すれ違いざまに放った一撃は奇麗にいなされ、お返しとばかりに飛んできた太刀が頬を掠めた。  
ちろり  
口の中に広がる錆びた味  
まったく、憎たらしいねぇ  
真っ正直な剣筋も、真っ直ぐな瞳も  
どうしようもなくあたしを苛立たせる。  
確かにあんたの方が腕は立つ。  
今ので十を越える傷を受けた。 中でも肩の傷が一番深い。  
だけどね、剣技だけで勝てるほど、戦いっていうのは甘くないんだよ?  
現に 見てごらん。  
これだけチャンスがありながら、あんたはあたしを殺し切ることができなかった。  
何度でも言ってやるよ だからあんたは甘ちゃんなんだってね。  
 
「まだ、闘うのですか?」  
 
当たり前だろう?  
なぜなら――あたしの方が勝つからさぁっ!  
 
叫ぶと同時に一気に間合いを詰める。  
振りかざされる神剣――ああ、やっぱり分かってなかったんだね。  
あんたの剣は正直すぎる。一合 二合 挿す股を返して石突きで足をがちりと刃が柄に食い込む左腕に力が入らないギャリッ弾かれて身体が泳いだ見逃すはずがない大きな隙  
 
「甘いですっ!――」  
 
ザクッ 交わしきれずに左腕の肘の少し上 肉を引き裂きながらめり込んでくる刃 骨ごと 噴き出す赤切り飛ばされて くるくると回りながら落ちていく 流石だね  
だけど  
 
ずぶり  
 
「……え?」  
 
きょとんとした なんだ、随分と可愛い声出すじゃないか。  
まだ分からないか? しょうがないね 教えてやるよ。  
あんたじゃない 今までのは全部あたしが切らせてやってたのさ。  
だから切りやすかっただろう? あたしの腕は。  
 
華奢な身体を抱きしめて、その喉に  
 
ずぶ ずぶぶ  
 
「……あ……ぁ……」  
 
深く深く。諦めな。この脈に届いたら、あんたにできることなんて、これっぽっちもありゃしないんだ。  
それでも、ゆっくりと剣を持ち上げてい――  
 
どぐっ  
 
「……うぁっ」  
 
細い指から力が抜けて するり 神剣が滑り落ちる。  
 
どくり どくっ  
 
「……うそ……どうして……」  
 
震えてるね。どうしてこんなことになるのか分からないって。竜の毒が竜神に効く筈がないのに。そう思ってるのかい?  
簡単さ。あたしが注ぎ込んでるのは毒じゃない。  
 
これはね…………だよ。  
 
「……ぁ……や だ……」  
 
いやって言っても、もう遅いさ。あらかたは注ぎ込んじゃったしね。  
おやおや、随分敏感なんだねぇ。もう息が荒くなって、震えてるじゃないか。  
分かったかい。これが、あんたのもう一つの弱点だよ。  
 
「……はぁ……あっ……あぁっ」  
 
ふふふ こうなったら剣神小竜姫もお仕舞いだね。  
 
咬痕から流れる血を、舌を伸ばして掬い取る。チロリ 喉をくすぐると あんっ いい声で啼くじゃないか。  
ほら 口をあけな。  
 
「あうっ……む……んぐぅっ」  
 
くちゅ ぬちゃにちゅっ  
 
縮こまろうとする舌を絡めとリ ねぶり 吸い上げる くちゅ ぐちゅ あんたの血は甘いねぇ あんたもそう思わないかい?  
 
「……はぁはぁ……や……ゆるし……」  
 
目にうっすらと涙まで浮かべて。  
こういうのを、憎さ余って可愛さ百倍とでも言うのかねぇ。もっと泣かせてみたくなるじゃないか。  
 
 
……ずぎり  
 
ぐぅっ 流石に、血を流しすぎたね。  
試験会場の方はどうなったか……まあいい。  
小竜姫を手に入れた。これだけで、全部の失敗にお釣りがくるほどさ。  
 
……これからたっぷりと、左腕のお礼をさせてもらうからね。  
 
 
 
……ここは 牢獄……  
ぎちゅ  
直径4間ほどの歪な半球。  
地面を埋め尽くす生暖かい肉質の床は、微かな身じろぎにも耳障りな軋みを上げる。  
剣を立てればそこからどぶりと血を噴き出しそうな禍々しいピンク色の、それはまるで巨大な生き物の舌のようで  
ここにいてはいけないと、小竜姫の心に警鐘を鳴らし続ける。  
「……く」  
探すまでもなく、出口は彼女のすぐ目の前。  
部屋のほぼ中央 桃肉に沈み込む小竜姫から、僅かに2間ほどの距離を置いて黒々とした口を開けている。  
だが、それでもここは牢獄なのだろう。  
ぬちゅり  
意識を取り戻してから、どのくらいもがき続けているのか。  
「……く……はぁ はぁ……」  
全くといっていいほど、手足に力が入らない 出口までの僅か数歩の距離が果てしなく遠い。  
震える指先 幾度床を掻いても何の引っかかりもなく、爪はただ徒に滑るばかり。  
そして、全身から噴き出した汗が また  
ぎちゅ  
擦れて、いやな音を立てた。  
……薬さえ抜ければ  
なぜこの場にメドーサがいなかったのか……傷を癒しているのだろうか。  
片腕を失う それは竜族にとっても重傷なのだから おそらく きっと、そうなのだろう。  
小竜姫の薬への耐性を、低く見ていたのかもしれない。  
だからこそ、こんな中途半端な部屋に彼女を捨て置いたのか。  
メドーサの慢心 それは、今の彼女にとって唯一の救いでもあった。  
意識が闇に沈む前に向けられたメドーサの最後の視線は……彼女をして歯の根を震わせる禍々しさを秘めていたから。  
 
だからこそ今のうちにここから抜け出さなければいけないのに。  
今しかないのに……逃げられない。  
互いに剣を向けたのだ。  
負けることも考えなかったわけではない。  
それでも、捕らえられる事までは考えなかったのは……それは彼女の甘さなのだろうか。  
……にちゃり  
焦りは正常な感覚を狂わせる。  
僅かに回復した体力も、こうして垂れ流されてしまってはまったくの無意味。  
そんなことにも気付けないほど、小竜姫は怯えてしまっていた。  
 
 
 
「……いいねぇ その顔……堪らないよ」  
メドーサは長椅子に身体を預けながら、巨大な玻璃に映し出される光景に目を細めた。  
あの小生意気な小竜姫が今にも泣き出しそうな表情で、しかも芋虫のようにもがいているのだ。  
こくり……はぁ  
喉を滑り落ちる酒精よりも、彼女の泣き顔の方が遥かに胸を熱くときめかせてくれる。  
「動けないのは薬のせい……そう思ってるみたいだね……クク……どこまで行っても甘ちゃんだよ」  
本当に楽しませてくれる……左腕の疼痛すら、快感に思えてしまいそうだ。  
メドーサは、左腕を再生させようとはしなかった。  
使い魔に命じて止血させただけで、矢継ぎ早に指示を飛ばした。  
凄まじい精神力と言える。  
だから今こうして身体を横たえているのは、体力の限界だからというのもあるのだ。  
抱えていた幾つかの計画は、いけ好かない連中に頭まで下げて押し付けた。  
仲間内での彼女の評価は、最低ランクまで落ち込んだだろう。  
だが、それがどうした。  
「薬が抜ければ、か……ああ、本当に待ち遠しいよ」  
もっともっともがいて 汗と一緒に全部流し出しちまいな そうしたら――  
ぴきっ かしゃん……ぽた ぽた  
 
メドーサの興奮を受けて、手の中で酒盃が砕ける。  
ぴちゃり ぬらぁ  
指を濡らす血と酒を、長い舌を伸ばしてゆっくりと舐め上げる。  
……あんたの血は……蜜は、さぞや甘いんだろうねぇ……  
ククク……  
 
 
 
「……ぁ」  
間に合わなかった。  
暗い出口の向こうから近づいてくる気配 それは紛れもなく――  
「おや もうお目覚めかい?」  
姿を現したのは、薄絹を身に纏っただけの凄艶な美貌。  
たいしたもんだ 流石は名高き剣神小竜姫  
言葉とは裏腹に、その口調はあくまでも嬲るもの。  
その気だるげな表情は、どこかやつれているようにも見えた。  
中身のない左袖――小竜姫の目がそこを見ているのに気がついたのだろう。  
「フフ……これから、このお礼をたっぷりとさせてもらうよ……と言いたい所だけど、その前に――」  
近づいてくるメドーサに、無力な獲物でしかない少女にできることなど  
「わ……私に何をするつもりですか?」  
「なに、簡単なことさ……」  
ぎし  
桃肉を軋ませながら、メドーサが小竜姫に覆いかぶさってくる。  
ぴちゃり  
「あっ!……やぁっ」  
喉に浮いた汗の雫を、熱い舌が掬い取る  
「精が足りないんだよ……あんたのせいでね……だから」  
 
……搾り取ってやるよ……  
 
そう言いながら、小竜姫の胸を服の上からやわやわと。  
「や、やめて! 私は――」  
「分かってるよ 初めてなんだろう?」  
かっと白い頬が鮮やかに染まる。 その初々しさが益々メドーサの劣情をそそる。  
「だから、やさしくしてやろうって言うんじゃないか……こんな風に ね」  
指先だけで、胸の表面を撫でていく。滑らせた五指が辿り付くのは  
きゅっ  
「……あうっ!」  
先端を抓まれて、堪らずに声を上げてしまう。  
痛みは一瞬 また最初から繰り返される じれったくなるほど緩慢な指使い  
つつ つ……きゅっ……つつ……きゅっ  
「あんっ……あっ!…………あふっ!」  
執拗に右の乳房だけを  
……はぁはぁっ……ぁっ……あ!  
服を通しても、はっきりと右の乳首が硬くなっているのが見える  
「敏感だねぇ……いつも自分で慰めていたのかい?」  
「ち、ちがっ 私そんな――あんっ!……あ ああっ!」  
今度は指を離してやらない 上から乳首を押し戻し、指でくりくりと捏ね回して  
「あっ! やあっ! んんんっ!」  
必死に歯を食いしばって、声を堪えようとする。  
この程度でそんなになってたら、この先大変だよ  
「……教えておくれ、小竜姫……いつもはどうやってるんだい? その通りにしてやるよ」  
ちゅぷ 耳たぶを甘噛みしながら。ぴちゃ れろ  
……どうして  
耳を噛まれると、乳首がずきんと疼く。自分の身体はどうしてしまったんだろう。  
「……んんっ……あ……うあっ!」  
指先がこりこりと、乳首を。だめ 声が抑えられない。  
仰け反ったとき、未だ触れられてもいない左の胸が……ずきっ  
「きゃぁ!……うそ……どうして……あんっ!」  
 
これも薬のせい? それとも私の知らない魔界の術なの?  
小竜姫の頭の中で火花が散る。  
「そうだよ 我慢なんかしなくていいんだ……もっともっと啼いておくれ」  
「ああっ!……あっ! う ああぁっ!」  
……これは本当に私の声なの?  
ずくん ずくん 左の胸が疼く……私を忘れないで 私を触って と  
「……ああっ……だめぇっ!」  
メドーサの舌が、耳の中をぞろりと舐め上げた。おぞましさに全身が粟立つ。それが……  
ちろり ぴちゃ……ちゅぷにちゃ  
……耳を……犯されてる  
ぬちゃ ぬっちゃくちゅ ぢゅぷり……言うんだよ自分の口から……ぬちゃ  
いけないと思ったときには、もう止まらなかった。  
「あくぅっ!……おっぱい こっちもしてぇっ!」  
誰 私の声で叫んだのは……まさか……私?  
「違うっ! やめてメド――きゃああぁぁぁっ!!」  
ぐにゅうぅっ  
握りつぶされる ぐにゅぐにっむにゅっ もみしだか ぎりっ 抓り上げられて  
「うああぁっ! あひいっ ぎいぃっ……っ!…………っ!!」  
華奢な肢体が、メドーサを跳ね飛ばすほどの勢いで反り返って。  
「……ぁ」  
がくと脱力した。  
はぁはぁと濡れた荒い息。びく びくっ と。  
目は開いている。けれど、今の小竜姫には何も見えていないだろう。  
「これは まいったね」  
呆れたように呟く。まさかここまで感じやすいとは。  
「あんたまさか、自慰をしたこともないとか言わないよね?」  
ぴく と、小竜姫が震えた。  
それが意味するのは……  
くく……くくく……  
「そうかい……だったら、最高の舞台を整えてやらなきゃねぇ……」  
舌なめずり……本気になっちまいそうだよ……  
 
 
本当は、潜経蟲を使うつもりだった。  
……一度逝く度に、一匹ずつ寄生させてやろう……どこまで正気でいられるか。  
体内に寄生し、神経に絡み付いて相手を意のままに操る。  
メドーサが手ずから改造した蟲だ。いかな小竜姫と言えども抗うことなどできようはずがない。ましてや今の彼女は力を使い果たして木偶同然。  
意識を取り戻すまで待ったのは、一時の希望の後に絶望に突き落としてやろうと思ったからだが――  
そんな簡単に終わらせてしまっては、あまりにも勿体無い。  
じゅるり  
口の中によだれが沸く。  
「決めたよ……あんたにはもっともっと色んなことを教えてやるよ」  
人形に堕とすのは、その後だ……いや、自分から人形にしてくださいと泣き叫ぶまで嬲りつくしてやろう。  
パチリ  
メドーサが指を弾くと、中空に大きな鏡が浮かび上がった。  
それも一枚ではなく二人を取り囲むように次々と。  
目を見張る小竜姫。彼女の知らない魔生物なのだろうか。縁そして背面に無数の肉質の突起がざわざわと蠢いている。  
そこに映し出されるのは、頬を染めて胸を波打たせて荒い息を零す少女。それはまるで――  
思わず顔を背けた小竜姫けれどそこにもまた潤んだ瞳にうっすらと涙まで浮かべた少女の姿。  
寄り添うような妖艶な美女の隣にあって、その少女は余りにも無防備で……  
「い……一体、何の真似ですか」  
どうしても声が震える。自分の弱さを見せ付けられて。  
……私は、あんなに首が細かっただろうか……肩も、腕も……  
ぷち  
「あっ!」  
鏡の中で少女の上着の釦が 一つずつ外されていく。  
 
「やだっ……くぅ……」  
もがいても、緩やかなその手が止められない。ぷち ぷち。  
怖い……でも鏡から目が離せない……ああ あと3つで全部外されちゃう。  
服の上からでさえ、あそこまで感じさせられてしまったのだ……もしも、直接触られたりしたら……  
「どうしたんだい? いやだったら抗ってもいいんだよ? ほら あと一つだ」  
そんなことを言われても、鏡の中の少女は身体を震わせるばかりで。  
まるで……まるで、そうされることを望んでいるように……  
違うっ 私は――  
「……ぁ」  
ぷち……はらり  
肌蹴られた上着。  
薄い襦袢は汗に透けて、ふっくらと形のよい双丘のその頂――淡い桃色の尖りさえも曝け出していた。  
……う、うそ  
「ふふ……よく見ておくんだね……自分が逝ってしまうところをさ」  
「やっ……いやああぁぁっ!」  
むにゅぅ  
食い込む指 柔らかな膨らみは自在に形を変え、指の間から搾り出され 捏ねられ  
ふにゅっ むにゅ もみもみゅ  
「……ああっ!……ああぁっ!」  
嬌声 喉を仰け反らせて よだれまでたらして あれは誰? 鏡の中であんなに  
太腿を擦り合せて もっと そこだけじゃいや 乳首が切ない  
ずるり  
「ひいぃぃっ!!」  
襦袢の合わせから、メドーサの手が潜り込んで来た。ぬる ぬちゃ  
薄絹の下で蠢く五指蜘蛛のようにぬちゅりぬちゃあううぅっ!かりっうああぁっ!僅かな痛みが次の瞬間快感になって爆発した鋭い爪が乳首を――  
「……ああああぁぁぁぁぁぁぁっ!!」  
 
……ぷしゃああぁぁぁぁぁぁ……  
 
それでもメドーサの手は止まらない。  
残酷なまでに容赦なく小竜姫の胸を蹂躙し、汗と涙と 蜜を搾り出す。  
「見てごらん小竜姫 あんなに胸を突き出して、腰を震わせてるじゃないか」  
熱い吐息と共に囁かれる禍言 正面に浮かぶ魔鏡の中 大きく肌蹴られた胸元 上気した肌は汗に塗れ、ぬらぬらと輝いている  
ぎりりっ  
「……あうぅっ!……んああぁぁっ!」  
乳首を抓まれて、あられもない悲鳴を上げる。零れる涙 はぁはぁ  
くり くりゅ 縦長のお臍をくすぐられて 今までに味わったことのない感覚に、声もなく悶える。  
……ぬちゃ にちゃ  
ぞわり お尻から背中に広がる生暖かい感触は――  
「お偉い竜神さまが、おしっこまみれか いいざまだねぇ」  
嘲笑 言葉の剣に切り裂かれる小竜姫の心。  
諦めてしまいそうになる……だって、鏡の中であんなに声を――  
「――っ!?」  
心臓が凍った。  
今 鏡の中……『私よりも先に動いた』?  
まさか、そんな……うあっ  
コリ……鋭い爪に乳首の先を抉られて  
『きゃうぅっ!』  
っ! 私あんなに胸を突き出したりしてないっ  
「嘘じゃないさ だって鏡に映ってるだろう?」  
『……あっ……うあぁっ!……あぁぁんっ!』  
ちがうちがうっ! あんな声……腰を……私は……  
『鏡の中の小竜姫』が、羞恥に肌を桃色に染めながら、自分から脚を開いていく。  
「なんだい? またココを弄って欲しいのかい?」  
……ちがうっ!  
こくりと、潤んだ瞳で頷く『小竜姫』 怯えながらも、隠し切れない期待に瞳を潤ませて  
 
くちゅり……  
いやあぁぁっ!  
『ふああぁぁっ! いいぃっ!』  
指が踊り、飛沫が散る 髪を振り乱して泣き叫びながら、どこか恍惚として ぬめる舌が  
にちゃっ くちゅ……ぬぷり  
いやぁっ! お尻なんて――  
『ひぃっ! あっ!……あぁぁっ!』  
「そんなにいいのかい?」  
ぬぬ……恥ずかしい窄まりが……ぬぷぷ……メドーサの指を飲み込んでいく。  
だめえぇぇっ!  
『んああぁぁっ!……そこっ!……あぁっ!……』  
ぐちゅり……たった一抉りで『小竜姫』が崩れた。声のトーンが跳ね上がる。  
「ココだね……ほら、ほらっ」  
『ふあぁぁっ! きゃひぃっ! いああぁぁっ!』  
華奢な肢体が跳ね、汗が飛び散る……全ての鏡に映る『小竜姫』が  
……ちがう私は屈したりなんか……っ! 腕が動く! メドーサを突き飛ば――  
むにゅぅっ  
『ふあぁっん! あひぃっ!』  
自分のおっぱいを捏ね繰り回し乳首を抓み上げ弾き爪を立てるどうしてぇっ!  
「あはははっ! そんなに物足りなかったのかい すまないねぇ、何しろ片腕だからさ!」  
そんな……もしかして、ほんとうにわたし……なの?  
「ほら、おっぱいだけじゃイけないよ こっちも一緒に触るんだ」  
……やりかたは、もう分かってるだろう?  
びくっ  
耳元に囁かれるメドーサの言葉に、『小竜姫』の――一瞬遅れて『小竜姫』に引き摺られるように、心挫けた少女の右手が、淡い叢に飾られた秘唇を……くちゅり  
『ふあぁぁっ!!』  
くちゅ……くちゅっぬちゅっぬちゃっ  
もう、止められない……ここに来るまで、自慰すら知らなかったとは思えない指使いで、蜜を撒き散らしながら肉芽を掻き毟りただひたすら快楽を貪る。  
 
その瞳に僅かに残っていた理性が 矜持が……愉悦に塗り潰されていく。  
 
 
……上手くいった  
メドーサがほくそえむ。  
『鏡像』と本体……ここまで重なれば、もはや離れることはできないだろう。  
後は……ゆっくりと、快楽に染め上げてやる……細胞の一つ一つ、魂の最後の一欠けらにまで……  
 
 
「……ああぁぁっ!……ふああぁぁぁっ!……」  
『……ああぁぁっ!……ふああぁぁぁっ!……』  
魔鏡によって歪められた幻想を受け入れてしまった少女  
……ピシ……パキッ……  
心が屈したために砕けていく竜神の術具……それにつれて少女に迫る淫気がその濃度を増す。  
『……ひっ……ああぁぁっ!……いやああぁぁぁっ!!」  
いつしか嬌声は一つに蕩けて  
 
 
「……ぁ」  
目の前に、涙を湛えた瞳……頬を染めて、震える吐息……鏡の中の、もう一人の『私』  
戦慄く唇 ほんの少し開いて……甘い匂い……まるで……  
(……あんたを待ってるんだよ)  
吸い寄せられる……桃色の舌が……どきどき 胸が苦しい  
そっと伸ばした手が、とぷりと暖かいぬめりに包まれる……そのまま、『私』を抱き寄せて  
「……んっ」  
ちゅ……くちゅ……  
蕩けちゃう……甘く痺れてく……私と『私』が……一つになる……  
 

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