「王姉殿下がお見えになられました」
従僕が告げる。
リンダとレムスは月一に二人だけの食事を義務付けている。
この日もレムスの私室で食事の約束があった。
弱冠十六歳のパロ聖王レムス一世は、部屋に入ってきたリンダを上から下までゆっくり目踏みする。
黒竜戦役時からまだ2年しか経ってないが
二粒のようだと謳われたパロの真珠は、いまでは
互いの身体的特徴は著しいほどに変化をとげていた。
レムスはかなり背が伸び骨格も細すぎではあるものの逞しく
男らしくなってきた。
リンダの方は、体型もきゃしゃながら女らしく丸みをおび、ウエストもくびれてきた。
(同じ双子なのに、男女ではこうも違うものか…)
レムスは食事の間中、喋らなかったが時々リンダをちらと観察する事は欠かさなかった。
ドレスの布に覆われている胸元は小さめだが、あの頃よりはふっくらしている……
リンダは、レムス即位式でのカル・モル予言事件以来
弟に対してかなり負い目を感じていたし、それに加えて最近の恐怖政治を敷いているレムスの恐王ぶりにかなり困惑していた。
彼女は元々勝ち気な性格だったが
自身をめぐる周囲の変化や弟のよそよそしい態度が原因で
自然とはかなげな雰囲気の美少女になった。
リンダ自身は気付いていないが、たまに煙るような目付きで相手を下からゆっくり見上げるように見ることがある。
それをされたら男はみな、胸を掻きむしられる気分におちいってしまうのだが、
レムスも例外ではなかった。
しかし、聖王レムスは、おもてには絶対出さず
食事を終えリンダが出ていったあと、
一日の終わりにベッドの中で
リンダとのあんなことやこんなこと、淫夢を見るのが習慣とした。