茫然と見送るクラスメイトたち。
「脱走した……」
菅原がぽつんと呟いた。教室がざわつきだす。
俺はタイミングを見計らって言った。
「私、ちょっと様子を見てきますね。先生、授業を続けてください」
「あ……そう、ですね。お願いします」
葉月がショックを隠せないまま、目顔でうなずく。その傷ついた表情に、俺は内心溜飲を下げた。ずうずうしいおせっかいデブめ、そのまま自重していろ。
「はい。任せておいてください」
俺はたおやかな微笑を作りながら、優雅に机の間を抜け、教室のドアをくぐる。――背後から鋭い視線を感じた。
岩崎だった。
「……ウフフ」
俺は唇を扇情的にぺろりと舐め、ウィンクしてやった。岩崎は険しい表情で睨み返してきた。美少女のウィンクに対してそんな態度をするなんて、礼儀知らずな男だ。
上機嫌で教室を出る。
わざとゆっくり廊下を歩いて女子トイレに向かい、一番奥の個室の前で、俺は立ち止まった。
個室の鍵は閉まっている。俺はノックもせずに言った。
「――私よ。開けなさい、遥」
「…………」
無言で、キィ、と戸が開く。中で吉田が着衣のまま、便座にうずくまっていた。身体をくの字に折り曲げ、何かをこらえるように唇を引き結んでいる。
俺はにやにやと笑って吉田を見下ろすと、個室に入り鍵を閉めた。帽子のつばをくいっと持ち上げて、吉田の表情を覗き込む。吉田は涙目ですがるように俺を見上げてくる。
「ウフフ。ちゃんと口に含んでた?」
「……ん……」
こく、こく、とうなずく。
「見せてごらんなさい」
「……う……」
俺が命令すると、吉田は顎を上げて、舌を出して見せる。
舌の上には、ドロリとした白い精液が唾液に混じって、たっぷりとトッピングされていた。
「クスクス……。いい子ね。飲んでいいわよ」
「ん……」
吉田は目を閉じて、ゴクン、と喉を鳴らした。
のんだよ、というように口を開けて見せる。苦そうな顔で言った。
「……精子の味、まずい」
「そのうち美味しくてたまらないって感じるようになるわ」
俺が予言のようにそう言うと、吉田は諦念のようなものを瞳に浮かべ、うなずいた。従順で、酷く退廃的な色気を感じさせる表情だった。
「……ねぇ……」
「なぁに、遥?」
「わかっ……てる、くせに」
吉田はもじもじと膝をすり合わせ、おねだりする態度で言った。最近、吉田は俺にこういう甘えた態度をする。
俺はスッと細く目を細め、低い声で脅すように言った。
「言葉で言わないとわからねぇよ」
「アレ……取って……」
吉田はぐずるような口調で言う。俺は瞬間的にイラッときた。
「はぁ? ……口の利き方を忘れたの?」
吉田の制服の襟を片手でつかんで、乱暴に首を絞める。吉田の目に困惑と恐怖の影が差す。「ご、ごめ、」と吉田がわけもわからず口走ろうとする。それが俺の中の黒いモノをチリッ、と発火させた。
――スパン、と鋭い音が空を切る。
吉田がいつもかぶっているあの帽子が宙を舞い、落ちた。
髪をつかんで顔を引き起こす。
「ひぃ、ぐっ……!」
「何様のつもりなの。たかが精液便所の分際で……。何よその態度、私の恋人気取り? 恋人気取りでございますの? ねぇ!? もしかして対等のつもりででもいるわけ? ――図に乗ってんじゃねぇよ。お前はただのオモチャだ。適当に遊んで、飽きたら捨てる」
投げ捨てるように吉田の頭を放り出す。
後ろを向かせ、便座の蓋に腹ばいにさせて、ケツを突き出させた。制服のスカートを捲り上げると、無地の子供くさい白のパンツと、マンコからぬっと生えたブッといバイブが現れる。
イボイボの突起も凶悪な、極太サイズだった。おまけにこいつは太陽電池で自動充電するという、戦時下に優しい省エネ発想の素敵な淫具だ。
「ごめ……ごめんな、さ……い……」
今さら謝っても遅い。俺は多目的水晶にリンクしたスイッチで振動を最強に切り替え、バイブを足で踏みつけてぐりぐり押し込んでやった。
「……ひ、ぐぅっ、……ぃぎぃっ!! ……あ、ぁああああ……っ!!」
吉田のソコは、パンツがものの役に立たなくなるぐらいぐしょぐしょに濡れていた。
「変態淫乱マンコが。バイブ突っ込んだまま教室で注目されて死ぬほど興奮したんだろ。葉月の顔見ながらこっそりイッたの、私にはわかっているんですからね」
「ひぐっ……!! あぐ、ぅ、あ、あああ……ごめ、ごめんなさ、……ひぐぅあああああっ!! やめ、ふまなひ、あふぅ……えぐぅ!!」
「何がアレ取って、だよ。本当はもう一つの穴にも捻じ込んで欲しいんでしょ。そうでしょ、ねぇ!? 遥、どうしたら貴女の欲しいモノがもらえるのかわからないの? だからそんな生意気な口を利くのね。だったら、素直になれるようにしてあげましょうか?」
「ごめ……や、やめ……、ゆる、して……」
吉田がしゃくり上げるようにして泣き出す。いくら泣いたって俺はやめないってことがまだわからないらしい。もっと壊さなきゃだめだ。もっと、もっと。涙なんか出なくなるまで。
「遥みたいなバカなスケベ穴は、徹底的にグチャグチャにされなきゃ自分の立場もわからないのね。そう。それなら遥の望むとおりにしてあげる」
俺はやすりで丁寧に磨いた爪を吉田の尻にすべらせ、痕がつくくらいにきつく爪を立てた。
「……っ!! い……っ、ひぐぅ……!!」
「多目的結晶を出しなさい。素直になれるオクスリ、たっぷりブチこんであげる」
多目的結晶とは、第六世代のクローンの左手首に埋め込まれた情報処理用の共生生物のことだ。脳と直接リンクし、プログラムセルと呼ばれる各種のゼリー状の物体を連結させることで、様々な能力を発揮する。
ブレインハレルヤもその一つ。これは法的に規制されている電子麻薬の一種で、質はモノによって様々だが、ケミカルと違ってバッドトリップなしでベリーハッピーになれる。一度やったらやめられないひんやりしたスッキリ感と多幸感が特徴だ。
もちろん、セックスに使ってもかなりイイ。
これは体験談で言うが、高純度のハレルヤをキメながらマンコぶちぬかれると脳が溶ける。生きてることすらどうでもよくなるくらい、チンポマンコチンポマンコ。ズコズコすることだけしか考えられなくなる。
ちょうど、今の吉田みたいに。
「……あ……ふぁ…………ひぐ…………あ、ああ…………」
便器のふたにしがみつくようにして、吉田は腰をくねらせていた。マンコに突き立ったバイブがグニグニと激しくうねっている。
「いぃぃ……ひぎっ……ぁああああっ……きもひいいぃぃっ、ばいぶいいのぉぉおおおおお」
慎みのない唇から、とめどもなく唾液と淫らな言葉を吐き続ける。俺は吉田の首をつかみ、声を立てると喉を握りつぶすぞと言った。吉田は下唇を噛み、鼻から甘い吐息を漏らしながら喘ぎ声を我慢しようとする。
「ふっ、……んっ、…………んんんんぅうっ、はぁあああああん! らめ、……めぇ、がまんできらいっ……! まんこ、しゅごい、とけるぅ……」
「仕方ないわね」
俺は吉田のマンコから、ずぼっと一気にバイブを引き抜いた。
「あぐぅ」
とろとろの愛液が糸を引いてバイブから垂れる。かき回されまくってぐちょぐちょの吉田のマンコは、ビラビラがくぱぁと口を開けてヒクついていた。
「はぅぅ……。いれてぇ……いれてぇ……」
「だったら、きちんとしたおねだりをしなさい、遥」
「はひ……はいぃ。まんこにふといのくらさいぃ……んぁ、ここにぃ、……いやらしいおまんこぉ……、おちんぽぉ……ちんちんいっぱいほしいぃ……いっぱひぃ……」
「マンコだけでいいの?」
「はぁ、はぁ……。あぁ……どこでもいいれすぅ……おしりでもぉ、おまんこでもぉ、どこのあなでもいいのぉ……はやくぅ、はやくぅ、ハメてぇ……っ!! おかひてぇぇええ、はめてくだしゃいぃぃぃ……」
「ウフフ。ようやくわかってきたじゃない」
俺は吉田の耳元に口を寄せて、こんこんと諭してやった。お前は精液便所だ。チンポハメるしか価値のない肉の穴だ。射精するために使ってもらえることだけがお前の悦びだ。どんなチンポでも心から嬉しがって咥えろ。お前は淫乱でバカでチンポが大好きだからだ。
お前の生活は主にチンポに奉仕するためにある。穴という穴をいつも受け入れられるようにしていろ。お前がどこでどう犯されるかは俺が決める。感じることとイクことだけがお前の自由だ。いくらでもセックスで感じまくっていい。それしか考えなくていい。
お前に人格なんて上等なものはいらない。俺の命令だけ聞いていればいい……。
「はい……はいぃ……はひ……いうころきひますぅ……だからぁ、ハメてぇぇぇええええ」
「クスクス。どうしようかしら」
「いじわる、しない、でぇ……。おね、おねがひぃ、……もぉ、まんこほしくておかひくなるぅぅぅ」
「しょうがない遥ね。ほら、くれてやるわよ」
「ひぐぁっ!」
バイブを吉田の後ろの穴にあて、そのぶっとい先端をメリメリと押し込んだ。
「……そっち、の、……ふぁあああああっ……あな、な、のぉぉぉ……っ!!」
「ウフフ。大好きでしょ、お尻」
「ふぐぅぅぅぅっ、らいすきぃ、おひりらいすきれすぅぅぅ……っ!! おしりのあなにふといのちょぉらぃぃ……っ……!!」
きつい穴の周りの肉が無理やりに押し広げられ、ようやく亀頭が埋まる。ありえないほどの太さに拡充された肛門。
だが亀頭部分がくわえ込まれても、バイブはまだ先っちょが入っただけに過ぎない。これから、怖ろしいような突起のついた軸部分や、意識を消し飛ばすような振動が待っているのだ。
「ふぅぅぅぅぅ…………はぁぁんんんんんっ」
吉田の蕩けるような甘い喘ぎ声。もうどんなことをされても快感になってしまうほどに、吉田は発情していた。
アハハ、ケツ犯されて嬉しそうにしちゃってこの変態穴が……と言おうとして、俺はふと口をつぐんだ。
――廊下から、足音が響いてくる。女子の話し声。
この声は菅原だろうか?
まだ授業時間は終わっていなかった。なかなか戻らないので、心配になって様子を見にきたのかもしれない。俺は興奮しきって身をくねらせる吉田の口に手を当て、しっかりと声を塞いだ。
はたして、足音は女子トイレに接近してきた。
「ハル? そこにいるの?」
「ちょっと、実はただの下痢でしたーなんてオチ、やめてよね」
菅原乃恵留の弾むような声。それと……たぶんこれは、渡部愛梨沙の声だ。二人が代表して、偵察部隊としてやってきたらしい。
やれやれ……、水を差されたな。
吉田の耳に囁く。
「――気づかれると面倒だ。俺の言う通りに答えてごまかせ」
俺は吉田のケツ穴からバイブを抜こうとした。……だが、吉田の方がそれをそっと止めた。
バイブの柄に指を絡め、「ぬいちゃだめ」というように俺を上目遣いで見つめてくる。
「ねぇ、ハル? 大丈夫?」
「――ん、だいじょうぶ……」
吉田は淫蕩な悦楽に身を反り返らせながら、わりと平然とした声を出した。ひそかに吸う息が、こらえきれない被虐感で震えている。
「ちょっと……ふ、……おなか、いたくなった、だけ……。……っ、……っっ」
吉田が自分から尻を動かして、バイブを穴に飲み込んでいく。イボイボの突起が入り口のすぼまりをミチミチと残虐に刺激しつつ、次々に通り抜ける。ふとももの筋肉にぎゅっと力が入り、浅ましい声を上げそうになって、ぎりぎりのところでようやく我慢する。
俺は急いで吉田の口にハンカチを捻じ込んだ。
コン、コン、とノックする音。
「ホントのホントに、大丈夫? ……あのね、いつもの腹痛なら葉月が薬を用意してるって。……ねぇ、ハル? ちょっと聞いてる?」
ココココン、としつこく連打する菅原。そのドアを一枚隔てたところで、吉田はくねくねと尻を振って淫具を奥深くへ導いていた。
「本人が大丈夫って言ってるんだから、いいじゃない。それより、ね、菅原さんに聞きたいことあるんだけど」
渡部が言った。腰に手を当てて仁王立ちする姿が思い浮かぶ。
「え。……なぁに?」
「岩崎とデートしてるってホント?」
「ちょ、何っ!? どこで聞いたの、まさか見てたのっ!?」
「どこでもいいじゃない。で、事実な訳ね。そういうのって、山口葉月に悪いと思わないの?」
――面白い話をしているようだった。別の意味で俺には興味深い。
岩崎と菅原が、葉月に隠れて付き合っている?
「…………クス」
俺は静かにほくそえんで、スカートの下からチンポを引きずり出した。吉田の頭を押さえつけ、口を封じながらバックでマンコを犯してやる。ずっぷりとハメて、動かさずに入れっぱなしにし、時々アナルのバイブを弄繰り回しながら、俺は二人の会話に聞き入った。
「……別に、なんていうか。葉月には気兼ねしないわけじゃないけど、でも向こうから何も言ってこないわけだし。それに、岩プーと葉月はそういう関係って訳じゃないんだよ」
ぐりぐりとねじるように腰を回して、中で当たる場所を変えてやる。膣壁と腸壁を同時に擦り回された吉田が、声を出せないまま悲鳴を上げる。
「でも先にツバつけたのは葉月なんじゃないの。先制攻撃権っていうかさ」
ああ、入り口がキュウキュウ締め付けてくる。キツキツだ……。
「――それって何、」
菅原が、男子の前では絶対にしないであろう冷淡な声色で口を挟んだ。
「つまり尚也君や鈴木ファンタジアと、私たちのことを重ねちゃってるわけ?」
のどかな会話だ。クックック。俺は多目的水晶からバイブのスイッチを入れる。吉田が壊れたようにビクンビクン反応して悶える。マンコがグニグニ締め付けてきて気持ちがいい。
「……だったら何よ!」
「はぁ。見当はずれってとこだと思うけどなー。うーん。お姉さんたちの恋愛は、アンタにはわかりにくいかもね」
「都合のいい時だけ年上ぶってない、それっ!? ぶん投げるわよッ!」
「あはははっ!」
じわじわ動いて、奥へ突きこむ。やわらかい肉襞がチンポ全体をくるんで抱きしめてくる。充血したペニスがかちんかちんに硬くなって穴を深くえぐる。バイブの振動が粘膜越しに伝わってくるのが心地よい。
吉田のマンコは、最初の時より確実にエロく進化していた。濡れやすくて感じやすくて締りのいい、具合のいい性器に改造されてきている。何度も何度も俺のチンポで調教した甲斐があったというものだ。
「あっ、鏡に幽霊が! なんちゃって」
「騙されるかっ! こらーっ、待てーっ!」
菅原と渡部が走って遠ざかっていく。子どものような追いかけっこ。純真で少しずるい恋愛模様。クックック。
アハハハハハッ!
フ、フ、ハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハッ!!
クソが、クソが、クソがッ!!!
吉田の口からハンカチをむしりとる。苦しげに息をつく吉田。髪を乱暴につかむ俺の手。トイレの個室の真四角の床の片隅に落ちたままの帽子。ネチャネチャしたいやらしい音。甘酸っぱい汗の匂い。
肉の快楽。肉の、肉の、肉の。目が眩むような心地よさ。
「……あぅッ、は、はぁっ、はぁぁああああっ」
脈絡のない怒りのようなもの。
黒いモノの、もぞりと動く感触。
「ウフフ。ウフフ。ウフフフフフフ……」
「ひぁ、あ、あああああっ、ひぐぅ、ひぐ、あぐぅぅああああああああああ」
吉田の尻に両手の爪を立て、ガツガツと貪るように腰を突き上げる。吉田の深くイく時の声。どこか遠くで響く女の子たちの黄色い声。汚したい。世界ごと。べとべとにしたい。ひん剥いてかっさばいて犯しまくりたい。
「あああ、ああ、あ、あああああああ、……っ、……っふ、ぁああああああああああああ……っ」
……クソ。
なんだ、なんなんだ、この……
――淋しさは。
脱力するような射精の快感。それが過ぎ去ったあと、俺は考えていた。
岩崎の言ったセリフ。
「僕は、僕の大事な人たちに幸せになってもらいたいだけさ。そのためならなんでもするよ――なんでも、ね」
クッ。
なんでもする? なんでもって言葉の意味、知ってんのか。
少しばかり闇の世界をかじったくらいでいい気になりやがって、あの覗き魔。ムカつく。穢れを知らない少女たちもムカつく。それを容認し大事に大事に守ろうとする大人たちにもムカつく。すべてがムカつく。
理不尽だとしか思えない。
お前らはもっとドロドロに汚れるべきだ。
だから汚してやる。俺が。
「……クス。クックック……」
真っ黒な何かが胸の奥へ染み込んでいく。どうしようもなく行き詰った絶望感に、かすかな快感すら覚える。
――そうだ。教えてやろう。本当に”なんでもする”ってのがどういうことなのか。
ただの人間が本気になれば……、どれだけ残酷に、邪悪になれるのかを。
「……ももか、さま」
まだブレインハレルヤでブッ飛んだままの吉田が、朦朧とした目つきで呟いた。
「どこか、……痛いの?」
「…………」
うるさい、と叱り飛ばそうとして、なぜかできなかった。代わりに俺はチンポを引き抜き、さっさと舐めて綺麗にしなさいと命令した。
(つづく)