ガンパレードマーチ  

「来須とヨーコさんが?」  
「そう。ま、なるべくしてなったって感じかしらね」  
昼休み。いつものように提案した者と賛同した者が騒がしく昼食を摂っていた。  
場所は屋上。森の提案である。  
春のやわらかな陽射しに、はためくシーツが輝いている。  
それを視界の端に見ながら若宮が怪訝そうにつぶやいた。  
「来須とヨーコさんがねぇ…」  
「気付かないのはあなたと滝川君くらいのものですよ」  
善行があきれたように言い、他のメンバーがうんうんとうなずいた。  
「毎朝校門前で見つめ合っとったやん。しかも無言で」  
「階段前で『おのれー』って言われて遅刻しました…ごめんなさい」  
様々な目撃談を小一時間ステレオで垂れ流され、若宮もようやく事情が飲み込めた。  
確かに、ここ一週間ばかり昼時になると来須がすぐに教室を出ていったり  
始業前に2組から出てきたり、終業時間間際にヨーコがグラウンドを覗いていたり、  
それを見た来須がそそくさと帰っていくのは何故だろうと若宮も不思議に思っていたのだ。  
(気付け!)  
全員が裏拳とハリセンでツッコミポーズをとる中、若宮は別の疑問を口にした。  
「でもなぜ、奥様戦隊のターゲットにならなかったのですか?」  
「面白くないからよ」  
原が即答した。  
確かに「恥じらい」とか「照れ」といったものには縁遠い外人カポーである。  
ヨーコなら無自覚にのろけてみせるだろうし、来須には黙殺されるのが関の山だ。  
善行が声をひそめる。  
「それに、伝説の随伴歩兵に闇討ちなんてされたらたまりませんからね」  
その冗談めかした言い方に、皆がどっと笑った。  

笑い声の中、さりげなく善行と原がおかずの交換をはじめる。誰も気付かない。  
原がやわらかく笑った。善行が眼鏡を直す手の陰で微笑んだ。  
若宮はちょっとだけ目を細めた。  

 

深夜。  
若宮は整備員詰め所の前にいた。  
ぼんやりと走っていたらグラウンド中央に落ちているトンボにつまづいて転んだのだ。  
ヒザを軽くすりむいただけだったが、来須に無言で諭され手当てを受けにきたのだった。  
(いつもならほっとくんだがなあ…石津はもう帰ったか…)  
戦闘で負う傷に比べれば筆でなでられたような傷だが、来須はいつになく気遣うような表情だった。  
(そんなにそぞろだったかな)  
昼間の原を思い出す。すぐに善行のイメージが重なった。  
そして来須の顔。  
(あいつにまであんな顔させて…くそっ)  
何かを問いたげにじっとこちらを見ていた。あの表情。  
若宮は急いで詰め所の戸を開けた。  

「ぬなっ!?」  
詰め所の明かりは消え、当然誰もいないと思っていた若宮は  
むせかえるような異臭に思わず涙ぐんだ。  
(何?誰かゲロったか?…にしてもこれは…)  
体育会系なら母乳のように嗅ぎなれた酒まじりアレの匂いが部屋中に充満している。  
後ろ手で戸を閉めた。換気できないのは嫌だったが、教師達に見つかるとやばい。  
ロッカーの懐中電灯を探り当てると、なるべく光が漏れないように歩いた。  
(飲むのはいいが、早めに片付けないとこびりついてえらい目に遭うぞ…)  
ぶつぶつと小言をいいながら部屋の端にたどり着くと酒瓶が数本、まるでボウリングのピンのように転がっていた。  
これだけは回収しないとまずい。  
そう思って若宮は酒瓶を拾おうとしゃがみこんだ。そのとき。  
「…萌りん…?」  
「うお?」  
酒瓶の散乱する奥に、人影があった。  
懐中電灯で照らすと、その人影を中心に円を描くようにして瓶が転がっている。  
中心にいるのは新井木だった。  
「オマエ、何やってんだ?」  

新井木は酔いつぶれて床にへたり込んでいた。壁にもたれているのでかろうじて顔が見える。  
急いで歩み寄り、かがんであごを持ち上げ上を向かせると、  
気持ち悪い、と一言残して目を閉じてしまった。  
(しょうがねえなあ)  
頬に手を添えたまま、若宮は途方にくれた。  
まさかこのままにはしておけないし、さりとて新井木は女子寮住まいだから男の自分が運ぶと色々面倒だ。  
第一誰かに見られたらなんと言い訳すればいいのか。自分は素直で正直で不器用なのだ。  
(参ったな…)  
若宮の気も知らずに新井木はすやすやと寝息を立てている。  
酔っているせいだろうか。手に触れる頬が、やたら熱い。  
よく見ると唇と頬が同じ朱に染まり、奉げ物のようにこちらをむいている。  
それはとてもなんというか…  
(・……)  
見つめるあまりに新井木の唇まであと数センチというところで若宮は我に返った。  
そういやこいつ、吐いたんじゃないのか!  
「おい新井木!起きろ!」  
頭をぐるぐる回されて新井木はすこし目を開いた。  
「何〜〜?萌りん…」  
「萌りんじゃねえ!オマエ大丈夫か?」  
新井木は相手が萌ではないことに気付いたらしく思いきり顔をしかめた。  
「な〜んだバカ宮か。何の用?」  
「バカみやぁ?」  

「用がないなら帰ってよね。ここはカゥワゥイイ〜乙女の部屋なんだから。  
汗臭い筋肉ダルマには……」  
「…」  
「…なんだっけ?…ファブリーズ?キャハハハハ」  
何がおかしいのかさっぱりわからないが、とりあえず建設的な方向へ持っていこう。  
「おまえ、気分はもういいのか?まだ吐くか?」  
「気分?さいこう〜」  
「どこで吐いたかだけ言え!片付けてやるから!」  
「ん〜?ボク吐いてないよ。これはね〜えーとぉ〜〜〜・・・  
昼間タッキーが〜神経ナントカに酔って〜そうそうココで吐いたのよう」  
滝川の失態を思い出し、新井木はくすくすと笑った。  
とりあえず吐瀉物の始末はしなくていいらしい。  
酒瓶をどけて新井木の隣に腰をおろした。  
「じゃあ昼間から仕事サボってここにいたのか。感心せんな」  
「う〜・・・萌りんに愚痴ってたの」  
「さらに石津の邪魔してたのか。嫌われるぞおまえ」  
若宮が顔をしかめると、新井木は自嘲気味の笑みを浮かべた。  
「そんなことない。やさしかったよ。グッチが隠してるお酒も大放出だし。  
今日はそういう日なの。・・・ふられた者同士だから」  
「来須?」  
隣のバカを横目でぎろりとにらむと、ドスのきいた声で答えた。  
「その名前出さないで」  
そのままだまって視線を床に落とした。横顔を覗き込むのもおかしいので  
若宮は胡座の姿勢のまま壁に後頭をもたれさせた。  
来須が石津を気にかけていることは知っていた。しかしそれはあくまで庇護であり、  
石津もそれを知って多くを望むことはなかったのだろう。  
しかし恋愛感情は別だ。頭ではわかっていても、抑えることはできない。  
誰よりも、もちろん自分よりも似合う人が隣にいる。  
それを知ってなお。  

「あの二人、お似合い、なんだもん」  
唐突に新井木がつぶやいた。声に力がない。  
「いまさら言えないよねぇ」  
好きです。誰よりも、好きです。どうか私を。  
「あれだけ追っかけといてそりゃないだろ。言わなくてもバレバレだと思うが」  
「告白ってそれだけじゃないでしょー。もっとこー・・・トクベツ・・・なの」  
再び眠気が襲ってきたらしい。言葉が途切れ途切れこぼれ落ちる。  
「トクベツねえ」  
はたして自分は原に告白しなかったことを悔いているのだろうか。  
いくら首をひねっても結論は出そうになかった。  
自分の隣で幸せそうにしている原はどうやっても想像できなかった。  
完敗ってやつかな。そう思い、手首を見た。  
多目的結晶の時間表示は午前3時だった。さすがにもう校舎には誰もいないだろう。  
少し考えて、新井木を担いで送ることにした。  
闇に乗じて女子寮に忍び込むのは気がとがめるが仕方がない。  
このための野戦技能ではないのだが。  
苦笑して新井木の肩に片手を回した。  
投げ出した足を持ち上げるために、足をそろえようともう片方の手で膝をつかんだ。  
そのとき、いきなりのんきな声とともに電気がついた。  
「何やってるの?若宮」  
驚いて首だけで振り返ると、速水がぼややんと笑いながら立っていた。  

「はやみ・・・司令」  
まぶしさに目をしかめながら名前をつぶやく。そのあいだに速水が間を詰めてくる。  
「ずいぶん飲んだね。あれ?新井木さん」  
速水は笑ったままだ。ただ、目が青く光っている。怖い。  
若宮は一瞬で自分の置かれている立場を理解した。  
散乱する酒瓶。酔いつぶれた少女。やたら元気な俺。の手が肩と制服の裾あたりに添えられている。  
「ちち違うんだこレわっ!」  
恐怖で声が裏返った若宮を無視して若い司令は新井木を片手で持ち上げた。  
「寝ちゃったんだね。しょうがないなぁ。じゃあ送るからだっこしてあげて」  
速水は笑って投げてよこした。慌てて少女の体を抱き止めながら表情を伺う。  
テレポートパスを起動させながらなおも笑って速水は言った。  
「・・・今ウォードレスの予備、久遠しかないけど陳情しなくていいよね?  
僕は舞だけが大事なんだから。君たちみたいに乳繰り合う暇もないけどね・・・フフ(遠い目)・・・  
生き残りたかったら自分でなんとかしてね」  
ばいばーい、と速水の振る手が青く輝く軌跡を描く。それが消えないうちに周りの景色が変わっていた。  
真っ暗な部屋。だが。  
(俺の家かよ・・・)  
自分の部屋とわかったとたんにぐったりと疲れた。腕の中で熟睡する新井木を敷きっぱなしの布団に降ろす。  
どうせあと数時間で始業時間だ。このまま雑魚寝でもかまわないだろう。  
そう判断し、新井木には丁寧に布団をかけてやる。その隣に寝転がると、腕組みをして目を閉じた。  
(こいつ、酒クセェ・・・)  
薄く目を開けると新井木は口を半開きにして寝ている。どうして酔っ払いは口呼吸で眠るのか。  
若宮はとてつもなく情けない気分になった。  
昼飯を食えば失恋し、仕事をすればすっ転び、同僚に心配をかけ、酔っ払いを介抱して上司ににらまれる。  
(よっぽど悪い星の元に培養されたのかな・・・)  
そのままうつらうつらと後ろ向きな思考に沈んでいった。  

 

(・・・暑い・・・)  
新井木はじっとりと汗ばんだ布団を蹴り飛ばして目を覚ました。  
見知らぬ天井が目に入った。頭が痛い。  
(なにここ・・・ボクの部屋・・・じゃない)  
だるそうに首を回し、隣の若宮に気付いて動きを止めた。  
たっぷり3分間そのままの姿勢で考え込む。  
(そっか・・・あのまま寝ちゃって・・・)  
たぶん女子寮に行けずに自分の部屋に連れ込んだのだろう。  
何かされた覚えはないし、気絶した女にいたずらするような器用な男でもない。  
すばやく計算するとあらためて若宮の顔を覗き込んだ。  
若宮は寝息も立てないで眠っている。熟睡しているせいで死人のような妙にすっきりした顔だ。  
その悩みのなさそうな平和な表情が悔しくて、新井木はおもむろに鼻をつまんだ。  
しばらくそのままでいると、突然苦しそうに口をあけた。  
ヒクヒクと眉を震わせながら激しく息をする様子に、新井木は声もなく爆笑した。  
それでも眠ったままの若宮の鼻から指をはずし、そっとあごをなでた。  
すこしヒゲがのびてチクチクする。あご先に一本だけ長い毛があった。  
どこまで生えているのだろうとあごから頬、耳へと手を滑らせた。  
その間ずっと長い一本を見つめていたから気付かなかったのだ。  
若宮が、困ったような真剣な目で自分を見ていたことに。  

 

(あ)  
新井木勇美(15歳処女)はいまだつるんとした体のせいか気付かなかった。  
若宮康光(17歳顔の割に経験豊富)がさっきからいろいろ我慢していたことを。  
目を上げると、若宮がじっと自分を見ていた。  
情けないような、でも放っておけないような表情だった。  
のちに原から「それは一種のセクシーな表情というやつね」と教えられる表情だった。  
それでも新井木は15歳でつるんな処女だったが、女には違いなかったので。  
正しく男の耳元に添えた手に、わずかに力を込めた。  

どちらがより積極的ということもなかった。体と体のちょうど真ん中で唇が触れた。  

触れるだけのキスを繰り返しながら、新井木の上に覆い被さった。  
体重をかけないように片腕で上体を支え、空いた手で新井木の頬に張り付いた髪を払う。  
そのままあごに手をかけて逃げられないようにして深く口付けた。  
唇を舌でなぞると、初めてらしく体がこわばった。安心させるように髪をなでてやる。  
ゆるゆると開いた口に浅く舌を侵入させ、おずおずと差し出された舌を絡めとった。  
「・・・んっ・・・」  
苦しいのか、鼻にかかったような声をあげて唇を離した。  
「辛いか?」  
新井木は荒く息をつきながらふるふると首を横に振った。  
「ううん・・・いつ息していいのかわかんないだけ」  
ふう、と息を吐いて若宮を見上げた。  

「だいじょぶ。ちゃんと・・・キモチ、いい、よ」  
上気した頬で恥ずかしげに申告するが、若宮は心配そうな顔でこっちを見ている。  
なんだかがっかりだ。  
(「いいのか?」なんて訊いたら殺してやる)  
「なによぉ。もっとうれしそうな顔しなさいよね」  
頑張って頑張って。やっといつもどおりの声を出した。  
一瞬、キョトンとした顔をして、目の前のバカは晴れ間のような笑顔を見せた。  
「そうだな」  
にかっと笑って、本当にうれしそうにキスをされた。  
宝物のような。  
「バカ」  
そう言って、首に手を回した。もっと深く。もっと。  
応える舌が熱くてうれしかった。時折触れる胸板の、制服越しの体温を心底欲しいと思った。  
「ふっ・・・ん・・・」  
急に激しく求めだした新井木に、若宮は驚きながらも必死で応えた。  
でたらめに動く舌をなだめ、緩徐なリズムを教えてやる。  
隅々まで蹂躙するように深く口付けてから、浅く舌を誘う。引き出して、甘噛みする。  
「んんっ・・・や・・・ふぅん・・・あ・・・」  
くぐもった声に時折クチュクチュと唾液の音が混ざる。  
夢中でキスをむさぼる新井木の胸に手を置くと、慌てて顔を離した。  
ちょっと不安そうに若宮を見返すが、目は潤んでるわ口の端から涎が垂れかかってるわで  
おねだりしているようにしか見えない。  
都合よく解釈することにして、制服の上に置いた手を動かした。  
新井木はきゅっと目を閉じて抵抗する気はないようだった。  
胸をやわやわとまさぐりながら、首筋に唇を落とした。  

「ひぁっ」  
一瞬体をすくめたが、舌を這わせるとふにゃふにゃとくずれた。  
「ふぁ・・・あっ・んっ・・・やぁ・・・」  
両手で若宮の頭をしっかりとかかえている。その指が、感じるたびに震えていた。  
頭を下に移動させながら制服の前を開き、ブラウスの上から胸をさすった。  
(やはり薄いな・・・)  
ちょっと残念に思いながら僅かなふくらみをさぐりあて、辛抱強く愛撫を加える。  
「あっ?やっあっ」  
下着とブラウスを押し上げて立ち上がった乳首をつまみあげられて新井木はのけぞった。  
片手で手早くボタンを外し、裾をキュロットから引き抜いた。  
前が完全に開き、上半身がブラジャーだけの姿となった。  
頭から腕を外させ、上体を起こしてじっくりと眺める。  
まるで色気のないスポーツブラだったが、カップがない分通常のブラよりは布が薄い。  
充血してしこった頂点が、その輪郭をくっきりと浮かび上がらせていた。  
「乳首、立ってるぞ」  
「やだっ」  
そう言って新井木は胸ではなく顔を覆った。恥ずかしい顔を見られたくなかったのだ。  
その様子に苦笑したのみで手をどけさせることはせず、  
代わりに顔を近づけ、おもむろに片方の頂点を口に含んだ。  
布越しに唇ではさみ、舌先でつついてやる。もう片方も指先で転がした。  
「ああっ・・・んやぁ・・・やっ・・・あん」  
生まれて初めての快楽に、脳までしびれるような気さえした。  
最初は苦しげだった声が次第に艶をおびる。  
強く吸われてひときわ高い声をあげた。  
「ああんっ・はぁッ・・・やああ・・・んッ・・・」  
(気持ちいい・・・なんだか、ボーっとしちゃう・・・)  
新井木はもっと強い刺激が欲しくなって、  
無心に胸をむさぼる若宮の頭を制止するように押した。  
若宮が怪訝そうに顔をあげた。  
「あの、ねぇ・・・脱ぐから。さわって・・・?その、直接・・・」  
真っ赤になってやっとそれだけ言った。  

若宮を見ると同じく真っ赤で満面の笑みを浮かべている。  
うれしいオーラ全開の若宮の顔をなるべく見ないようにして、背中に手を回してホックを外す。  
手早く制服ごと腕を抜くと、上半身が完全に露わになった。  
「はぁぁんッ・・・あっ・・・ああッ」  
先ほどとは比較にならないくらいの快感が背すじを駆け上がる。  
肌に触れる舌の微妙な凹凸まで感じる。  
吸われて、がくがくと腰が震える。指でこねくり回されて、ますます充血して、また感じる。  
「ああん・・・あ・・・こんな・・・ふッ・・・」  
「何だ?」  
「・・・きもち、いい・・・んっ・・・あッ・・・もっと・・・」  
蕩けた声で煽られて、若宮の欲情が頂点に達した。  
舌で紅い突起を弄りながら、あっというまにキュロットと靴下を取り去った。  
一瞬と言ってもいい時間だった。あまりのことに呆然とする新井木の頬に軽く口付けると、  
Sサイズの木綿のパンティに上から右手を突っ込んだ。  
「やっ」  
まだ毛の薄い恥丘の上にさわさわと手を這わせる。  
ここも成熟した女性のようなやわらかなふくらみはなかったが、少女らしい弾力が指を押し返してきた。  
奥に手を進めて固く閉じたスリットをなぞった。  
「んぅ・・・ヤダ・・・」  
新井木が膝をすり合わせて小さく抗議する。無視して陰唇の合わせ目をこすり続けた。  
くぷり、と音をたてて隙間からさらさらの愛液が流れ出した。  
それを指に絡めとり、塗りこむように入り口を往復すると、苦しげな声が漏れた。  
「くぅ・・・ん・・・」  
まだここで快感を得るのは無理と判断し、指を上へと滑らせた。  
途端に小さな体が魚のように激しく跳ねた。  
「ああああっ!ひぁッ・・・やっ、やああっ・・・なにこれ、こん・・・ふあああッ!」  

包被の上から花芯をなでられたのだ。あまりの快感に反射的に足を閉じようとするが、  
体を割り込ませられて逆に若宮の体を足で抱え込むような結果になってしまった。  
「ああんっ・あっ・あハぁっ・・・ダメぇ・・・あああ・・・んやぁ・・・」  
正確に花芯を指で捉えられ、包被のない下側から容赦なく振動を加えられた。  
秘所からはとめどなく愛液があふれ、下着に吸収されなかったものが尻まで濡らしていた。  
指が動くたびにいやらしい水音が部屋に響いた。  
クチュクチュ・・・ジュプ・・・ピチュッ・・・  
「あッ・はああぁんッ・・・あっ・あッ・・・あッ」  
次第に声が切羽詰まったものに変わってきた。  
(そろそろかな・・・)  
空いた指で秘孔を探ると、きゅうきゅうと締め上げてくる。  
花芯に加える愛撫をいっそう強くする。  
「あッ?やあっ・・・ああっ・あッ・んッ!」  
新井木はシーツを握る両手に力を込めた。腰が勝手に動く。  
貪欲に絶頂を捉えようと、若宮の指に花芯を擦り付けるように。  
「ああああっ・・・ああッ・・・あッ・・・はあああああんッ!!」  
新井木は指を咥え込んだ秘穴をびくびくと痙攣させ、腰を震わせて達した。  

「ふッ・・・はぁ、あん・・・はぁ・・・」  
余韻に浸りながら息を整える。  
クチュ、と音をたてて指が抜かれた。  
「あ・・・」  
少し残念そうな声を出す新井木の胸元に愛液まみれの指を差し出した。  
恥ずかしがる顔が見たくて、指をこすり合わせる。濡れた音がした。  
新井木はぼんやりとした顔でその光景を眺めていたが、やおらその指を両手でつかんだ。  
「!?」  
驚いて見ていると、ゆっくりとその指を自分のほうへ引き寄せた。  
「・・・んん・・・ふッ・・・」  
そのまま人差し指を口に含むと一心にしゃぶり始めた。  
「んッ・・・ぷはぁ・・・変な味」  
情欲に曇った目で笑う。見たことのない、妖艶な笑みだった。  
若宮はごくりとつばを飲み込むと、中指も口内に差し入れた。  
新井木は目を閉じ、従順に二本の指を舐めはじめた。  
根元までくわえ込んで指の叉まで丁寧に味わう。  
指先まで戻して舌先でなめまわし、また深く飲み込む。  
ジュプ・・・ジュプ・・・クチュ・・・  
音をたてて自分の指を這い回る舌に若宮はもう限界だった。  
乱暴に指を引き抜くと、服を脱いだ。新井木が好奇の目で体を見ているが気にしない。  
一枚残った下着を引き下ろすと、布と秘所のあいだに透明な液体が糸を引いた。  
膝を立てさせ、間に入る。  
首に手を掛けられ、ねだられるままにキスをした。唇がはなれないうちに。そのまま。  
「−−−−!!・・・ッ・・・」  
「・・・大丈夫か?」  
半ばまで自らを埋めて若宮が聞いた。渾身の力でしがみつかれている。  
「・・・いったぁ・・・」  
十分に濡れているとはいえ「はじめて」の痛みはすさまじいものらしい。  
「やめるか?」  
「やめなくて、いい・・・けど痛いから、さっさと、して、よねッ・・・」  

苦しい息の下でそれを聞かされ、若宮は破顔した。  
新井木には身を裂かれるような痛みだが、若宮には極上の快感である。  
なにせきつい。狭い。ちょっとでも動こうものならものすごい力で押し返そうとする。  
つまり、締まるのだ。  
事実あまり持ちそうになかったのだから、新井木の申し出は願ったり叶ったりだった。  
(なんかムカツクわ・・・)  
うれしそうに腰を進める若宮に少し不満を覚えながら、新井木は耐えることにした。  
(さっきあんなに気持ちよくしてもらったんだし・・・)  
「なぁ」  
「えっ?」  
唐突に話し掛けられてあわてて意識を集中させた。  
「俺、ものすごく気持ちいい」  
「・・・」  
若宮はにこにこ笑いながらゆっくりと動き始めた。新井木はなぜか真っ赤になった。  
「人の、中、でっ、勝手に、気持ち、よく、ならないでよ、ねっ」  
揺らされながら悪態をつく。その様子に、若宮は今日何度目かの苦笑を漏らした。  
「俺ばっかりですまんな」  
そう言いながら少し動きを激しくする。新井木はあわてて肩にしがみついた。  
耳元で若宮の息遣いが聞こえた。  
感じているのだろうか。  
そう思ったとたん、体の奥でなにかがきゅうっと締め付けられたような気がした。  
(あ・・・痛いだけじゃないかも・・・)  
「んっ・・・」  
すこし膝をあげて、より深くつながるように体勢を変えた。  
最初の頃の鋭い痛みは既になく、最奥を突かれる鈍い痛みだけだったが、  
角度を変えたせいで敏感な前壁をこすりあげる動きへと変わった。  

「んッ・・・くぁッ・・・はぁッ・・・あん・・・」  
両膝で若宮の腰骨の上をはさみこみ、いいところに当たるように腰を動かしてみる。  
「あッああッ・・・きっ、ふぅッ・・・きもち、いいッ・・・あっ」  
「・・・ッ」  
次第に硬かった内部のこわばりが解け、しなやかな動きを見せた。  
痛みによる生理的なものではない、粘度の高い愛液が奥からつぎつぎに溢れ出し、  
そのぬめりできゅっきゅっと若宮の肉棒を締め付ける。  
「はぁん、あん、いい・・・のッ・・・あッ」  
「すまん」  
「えっ?」  
若宮は一言詫びると体を起こし、新井木の膝裏に手を掛けた。  
そのまま胸につけるように折り曲げると、一気に頂点を目指して動き出した。  
「ああああっ!やぁぁっ!」  
うってかわって激しい動きについていけず、新井木は思わず膝裏の手をつかんだ。  
自ら足を開いて見せるような姿勢で知らずに若宮を煽る。  
「やっ・やっ・ああっ・・・はげし、よぅっ・・・あっ」  
つながったところは少量の血液と多量の愛液でぐちょぐちょだった。  
そこを肉棒が出入りするたびにじゅぷじゅぷと濡れた音がひびく。  
そこから伸びるほっそりとした少女の足とは対照的な淫らなながめだった。  
「う、く・・・んあっ、あっ、も、やっ、あああっ」  
内部の若宮が、ぐぅっと質量を増し、息も付けないほど激しく突き上げた。  
「やあああっ!ああっ・あああああ!」  
「く・・・」  
二、三度抽迭を繰り返して全てを注ぎ込むと、ぐったりと脱力した体からゆっくりと引き抜いた。  
「あ・・・」  
とろり、と熱いものが腿を伝うのを感じた。それからていねいに拭われる感触。  
精液で汚れた体を男に拭かせるのはどうよと思ったが、だるいのでそのまま身を任せた。  
(・・・だるい・・・体のあちこちが痛い・・・主に腰が・・・)  
そのままとろとろとまぶたを閉じた。  

暫くまどろんで目を覚ますと若宮の腕の中だった。  
あれからずっと裸のまま抱かれて眠っていたらしい。  
(あったかい・・・)  
胸にすりよって接触面積を増やす。鼓動が聞こえた。  
脂肪が少ないので表面まで拍動が伝わってきた。  
頬をぺったりとつけると腕が動いて抱き寄せられた。  
「あのな」  
声に驚いて顔をあげた。眠っているとばかり思っていたのに。  
その頭をおさえこみ、胸に押し付けて若宮がささやいた。  
「ふられもん同士、っての、ダメかな。俺じゃ・・・その」  
鼓動が大きく、速くなった。  
「・・・ダメじゃないけど」  
自分の鼓動もすぐに追いつく。今聞こえているのはどちらの音だろう。  
「けど?」  

「今どんな顔してるのか見てから決める」  
「・・・勘弁してくれ・・・」  
若宮は弱りきって天井を仰いだ。  

 

午後。  
5時間目から授業に出た新井木はずっと思い出し笑いをしていたという。  
若宮は授業にも出ずにずっとウォードレスのほころびを繕っていたという。  

そして手をつないで帰っていきましたとさ。  

おしまい★  

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