朝の学校は基本的に騒がしいものであるが、この学校は特に騒がしい。  
その中でも最も賑やかな、問題児ばかりを集めたという噂すらあるクラスで、  
愛子は喧騒を全身に浴びてうっとりとしていた。  
机の妖怪で学校好きの愛子は学校で起きるべき事ならその全てが好きだ。  
若々しいエネルギーに満ちた喧騒は彼女にとって最も愛する音楽である。  
”青春”という余り使われなくなった言葉を呟きながら陶酔していると、  
一人の男の声が聞こえてきて愛子は現実に戻ってきた。  
 
「うーっす」  
「おっす」  
「おはよー」  
「おはようございます、横島さん」  
「今日もギリギリですノー」  
 
だるそうに登校してきた少年にクラスのあちこちから挨拶がされる。  
下らない事で騒ぎあう男友達は勿論、意外に人見知りな巨漢も、700歳の高校三年生も、  
半吸血鬼に取り巻いていた女子達でさえ横島には声をかける。  
中には待っていたとばかりに嬉しそうな娘もいる。  
負けてはいられないと愛子もとびっきりの笑顔で声をかけた。  
 
「おはよう、横島くん!」  
「おう、愛子」  
 
一つ一つの挨拶に律儀に、かつ適当な返事をしながら横島が近づいてくる。  
愛子への返事は名前を呼んだ分だけ、かなり丁寧な方だろう。  
 
「今日も頼むわ」  
 
横島が愛子にレジ袋を渡しそう言うと、女子たちの数人が怒ったような声を上げる。  
 
「ちょっと、横島!  
 あんた、愛子ちゃんに迷惑かけてんじゃないわよ!」  
「そうよそうよ!酷いとか思わないわけ?」  
「真面目にやりなさいよね!」  
「うるっせー!俺はずっと仕事で寝てねーんだよ!  
 しょーもない友情ごっこで俺を殺す気か!」  
「しょーも無い友情ごっこって何よ!」  
 
これは、ほとんど毎日繰り返されている光景だ。  
横島は学校に来る度、愛子の中の空間で寝る。  
時空間を歪め出てくる時間を操れる為、愛子の中でならいくら寝ても実際の時間は一分も掛からないで済むからだ。  
それが気に食わない女子達が反対するという訳だ。  
結局いつも横島の切実な叫びに彼女達は黙らされるわけだが、それでもつっかかっていく理由を愛子はなんとなく分かっていた。  
彼女達はきっと横島に構って欲しいだけなのだ。  
何故なら、頼られている事に愛子自身が喜んでしまっているのだから。  
 
「いいのよ、みんな。  
 私が協力してあげる事で横島くんが毎日登校してくれるようになったんですもの。  
 そっちの方が嬉しいわ」  
 
少女達の気持ちが分かるだけに割り込みたくは無かったが、いつまでもやっていると授業が始まってしまう。  
仕方なく愛子が少女達をなだめるように割り込むと横島が勝ち誇ったような笑みを浮かべる。  
 
「おう、おう、全く愛子はええこやなー。  
 マジで助かるわ」  
「はいはい、感謝してるんなら今度ワックスでもかけてね」  
「愛子ちゃん、そいつに優しくしてると妊娠させられるわよ」  
「机が妊娠するかーっ! お前ら、俺を何だとおもっとるんじゃ!」  
「横島」  
 
周りの生徒たち全員から指を指されていじけ出した横島を、  
笑みを噛み殺したた表情でため息混じりに愛子が机の中に吸い込んだ。  
女生徒達に心の中で謝って愛子も机の中に消えると、HR前の教室に僅かばかりの静寂が訪れた。  
                                                 
愛子の中の空間は広さも物体もその配置も、時間をも愛子の自由に出来るが制約もある。  
それは学校でなくてはならないという事だ。  
学校内にあっては不自然な物は作れないのだ。  
だから、横島が寝るのはもっぱら保健室という事になる。  
今日も保健室のベットで眠った横島は貪るように眠り倒し、実際の時間に換算するとゆうに十時間を越えてようやく目を覚ました。  
 
「あら、起きた? おはよう」  
「おう……おはよう……」  
「朝ごはんどうする?  
 下拵えは済んでるけど」  
「食う」  
「じゃあ、すぐに作るから待ってて」  
 
そういうと愛子は保健室の隣に配置した調理実習室に向かっていった。  
ちなみに食材は横島持ち。入る前に渡したレジ袋がそうである。米と調味料は常備済み。  
しばらくベットの上でぼーっとしていた横島だったが、  
いい匂いがしてくると保健室内の消毒用の手洗いで顔を洗い口をゆすいだ。  
 
「お待たせー。横島くん、ちゃんと起きた?」  
 
開けっ放しのドアからセーラー服の上から白い割烹着を着た愛子が顔を出した。  
 
「おう、起きたぞ。おはようさん」  
「うん、おはよう。ご飯できたからもって来るね」  
 
保健室のベットは病人が食事できるように簡易テーブルがついている。  
その上に愛子が朝食を並べていくと横島はぐびっと喉を鳴らした。  
ほかほかご飯に香ばしい味噌汁、焼きたての鮭の切り身と卵と海苔。ついでに湯のみと急須。  
横島自身が食いたい物を持ってくるだけあって、それら一つ一つが横島の目には輝いて見えた。  
 
「美味い!こらぁ美味い!」  
「……誰も取らないんだから落ち着いて食べなさいよ」  
 
呆れた様子をしながらも愛子は笑みを隠しきれていなかった。  
元から世話好きであり、相手はほのかに好意を持った少年であり、  
大した食事でもないのにこうも喜ばれては仕方がない事であった。  
しかし、大した食事でないというのは愛子の誤解である。  
このラインナップで喜ばない日本人は少数派だろう。  
人間である横島よりも常識派として知られる愛子であるが、学校妖怪であるゆえにこういう誤解もあるのだ。  
                                             
「ふーっ…美味かったぁ……ごっそうさん!」  
「もう、そんなに急いで食べると体に悪いわよ?」  
 
綺麗に空になった食器を運び、愛子が消毒用の手洗いで洗いだす。  
実はこれは横島の要望だったりする。  
「寂しい」とか「話し相手になれ」などの理由をつけて、ここで洗わせるようにしたのだが  
横島の狙いは食後のまったりとした時間を洗い物をする愛子の尻を見て過ごす事だった。  
保健室の手洗いはちょうどベットと反対側の位置にあり、寝転びながら見る事が出来るのだ。  
紺のスカートに包まれた細めのお尻が揺れるのを、横島は透視せんばかりに凝視し始めた。  
 
「それにしても、横島くんどういう生活してるの?  
 私の中以外じゃ全然寝てないみたいだし。学校の勉強もしてないみたいだし」  
「あー、いつもノートありがとな」  
「ううん、それはいいんだけど大変そうだから……」  
 
食器の泡を落としながら発した声は水の音に消えそうに小さくなっていった。  
頼られるのは嬉しいが、自分に頼らないと生活できないような状況なのかと思うと心配になる。  
愛子としては今の状況は喜びながらも少し複雑だった。  
 
「まあ、大変なのは大変だけど自分の為だししゃーないんだよな」  
「どういうこと?」  
「俺さー、高校卒業したらGSとして独立する事になったんだ。  
 まだ、一年近くあるとはいえ俺、なんも知らんからなー。  
 いま色々と勉強してるんだ」  
「そうなんだ!おめでとう!」  
「はは、ありがとう」  
 
振り向いて全く裏の無い笑顔で祝福してくれた愛子に、横島は礼を言った。  
 
「お祝いを上げる気があるなら体でくれていいぞ」  
「あげません!」  
 
もはや馴染みとなったやり取りに愛子の顔に微笑が浮かぶ。  
 
「でも、無理しちゃ駄目だよ。  
 落ちこぼれのクラスメイトを励まして勉強教えてやるのも青春だけど、倒れられちゃ台無しじゃないの」  
「誰が落ちこぼれじゃ!」  
 
洗い終わって水を止め、愛子が手を拭く。  
横島はお尻鑑賞タイムを最後まで堪能すると、近づいてきた愛子にベットのスペースを空けた。  
愛子が割烹着を脱いで隣に座るのを待ち、お茶を入れた湯のみを渡す。  
 
「あ、ありがと。  
 でも、独立かー。よく美神さんが許したわね」  
「いや、むしろ追い出されたつう感じだけどな。  
 弟子が一流GSになれば師匠の評価は更に上がるとか何とか」  
「ふーん、そんなもんなんだ」  
 
二人並んでずるずるとお茶をすする。  
愛子は美神がそれだけの理由で横島を手放すとは思えなかったが、深く知りたい訳でもなかったのでそれ以上聞かなかった。  
大事なのは横島が独立の為に奔走し大変な生活を送るであろう事と  
それによってこんな時間があと一年近くの間は持てるという事なのだ。  
それは同時にあと一年しかこう出来ないとも言えるのだが、愛子はその考えを意図的に押さえ込んだ。  
そっと横を見ると何にも考えてなさそうな顔でお茶をすすっている顔が見える。  
ただそれだけの事が愛子にはとても幸せに感じられるのだ。  
無論、横島がムラムラしながら理性をフル動員させているとは思ってもいやしない。  
 
「一人でやるの?」  
「わかんねえけど、今んところはな。  
 アテもねえし、金払えるかもわかんねえから誘うに誘えないしな」  
「そっか」  
「ああ、高校出たら仕送り切られるから自分一人生きていけるかどうかも怪しい」  
 
不安そうに呟く横島に愛子がくすっと笑いかける。  
 
「横島くんなら大丈夫じゃないの?」  
「どういう意味だよ」  
「だって、美神さんの事務所手伝った時も成功してたじゃない」  
「あー、まーな」  
「それに霊能の力も随分上がってるんでしょ?  
 ピート君とタイガー君が差をつけられたっていってたわよ」  
「うーん、俺の場合いつでも最高の力で戦えるわけじゃないんだよなー」  
「そうなの?」  
「女ッ気が無いと力が出んのだ」  
 
あはは、と愛子が空笑いを浮かべる。  
 
「じゃあ、横島くんの事務所の従業員は女の子限定?」  
「そりゃそーじゃ。何が悲しゅうて男なんぞに金を払わないかん」  
「断言するってのも凄いわね……」  
「それに女だったら誰でも良い訳じゃないぞ。  
 美人じゃないとな。それでスタイルが良ければ文句なし。  
 セクハラしても許してくれるんなら最高!って感じかな」  
 
どこまで冗談なのか、まあおそらく本気だろうが横島が笑いながらそう言うと、愛子が不意に真面目な顔をして見つめ返した。  
 
「ね、ねえ、それ、私じゃ駄目……かな?」  
「え?」  
                                 
声は明るめに発していたが、愛子の目は真剣そのものだった。  
だが、その目の光に気付かなかった横島はへらへらと笑い返した。  
 
「はは、そうだな。  
 卒業後も飯作ってくれたり事務仕事なんかして貰えると助かるな」  
「そうよ! 横島くん、従業員候補がいないって言ってたわよね!  
 私だったらお金もいらないしピッタリじゃない!」  
 
愛子の嬉しそうな返事に横島が軽く驚いたような顔をする。  
 
「あ……」  
 
悲しそうな顔で黙ったのを見て、横島は愛子が本気で言っている事に気付いた。  
 
「マジで来てくれるのか?  
 自慢じゃないが、俺が責任者じゃどうなるか分からんぞ。  
 それでもいいなら……」  
「もちろんよ!もし潰れたらまた学校に戻ってもいいしね。  
 セクハラに悩みながらOLするのも青春だわ!」  
 
輝くような笑顔で、それこそ自分の世界に美神を引き釣りこんだ時のような笑顔で愛子が返事をした。  
何故、そんなに愛子が嬉しそうなのか横島は分からなかったが嬉しそうにされて嫌な相手ではない。  
 
「俺はセクハラするの前提かよ!」  
「あら、しないの?」  
「いや、そう言われるとしないと言い切れはしないが」  
「もう……そんなんじゃ先が思いやられるなぁ」  
 
そう言って愛子はため息を吐くが、表情は明るい。  
その様子に調子に乗った横島は将来ではなく、今セクハラをすべくじろじろと愛子の身体へ視線を這わせた。  
 
「愛子はもっと露出度が欲しいな。  
 美神さんぐらいの格好をしてくれたらやる気が漲るんだが」  
「やっぱりセクハラするんじゃない!」  
「見せるぐらいいいいだろうが!  
 それぐらいのサービスは会社内の人間関係を円滑にする工夫と呼ばれる範囲だ!」  
 
横島の全くの冗談という訳でもなさそうな発言に愛子が苦笑する。  
横島がこういう事を言うのはそれこそ日常茶飯事で、女子からつるし上げを食らう所まで含めてワンセットである。  
 
「露出度ねぇ……それで関係がよくなるのは横島くんだけじゃないの?」  
「いや、男だったら誰もがそうだ!  
 美しい脚をタダで見せてくれる女の子に冷たく出来る男なぞ一人もおらんわ!」  
 
どこぞの拳王ばりに言い切った横島を見て、愛子がくすくすと笑う。  
                         
「そっかぁ、露出度高いと優しくしてくれるんだ?」  
 
愛子はからかうような口調で微笑みかけた。  
愛子も将来への展望が明るいものとなり、浮かれていたのだろう。  
腰を上げるとスカートをつまんで少しだけ上げて見せた。  
 
「おおっ?」  
 
愛子はいつも足首まであるスカートを履き、セーラー服も長袖で露出度が非常に低い。  
だからだろうか、愛子のつるつるとした青白いすねを横島は嬉しそうに見やった。  
 
「…こ、これぐらいがいいのかしら?」  
 
ほんの少しだけの気まぐれで起こしたサービスに、横島が意外なほど食いついてきたので恥ずかしくなったのだろう。  
愛子の声は上ずっていた。  
 
「い、いや、出来ればもっと……」  
 
スケベ心を隠そうともしない横島の声が答える。  
滅多に見られないからすね程度に食いついているが、そんなもの実は珍しくも無いのである。  
どうせならもっと見せろと思うのは当然だった。  
 
「こ、こうかしら」  
 
愛子も今日はノリが良かった。  
他のクラスメイトの目が無いというのも大きかったかもしれない。  
更にスカートの裾が上がり、メラニン色素の気配も感じないつやつやとした白い膝が現れる。  
横島はその艶かしさに美術室の石膏像を思い出した程だ。  
 
「も、もう一声!」  
                                      
横島の言葉は強制ではなく、懇願だった。  
だから、愛子は止めても良かったのだ。  
だが、スカートの裾は更に上がった。  
愛子は何も言わず、ぎゅっと握り締めたスカートの裾を手繰り寄せて引き上げたのだ。  
現れるのは当然、ふとももである。  
肉のあまりついていないほっそりとした太ももだったが、その脾肉は美しかった。  
美しかったが、それは人間のそれでは無く人外のものであった。  
黒子の一つもなく、産毛も生えておらず、それどころか毛穴すらない。  
人間そっくりだが、そもそもの素材が違うのだと気付かせる美しさだった。  
白く輝くような肌はまだ誰の手にも触れられていない事を確信させた。  
いや、日の光すら知らない知らないかもしれない。  
そんな生きた人形のような脚に横島は見惚れていた。  
 
「…………………………」  
 
確かに人間の物ではない。  
だが、それは横島にとって萎える要素ではなかった。  
恥ずかしそうに桜色に震える愛子の太ももは背徳的な雰囲気と清純な色気が匂い立つようであった。  
既にベットからは降りている。  
ベットから降り、かぶりつきで眺めた。いや、眺めたなどという生易しいものではない。  
凝視、網膜に焼き付けんほどの凝視を行っていた。  
一方、愛子は羞恥のあまり頭を真っ白にしていた。  
愛子の失敗はここで目を瞑ってしまった事だった。  
横島に見られる事に嫌悪ではなく、むしろ無自覚な喜びすら感じていたが  
平然と出来るほど経験は無く、横島に対して無関心でも無かった。  
だから、目を閉じずにはいられなかったのだ。  
ふとももに目を奪われていても横島ほどの男が、その隙を逃すはずもない。  
横島は音も立てずに素早く床に這い蹲い、スカートの中を見上げた。  
 
「おおぅ……」  
 
生命の源泉、人の生まれ出ずる所にして男の夢、その神秘を守る最後の鎧は、愛子らしい白だった。  
真面目で古風な女生徒らしい白、そして隠し切れない乙女心がその前方上方に小さなリボンをあしらわせている。  
それはサイズが小さいかのように食い込んでいて、どことなく透けているかのように横島の目には映った。  
 
(これってもしやす、す、す、スージーさんでは!?)  
 
ぴっちりと覆われた布に走る一本の皺が横島の浪漫回路を直撃する。  
まさか、そこまで覗かれているとは思っていない愛子は  
小刻みに震えながら羞恥でその真っ白な肌をピンク色に染めるだけだった。  
 
(こいつは机こいつは机こいつは机こいつは机こいつは机こいつは机こいつは机………)  
 
受け入れ先を求めて暴走してしまいそうな程にバッキバッキとなった横島は謎の呪文を繰り返し唱えた。  
これは対愛子用の理性復活呪文で効果は高い。  
さすがの横島も元無機物の妖怪相手にするのはどうだろうかと思う部分があるのだ。  
だが、今まで何度も愛子を救ってきた呪文も遂に破られる時が来た。  
パンツに食い込んだ皺にじんわりと黒い染みが滲み出したのだ。  
 
「机だろうと関係あるかぁーーっ!!」  
「きゃっ!」  
 
保健室の安っぽいベッドに長い黒髪がふわりと広がった。  
完全に暴走した横島は愛子に抱きついて押し倒した。  
いきなりスカートの中に顔を突っ込まなかったのは、横島なりの優しさである。  
こういう誰にも分かって貰えない優しさを持っているのが横島という男だった。  
                                   
「んんーーっ!?」  
 
横島は噛み付くように愛子の唇を奪い、じゅるじゅると吸いあげた。  
目は血走り、鼻息は荒く、両手はがっちりと愛子の細い体を拘束している。  
 
「だめよっ、横島くんっ…あっ……だめぇ……」  
 
愛子は何とか顔を動かし、キスを振り払ったがその程度の抵抗で横島が止まるはずもない。  
か細い腕で胸板を押し返したり、甘い声で「だめ」とか「いけない」とか言ったりする愛子の抵抗は  
横島から言わせれば誘っていると同義でしかない。  
本当に嫌なら美神ばりにしばけばいいのだ。  
愛子が能力的にも性格的にもそんな事が出来ないなどという事を全く考慮せず、横島は半ば本気でそう思っていた。  
 
「んーっ!んーっ!」  
 
愛子が横島の腕の中でじたばたと暴れる。  
しかし、それでも横島は力を緩めようとはせず、愛子の口の中を舐め続けた。  
抵抗はしばらく続いたが、そのうちに愛子も動かなくなっていった。  
 
「あぅっ……」  
 
愛子の抵抗が無くなると、横島はこれ幸いとリボンを盛り上げているふくらみをまさぐり始めた。  
スレンダーな体型をしているが、愛子の胸は意外と大きい。  
その事は当然知っていた横島だったが、その感触までは知らなかった。  
セーラー服越しにわしわしと揉み始めた横島は充実感と達成感に満ちただらしない顔を見せた。  
 
「あっ、やっ……いけないわ、よこしまくん……ああ……だめ……」  
 
いやいやをするように愛子が首を振った。  
しかし、まどろしくなった横島が【裸】の字の文珠で服を吹き飛ばしてしまうと  
諦めたのか、愛子は小さな声を上げて動かなくなった。  
無論、ここまで来て遠慮するような横島ではない。  
桃色の蕾がツンと咲いた白く滑らかな乳房を見下ろし、感動と畏れを抱いた声で呟いた。  
 
「すげえ……」  
 
その言葉を聞いた愛子が赤くなって手で隠そうとすると、横島はその手首を掴み押さえつけた。  
その上で愛子の胸を凝視したのだった。  
愛子にしてみれば溜まったものではない。  
しかし、力ではどうやっても跳ね返せないのだから愛子としてはただ顔を背けるしかなかった。  
だが、酷い事に横島はその羞恥に染まった愛子の顔にも視線を注ぎ、胸と交互に見比べ始めたのだ。  
焼き付けるかのようにじっくりと見てから、横島はむき出しになったふくらみへ顔を近づけた。  
触れるか触れないかの距離まで近づき、胸いっぱいに空気を吸い込む。  
それからゆっくりと胸の谷間へ顔を押し当てた。  
触れた瞬間、愛子の身体がピクッと揺れる。  
ふんわりと、愛子の胸は横島を出迎えた。  
頷くように横島が顔を揺らすと愛子がくぐもった声を出す。  
否定するように横島が顔を振ると、愛子がひゃあと悲鳴を上げる。  
横島は更に貪欲に両手を参加させ、愛子の胸を揉みながら頬擦りした。  
しかも、それだけに飽き足らず、可愛らしい桃色の突起に吸い付くという暴挙にまで及んだ。  
やがて愛子の口から横島の名が漏れ始めた。  
初めは弱く、徐々にはっきりと呼び始め、しまいには甘い響きをともなったかすれ声となった。  
                                           
シミュレーションは人一倍行ってきた横島だったが、今はそれを役に立たせる事が出来なかった。  
気持ちとしては早く挿入したいが、どう持って行っていいのか見当もつかなかった。  
何も言わずいきなりやっていいのか、一応言うべきか、しかし断られたら……と葛藤する。  
そして、息も絶え絶えに震える愛子を見下ろした。  
視線に気付き、愛子も横島を見上げる。  
その瞳は涙で潤んでいたが、怒ってはいないように見えた。  
横島はそれで踏ん切りがついた。  
何も言わず、愛子の膝裏を掴み持ち上げると、反り返り暴発寸前に漲った物を秘所に押し当てた。  
 
「………………………………」  
 
奇妙な沈黙が二人の間に訪れた。  
横島は息を荒げて腰を動かし、愛子はただ黙ってそっぽを向いていた。  
横島の肉棒が愛子の秘貝の上をぬるぬると通り過ぎる。  
陰毛を擦って、クリトリスを突き、お尻の穴に間違えそうになってようやく横島は愛子を探り当てた。  
 
「っっっっぎぃっ……!」  
 
衝撃が愛子の身体を貫いた。  
肉を裂かれる痛みにシーツを掴み歯を食いしばり、背を反る。  
しかし、横島は愛子を押さえつけるように更に押し込んでいく。  
横島の赤黒く腫れ上がった剛直は、血を纏いながら穢れを知らぬ肉を引き裂いて汚していく。  
だが、外見以上に長く生きている愛子の媚肉は固く、たっぷりと濡れていてもなかなか進んでいかない。  
一旦引いてもう一度突く。  
気持ちよさを貪るようにその行為を繰り返していた横島はその内に愛子の顔に視線をやった。  
 
「〜〜〜〜っ!」  
 
閉じた目の端から涙を零し、懸命に耐えている愛子の姿があった。  
その姿を視界に認めた途端、横島は身を震わせた。  
愛子の中に熱い液体が迸る。  
 
「はぁ…はぁ…はぁ……」  
 
荒い息を吐いて横島の動きが緩やかになる。  
それで事が終わったと気付いたのか愛子が固く閉じていた目を開けた。  
 
「よ……こ、しま…くん……」  
 
愛子のかすれ声に返事は無かった。  
代わりに横島が発したのは困ったように訊ねる声だった。  
 
「愛子、お前…子供作れるのか?」  
 
その声に愛子は違和感を覚えた。  
普段の横島から考えられない、畏れているような怯えているような響きがあったのだ。  
だが、視界が滲んでいた愛子は横島の表情を見る事は出来なかった。  
愛子はそれでも女の子扱いをしてくれたと喜び、微笑んだ。  
 
「そっか……」  
 
横島は嬉しいとも悲しいとも聞こえる声を発すると、再び愛子の身体を責め始めた。  
                               
愛子は保健室のベッドにぐったりと横になっていた。  
むき出しになったお尻の間からは、白い液体がこぽこぽと零れ出している。  
その横で横島は正座していた。  
 
「ねぇ………」  
 
背中を向けたまま、気だるげに愛子が口を開く。  
「もうやめて」と懇願し、横島がようやく引き抜いてから初めての言葉だった。  
 
「な、なんでしょうか?」  
「何か言う事があるんじゃないの?」  
 
びびる横島に愛子が咎めるような口調で言う。  
拗ねているのか怒っているのか、背中だけでは分からないので横島は機嫌を取るしかない。  
 
「う……す、すまん!このとーり!許してくれ!」  
 
ベッドの上とはいえ横島は頭をぺたりと付けた。  
土下座など横島にとっては何でもない。  
それが分かっているのか、愛子は見向きもしなかった。  
 
「………謝ったら許すと思ったの?」  
「あ、いや……さすがに初めてだった愛子に七回連続はやりすぎたと思うし、悪かったなと思って……」  
 
保健室の中がまた静かになる。  
しばらくすると授業の終わりを知らせる鐘が鳴った。  
その余韻が消え去り、再び沈黙がたちこめると愛子がぼそりと呟いた。  
 
「謝って欲しい訳じゃないわ」  
「え?」  
「……こんな時に女の子が言って欲しい事も分からないの?」  
 
これは横島にとって難問だった。  
若い男の傾向として横島も「女の子の身体」には多大な興味があっても、「女の子の気持ち」についてはそうではない。  
どうしたら気に入られるか気を引けるか悩みはするが、正解を知りえる程に知っているはずも無かった。  
だから、悩んだ。  
悩みに悩んだ。  
ここで愛子に見捨てられる訳にはいかないのだ。  
愛子に見捨てられると睡眠時間も学力も食事も失ってしまう。  
そして、それ以上に可愛い女の子に嫌われるというのは横島の本意ではなかった。  
しかし、愛子に許してもらえる言葉がどうしても思いつかない。  
 
「う〜〜……」  
「何、悩んでるの?言いたい事ぐらい無いわけ?」  
 
いつになく愛子の口調はきつい。  
それはそうだろう、と横島も思った。  
いや、むしろ半ば無理やり押し倒されて本気で泣き出すまでやり続けてこの程度なんて、やっぱり愛子は甘いし優しいと。  
だからこそ傷つけてしまった事に横島でさえ罪悪感を感じるのだ。  
 
(謝っても駄目となると礼を言うとか……「やらしてくれてありがとう、すげえ気持ちよかった」  
 駄目だな、これマジでヤバイ事になりそうだな。  
 とにかく褒めるってのはどうかな……「おっぱいでかいし肌綺麗であそこも凄い気持ちよくて…」  
 駄目だ駄目だ駄目だ、襲った男に体褒められて誰が喜ぶかって。  
 性欲に負けたやったわけじゃないって言うとか……「責任は取る、結婚しよう」  
 愛子って結婚できるのか?それに実際は性欲に負けたわけだし―――)  
 
どこまでもどこまでも横島が悩み続けていると、遂に愛子が身を起こし苛立った様子で振り返った。  
 
「もう!何か答えるまで出さないから!」  
「あ、ああ。それはいいけど……」  
「え?いいの?」  
 
あっさりと頷いた横島に戸惑ったのは愛子の方だった。  
呆気に取られて横島に詰め寄る。  
 
「私は横島くんをずっとここに閉じ込める事だって出来るのよ?  
 美神さんに退治されちゃうかもしれないけど、それでも出さないんだからね?」  
「それで許してくれるんなら、まあ……」  
 
ぽりぽりと頬を掻きながら横島は目尻を下げて愛子の身体を見つめていた。  
 
「出さないって事はお前もずっとここにいるって事だろ?」  
「そ、それはそうだけど……」  
 
愛子の返事に、横島はそれならむしろ閉じ込められた方が嬉しいと言わんばかりのだらしない顔をしている。  
その視線の先にはぷるぷると揺れる愛子の胸があった。  
 
「ここにいる間、愛子を俺が独り占めできるなら別に文句はないって。  
 可愛い女の子と退廃的な生活を送るのが夢だったしな」  
 
全くの本気で横島がそう言うと感極まった愛子がその胸に飛び込んだ。  
 
「うおっ!どうしたんだ、愛子?」  
「本当に? 本当に私を独り占めするの?」  
 
首筋に腕を巻きつけて愛子が上目遣いに問う。  
その瞳を視界に入れた瞬間、横島はほとんど反射的に愛子の華奢な身体を抱き寄せていた。  
 
「うおーっ!!誰が他の男に渡すかーっ!!  
 お前はもう俺のもんじゃーーーっっ!!」  
 
普通は嫌がるであろう女を所有物だと言い放つ横島の暴言に、愛子はうっとりとして身体を擦り付けた。  
喜色のいい感触に横島の鼻の穴がふがふがと膨らむ。  
 
「……もしかして、いや、勘違いかもしんないけど、もしかしたら俺の事が好きだったのか?」  
 
自信なさげに問う横島の腕の中で、愛子はこくんと頷いた。  
 
「皆、私を使ってくれても一年間だけ。  
 すぐにいなくなっていくの。  
 だから、ずっと使ってくれる人が欲しかった。   
 そして、それが横島くんだったらって…………」  
 
耳元で囁く声が潤んでいく。  
横島はたまらなくなって白い背中を擦り、手を滑らせて丸いお尻を鷲掴みにした。  
 
「ぁっ…!」  
「この尻が、このおっぱいが、この身体が俺のもの……!」  
 
滑らかで柔らかな身体をきつく抱き締め、横島が感動に打ち震える。  
痛みを覚える程の拘束に愛子は陶然として身を任せた。  
 
 

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